私の友人で車をジャッキアップしてミッションオイルのオイル交換をしていたところなにかの拍子で車がウマから落ちてそのまま下敷きになり肋骨を折った人がいます。
今では笑い話ですがヘタすれば命に関わる事故だったのも事実。工具にたずさわるようになり20年以上経ちましたがこういった下敷きになる事故を年に1~2回は聞きます。
何をやるにもかなりの頻度で行う作業だけに慣れとか慢心とかちょっとした気の緩みが事故に繋がると言う亊は必ず覚えておいてください。
さていきなり怖がらせるような亊を書きましたがやっぱり4輪ジャッキアップが出来ないと下回りの作業のほとんどが出来ません。立派なガレージがあり潤沢な資金のある方は2柱リフトを購入すれば問題無いと思いますが・・・オイル交換・ブレーキ作業・足回り作業・マフラー交換等々・・・とにかく4輪をジャッキアップ!
エイビットでもジャッキの販売は好調です。
特に今まではプロ御用達だった本格派の低床ジャッキ等が比較的安価になってきましたのでその辺の問い合わせが多いです。
そういった問い合わせの中でジャッキアップ方法自体が分からないと言う問い合わせも非常に多いのです。昔の車ならいざ知らず、現代の車はジャッキアップが難しいのです。
まして初心者の方は自分の車を傷付けてしまわないかと二の足を踏んでしまう状況です。またジャッキの購入時期も問題で初心者さんがジャッキの購入を決断する作業でもっとも多いのがオイル交換とタイヤ交換です。
タイヤ交換は最悪1本ずつ上げても出来るのでまだ良いのですがオイル交換はそうもいきません。オイル交換なんかはメンテナンス入門の第一歩だったりするケースも多くなんの前知識も無い状況で一揃え揃えて失敗してしまっている方も多いのです。
とにかくジャッキアップをするうえでまずどんな物必要なのかどんな亊に注意すれば良いのか、下記にざっとまとめてその後実践に移ります。
●ジャッキアップ虎の巻その1
平坦な下の硬い路面を確保しよう。よくあるのが少し傾斜がある所でやってジャッキアップした途端に車が動きだすってヤツ。慣れている人なら冷静にジャッキを一回下ろして止めたり出来ますが慣れてないともうパニックです。あとオートバイのスタンドと同じ要領で下が柔らかいとウマに乗せた途端に傾いたりします。本当に当たり前の話なのですが普通にタイヤが接地している時とはまったく違う圧力がウマの少ない足に集中しますのでとにかくやる場所の確保が先決です。
●ジャッキアップ虎の巻その2
上でもふれている通り現代の車はジャッキアップが難しい。車種ごとに全て紹介出来ないので下記の実践はあくまでも参考程度に考えて欲しいです。特に慣れていない方はジャッキさえ購入すれば出来ると思っている傾向が強いのだけど実際はジャッキアップするためには2本のジャッキを駆使したり下にも紹介するけどスロープに乗せたりと各自の工夫がとにかく大事。車種特有のジャッキアップ方法を自分で模索したり情報をなるべく集めてみよう。
●ジャッキアップ虎の巻その3
上のその2に通じる物があるのだが「絶対にソコにかけちゃダメ!」って場所もかなり存在する。特に良く耳にするのがエンジンのオイルパンにジャッキをかけてしまう亊。これ絶対にダメです。!
