専門メーカーKUKKOの内抜きプーラー

特殊工具とひとことでいっても多種多様なものが存在しますが、中でも注目度が高く少し難解なのが「プーラー」各種。
そんなプーラーでさえ種類はたくさんありまして一般的なクレーンゲームの爪みたいなモノからギロチンみたいなギアプーラー等々、とにかく選ぶのがなかなか大変です。

で、そんなプーラーの中にあって特に替えの効かないプーラーと言われているのが「内抜きタイプ」です。
ベアリングのインナーレース(内側)に引っ掛けて抜く工具でして、反対側から叩いて抜く事が出来ない場所では必須の特殊工具となります。

で、この内抜きプーラー。
大きく分けると2種類あって、爪で内側に引っ掛けて抜くタイプとコッターのように円形の治具を差し込んでそれを広げてあげてセットしてから抜くタイプに分ける事が出来ます。
でまぁ気をつけて欲しいのですが「爪のタイプ」の内抜きプーラーって実はあまり使えません、ですので出来るだけコッタータイプのやつを購入するようにしてください。(割とマジで後悔すると思います)

で、当店で扱っている内抜きの中でも「自分用」に購入するのに適しているのがドイツのプーラー専門メーカーKUKKOの内抜きモデル。

KUKKO内抜きプーラー

KUKKO 内抜きベアリングプーラー 薄肉単品

対象のベアリングが壁際にピッタリ付いているようなやつでも使用出来る「薄爪モデル」となっております。

KUKKO内抜きプーラー

こんな感じで「先割れ」になっていてベアリングにセットしてから広げて固定して使います。
このKUKKOの内抜きは1本でそこそこ受け持ち範囲があるので個人向けなら1~2本買えばOK。

KUKKO内抜きプーラー

後は共用になっているヤグラのプーラーをサイズに合わせて選んでもらえばこんな感じで使えます。

KUKKO内抜きプーラー

KUKKO スライディングハンマー(内抜きプーラー用)

ヤグラ状のプーラーが使えない箇所やそもそもスラハンの方が好きって人には専用のスライディングハンマーも別売りで用意されてます。

プーラーの中でも結構使用頻度も高いしダメなの買うと使えない事が多い内抜きのベアリングプーラー。
購入で迷ったらぜひ検討してみてください。

ダイヤモンド粒子のドライバー

プラスのネジに対する工具、いわゆるプラスドライバーは工具の歴史の中でもメーカーの創意工夫が多く見て取れる良い素材工具のひとつだと思います。

ネジの構造上「カムアウト」と呼ばれる上に滑りながらネジを舐めてしまう現象をいかにして防ぐのかが命題となっているので改善へのベクトルがわかりやすいのというのも比較対象としては面白いかな、と。

プラスのネジに対しては「押し7、回し3」という言葉があるくらいカムアウトに対する自己防衛が大事だというのは分かると思いますが。
工具のメーカーとしては「どうにかしてカムアウト自体」を防ぐ方法がないのか──というところが工具作りに重要になってくるわけです。

過去にもACRビットと呼ばれる工具側に滑り止めのような溝を掘ったり、今回紹介するダイヤモンドの粒子を付着させカムアウトの原因になる滑り自体を防ぐ方向に進化を続けてきました。
実際Weraのダイヤモンドドライバーは一定に評価がありますしね。

もちろん滑りを防止するというだけでなくPBのように下手なギミックを付けずに精密な公差で対応しているメーカーも多いです。

PBドライバー

PB スイスグリップクラシックドライバー

このメーカーのプラスドライバーの先端は画像のように黒く仕上げられておりますが、これは先端部分に何かしらの加工がされているのではなく。

なにもされてない

なのです、実はこの黒い部分はメッキ加工で起こるメッキの厚みでの公差のズレも嫌ってほぼ無加工(黒染)に仕上げる事を徹底しております。
この精密な公差を誇るPBは無加工先端ではあるもののネジにがっつり食いついてくれて、なめにくいドライバーを実現しているわけです。

