オイル交換と並んで車の整備でどうしても外せないのがホイルの脱着作業。
タイヤ交換はもちろんのこと足廻りやブレーキ廻りの作業でも必ず通る作業です。
もちろんその作業にはジャッキアップもともなうわけですが今回は割愛させて頂きましてホイル交換に重点を置いて紹介させて頂きます。
例えば一つの作業があるとしてその手順ややり方、そして使う工具と言うのは人それぞれ少しずつ違った物があります。
もちろん正解などは無くその人に合ったやり方をしていれば良いとも思うのですが他のやり方をただ知らないだけって場合もあるわけです。
今回メインで紹介する方法は私個人が様々な工具ややり方を見てきた中で一番合理的、つまり楽に確実に出来る方法を紹介していきます。
先程も言いましたが作業手順自体は様々な方法があるために余計にやったことの無い初心者の方には鬼門になっている場合が多く、それについての問い合わせもかなり多いのです。
意外と初歩的すぎて人に聞くのが恥ずかしいと思っている方もいまして今回ここにざっと手順と注意点を挙げてみたいと思います。
シチュエーションとしましてはごく普通のサンデーメカさんがごく普通に庭先でやることを想定しております。リフトがあったりエアー環境があると言う方は今回無視の方向で・・・。
私自身スポーツ走行が大好きでして正式なレースとかではありませんがサーキットでの走行会などには頻繁に出かけます。出かける前にスポーツ走行用のタイヤに履き替えてサーキットでは足のセッティングやブレーキの管理など、で帰ってきたら普段履きのタイヤに履き替え。と、一日で3~4回はホイールの脱着をするわけなんです。
さすがに一日に何度も脱着作業をしていると疲れますよね。
と、言うわけで私の交換手順はだんだんと洗練されていきまして・・・現在の方法に至っているわけです。
さて早速私の車で実践してみましょう。
担当は女性スタッフにやってもらい誰でも簡単に楽に出来ると言うことを証明しつつ進めてみます。
マツダのロードスター。
小型のFR車でしてこれが4駆になったりすると多少の違いはありますがほぼ同作業で出来ると思います。
今回使う工具はコレ。左からトルクレンチ・ko-kenホイール用ソケット・スピンナハンドル・油圧パンタジャッキ。
パンタジャッキは油圧じゃ無くても大丈夫です。純正車載でも問題無く出来ますので御安心を。
まずはスピンナハンドルにホイール専用ソケットを取り付けてホイールナットを緩めます。え?なんでいきなり緩めちゃうのかって?それは・・・
ジャッキアップしちゃうとタイヤが空転してナットが緩まなくなるからです。
ですので必ずジャッキアップ前に少しだけ緩めましょう。この時注意するのは「少しだけ緩める」と言うこと。ナットを全部外す勢いで緩めちゃうとかなーり危険が危ないです(笑)分かりますよね?ナットが緩んで半回転くらいでOKです。
ちなみに店頭で良く聞かれるのが「十字レンチじゃだめなんですか?」って質問。うんうん、もう定番中の定番ですよね>十字レンチ。 でも私は使わないんです。それはなぜか?
