樹脂パーツの補修

昔と比べると現代の車やバイクの修理にひとつ加わった新しい修理があります、それが樹脂系パーツの補修。

本当なら新品を取り寄せて交換しちゃえば楽だし綺麗なんだけど、アッセンブリーがかなり大げさな物だったり新品に取り換える程の物では無かったり、新品の部品の入手が難しい廃盤商品だったりと・・様々な理由で補修を試みる機会も増えていると思います。

整備とは主に金属相手のものですので樹脂系パーツの補修となるとイマイチ良い方法が浮かばないのも事実。いろんな接着剤を試したりもしますが、自動車に多く使われているPP樹脂(曲げても折れないでグニャーっと曲るヤツね)なんかは一度破損すると接着が難しく結構手ごわい相手です。

今回はそんな樹脂系パーツ全般の補修に最適なプラリペアの使用方法を書きつつパーツの補修の実践を行ってみたいと思います。そんなに難しい事は無いんですが、どうやって使うのかを説明するのがちょっと難しい物ですので1ページをさいて説明していきます。

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これがプラリペア。
黒や白と言ったベース色が色々あるんですが、使いやすいのはクリアーですのでクリアーを主に販売しております。

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中身はこんな感じ。左から・・硬化剤の役目を果たすリキッド、次の白いビンが本剤とでも言いましょうか粉末状のプラスチックの素。上にある透明な板状の物が「型取りくん」と呼ばれる物(後で説明します)

その他ごちゃごちゃと細かい物が入っていますが順を追って説明していきますので用法は分かると思います。


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何か補修実践出来る物は無いかと探していたら・・・いらなくなったドリンクホルダーがありましたのでコイツでやってみたいと思います。このドリンクホルダーもPP樹脂で出来ているのでちょうどいいですね。

クリアーバージョンを使うと補修箇所が分かりにくいと思いましたので今回は黒を使って実践していきます。(使い方は全く同じです)

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ドリンクホルダーの抑えの部分を取り外して真ん中からニッパで切断。見事に真っ二つです。

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まず最初にやらなければいけないのが切断面のヤスリがけ。接着面を整えるのと「アタリ」を付けるのも目的なんですが・・・一番の目的は・・↓

pra_rip_zu1※赤い所がやすりで落とす部分。

こんな感じに接合面を斜めにするのが目的です。

なんでこんな事をするのかと言うと接着する際に接着の面積を少しでも稼ぐ為です。「点当たり」から「面当たり」にしていく感じですね。実際このようにしてあげると接着後の強度が大きく変わってきますし、作業自体もかなりやりやすくなります。大事な下処理ですので手を抜かないでやってください。

ヤスリがけが終わったらセロハンテープ等で分裂してしまっている2つのパーツを仮留めしておきましょう。手で押さえながら作業とか・・絶対に無理ですからね、きっちりと固定します。


 

それでは接着

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ここから接着に入ります。準備をするのは上記の物。

小さなカップが付いていますので、その中に本剤である粉末を適量入れます。(フタもあるのでそのまま保存が可能ですから少し多めに入れて下さい)

そして空のミニボトルがありますので、その中に液体の硬化剤を満タンに近い分量入れます。(スポイトが付属してますのでそれを使用)満タンになったら付属品の針を先端にセットして準備完了。

※ミニボトルを満タンにすると硬化剤の押しだし時の量調整がしやすくなります。少ない量しか入れないとやりずらい事がありますので出来るだけ多めに入れて作業しましょう。

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実際の接着の作業はこのミニボトルで行っていきます。粉をいれたカップにミニボトルで硬化剤をポタポタと垂らしていきます。

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こんな感じですね。2-3滴でOKですがやりながらコツはすぐに分かると思うので心配しないでいろいろ試してみましょう。

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ポタポタと垂らした部分がドロっとしますので、そこにすかさず針をブスッと刺します。

ちょうどドロダンゴくらいの硬さになっていると思いますので、それを接着面に持っていきます。

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セロハンテープで固定してあるブツの接着箇所になすりつけるようにプラリペアを施工していきます。作業の大半はこのミニボトルと針のセットで行っていきます。

先程針でブスっと刺して持ってきた本剤はドロダンゴくらいの硬さなので細かなすき間に入れ込んでいくのは結構難しいのですが、そんな時はミニボトルを押して硬化剤を出してあげましょう。

そうする事によってかなり液体っぽくなりますので、すき間に流し込む感じです。硬化剤は揮発性がとても高く多めに使ってしまってもすぐに揮発して無くなっていきますから、心配しないで成形やすき間の充填のほうを気にしつつ施工していきましょう。

ちなみに成形は針でコネコネしながら行います。この針はちょっと特殊でして穴が針の途中に開いております。ですので先端で成形しながら硬化剤を足しつつ作業可能な訳ですね。

この時、少し盛り上げるくらい本剤を塗っておいてOKです。

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イメージとしてはこんな感じ↑

ここまで出来たら後は固まるのを待つだけ。

常温で約5分間で硬化しますのでちょうどたばこを1服ってな感じです。

あくまでも実際に使用してみての感想ですが確かに硬化は5分ほどでOKでした。しかし本硬化っていいますか・・・十分な強度が出るのはもうちょっと時間がかかると思います。体感で1時間くらいかなぁ。

5分ほど待って硬化がOKならば部品によると思いますが、念のため裏面の補修もやっておきましょう。

このプラリペア、硬化するとプラスチックくらいの強度となります。ですのでPP樹脂のように曲げても破損しないでグニャーってなる性質の物とちょっと違うと思うのです。

何かの応力の集中で再度破損しやすいのはやはりこの箇所になってしまうと思いますから強度を補う意味でも少し大げさ気味に補修しておいた方がベストかと思います。(あくまでも私感です)

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固まったら後は表面を綺麗に整えます。プラリペアの利点はこのように硬化後に再成形が可能な所です。

もちろん接着後に見た目は全く気にならないって場所の部品ならばそのままでもOKですよ。

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最後に組み立てる為に大きく広げつつ組みましたが強度はまったく問題ナシ。使っていないにしろ・・・二度と使えなくなるのは寂しかったので直ってよかったです。

ってな訳で撮影しつつ普通にやるよりかなり時間をかけて行いましたがそれでも20分くらいで出来ました。

普通にやれば10分で出来るんじゃないかな?FRP補修等にも使える万能な接着剤ですので、何か心当たりのある人はチャレンジしてみる価値はあると思いますよ。


 

○型取りくん実践

上記のような補修だけなら用途の合った接着剤でも出来そうなんですが破損部品の復元となるとなかなか難しいものです。

特に折れてかけらが無くなってしまった箇所なんかはお手上げですもんね。そんな時、この型取りくんが活躍します。こいつは一体何なんだ?ってわけでして・・・

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こんな感じの板状で梱包されてきます。こいつは熱湯につけてあげると・・・↓

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コップにポットのお湯を注ぎその中に型取りくんを入れます。カップ麺と同じくらいの時間を待つと・・・

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ガムみたいな感じになりますので、後は型を取りたい箇所に押し当てて凹型を取ります。

数分でゴムくらいの硬さに戻りますので、後はその凹型の中に上記のプラリペアを充填していけばOK。ゴムくらいの硬さなのでプラリペアが固まったら剥がす感じで取れば終了ってな感じです。

これはいろんな使い方が出来ますのでみなさんも試してみてください。もちろんもう一度お湯に入れれば再使用可能。何度でも使うことが出来ます。

更に詳しい使い方や応用編は本体に付属してきますのでそちらもご覧ください。