三宅島エンデューロ奮闘記~その7~

ピット要員で応援に来てくれていたハッシーがコース途中まで、見に来てくれたりして声援を送ってくれたのがかなり助けになり、なんとか1時間掛けて初ピットイン。

総時間でもすでに1時間半以上過ぎていて、疲れ果ててました。

とりあえず水分補給をしレース的なリザルトはもう無いな・・・って思い少し休憩。

するとチームメイトのナガチャンがピットインしてきて、心配してくれてるのが遠くに聞こえたので顔を上げると満身創痍ながら元気に笑うナガチャンがいて少し尊敬。

で、場内放送で「残り30分を切りました」と。

うおおおぉーし!

と気合いと水を入れ直し「とにかくチェッカーを受ける!」を目標に再びコースイン。

でもダサダサのさっきの走りが急に直るわけも無く、ドテ・・バタ・・・とコケながらちょっとずつ進みました。

そして1周目で分岐点になったガレの登りで、コースアウト気味に大ゴケ。

これでエンジンが再始動しなくなってしまい、不安定な足場でのキック地獄へ。

ここで場内放送が流れ「1位の小池田選手がゴォール!」と。

あ、やっべ・・・レース終わっちゃった・・・早くオレもゴールしないと・・・と気持ちばかりが焦るけど、エンジン掛からず。

すると後ろからエンジン音が来て止まりました。MFJのマーシャルの人。

「大丈夫ですかぁ?エンジン掛からないんですか?」

と。

私 「・・・・はい」

M 「先頭はゴールしましたけど、まだ時間あるのでガンバってくださいね」

私 「ういっす・・・」

この間、キックし続ける私。マーシャルの人は私を見守ると決めたようで動く気配無し。

M 「コケ止まりですか?」

私 「・・・・はい」

M 「んじゃ、オーバーフローでかぶっているかもしれないから、アクセル全開でキック連続で」

私 「・・・はい」(さっきからやってるけど、連続キックするちからがもう無いんだよ!)

が、次の瞬間。

ブ・・・ブ・・・ブロローン・・ブロロロロロロ。

うおー掛かった-!

M 「んじゃ行きますか!」

私 「ういっす!」

と、ガレを何とか登りだします。

後ろに心配してくれているマーシャルがいるので変な心配掛けられないなぁ・・とか考えていたら、自然とアクセルが開いてきてスタンディングでガレを走破。

あ れ ?

なんかバイクが安定してる・・・。

火事場のクソ力なのか?とにかく両足でガシっとバイクをホールドして超デコボコしているガレ場を、ストトトンと安定して登っていける!

ちょうど普段練習しているサンドとほぼ同じ要領。

安定しているので顔を上げて視線を前に!

すると速度が乗ってバイクが更にビシっとしてきた。

あれー?マジカー!つまりこういう事だったのかー!?と走り方を思い出したのが残り半周(笑)

しかし、次のガレ場のコーナーで動く岩に乗り上げガシャゴケ。

で、ここでは足が挟まれ動けなくなってもがく。

するとさっきのマーシャルが来てくれてバイクをどかしてくれた。

M 「大丈夫ですか?」

私 「なんとか・・」(実は結構痛い)

M 「時間的に厳しくなってきましたけど、まだ行けます?」

私 「・・・・・・・」(それってリタイアしろって事?)

実は今回のレースではぶっちゃけそんなに走れるとは思って無かった。だから何か自分にひとつだけご褒美が欲しくて目標としてチェッカーを受けて完走する!って事だけは死守したかった。

でも、時間的にはトップがゴールしてからすでに15分ほど経過していて、閉め切られても文句は言えない状況。

またこのマーシャルの人がさっきから献身的に私を心配してくれているのも分かっていたので、コンマ何秒の間にものすごくいろんな事を考えた。

で、これ以上迷惑かけちゃだめだよな・・・と思い、出した結論は。

私 「しゃーないっすね・・・リタイアします」(かなり笑顔で)

