タップホルダーソケット

いわゆる整備の上級者、だれかに聞くと「あの人はすごいよ」って言われる人がいます。

私も工具の販売してますから過去にたくさんのプロメカさんと会ってきました。

その中でも数人ですかね「この人はすごいわ」って思わせてくれるプロメカさんがいました。一応誤解されると嫌なので普通のプロメカさんがダメなんてちっとも思ってません、職業メカニックとして仕事をまっとうされている人を個人的にも尊敬してますからね。

でもでも、そういった中でもやっぱ飛び抜けてすごいと思わせてくれる人がいたんですね。

で、そういう周囲の人間(プロメカ含む)にすごいと言われる人の共通点はやはり「仕事が綺麗」な事でした。

 

例えば分かりやすいとこだとまず、ガレージが綺麗。

整理整頓は当たり前なのですが油脂類だって使っているハズなのにオイル染みとかも床に無いんですね。これは汚さないように仕事しているってのとはちょっと違って、汚れる事を予想して事前に養生しながら動ける事がすごいんだと思います。

そして整備の基本となるネジの扱いが優しいんですよね。目の前の作業だけでなく数年後の整備まで見据えての作業をしている印象を受けます。

機械を出来るだけ正常な状態で組み付けてあげるという当たり前の事をきっちりやっている感じです。

 

で、そういったすご系の人の真似を少しでもやろうと思うと簡単に出来るのがネジ脱着時のネジ山修正です。

少し崩れた、または熱でかじりかけたようなネジを一手間かけてシュシュっと修正してあげるんですね。

そんな時に便利なのがタップを3/8工具とかで使う事が出来うようにする専用ソケットの存在。

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・Ko-ken 3/8タップホルダーソケット

アジャスト式で3/8差し込みのタップホルダーです。

2モデルありますが差し込めるタップ(根本の大きさ)違いで使い分けします。

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実際にタップを差し込んでみるとこんな感じ。アジャスト式ですが締め込む事できっちりとタップをホールドする事が出来ます。

 

そして同メーカーでもうひとつ。

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・Ko-ken 3/8タップホルダーソケットセット

こちらはソケット1個ずつで受け持ちサイズが決まっているのでタップサイズ分のソケットを揃える必要がありますが、その分単機能なのでシンプルでコンパクトなのが特徴です。

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M12のタップもこれくらいコンパクトに収まりますので、奥まった箇所のタップ作業にはかなり重宝すると思います。

ハンドツールとしてはメインストリームでは無いと思いますが、プラスアルファで持っているとかなり便利に使える工具だと思いますよ。

内抜ベアリングプーラー

整備に関係する各種専用工具いわゆるSST。

作業内容とか必要度合いとか、いろいろありすぎて一言でSSTと言っても絶対に無いとダメって工具はそんなになかったりします。

しかし、やっぱね専用工具と言うくらいなので他の工具の代用が全く効かない物があるのも事実。

そんな代用の効かない工具の代表格と言えばやはりプーラーじゃ無いでしょうか。

またプーラーと言ってもいろんなプーラーがありまして、普通の2つ爪や3つ爪の汎用がそこそこ効くプーラーからアーマチュアプーラーのような応用の利かないプーラーもあります。

今回はそんな応用も代用も効かない代表工具の内抜きベアリングプーラーのお話。

内抜き

というのはベアリングが穴にハマっている状態での引き抜き時の事でして、この場合ベアリングの中央の穴になにかしらの工具を引っ掛けて抜く事になります。

あまり工具に詳しく無い人だと2つ爪のプーラーを逆にすれば抜けそう・・・とか思うのですが、それじゃあ抜けないんですね。

工具のメーカーからも2つ爪タイプの内抜き用のプーラーが出てたりしますが、はっきり言ってお勧めしてません。

で、お勧めと言うとこのタイプ。

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・スーパーツール インナーベアリングプーラーセット

このコッター形状の物を差し込んで使うタイプがお勧め。ってか結構強力にハマっているベアリングが多いので、この形状の物じゃないと抜けないってのがホントのところですね。

あとベアリングの奥側に隙間があまり無い場合が多くて、このコッタータイプでギリギリですから2つ爪の厚みがある爪ではベアリングに掛からない事も多いです。

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需要がものすごく多い工具ってわけではありませんが、やはりそこそこの頻度で問い合わせが来る工具でもあります。

その時に2つ爪タイプの相談も良く受けるのですが、上記のような理由と私の経験でこちらのタイプをお勧めさせて頂いてます。

ちょっと価格的には高い工具ですが、ひとセット持ってしまえば大抵のインナーベアリングに対応出来ますので安心して作業出来ますよ。

PBスタッピドライバー

少し前にPBの会議があったんです。いわゆる販売協力店が集まってPBの本国の社長とディスカッションしたんですね。

そのときに「何か要望とかありませんかー?」という場がありまして、普段から思っている事を数件要望として出しました。

で、そのときに私が言ったひとつの工具がついに販売となりました。

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・PB スイスグリップスタッピドライバー

いやこれほんとに嬉しいですね。別に私が提案したモノが出来上がったので嬉しいんじゃなくて、ついにPBでドライバーの全ラインナップを揃える事が出来るようになったのが嬉しいです。

ご存知のようにPBのドライバーシリーズではひとつ前のマルチクラフトグリップから、こういうカタチのスタッピドライバーが無くなっておりました。なのでPBを気に入って購入してくれるユーザーさんに「あとスタッピも頂戴」って言われても販売するモノがなかったんですね。

せっかく気に入ってフルで揃えようとしても揃えられないってのは販売する側からしてもツラかったです。

しかも今作は軸長とかもかなり考えて作られていて、以前あったスタッピよりも出来が良いです。

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握り具合はもちろん使い勝手もかなり良好ですので、すでに持っているって人もまだこれからって人もおすすめの新製品だと思います。

※現在新製品記念のセールも同時開催してます。(詳しくはHPのTOPを見てください。)

先週末から販売開始しましたが、すでに売り切れが出始めております。欲しい方はお急ぎくださいませ!

