ガソリンタンクの錆取り

中古車市場が活発なオートバイ。

実際お父さんのお小遣いで購入出来る範囲の価格帯の出物も結構ありますよね。
でも安い中古車にはそれなりの理由もある訳でして細かな整備は必須な訳です。
購入出来たバイクが不動車じゃ無かったとしてもキャブやブレーキ、タイヤ等々、少し面倒見てあげたいですよね。
結構長期間放置されていた場合も多く、そんな時心配なのがガソリンの腐敗。エンジンがなかなかかからないのでどうしたもんかと思っていたら・・ガソリンが腐っているだけだったとか良くある話です。

で、そんな状況のガソリンタンクがなんでもない訳ありません。

 そう、錆です。

長期間放置されまして塗装もされていないタンクの内側には錆が出てしまいます。ひどい錆になるとせっかくキャブをオーバーホールしてあげても、錆がつまったりして不具合の原因になったりします。

今回はそんな気になるガソリンタンクの錆とりにチャレンジ。

●ガソリンタンク整備虎の巻その1
ひどい錆が発生している場合、他の箇所も怪しい場合が多い。フューエルコック・フューエルフィルター等、確認してみよう。良く分からない場合は交換を前提で進めてみるのもイイカモ。

●ガソリンタンク整備虎の巻その2
腐敗したガソリンや処理剤はキチンと廃棄しよう。テキトーにその辺に捨ててはまずい物は分かると思います。やばそうな物は作業に取りかかる前に処理の仕方を考えておこう。

●ガソリンタンク整備虎の巻その3
ガソリンを扱う亊になるかも知れないのでガソリンを入れておける物を準備しておこう。揮発性のあるガソリンはテキトーな保管はキケン、携行缶等を用意しておこう。

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今回は錆除去剤であるケミカルを使用。

>>使用ケミカル「ピカタンZ」のページはこちら

ワコーズのピカタンZです。1液性で錆とりから防錆までをコイツ1本で行います。内容量は2リッターですがお湯にて10倍希釈が可能ですので20リッタータンクくらいまでなら対応出来ます。

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今回、錆を取る実践車両はVT250スパーダ。3年程放置されていた車両でお決まりのようにガソリンが腐っておりました。

とりあえずタンクを外しフューエルコックを確認するとやっぱりダメ。とりあえず部品を手配しました。

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中を確認してみるとやはり・・錆。目視で確認出来る範囲は中程度の錆ですが奥の方を指でなぞってみるとかなりでかい錆のカタマリもありました。

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まずはフューエルコックやキャップを全て外していきます。今回使用するピカタンZはゴムやシール類を侵したりしませんが、いろいろと前処理もしますのでやはり何も付いていない状態が望ましいですね。

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ガソリンを全て抜いたらまずは中性洗剤等でタンクの中を洗いましょう。

今回はピカタンZがどれくらいの洗浄能力があるのか見せたかったのであえて物理的にこすったりしませんが、この作業の時に大きな錆はブラシでこすったりして取りやすくしておいてもOKです。

出来るだけ綺麗に洗ってあげて油分を残さないのがコツです。

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お湯を入れてなんどもすすぎます。水しか出てこなくなったらOK。

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まだ中に細かな浮いた錆があったりしますので取れる分はこの時にエアーで吹いたりして飛ばしちゃいましょう。エアーが無い場合はブラシ等で逆さまにしたりしながら少し取れるだけ取ってしまいましょう。

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さて、いよいよ錆除去剤を入れますが・・。その前に単体になったガソリンタンクは結構不安定ですので写真のように段ボール等をうまく使い倒れない工夫をしておきましょう。

タンクが空のうちは良いのですが、除去剤を満タンまで入れますので結構な重さになります。ちゃんと倒れないようにしておいた方が良いですよ。

そしてタンク底面にきっちりフタをしましょう。今回は自転車のチューブがありましたのでそれをフューエルコックの張り付く面よりも大きくカットしボルトでコックを留めてチューブのゴムでふさぎました。結構な時間を満タンの状態で過ごしますのであまり簡易でフタをしないでキッチリやっておきましょう。

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今回は下のほうにひどい錆がありましたのでまずはピカタンZの本液をそのまま流し込みます。

流し込む際に他に飛び散ったら嫌なので漏斗を使いたいのですが・・・近くに見当たりませんでした・・・仕方ないので必殺技の広告クルクルを出してしまいましょう。新聞の折り込みに入ってくる少し硬くてツルツルしているような紙ならなんでも大丈夫です。写真のように円すい状にクルクルっと巻きこんな感じですればOK。短時間の使用なら全然問題ありません。ちなみにこの技はオイルとかにも使えます。緊急時にお役立てください。

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原液のままドボドボと注ぎます。今回のVT250のタンクは11リッタータンクですので10倍希釈を目標とすると1リッター使用が望ましい量ですね。

ひどい錆の場合は希釈濃度をあげてみてください。

1リッター注いだら少し振ってあげて液体をまんべんなくタンク無いに付くようにします。

・・・・。で、小一時間そのまま放置。

これをやっておくとひどい錆でもかなり綺麗に落ちます。それほど錆がひどく無い場合はこの作業をはしょっても大丈夫です。

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次にポットで沸かしたお湯を注いでいきます。

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ピカタンZは化学反応で錆を処理するケミカル剤です。

その化学反応を促進する為に60~80度のお湯で希釈していきます。この時注意したいのが熱湯を入れることによりタンク自体がひずむ亊があると言う亊です。特にへこんだりしているタンクの場合熱湯を入れた拍子に亀裂が走ったりする場合もあるそうですので「このタンクはやばいかな?」とか思ったら少し温度を下げて行った方が良いと思います。

あくまでも理想の促進温度が60~80度と言うだけの話ですので。

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口切りイッパイまで注ぎます。少しゆすってエアを抜いてあげると以外とまだまだ入ったりしますので試してみて下さい。

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上蓋は倒さない限りこぼれませんので簡易でふさぎます。

あとは・・・待つだけ。じっと待つだけ。

錆の状況により時間は変わって来ますが大体12~24時間で仕上がります。今回はブラシでこすったり等なにも物理的に処理しませんでしたので余裕を持って24時間待ちました。

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24時間経過。

液を抜き取っていきます。取れた錆の成分は下の方に沈殿してますので少し抜いてあげてから振ってみてください。

一気に汚い液が出てくるようになると思います。全部で11リッターある訳ですから普通のバケツでは足りません。何個か用意しておいた方が良いでしょう。

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下の方に沈殿していたかなり汚い液。処理剤は綺麗な赤色をしていますが・・かなり茶色いですね。どれくらい錆が取れたのか期待が膨らむ瞬間です。

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ジャジャーン。嘘みたいに綺麗に錆が取れました。奥の方も触ってみると完璧に取れてます。

後はこのまま完全に乾燥させたら終了です。

ここで注意点なのですがピカタンZには処理後の防錆効果もあります。・・・・が、やはりこのまま放っておくとまた錆びてしまいます。

んじゃどうすればいいのか、簡単簡単ガソリンを満タンにしてれば大丈夫です。一番良いのはそのままバイクに装着して使用しているのが一番錆びません。

レストア中でどうしても、もうしばらくこのまま放置しないといけない状況の方はタンク内側に防錆剤等(ラスペネ)を吹きつけておきましょう。

どうでしたか?結構大掛かりな亊をやっているように見えるカモ知れませんが実際やった亊と言えば・・洗って注いで捨てただけです。拍子抜けするほど簡単でした。

気になっている方は是非一度自分でもチャレンジしてみてください。