M 「・・・・・・」

おいおい、黙るなよ・・・こっちが情けなくなるやん・・・。

そしたらインカムで本部と何か話始めた。

M 「・・・ん・・多分・・・で・・・了解・・」

何話しているのかは分からなかったけど、まぁ1名リタイアでーす!とか言っているんだろうなぁ・・・とか思っていたら。

M 「50番さん、コースクローズまで残り10分だそうです」

M 「まだ行けますよね?10分間のエンデューロを楽しみましょうよ」

と。

おいおい、おっさんになって涙腺少し緩いんだから泣かすなよぉ。

グイっとバイクを起こしキックキック。

で、ここからは自分でも驚くくらい全てがスムースに走れた。なんだぁ、まだまだ修行が足りねぇーなー・・・とか思いつつ、難所の谷底では一度コケたけどすぐに再スタートしてクリア。

本部のテント前ではMFJの人達が全員で出迎えてくれて、最後の大ジャンプへ。

ジャンプしてピット前のストレートに戻ると、仲間が全員で出迎えてくれた。

ゴール。

嬉しかった。

チョー嬉しかった。

順位はビリっけつのほうだけど、そんなの関係無くチョーー嬉しかった。

仲間もまわりにいた知らない人もみんな喜んでくれた。

走っている時は全然視界に入らなかった、三宅島の大自然や眼下に見える海や島も素晴らしかった。

レース終了後に山のふもとの第1パドックにみんなでパレードラン。

ヒルクライムの頂上ではものすごい景色と夕焼けが綺麗だった。

そこには普段とは切り離された非日常があり、まるで海外のレースのような体験が出来ました。

これでニッキュッパ。

大冒険のチケットは格安でしたよ。

三宅島エンデューロ奮闘記~その6~

レース途中の先日のつづきです。(ここからが言い訳本番ですよ)

サンドのロングストレートで大ゴケするまでは、上のバイクのホールドとかが練習通りに出来ていたと思います。多少の難所でもクリア出来たし、前を向いて走る事が出来ました。

そして尖った岩がゴロゴロするガレ場セクションに突入。

ここで前走者を真似て両足をステップから離し、バタバタと足を付きながらの走行に切り替えました。あれほど練習して会得したと思っていた感覚を全て捨ててしまったんですね。

試走周でのクラッシュもあったので、変なコケ方するのが怖かったのも理由のひとつだったと思います。

で、結果から言うとレースがスタートし半周回ってサンドでの大コケ、ここで私のレースはほぼ終わってしまいました。

とにかくコワイ。

と、言う気持ちが先行し岩だけで無く砂な所や走りやすい普通の土の所でも、とにかく変なコケ方しないように足をドタバタして進むようになります。

証拠写真もありました(笑)これモトクロスセクションを過ぎた所のディープサンド箇所の写真です。一番右下に写っているのが私・・・・。

コーナー中なのに完全に両足離してしまっていますね・・・・。これじゃ・・・・ダメっす。

ステップに足が置けないとまずバイクが倒せません、バイクってのは倒せないと曲がらないですからしょうがないのでハンドルを切ります。ハンドル切ったって曲がらないので引っ掛かってコケます。

またさっきの1周目の最後の難関谷底セクションで、試走で引っ掛かった岩に全く同じように引っ掛かりました。まぁこれって良くあるパターンで「ああ、そこに刺さったら嫌だなぁ」をガン見していたせいで、吸い寄せられるように刺さったわけです(笑)

で、その時の刺さり方が結構マズイ感じでして、バイクが引っ掛かって引っ張り出せなくなりました。

リザルトを見ると私はここで20分くらい格闘していたんだと思います。

で、この手のオフバイクな人には分かると思いますが、こういう引っ張り出す行為ってのは走っているよりも倍以上疲れます。

で、この20分間の格闘で体力ゲージがほぼゼロになりました・・・。更に深刻な問題も同時に発生しまして、背中にしょったキャメルバッグの水を飲みきってしまったんです(実際にはコケた拍子に半分以上こぼれたんですけど)

それでも何とかハマったバイクを救出し、エンジンを掛けて再発進。

谷底セクションを抜ければ1周が終わるのでピットエリアがありますから、一度体勢を立て直してキャメルバッグの水も補給出来るとちょっとだけホっとしました。

1周がなんとか終わって大きなジャンプを飛んで最終コーナーに差し掛かります。

「ああ、長かったなぁ・・・でも、水補給したらまだ走るぞー!」

とか考えつつ最終コーナーに見えたのはボランティアの人達の大声援!