引っ張り叩く?

通常のね、いわゆる普通のメンテナンスなんかではそんなに思わないんだけど、たまに変な修理とかイレギュラーな整備すると「あぁ、こういう工具があればいいのに」と工具に囲まれた生活してても思う事ってあります。

これだけ工具の種類が多くよほどのSST(専用工具)が必要とかって場面でも無い限り、これだけ工具が出尽くした感のある現在そんな事無さそうなんですけどね。やっぱあるんですわ。

 

で、そんな「あぁぁ・・」って個人的に思う場面でまっさきに思いつくのがプーラーとかの引っ張り系工具。

「押しこむ」のはね大体ハンマーでもあればなんとかなるんですが「引っ張る」のはプーラーの種類とか大きさとかね、いろんな制約もあって大雑把に汎用で使えるモノって少ないんですよね。

更に言えばプーラーみたいに引っ張るための取っ掛かりが必要な場合、その取っ掛かり自体が無い時は作業が出来ないって事も少なくないです。

 

そんなときに簡単に使えるスライディングハンマーみたいなのってないかなぁ・・・と。

結構思うんです。

いやスライディングハンマーだって山ほど種類はあるんですけど、アタッチメントが結構限定的で汎用に使えたりするモノで手軽に入手ってのが難しかったのです。

 

そこで今日紹介する私の琴線に触れた工具がこれ。

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・ロッキングスライドハンマー

これです、これ。私の理想に限りなく近い工具ですね。

こういう小さめのスラハンって主にプーラーとセットで使う前提で作られたモノが多く、また専用品ゆえの価格の高さもネックでした。

しかしこれならロッキングプライヤーでガチっと噛んであげてカコンカコンと引っ張る事が出来るので、場所も相手も選ばずに使うことが出来ます。

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大きさもインナーベアリングプーラーのオプション品くらいなコンパクトさで使い勝手もかなり良いですね。

この工具って欲しかったって人にはビタハマリな工具だと思います。

今まで思いつかなかったような工具の使い方もできると思いますので、気になった方は是非どうぞ。

トルクレンチ購入の手引き

工具専門店として仕事をしていると、日々さまざまな質問や問い合わせが寄せられます。

その中でももっとも多いのがトルクレンチ系の問い合わせ。

いろんな内容はあるのですが、簡単に言うと「どれを買ったら良いのか分からない」って感じですかね。

単純に「どのメーカーのものを買えば良いのか分からない」と言うならそれほど難しくは無いのですが、もっと根本的な「何が分からないのかが、良く分からない」について今回は少し補足。

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トルクレンチにも種類がありますが、今回は代表的なプリセット型トルクレンチで説明。

トルクのレンジ違いで4本の設定があります。

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・5-25Nm 差込み1/4
・10-50Nm 差込み3/8
・10-100Nm 差込み3/8
・20-200Nm 差込み1/2

整備向けでは代表的な4本でして、自動車やバイクの認証工場では指定工具にもなっているレンジの物です。予算に余裕があるなら3本くらいをまとめ買いしちゃうのが一番良いのですが、なかなかそうもいかない人が多いと思います。

で、この4本の中で悩む事になると思いますが、まず一番大きな20-200Nmは「ほぼホイールナット専用」になるのでハズしてしまいましょう。逆言えば購入目的が自動車のホイールナット締め込みかバイクのアクスルナット締め込み目的ならば、この一番大きいヤツを買えばOKです。

そしてもっとも悩むのが小さいトルクレンチと真ん中のトルクレンチ。

決まった目的があれば使用レンジで決めてしまえば良いのですが、そうじゃなくて今回とりあえず1本買いたい!とかなら悩みますよね。

で、個人的には真ん中サイズの10-100Nmがベターだと思います(ベストじゃなくてベターね)

それと言うのもトルクレンチを使ったトルク管理では、もっとも手の感覚と違ってしまうのが「30~60Nm」付近だと思っているからです。

実際の作業では主に14ミリとか17ミリのボルトナットの締め込みになります。

14ミリあたりのボルトナットでまぁまぁシビアにトルク管理したい箇所っていくつかあるんですよね。

例えば指定トルクが40Nmだとします。これ個人的な感覚ですがスタンダードなレンチを使って腰を使うくらい目一杯締め付けて50~70Nmくらい締められます。

しかし今回の指定は40Nmなわけですから、微調整とか難しいんですよね。こんな時にトルクレンチあるとホントに重宝するんですよ。実際トルクレンチを使って締めてみると「おお、このくらいでいいのか」と思うと思います。

そんなわけで相手の素材や締め付け箇所によって指定トルクが結構変わる事が多いこのへんのレンジをまず最初の1本に選ぶのがいいかなぁ・・なんて思ってます。

ちなみに一番大きいトルクレンチもレンジ幅的にはカバーしてるじゃないか?と思う人もいると思いますが、1/2差込で大きめなトルクレンチはこういう作業に向いてないんですよ。なので真ん中サイズがベターだと思いますよ。

 

まぁ工具屋さん的には全部買って欲しいんですが(笑)