このように各工具メーカーによって先端の加工や考え方に違いがあるのが面白いですよね。

で。
今回のお話の主題に戻りますが。
ダイヤモンド粒子を付着させたドライバーも「ある一定」の効果があると書きましたが、そのある一定とは経年劣化による著しい性能劣化です。
これはACRにも言えるのですがギミック自体が落ちる・薄くなる事によって初期性能が出せないだけでなく、ただの作りの甘いドライバーになってしまうのです。
実際にガンガン使っているプロメカさんなら大体1年とかでダメになるのではないでしょうか。

それではなぜ今回このダイヤモンド粒子のドライバーを取り上げたかというと。(ふぅやっと本題)

ANEXダイヤモンドビット

ANEX ダイヤモンド龍靭ビットタフ プラス#2

このアネックスのビットがなかなかすごいって事をお話したかったわけです。
あくまでも電動用の両頭ビットなのでハンドツールメインの車両整備の人には響かないかもしれませんが「プラスドライバーとしての実力」をみれば試しに買ってみても損はしないと思います。

ダイヤモンドドライバーのメリットは「ネジに食いついて滑らない」事です。
それによってカムアウト自体を防ぎネジを舐めずに回せるのですが…
表面に付いたダイヤモンドが落ちたりすると一気に性能が劣化するのが弱点だと思われてきました。

しかし。
ANEXの開発担当に聞いた話は少し違っていまして──

ANEXダイヤモンドビット

実は食いつき自体がすごくプラスドライバーの先端部分の応力に逃げ場がなく、徐々にですが先端がねじれてしまうらしいです。
目視で分かるくらい捻れれば使用限界がわかりやすいのですが、パッと見ではわからないくらいのねじれでもプラスネジとのフィッティングは悪くなり、結果なめてしまう現象がおこるとの事。

そこで取った策が「ねじれないように硬いビットにする」という方法です。
一般的に工具鋼の硬さはHRCで57~59くらい。
これが電動用のビットとかになると60くらいとの事。

ところがこのビットはHRC62.5というカチカチ仕様にして本体のねじれを防ぐ事に成功しました。
でもここで心配がひとつ増えますよね。
そう硬くつくった事によるビットの破損です。
金属というのは簡単にいうと硬くしすぎると割れやすくなります。
なので工具鋼として58くらいが採用されている理由も「割れにくく粘る」硬度がこれくらいなのだと思います。

それではこのビットはすぐにわれてしまいダメなビットなのかというと……
そうではありません。

ANEXダイヤモンドビット

その秘密が「電動用ビット」だという点。
近年の電動用ビットというのは電動工具の発達によって「いかに割れないように作るのか」というのも課題のひとつでした。
あんな細いビットに40V仕様の電動工具とかがドガガン!と大トルクで回すのですからそうりゃそうですよね。

そしてそこで各メーカーがアイデアで対応したのが「トーションビット」という構造です。
上の画像でもビットの真ん中あたりに黄色いカバーのようなものが見て取れると思いますが、この中側は細くわざと少しねじれるようになってます。
このねじれをわざと作る技術によってビットが割れずにすむようになったわけです。

ここまで聞いてなんとなく分かったかと思いますが。
・すべらないダイヤモンド粒子
・ねじれない最高硬度(62.5)の硬い素材
・割れない工夫のトーションバー構造

このみっつの相性がお互いのデメリットを消し合っているおかげでこのダイヤモンドビットの真価が発揮されております。

ってなわけでも今店舗ではこのビットの実物見た方からかなりの絶賛をいただいております。
地味な工具ではありますが「プラスネジをなめにくい」というのは誰もが欲する工具のひとつだとも思います。
ぜひ一度お試しくださいませ。

動画も撮ってみました。

【重要】Web通販でのクレジットカード利用時の注意点

今回の記事は通販利用者に大きく関わる内容となっております。
出来るだけ一読して準備をしておいてください。

ずいぶんと前から通信販売を悪用したクレジットカードのなりすましや取り込み詐欺の被害が話題になっております。
実際当店の通販にもなりすましのクレカ申請とかがかなりの数来ておりまして業務に支障をきたす時があるくらいな感じです。
(悪用されたことは一度もありませんが)

