いろいろある工具の総合メーカーでもある程度共通の悩みというのがありまして。
それは工具スペックの平均化です。
工具って別に自動車やバイクの整備だけに使われているわけじゃなく、建築や工場とかもうありとあらゆる現場で活躍しているわけです。
で、そんな様々な現場で求められる工具のスペックって結構違うんですよね。
かなりガテン系な現場ではハンマーで平気で叩かれたりして過酷な使用状況ですし、かたや車両整備の現場では手が入らないのはもちろんのこと工具すら入らないような状況での整備が行われていたりします。
これだけ現場ごとに同じ「工具」ではあっても要求されるものが違うってのはメーカーとしてはそりゃ辛いんでしょうね。
で、そんな要求への答えのひとつが自社ブランドをもうひとつ立ち上げる事だったりします。
KTCのネプロスとかもちょっと違うけどまぁそんな感じなわけです、はい。
で、もうあからさまに「それ」が理由で作られたブランドで有名なのがKo-kenの『Z-EAL』シリーズかと思います。
素材や製法はスタンダードシリーズとほぼ同じで、あくまでも車両整備向け工具としての設計だけで違いを見せてくれたブランドですね。
このジールの中でも最も分かりやすい違いというと全てにおいて「薄く」作られている点かと思います。
ソケットとかでも薄いというのは隣接するパーツやボルトを逃げる手段として最もシンプルで有効ですからね。
で、この薄くはソケットの背の高さにも採用されております。
・Z-EAL 3/8ショートソケット
一般的にはシャローソケットと呼ばれる背の低いソケットを通常採用したわけです。
実際スタンダードなKo-kenと比べてもこれだけ違います。
この背の低さが車両整備の現場では威力を発揮する事が本当に多いんですね。
ただしこれ。
なんてことないオープンスペースの整備現場では逆に背が低すぎて使いにくい場面もあったりします。
尖りすぎたスペックはそういう弱点も持っているって事です。
背が低けりゃ低い程どんな場面でも良いのなら全工具メーカーは全てのソケットを背の低いシャローソケットに変えると思いますが、今でも少し野暮ったく見えるスタンダードソケットを作り続けている理由は「全ての整備現場で平均的に使える事」を前提とした作りになっているからなんですね。
だからKo-kenのZ-EALシリーズってのは車両整備の現場で頑張るメカニックさんに向けたKo-kenのひとつの回答だと思います。
ちなみにシャローソケットってZ-EALだけの専売特許ってわけではなく、他のメーカーからも出ております。
・SIGNET シャローソケットセット(1/4・3/8・1/2)
これも店舗ではコスパに優れる事からかなり売れているソケットセットとなっております。
普段使い用なら普通のショートソケットをおすすめしますが、狭所で苦労するような整備をやっている人はぜひシャローソケットも追加でお試しくださいませ。