みんな手を振って「「「ガンバレー!」」」と声を掛けてくれます。こういうのって力になるんですよね。

うおっし!頑張るぞ-!と気合いを入れつつコーナーを曲がってピットへ・・・・。

あれ?

ピット入り口は・・???

あれ??

これホームストレートじゃね???

あれぇぇぇええええええ!!

2周目突入しちゃったぁああああああ!!

そう、応援してくれていた人達を横目でチラっと見ているうちに、ピット入り口を見逃してしまっていたんです。

もちろん逆走して戻るわけにもいかず、私はそのまま力なく2周目に突入。

本当はここでいったんリセット出来ていれば、もっと違う結果になっていたかも知れませんが・・・、まぁタラレバですよね。

で、とにかく2周目は悲惨。

1周目はそれでも半周はイケイケで走れたので、あまり難所とか気にならなかったのですが、2周目は全域に渡って足バタバタでコテ・コテっとコケながらの走行。

祈るような気持ちでキャメルバッグの吸い口を吸っても何も出てこない・・・。

結局2周目は体力も無く、水分も無く、脱水症状1歩手前でコケまくり・・・。もうチョー悲惨、たまに思い出したようスタンディングでバイクをガシっとホールドしようとしたんですが、足がまるで生まれたての子鹿のようにプルプルしちゃってダメ・・・。

なんとかピットまでたどり着いたのはここから約1時間後でした(笑)

三宅島エンデューロ奮闘記~その5~

急に思い立ってモトクロッサーを買って1年半。ほぼ毎週のように練習しつつ楽しく乗ってきましたが、そこに「速さを求める」ような事はあまりなかったんですね。

巧くなりたい。

その思いの方が強かったので、なんつーか「速さ」は若い者に任せとけばイイヤ!的な考えが多少ありました。しかし乗り込むにつれその考えも、少しずつ変化してきたんですよね。

で、今回の三宅島エンデューロにエントリーをした後は「速く・強く」を始めて意識した練習を重ねました。

先月の日記でも少し書きましたが、その練習の成果もあってなんというか一皮剥けた、今まで見えなかった景色も感じる事が徐々に出来つつもありました。

その練習の中で個人的に一番効いたのが、狭いテクニカルな林間セクション(ワダチがあってほぼ1本道)をスタンディング(立ち乗り)のまま走破する練習でした。

コースは起伏に富んでいて、20センチ以上の深いワダチもあり、リアブレーキターン気味に曲がらないといけないタイトなターンも満載でした。

最初はゆっくりで良いと言われ何度も転びながら周回を重ねるウチに徐々にスピードアップ。

これやると何が分かるのかと言うと「バイクの適切なホールド」が身にしみて分かります。

また前後の荷重移動もしっかりやらないといけないので、1周回るウチにまぁ前後左右に忙しいんですね。

そして乗り慣れてくるとアクセルを開け気味で速く走った方が楽な事も分かってきます。ゆっくり走る方がトライアル的な難しさが出ちゃうんです。

この練習だけを徹底的にやったおかげで、タイヤ1本の隙間を通すような難関セクションでも結構なスピードで走る事が出来るようになりました。

で、レース前にこれが出来るようになったのはかなり自信にも繋がったんです。

ってかぶっちゃけこの時の練習の感じだけが、心の頼りになっていたと思います。

話は三宅島レースに戻ります。

三宅島エンデューロ奮闘記~その4~

※注意:ここからはほぼ私の言い訳になります。お見苦しいと思いますがご了承ください。

で、いよいよスタート時間。

不思議なもので今まで何回かレースに出ていますが、いざグリッドに着いてしまうとウソのように緊張が無くなります。

今回もドキドキしていたのですがヘルメットかぶって、バイクにまたがったらすごく冷静になってました。

スタートは3列スタート。

横に約30台ずつ並び、私はその3列目。

スタート方式はキックスタートでして、スタートと同時にエンジン始動と、キックしか無いバイクには少し難易度高めのスタート。

まぁ無理はせずにマイペースで行こうと決めていましたが・・・。

スタート!の合図と共に振り下ろした足にエンジンの鼓動が伝わります。

あ!一発で掛かっちゃった!

と、思いそのまま2速に叩き込んでアクセル全開!