エイビットWebサイト

東京オリンピックを前後してWeb通販におけるクレカ購入には販売側の対応を多く求められてきましたが。
今回はかなり究極の決定的施策が適用されます。

それが「3Dセキュア2.0」と呼ばれるものでして。
簡単にいうとクレジットカードを利用して通販で購入しようとした場合に今までの裏面のセキュリティコードではなく、クレカ会社と交わした通販用のパスワードを入力するか、アプリを使ったワンタイムパスワードを利用するようなります。

従来のカード裏面のセキュリティコードではカードごと盗難、または悪意を持った店舗等での利用時に物理的にコードを取得される可能性がありました。
これがクレジットカード本体とは別にユーザーが任意で取得したパスワードやワンタイムパスなら他人が悪用しようがないわけです。

>>詳しくは3Dセキュア導入に至る経緯等がこちらに書かれてます。

そしてこの通販利用時の3Dセキュアがいよいよ2025年の3月から「義務化」され施行されます。

3Dセキュア

実は今までも3Dセキュアという仕掛けはありましたが…
自身のクレカ会社に別途登録して事前に専用パスワードを取得しなければならず、また現代のパスワード文化の中では覚えておかないといけないパスワードが増える面倒がありました。
これにより上記のリンクでも書かれておりますが通販事業者では買い物を決済が面倒という理由で諦めてしまう「カゴ落ち」を懸念して導入が進んでおりませんでした(実際当店もやってませんでした)

しかし昨今のスマホと連携したクレジットカードアプリのおかげで、専用のワンタイムパスワードが使えるようになってきました。
これが3Dセキュアの「2.0」です。
確かに面倒はちょっと増えますがクレジットカードの詐欺を大きく減らせる良い機会だと思います。
またこれは当店だけでなくほぼ全ての事業者で一斉にスタートする義務となっておりますので、これを読んだ方は準備しておいた方がいいと思います。

3Dセキュア

そして「どうすりゃいいの?」と思うかもしれませんが、実は各クレジットカード会社ごとに少しずつ対応が違います。
ですので自分のクレカ会社に確認しついでにアプリも登録しておくことをオススメします。

>>例えばJCBだとこんな感じに告知しております。

ちょっとだけとっつきにくいって人もいると思いますが、今後はクレカを使った通販はほぼこの3Dセキュアを使った方式に変わっていきます。
ですので今回だけは面倒くさがらずに各自対応をよろしくお願いします。

当店も2024年11月頃からこの3Dセキュア方式に移行予定です。

自動巻き取りのタイダウン

このブログでも何度か紹介してきておりますがバイクを車に積み込み事や荷物の固定を頻繁にやるかたには「荷締めベルト」が必須となってきます。
まぁ一般的にはタイダウンベルトとかラッシングとか言いますが言い方はなんでもいいです。

で、私もバイクをトランポに載せて運んだり、大型工具の納品で車内に固定したりと10本くらいは自分用のタイダウンベルトを持っているのですが。

最近特に気に入っていて頻繁に使っているのがこれ。

SK11自動巻きタイダウンベルト

SK11 自動巻取 ラチェット式タイダウンベルト1.8m(ショートモデル)

商品名通りでしてラチェット式タイダウンベルトの最も面倒な「長さ調整」が一切いらなくてお互いをフックに引っ掛ける事が出来るまでビヨーンっと伸ばして仮ロックして後はガチャガチャと締め込むだけ。

実は本製品は3代目くらいになってまして。
ここ5~6年でマイナーチェンジを繰り返しております。
そして今回の「ショートモデル」がかなり使い勝手いいんですね。
特に泣き所だった固定側が0.2mと短くなって車内での取り回しが大幅に向上しました。
すでに旧製品を使っているって人も買い直ししてもいいくらい良い感じになってます。