オイルパンってのはエンジンの1番最下層にあるオイル交換のボルトが刺さっている所。ここは強度も無く歪ませたりヒビを入らせたりするとエンジンのダメージ大!エンジンを下ろしての修理になっちゃう亊もあるので気を付けよう。他にもいくつかあるから自分でチェックしてみよう。
●ジャッキアップ虎の巻その4
ジャッキとウマの高さをきちんと把握して購入しよう。よくホームセンター等で売っている1980円とかのジャッキ。あれ安くて良いよね。でもあのシリーズだとまともなウマには乗せられるまで上げることが不可能。お助けジャッキとしては使えるから持っていて損では無いけど4輪のジャッキアップをするには少しチカラ不足。自分の購入しようとしているジャッキとウマの高さの関係をキチンと把握してから購入しよう。自分で調べるのが面倒だったら遠慮なく聞いてください。
さてさて秘密のガレージにやってまいりました。今回使用するジャッキはナガサキの低床ジャッキと、国産安心のリジットラック。
低床ジャッキを使うも前からジャッキを差し込む亊が不可能だったのでお助けスロープ登場。
本当に5cmも上がれば入るようになるのでこれは木っ端とかなんでも大丈夫。片輪だけ上げても入るようになれば問題無いので各自工夫してみよう。またスロープを使う場合はそれなりの前後に移動出来るガレージが必要となるのでそういった余裕の無い人は・・・・↓
こうやって片輪だけをパンタジャッキ(純正車載でも可)で持ち上げたり上記で出てきたホームセンターの1980円ジャッキで代用してもOK。とにかくメインのジャッキを入れるすきまを作って上げれば良いのだ。
あ、そうそう言い忘れたけど4輪ジャッキアップの場合は前から上げていった方が楽。大抵最低地上高のもっとも低い部分がフロントになる車が多いので低いところから上げるのが基本。逆になるとどうやっても4輪上げる亊が出来ない場合が多い。
で、ジャッキアップポイントを探す。この車はFRなのでフロントメンバーがエンジンを包むようにある。メンバーってのは車のサブの骨格みたいな所の亊。メンバーは硬いのでそこにかけるようにしよう。FFの場合はリップスポイラーのすぐ下あたりにある場合が多い。これも車種によって違うので良く調べてみよう。
このロードスターだとこんな感じ。メンバーのすぐ後ろに「絶対にかけちゃダメ!」ってヤツの代表のアルミ製のオイルパンがある、ちょっとしたかけ違いでそこに当たる亊もあるので注意が必要。
ウマはサイド部分にあるジャッキアップポイントにかける。また作業内容によっては足のロアアームとかにかけてもOK。サイドのジャッキアップポイントはグローブボックスの中の取り扱い説明書に大抵は記載があるのでそれを参考に。
今度は後ろをあげるんだけど・・・・なんか変な所から突っ込んでますね。
めでたく4輪ジャッキアップ成功。そしたらジャッキを抜いてその部分には外したタイヤでも置いておこう(ごめん、写真撮るの忘れた)潜っての作業の場合ヘタしたらものすごい力で緩めなくちゃいけないボルトがあると車体を大きく揺らす亊になる場合もある。そんな時最後の砦がタイヤになってくれる。まぁ保険的な意味合い。
ちなみにウマに乗せるときまた作業終了後ウマから下ろす時。ジャッキを下ろす訳だけどとにかく「そぉ~っと」下ろそう!「バタン!」とか「ガシャン!」とか下ろしちゃいけません。怖いから(笑)とにかく慎重に。
あとはさっきと全く逆の手順で下ろすだけ。出来るだけ上げるときの手順の逆をやっていこう。少しでも違うことやろうとすると下ろせなくなったりするからね。
最後に車を裏側から撮影したものを載せておきます。
これは撮影の為に2柱リフトに乗せてます。右側がフロント 左がリアね。
メンバーとオイルパンの位置関係も良くわかると思います。あとはさっきも言った通り各自自分の車に合った方法を模索しつつがんばってもらいたいと思う。
この4輪ジャッキアップってのは慣れている人でも結構面倒な作業。
慣れていない人にはかなり大変だとは思うけどこれが簡単に出来るようになると各種の作業の意欲が格段に変わってくるのも事実。なにか一つの作業をやろうとしても「ああ・・ジャッキアップ面倒だなぁ」って思わなくなるだけでかなり進歩があると思う。また4輪のジャッキアップは自分の車の現状を知るには絶好の機会でもあるんだ。わずかなオイル染みや気になってた小さな異音の原因追及などトラブルの初期防止にもかなり役に立つ!絶対にその車にあった楽な方法があるはずだからがんばっていろいろやってみましょうー。