コンパクトラチェット

基本的には工具というのは適材適所で使うのが結果としていろいろ便利だと思っている派な私ですが。
まぁあまりお堅い事ばかり言っても仕方ないのでこういうのも別にアリじゃね?って工具もいくつかあります。

特に1/4差し込みの工具をこれから揃えるって人は、ラチェット・ソケット・エクステンションやアクセサリー類を揃える必要があるので少し敷居が高いと感じる人も多いと思います。
(実際はそんなに多くのモノを揃える必要はないのですが)

で、そんな人にはとりあえずコンパクトなラチェットを手持ちの3/8ソケット類で使えるようにしちゃったこれとか結構オススメ。

 

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Ko-ken Z-EAL 3/8コンパクトフレックスラチェット (ページ内に紹介されてます)

いわゆる1/4ボディのラチェットに3/8ギアヘッドを入れた改造バージョンみたいなラチェットなのですが、この手はラチェットは小回りも効いて使い勝手良いんですよね。

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1/4ラチェット改なので基本的には最大トルクも1/4と同等でMAX14ミリくらいまで(実際の現場では12ミリくらいだと思います)しか使えませんが、逆に言えばそれくらいのサイズ限定での作業ならばすごく便利に使えると思います。

また水平対向エンジンのプラグ交換用にとかでも便利ですね。(ちょっとトルク的にキツイのですが、なにせ狭いので)

いきなり1/4ラチェットは・・・なんて人はこういう工具をワンクッション入れると自分に合っているかどうかが確認しやすいと思います。

 

ラチェットアダプター

ハンドツールの主役と言えばやはりラチェットですね。

長さやギア数でいろいろありますが、ちょっと変わったこれもれっきとしたラチェット。

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・KTC ラチェットアダプターセット

私が生まれてはじめてこの工具をみたのは鈴鹿で開催されたF1でした。当時までマクラーレンホンダだった頃の話なのでかなり昔なんですけど、これ使ってウイングの角度調整してたんですよね。

その頃に工具業界に入ったばっかりだった私は結構興奮して見てましたね。

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そんなわけでこの工具にはちょっとだけ思い入れがあるのでかなり好きな工具のうちのひとつなんです。

で、そんな思い入れだけでは無く実は結構な実力も備えてまして。

この工具ってもとをたどればまだラチェット機能の付いてなかったトルクレンチとかそういった物の補助工具だったんですね。なので最大トルクも結構すごくてそこそこ無茶な使い方にも対応します。

そして今回紹介しているKTCのラチェットアダプターは各社で出ている3/8のアダプターの中ではすごく出来が良いんです。ちょっと気になったなんて人はこの機会に是非どうぞー。

T型ハンドルでカリカリ

このブログでも何度か書いてますが個人的にはシンプルなスタンダード系工具が好きな私。

「ここをこうするとこんなふうにも使えるんですよ」とかの多機能な物はあまり興味は無く、出来るだけ何かに特化した物ほどワクワクしちゃうんですね。

 

と言いつつ・・・今日はシンプルなのと単機能な感じなくせにそこそこ高機能で・・・なんて矛盾してそうな工具を紹介。

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・KTC 3/8ラチェットアダプター

スライドTレンチに取り付けて使われる事が多くTレンチ用のアダプターだと思われがちですが、実際はラチェットがあまり普及してなかった頃のラチェット代用品として存在しております。

それこそ弓式(ビーム式)のトルクレンチのアダプターとかね、そんな感じで使われていたのが主流でした。

ですので実際はかなり昔からある工具でして、確か私が見た中で一番古いのはスナップオンの50年くらい前のヤツかな。今とほとんど同じ形なんですよね。さらに言うとそんな用途で開発されたので見た目以上に高トルクにも対応してましてひとつ持っていると結構重宝したりもします。

 

と、ここまで書きましたがやはり現代の使い方の主流がやはりTレンチ用のアダプターって感じですよね。

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こんな感じでTスラと組み合わせて使うとかなり便利です。

普通のラチェットとは違い軸上でまっすぐ回す事に専念出来るので、コレ使ってしまうとコレじゃなきゃ嫌ってなっちゃう人もいるくらいですからね。

私はこの形で使っているのを始めたみたのはHONDAが全盛だった頃のF1です。ピットクルーがこれを持ってウイングの角度調整とかしてたんです。格好良かったなー。

なのでこれだけはギミックありな工具のわりに好きなんです。

ラチェットのラインナップの見直し等ある時は少しだけ思い出して欲しい工具のひとつです。

小判型ラチェットの修理&メンテ

工具の専門店として営業しておりますと各種工具の修理依頼やメンテナンスの方法などの問い合わせが入る事があります。

コンプレッサーやジャッキとかの大物はもちろんなんですが、小物系だとラチェットの修理依頼が多いですね。

今日も1本お願いされまして、ついでなのでそのやり方と日々のメンテ方法でも書いてみようかと思います。

 

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今日の相手はKTCの36ギア小判型ラチェット。

個人的にはかなり好きな部類のラチェットでして、小判型としては教科書通りの作り方がされているので他メーカーのラチェットも参考になると思います。

まずこういう小判型のラチェットが壊れてしまう(調子悪くなってしまう)原因の多くが「汚れ」や「埃」の混入です。

 

小判型ラチェットってかなりギチギチに作られていてそのおかげで大トルクを受け止める事が出来るのですが、金属同士の接触面にゴミや埃がはさまるとギアの歯が半掛かりになったりしてギア欠けの原因になるんですね。

このラチェットも中身はかなりゴミや埃がイッパイでして。

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全バラするとこんな感じ。メインギアは作動不良によるギア欠けが見て取れます。

ここまで摩耗してしまうと「交換」しか手が無く、今回はフルO/Hになりました。

 

ちなみに。

ここまで開けた時点でギアに欠損等が無ければパーツクリーナー等で綺麗にしてあげて油を差して上げればOK。それだけでギアの動きは復活します。

このとき注意したいのが

・CRCやラスペネ等の潤滑剤を使わない事。
・そしてグリスのような粘度の高い物も使わない事。

この2点を厳守ですね。このふたつの潤滑剤はどちらもゴミや埃を巻き込みやすく後日作動不良の原因になりやすいです。

なのでミシン油やコンプレッサーオイルのような緩いオイルをチョイチョイっとかけてあげればOK。

前兆としては不意にギア飛びしたり反転時にカチンと音がしなくなったら油分切れかゴミ混入なのでやってあげてください。それも面倒な人は使用後にたまにでいいのでエンジンオイル等にどぶ漬けしちゃってもいいです。

 

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で、せっかく全バラなので隅々までお掃除。パーツクリーナー等で丁寧に磨いていきます。

と、ここまで書きましたが小判型の場合、ここまでバラすと一般の方は組み込めない可能性があります。パウル(小ギア)を留めているボールとスプリングが組めなくなってしまうんですね。

そういう場合には当店でも良いしプロの工具店を頼ってみてください。(出来ればバラバラにする前にお願いします)

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フルO/Hなので気持ちよく部品も全交換。古いギアと新しいギアの角のとんがり具合が違うのが分かると思います。

KTCの場合2000円ほどでO/Hキットが手に入りますので、ひどい場合にはサクっとやってしまうのが良いと思います。

 

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フタをしめる前に作動油をさしてあげてカリカリ馴染ませれば終了。

今回は部品全交換でしたのでオイルを多めに入れてあげて染み出すくらいで仕上げました。

小判型は壊れる前にちょいと洗浄して注油してあげればなかなか壊れる事は無いんですね。たまにでいいのでメンテしてあげてくださいませ。