と、思ったら私の目の前の前列の3人がエンジン不始動(笑)行き先を失い慌ててブレーキ握っていったん停止。横がいなくなったので前3台をよけて横に回避し後はフル加速。

100台一斉スタートなので、何もおこらないわけも無く今度は前走者が登り途中でコケる!まだ距離があったのでなんとか横に逃げたら逃げた先でも、またコケてる!!

結局そのまま私は斜めに走っていきコースギリギリまで大外まで行って、なんとか坂を駆け上り第1コーナーに突入。

ここでもコーナーでコケちゃった人をよける渋滞が出来ていたけど、少し遅れて入った私は空いている大外をそのまま廻りホームストレートへ。

仲間が手を回して応援してくれているのが見え、気合いを入れ直して坂の下のモトクロスセクションの突っ込む。

ここは深いサンドのコースになっているのでまた渋滞発生中。

が、なんか気合い入っちゃった私は縫うように進みあっさり渋滞を抜け体感で中段グループに追いつく。(実際は後ろのほうでした笑)

こうなっちゃうと更に気合いが入ってきてアクセル開け開け!

細かなセクションではみんなスピードが落ちるので、前に集団が見えていて気持ちも前向き「あれに付いていけば良い感じでしょ」とか思いつつ、アドレナリンも垂れ流し状態。

で、サンドのロングストレートに突入!

4速に叩き込んで更に開けると普段練習で走っている感覚も蘇ってきて、グっと腰を落とし後ろ荷重を意識しフロントタイヤを接地させない感じで前方を睨みます。

が、次の瞬間。

一瞬宙に浮いた感じがした後・・・ドシャァー!!!と前転気味に大ゴケ。
(この時は普通に乗れていたので多分岩か何かに乗り上げたんだと思います)

この時何が起きたか一瞬分からなかったのですが、砂に顔面から落ちている事が徐々に分かってきてよろよろと起き上がり、キョロキョロとバイクを探します。

私の後方3メートルほどの所にバッタ号発見。場所もサンドなので壊れてそうも無いので、バイクを起こして再始動。

よろよろと走りだすと丸太セクション登場。

まぁここは怖くないので軽くクリアと思ったのですが、ここでもポテっとこけます。

あ れ ?

自分でもおかしいと思っていましたが何がおかしいのか分からず。

そしてそこから恐怖のガレ場エリアに突入。

まだまわりにはバイクも一杯いて、良さそうなラインを盗む為、前走者の後ろに付きトコトコとガレの上り坂を登ります。

で、今思うとここが私のこのレースでの最大の分岐点でした。

つづく。

三宅島エンデューロ奮闘記~その3~

試走が終わり、試走走行順にグリッドに整列。

スタートはこのままの状態で行われるとの事で、私はさきほどの岩にクラッシュがあって最後方になってしまいましたが、スタートの混乱を避けるにはちょうど良いかなとも思いました。

で、そこから約1時間開会式やったりセレモニーがあったりと時間があったのですが、今思うとここでもうちょっと準備していればなぁ・・と少し悔やみます。

試走が終わったのが大体11時ちょい過ぎで、レーススタートは12時過ぎの開会式終了後との事だったのですが、試走で結構体力を奪われた為に水分補給を中心に30分くらいは休んでいました。

折れ曲がっていたレバーは応急措置でなんとか直っているようにも見え(実は直ってなかった)車両チェックよりも人間の復活に時間を割いてしまいました。

またこれが後で効いてくるのですが、そんな時間耐だったので各自にお弁当が配られたのですが私は食べる事が出来ずに食事をパス。

やっとお腹が空いてきた頃にスタート時間になってしまいました。

今思い出すと本気な方々はこの時間をかなり有効に使っていたと思います。

ちょっと舞い上がってしまってましたねぇ・・・。

ただし人間の準備はいろいろやってまして、まず準備運動も無しにコースインしたのでストレッチをして、その後は夏の12時間の時に足がつった経験からレース前にクエン酸とアミノ酸を補給。

走行中に背中に背負うキャメルバッグの中にはアミノ酸飲料を入れ、そういう準備は万端。

事前に痛めてしまっていた手の怪我も、厳しい痛みは引いていたのでなんとかなりそうなメドだけはたっていました。