「緩めるのが大変だから」
いや、ちょっと違うな・・・もっと正確に言うと・・・「スピンナハンドルでやったほうが何倍も楽だから」ですね。もうこれはテコの原理そのままのお話。長い工具を使った方が楽なんです。
で、このあと紹介していきますが十字レンチの最大のメリットは「早回し」って所なんですが実際の作業でそのアドバンテージはそれほどないんですね。十字レンチを使った場合4本緩めるのに30秒だったとして使わずにコノ方法でやったとしても40秒くらいです。くわえたばこしながらのんびりやりたい私にとって「早さ」よりも「ラクチンさ」が重要な訳です。
また車載状況にもメリットがあります。スピンナハンドルなら工具箱の中に入るんですよ。これが以外とデカイ。
事実、非力な女性スタッフでも簡単に緩ませる亊が出来ました。
で、お次はジャッキアップ。
乗用車には必ず「ジャッキアップポイント」ってのがあります。これは各車種ごとにちょっとずつ違うのですが大抵グローブBOX内にある車の取り扱い説明書に記載されていおります。こればっかりは各自で調べてください。
なお、この時。通常のフロアジャッキを使用する場合はちょっとジャッキをかける所が変わってきます。ジャッキアップはまた他の機会に紹介したいと思います。
ホイル交換の作業の場合タイヤが少し浮くくらいでジャッキアップはOKです。あまり上げすぎると脱着の際にホイル&タイヤの重みをモロに受けますのでギリくらいで良いです。ただこれも難しくてあまりギリすぎると着ける時に大変なので何度かやってみてダメならそのつど調整してみてください。
で、私の場合ここでおもむろにスピンナハンドルからソケットを外します。すでに緩んでいるナットですから人間の手の力で緩むのです。でもナットを指で摘むのは大変なのでソケットでクルクルとしてあげるわけです。
クルクルーっと。
この時、タイヤを回しながら緩ませたいナットが常に上部になるようにやると楽です。何故なのかは・・やってみれば分かると思います(笑)「手で緩ますのって大変じゃない?」って意見もありそうですが実際には5~7山くらのねじ山しかかんでいないのでそんなに大変じゃありません。数秒の出来事です。ちなみに十字レンチはここの作業が楽なんですね。
めでたく外れました。
写真のように持って少し浮かせて後は手前に引くだけ。これで外す作業は終了。非力な女性スタッフでもここまでの通しの作業で5分くらいです。
ここでなにやら登場。
なにかって言うと「焼き付き防止剤」だと思って頂いて結構です。コンパウンドといってもピカールとかメタルコンパウンドとかの研磨剤とは違い潤滑剤に近い物です。
ホイールナットって言うところは意外とブレーキからの放射熱にさらされておりましてかなりの高温になります。ましてそこに砂・砂利・雨にも一番さらされやすい訳ですからホイールのボルトナットはつねに熱により「かじり」やすい状況になっています。で、かじってしまったボルトナットは固着して緩まなくなり、それを無理して緩ませようとするとボルトの破損にも繋がるのです。
そんなときにコイツを・・・
このボルト部分に塗ります。少量でOKです。塗った部分がうっすら色が変わるくらいで問題ナシ。これをやっておくだけで次の作業の時にかなり楽になりますよ。
で、今度は取り付け。
撮影の為にやっておりますので同じタイヤでスミマセン。
今回の作業の最大の難所カモ。
外す時はえいや!って外しちゃうからOKなんですが着けるときは各ホイルナットのホールをボルトに入れなければなりません。もちろんホイル&タイヤは重いのでなかなか狙い通りにいかない・・
コツはいろいろあるのですが私の場合はタイヤの下に足を入れて(足の上にタイヤを乗せるんです)つま先で高さを調整しつつ狙いを定めてブチ込んでます。こればっかりは慣れが必要な作業ですね。
ソケットにナットを入れ手で丁寧に差し込み回します。
この時いきなり力のかかる工具でやってはいけません。ナットが斜めに入っていたら即アウトです。またボルトがおかしくなっていないかこの時に確認しつつ締め込みましょう。
締め込む途中に違和感や重い感じがしたら一度はずしてボルトナットを確認しましょう。
この時、手で締められるだけ締めちゃってOKです。まーそれでも限界があるでしょうから
ある程度締まったら・・・
スピンナハンドルつけて・・こんなんもアリです。
で、それでも厳しくなったらスピンナを折って締めればOK。
ジャッキを下ろして。
あとはトルクレンチで締め込み終了。
今回はKTCのホイールナット専用トルクレンチを使用。これまじで便利ですわ。
ちなみに調整式の物を使っている方は100~110nmでOK。ホイルの種類によって多少違うのですが私は大抵間をとって105って感じです。
何mmのナットを使っていてもしょせんボルト径は同じな訳ですから気にしちゃいけません。
これで無事に作業終了。難しい亊はなーんにもありません。安心してトライしてみましょう。