なめたネジの救出
 整備をしているとどうしても避けて通れないのがボルト&ナットをなめてしまう亊。どんなに気をつけていても「あ!」って思った時はすでに遅く手に嫌な感触を残し取り外し不可能になったボルト&ナットがソコに残ってしまいます。
 理由はいくつも考えられますが主な理由としては排気系のボルトで熱により焼きが入り錆も進行していてなめるってよりも折れる場合、そして単に固着していて気をつければ良かったのに油断してユーザーのせいでなめてしまう場合等があります。なめてしまうまでの過程が違うとその救出にも手段がいろいろありますので今回はその救出までのいくつかの手段を紹介してみたいと思います。

 今回は前置きは短めにして段階を踏みながら個々の状況に適応出来る方法を実践。

 今回の実践車両はVT250スパーダ。チェーンカバーの8mmのボルトを見事になめてしまっております。

 この8mmのボルト。写真でも分かる通り少し奥まった場所にあり何かプライヤ形状の物ではさんで回す亊が不可能な状態です。で、ここでみなさんならばどうしますか?「工具いろいろあるでしょ」って言われそうですが実はリカバリーの第一歩となる作業があるんです。この第一歩となる作業を知らずにいろいろガチャガチャやってしまってどうにもならない状況になってしまう方が多いので是非みなさんにも覚えておいて欲しい作業です。

 それがコレ。

○ハンマーとピンポンチ。ハンマーはPBのプラハンポンチはPBの超硬ピンポンチを使用)

「そんなの持ってないよぉ」

 って言っている方も多いかと思いますが是非!・・是非持っていて欲しい工具でもあります。その人の作業スキルに関係なく「俺はたいした作業しないからなぁ・・」なんて方でも持っていて損はありません。

 で、このハンマーとピンポンチで何をやるのかと言うと。

・ひっぱたいて回す。

 のです。こんな感じで↓

 

 ひっぱたいて・・と言ってもただ正面から叩くだけではもちろん回りません。右の図のようにボルトに対して緩む回転方向に力をかけならがちょっとずつ、「コンコンコン」と叩いていきます。だんだんと食いついてきますので手ごたえを感じたらあとはガンガン叩きます。

 ここでちょっと話がズレますがエアーインパクトレンチってありますよね。アレを使うと手で緩まなかったボルトを楽に緩ませる亊が出来たりしますよね。何故でしょう。エアーインパクトってのは簡単に言えばエアーの力でハンマーをグルグル回しているんですね、ハンマーが毎周ガンガン回転方向に叩き付けてその勢いでボルトが緩む訳です。

 で、今回の作業の話に戻ります。まずなめてしまったボルトってのは人間の過失もあるでしょうが、それ以前になめる程度には固着してたりする訳です。ですから普通にソケットやめがね使ってなめてしまったようなボルトにいきなり逆タップとか使っても緩まない可能性が高いんですね。そこで今回紹介した方法を使えばハンマーで叩いて少しでも固着した物を緩ませながらボルトを抜き取る可能性を高めて行くことが出来る訳なんです。
 だからこそリカバリーの第一歩としてはまずこの作業をおすすめしております。結果としてこの作業で抜き取る亊が出来なかったとしてもその次に繋げる作業にもなるんです。まぁ以外とこの作業で外れてしまう亊が多いので「外れたらラッキー」くらいの気持ちで臨んでみてください。

#以外とこの作業方法を知らないでいきなり逆タップや抜取工具を使いよけいに悲惨な状況になってしまう場合があります。ポンチで叩けるスペースが確保出来る場合は是非これからトライしてみてください。

●次にやる作業は臨機応変となりますし、その場所によって工具が入る入らない等あると思いますので何通りか紹介したいと思います。

○掴みやすいプライヤー等でとにかく根性でつかんで回す。

 古典的ですがこれで緩んでくれちゃえば楽でOKですね。上で紹介したポンチの方法と併用すると以外と効果が大きいです。この作業による弊害はあまりありませんので横方向にスペースが有るときはこの方法が良いかと思います。

・写真左:エンジニア ネジザウルス
・写真右:バイスグリップ

 特にバイスグリップは他でもかなり有効に活用出来ますのでいざって時用に1本持っておくと安心ですね。まぁただし今回の上のバイクのような場面では使えません。横方向にスペースが無いですもんね、逆に言えばスペースさえあれば安全な外し方でもある訳です。

○逆タップ(エキストラクター)を使う。

エキストラクター5本組

 上の写真が通称「逆タップ」と呼ばれている工具です。これもかなり古典的な工具ですがうまく使えばとてもありがたーい工具でもあるわけです。

 まずはドリルでボルトのセンターに穴を開けていきます。この時もセンター出しにピンポンチが使えます。ドリルのサイズですが大抵工具の説明書に指定のサイズが書いてあると思います。それを参考にしてみてください。分からない場合は出来るだけ小さめの穴からチャレンジしましょう。最初から大きく開けちゃうと再チャレンジが出来なくなりますからね。

 適当な穴が開きましたらそこに逆タップを「コンコンコン」と打ち込んであげましょう。この時注意したいのが逆タップってのは大抵出来るだけ硬く作ってあります。その硬さ故に「折れやすい」のです。こんな硬い素材の物がボルトの中に残ってしまうとそりゃもう最悪の状況になります。優しく叩きつつ状況をよぉーく見ながら作業してください。

 ここまで出来れば後は回すだけ。タップホルダーで回しても良いし、持っていなければプライヤーやモンキーではさんで回してもOKです。この時も上記の注意を守りながら折れない亊を祈りつつ回しましょう。手ごたえ的にやばそうだったらすぐにやめるのも勇気かと思います。とにかく逆タップが折れちゃうのだけは勘弁なのでそれだけは注意ですね。

○Ko-kenのナットツイスターを使う(エイビットおすすめ)

Ko-ken ナットツイスター

 この手の工具っていろんなメーカーから出ていますが、使ってみて一番良かったのがコレでした。使い方も簡単でかなりの確率でリカバリー可能でした。後はこの少し厚手の工具がそこに入るスペースさえあれば強力におすすめの工具かと思います。

 今回は8mmでしたので8番のナットツイスターを使用。写真の様にハンマーで軽く叩き込みます。

 これでセット完了。

 後は回すだけです。何度か使ってますが今のところコレで取れなかった亊はありません。スペースさえ確保出来てなおかつボルトの頭が残っている場合は迷わずコレをオススメしてます。
 ボルトの頭がもげてスタッドのみになった時も何度か使ってますがサイズさえ合えば以外と外すことが出来ました。スタッドの場合は成功率が下がります。

 これがナットツイスターを使用して外したボルトの頭。ガッチリ噛み込んでいるのが分かりますよね。上面にはポンチで叩いた後も残っておりますね。

#状況的には今紹介した方法だけでは外せない場合も多々有るかとも思いますが基本的な方法を挙げてみましたので各自臨機応変にやってみてください。

 またこれらの工具のウチいくつかの工具は普段も使える工具もあります。いざって時に慌てないように基本的な工具くらいは常備しておくのも良いと思います。ネジをなめちゃうってのは本当に他人事ではありませんし、なめちゃった時点でその日の作業予定全てが狂いますので普段からの備えが大事かと思いますよ。

 

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