ヨーロッパのTレンチ

工具の中でも私がTレンチ好きってのは何度か書いた通りなんですが、Tレンチって言ってもいろいろありまして。

ちなみにアメリカや日本はみんなが見慣れたこんなタイプが主流。

これは良く見るやつですよね。実際使い勝手はかなりよく幅広い用途で便利に使えます。

横幅や全長にもいろんな種類があるので、各メーカーのサイズとにらめっこして自分にあった物を選ぶのが正解ですね。

 

で、ちょっと違うTレンチの文化ってのがありまして・・・それがヨーロッパのヤツ。

昔からバイク整備では一部のファンの間で高い人気を誇っていたのですが、近年は情報が入手しやすくなり一般の人からも問い合わせが増えてきております。

名前の通り「Tレンチ」ってよりは「Tハンドル」な印象のこの工具。アルミ素材が多く、あまり大トルクはいらないバイク整備にはかなり適したTレンチです。

しかし日本での知名度が低く、輸入元さんも多く在庫してくれないので流通が不安定だったんですよね。まぁそれが拡販の更なる妨げになっていたのですが。

で、このビーハのTハンドル。価格も安くて造りも良くて・・・で、かなりオススメなTレンチなんです。

確か最初はヨーロッパ帰りのメカニックさんに注文を受けて取り寄せたのが始まりでした。

それをみていた店内のお客さんが「俺も同じの欲しい」と。何度か仕入れて売っていたのですが、入荷に時間掛かったりしてHPに紹介するまではいかなかった工具です。

で、何度か頼んでいるウチにメーカーさんも在庫してくれるようになってきて、今月からは通常在庫に切り替えました。

なんでもヨーロッパのレース会場ではかなりの使用頻度らしく、人気が高い工具のひとつとの事です。

・偶然手に入れたメディアにもちょうど使っている写真が載ってました。

で、自分でも使ってみたのですが・・・いいっすね、これ。かさばらないし気楽に使えるし、トルク管理もしやすいしで言う事ありません。

8ミリとか10ミリとか1本だけ持っていてもかなり便利に使えると思います。

「なんかもうちょっと良い工具ないかなぁ・・・」なんて探しているバイクユーザーにはお勧めのTハンドルだと思いますよ。

ねじの日

一年365日、ほぼ全ての日に「何何の日」ってのが制定されてますが、そっか今日はネジの日らしいです。

11月11日でワンワンワンの犬の日とかそんな当て込みでは無く、昭和24年6月1日に工業標準化法が制定され、いわゆるJISに準拠する事になった日との事。そういう記念日が今日の6月1日との事です。

なるほどねぇ・・・ってそんなに感慨深くないですけどね(笑)

工具店のウチとしてはネジの螺旋部分にはあまり興味は無く、普通の六角ボルトだったりキャップボルトのHEXやTORXとかの話の方が興味あるんですけどね。

今日は知り合いから異形ネジの問い合わせがありまして、それにあう工具が欲しいと。

「カニ目なんだけど」

と言われても「???」、カニ目ってなんぞやって事になりまして・・・・。

 

画像を送ってもらったら、あぁなるほどスネークアイですか。日本じゃほとんど馴染みの無いネジ形態ですが、一応ちゃんと名前もあるし工具も存在するんです。

当店だとPBのビットで入手可能。まぁサイズがあるのでもうちょい詳しく調べないといけませんが、ここまで分かってしまえばなんとかなります。

ここ数年では各国が自分基準で新しいネジを勝手に作っちゃう事が増えてきまして、初見の異形ネジではまだ工具が無い物も結構あるのですが、今回のように一般に知られていないだけで実は昔からあるような場合もありますので、なんだか分からないネジが出てきたら一応お問い合わせくださいマセ。

結構あっけなく解決する場合がありますよ。

タイヤ交換

今週末は関東でも雪が降った場所も多く、スタッドレスタイヤを慌てて出してきた人も多かったと思います。

お店でも「タイヤ交換出来るだけの工具ください」って人が多くて、週末前にはその辺の工具がほぼ完売になるほどでした。(もう再入荷してます)

タイヤ交換ってのはジャッキアップから始まり、トルクレンチで規定トルクまで締めて・・・って作業なので、一連の話をすると長くなってしまいますから、今回はホイールナット脱着に関わる工具だけを抜粋して紹介。

まずソケット。

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ソケットはこのようなホイールナット専用の薄肉ロングの物を自分の車にあったサイズで用意しましょう。

メーカーは好きな方を選べば大丈夫です。

普段整備しなれない人だとこの専用ソケットの購入をしぶる人がいるんですが、ここは専用ソケット買ってしまった方が楽だと思います。しぶる人は「他にも使うかも知れないから普通のソケットで・・・」と言うのですが、実際はここで相談来るくらいの人なら他の作業でこのサイズを使う事はほぼ無いと思いますので、それなら専用品を買ってしまった方が確実な作業が出来ると思います。

そして回す工具のレンチですが、これもなんとなく固定概念あってクロスレンチが人気です。

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・Ko-ken 1/2早回しクロスレンチ

確かにイメージがあって「タイヤ交換=クルクルー」ってのがあるんだと思いますが・・・、実際は普段から作業しなれていない人ほどトルクがキチンと掛かるスピンナーハンドルの方が楽だったりします。いやクロスレンチでも悪く無いんですけどね。

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・Ko-ken 1/2スピンナーハンドル

このシリーズの450ミリモデルを買っておけばかなり便利に使えると思います。またスピンナーハンドルを使うと、最後の締め付けであるトルクレンチ使用時の作業の流れがスムーズなので違和感無く作業出来るメリットもあります。