SK11自動巻きタイダウンベルト

ここのレバー根本の赤いリリースを押さえながら、赤い矢印の部分まで起こしてあげるとロックが解除されフリー状態になります。

SK11自動巻きタイダウンベルト

そうするとこのようにバネのちからで巻き取られているベルトを自由な長さで引き出す事が出来るわけです。

これって狭い車内で何かを固定したい時にめっちゃ便利でして「長すぎて延々と巻取りが必要だったり」逆に「短すぎてリリースさせるのが面倒だったり」って事がありません。

ちょっと説明がイミフって人はこちらの動画をどうぞ。

で、この自動巻き取り式って最も便利なのが片側スライドドアの車内での使用時です。
両側スライドの車なら左右のドアを開けてグイっと引きの固定が出来ますが、片側だと引き固定が難しい場合があるんですよね。
その点この自動巻き取り式ならラチェット方式なのでカリカリと動かせば十分な固定が車内側から可能です。

トランポ積載

実際私も愛用していて数種類のタイダウンを使い分けておりますが、こういった多台積みの時も仮固定が楽なので重宝しております。

パーツクリーナーのすすめ

どんな現場の整備でも必須のケミカルといえば潤滑剤とパーツクリーナーでしょうか。
このふたつのケミカルはいわゆる「ピンからキリ」まであって、みなさんも使用状況に応じていろいろ揃えていると思います。
特にパーツクリーナーはガンガン使ってなくなったら「はい次」みたいな使い方になる場合が多く、選択肢としては安価なものを大量に──ってな考え方になっている人が多いとは思います。
しかし近年の安価なパーツクリーナーは洗浄性能が低すぎて使いにくく、当店のユーザーからは「ちょっといいパークリが欲しい」と要望が多いのです。

そこで今回はそんなパークリのちょっと「良いやつ」を紹介してみたいと思います。

強力型パーツクリーナー

クリンビュー スーパーパーツクリーナー840ml

こちらは店舗で根強い人気を誇るイチネンケミカル取り扱いのクリンビューTPのパーツクリーナー。
シクロヘキサン採用の強力型のパーツクリーナーですが、上位モデルの中ではそこそこ安価なパークリでして「使い捨ての安いパークリ」と「価格の高い上位モデルパークリ」のちょうど中間にあたるモデルとなっております。
シクロヘキサンと聞いてもピンとこないと思いますが、昔の強い洗浄力を持ったパーツクリーナーの復刻とも言える商品でして。
この白缶シリーズはプロアマ問わずにリピーターの多い人気商品です。

ビプロスパーツクリーナー

ビプロス 遅乾性チェーン&パーツクリーナー840ml

そしてこちらが当店取り扱いでは最高峰のパーツクリーナーとなるビプロスのCPCです。
洗浄能力が非常に高く、また内容量もしっかり入っているので、よくある安売りのパーツクリーナーの3~4本分くらいはこれ1本で使う事が出来ます。
(あまりブシャーって吹かなくても汚れが落ちるので)
また折り畳みのノズルは近年では珍しい「金属ノズル」を採用していて、現場での使い勝手も二重丸。
ネックは価格の高さですが試しに使っていただければこれの良さや、意外なコスパの良さが分かって頂けるかと思います。

東洋化学パーツクリーナー

東洋化学 パーツクリーナー原液 B&Pクリーナー

そして上記で紹介したビプロスのCPCの原液モデルとなるのがこのB&Pクリーナーです。
(東洋化学はビプロスの製造元です)
先程紹介した最高峰の洗浄能力があるパークリの原液ですので、取り外した部品の洗浄等にもかなり便利に使う事が出来ます。
この原液モデルは乾きにくい遅乾タイプとなっておりますので、時間を掛けての洗浄にも適していますね。
いきなりこの原液を購入するのはちょっとハードルが高いかな?と思う人は上のビプロスのCPCからお試しください。

実際私も安くてガンガン使えるやつと上記のちょっと良いやつの作業内容で使い分けております。
全部これに替えましょうって話ではなく「ちゃんと汚れ落とし出来る実力のあるパークリを持ってると便利ですよ」ってお話でした。