ジャッキは別としてタイヤ交換までの一連の流れでは、上記のオススメ(例えばソケット1個と450ミリのスピンナー1本)そしてSIGNETあたりの40-200Nmトルクレンチを買っても2万円くらいでバリっと揃います。

工具を買い慣れていない人ほど「セットだとどれがいいのでしょう?」とか聞いてきますが、上記のように適材で単品選択すれば、ちゃんとした工具が適価で入手出来るのです。

違う作業で違う工具が必要になったら、また考えればいいわけですから、都度検討してもらった方が使い勝手の良い工具を揃えていけると思いますよ。

 

 

無反動

気がつけば今年が始まってすでに半月以上経過してますね・・・。春に近づくのは良いけど、油断してると夏になって秋になって・・・一年経っちゃいそうで怖いです、はい。

でもやっぱ早く春になって欲しいですね。

ソワソワしちゃっていてもたってもいられないような季節の春が大好きです。冬だって別に嫌いじゃ無いんですけど、屋外スポーツやるようになってからは「寒さ」はまだ良いんですけど「強風」がキツイ。このふたつが重なるとやる気がドンドン削がれていきます・・。

なので今の時期はとにかく堪え忍んで、暖かい春を思い浮かべつつ過ごそうと思ってます。その反動でよけいに春が楽しいんでしょうね。

そう反動。

反動と言えば無反動。

無反動と言えばPBの無反動ハンマーですよ。ナイロンヘッドハンマーとかも呼ばれたりしますが、個人的にお気に入りの工具のひとつでして、この工具の良さはやはり使ってもらわないと分からないと思います。

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・PB無反動ナイロンヘッドハンマー

使った事無い人だと「少し高機能なプラハン」くらいに思っている人が多いと思いますが、実際に使ってみると「かなり高機能なプラハン」なんだと分かってもらえると思います。

まずは先程書いた「無反動」。これが想像以上に効きます、無反動ハンマーってようは人間の手が痛くないようになってるんでしょ?って人がいますが、それでは半分正解。

実際はカコーン!って打ったチカラが跳ね返ったりせず、ほぼ100%伝わるので今まで大きめのハンマーで苦労していたような作業が、これならいけたりしちゃいます。これは使ってみないとわからないニュアンスだと思います。

そしてナイロンヘッド。これも良いんですね。ちょっとした作業ならこちらの利点の方が恩恵多いかも。HPの説明でもある通り堅さで言うと鉄とプラの中間くらいの堅さ。銅ハンマーよりもうちょい柔らかいって感じ。プラハンだと柔らか過ぎてキツイけど、相手も痛めたくない・・・なんて作業結構多いんですよね。そんな時はこれ1本で大抵済んじゃいます。私も自分の工具箱にはこのハンマーしか入れてないくらいですからね。

しかし。

やはりがっつり叩きたいって人もいると思うので、そこはこの新発売のコンビハンマーが。

 

片側が鉄ハンマーになっているので、がっつり叩きたい人にもお勧め。反対側はナイロンヘッドなので、うまく使い分けが出来ます。

ハンマーってあまり気にしてないって人もいますがそういう人にこそ、このPBの無反動シリーズは使って貰いたいですね。値段なりの違いはきっと分かると思います。

TiALNコート

工具の業界ってほんとに広くて、いろんな分野の人がいろんな工具を使っているわけです。

実際カタログを見ると鉄工用や木工用はもちろん、水産加工用とかリニア駆動現場用とかとか、奥が深いんですね。

でまぁ、ウチなんからメインで自動車やバイクの整備用工具を販売しているわけですが、その中でも少し特殊というか・・・普通の工具じゃ無い物が売れる現場があります。

それが鈑金加工。

いわゆる鈑金屋さんなんですが、メインのハンドツールなんかはもちろん同じなんですが、それプラス切ったり貼ったりが多いわけでして、普段あまり見かけない工具の要望も多いですね。

で、数年前から結構問い合わせが多いのがスポットドリル。

現在のモノコックボディの自動車はスポット溶接で組み立てられてますが、これに衝撃安全ボディってのが加わるようになり、一時期は少し話題になりました。

どういう事かと言うと日本の進んだ鋼板技術のおかげで「薄いけど硬い」鉄板が出てきております。

これ普通のドリル刃では文字通り刃が立たなくて、チタンコートとかの出番になってくるわけです。

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・これはプロチカットのチタンコートドリル。表面が金色になっていて硬いチタンが蒸着されております。

ひと昔前ならこのチタンコートでなんとかなったのですが、現在の超硬鋼板はもっとすごくてこのチタンコートすら刃が立たない・・・。

そこで新しく出てきたのがチタンコートよりももっと硬いTiALNコート。

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チタンコートの金色と違ってすっごく地味な印象ですが、よく見ると黒いわけでは無くて紫色してます。

ちなみに写真は国産イシハシのTiALMコートのスポットドリル。サイズにもよりますが販売価格は大体1本あたりで5000~6000円くらいと結構高価。

同じスポットドリルでチタンコートだと半額くらいですから、かなりお高い感じなのですが、これがまぁ良く切れます。ってかさっきの超硬鋼板だとこれじゃないと全く切れませんから価格うんぬんの問題では無いんですけどね。

本日もこの件で問い合わせを頂き納品に行って来ました。切削が出来ずに仕事が止まっていたみたいで、なんとか間に合って良かったです。

こんな感じで専門分野にはその専門な工具も多々ありますので、何か普段と違う作業でつまずいたりしたらお気軽にご相談くださいませ。

意外とあっけない解決方法があったりしますよ。