ネジの見た目

当店は工具専門店なので販売するだけじゃ無くいろんな相談が持ちかけられます。

そんな中で一番多いってか日常の業務なんですけど「手持ちの工具で外せないネジが出てきたんだけど、こんな感じでこんな風な工具ってある?」ってなヤツ。

この手の質問って一見すると難しそうなネジの話ってのは特徴がある分、実物を持ち込まなくてもなんとかなったりするんですが・・・。

結構大変なのが普通のHEXの場合。

これ整備上級者なら普通に持っている工具なんですが、ちょっと大きめ(例えば12ミリとか)のHEXが出てきて手持ちのHEXじゃ最大で10ミリまでしか持ってない・・・さて困った。なんて場合の話。

当然ネジは外れて無いのでネジ現物は持って来られない。合わせる工具自体が無いわけだから本当のサイズも実は不確定。

こんな時に困るのが・・・キャップボルトってのは見た目よりも大きく見えたり小さく見えたりするって事。これプロでも結構あるんですよ。

あ、ちなみにキャップボルトってのはHEXとかTORXのような凹んでいるネジの総称。

こんなヤツね。

先日も似たような件があってお客さんは多分17ミリくらいじゃないか?と言う。でも私が知る限り車の通常整備でHEXの17ミリとか出てくる箇所なんてかなり特殊(ってかそんなのあまり聞かないので知っているハズ)

私が「そんなに大きく無いんじゃないですか?」と聞くと「いやいや、結構でかかったんだって!」と。

そんな事言っているウチにお客さんもだんだん不安になってきて「そういえば・・・14ミリくらいかも・・」なんて言い出す。

で、結局14ミリをとりあえず購入していってもらって、その日のうちにお店にもう一度来る。

「ごめん!12ミリだったww」と。

最初17ミリと言っていて私が説得して14ミリになって、実は正解が12ミリでしたって話。(この話はお客さんに許可貰って書いてます)

これ笑い話っぽいけど・・・実は1ヶ月に1回はある本当に良くある話なんです。これは別にお客さんが悪いわけじゃ無くて、それくらいキャップボルトのサイズって見た目や直感では分かりにくいって言う実話。これ大きめなサイズで書いてますが小さいサイズでも同じだしTORXでも同じ「う~ん・・・もっと大きかったと思うんだけど・・」なんて言われて販売すると大抵サイズ違いなんですよね。

これまだお店の近所のお客さんですぐに変更出来るから良いんですが、通販となると送料考えれば買い足すような事にもなりますので、サイズ決め打ちで購入される方は良く確認しましょうね。

ちなみにTORXなんかはT25T27T30あたりは私でも見た目で分からないので、不安な人は申し訳ないんですがセット買いが良いと思います。

あと、ノギスくらいは持っておいて損じゃありませんよ。

握り物

工具業界で握り物と言うといわゆるニッパとかラジペンとかのプライヤー関係をさします。

で、この握り物。

いろんなメーカーからいろんな種類が出ているんですが、販売している側ですが正確な全体像の把握は難しく、逆に言うとそれだけ「○○用」とかの専用プライヤーが存在するわけです。

とくに刃先の切れ味が重要なニッパに関しては、切断相手が鉄だったりアルミだったりプラスチックだったりと、相手の素材によっても左右されるわけですからメーカーもユーザーもそりゃー大変っすよね。

ただし、使用目的(切断相手)さえ明確に出来れば良いわけですから、種類こそ多いですけど自分に合った物を探すと言う意味ではそんなに難しい事では無いのかもしれません。

で、ラジペン。

これが結構大変。

なんせ刃長や形だけを探していけば、そりゃもう無限に近いラインナップがあるわけですが、そのラジペンがその作業に合っているかどうかはそれを使用するユーザー次第な場合が多いからです。

で、こういう時こそユーザーのイマジネーションって言うんでしょうか「あそこでこうやってこう使うと便利だよな」とかの想像力がそこそこ必要になってくるわけです。

例えば。

これなんかパッと見ただけでは「確かに便利そうだけど何に使うんだろう?」といった感じです。

しかし、HPでの説明でもありますがサクション系ホースの幅の広い交差式のホースバンドの脱着にはこの折れ曲がってからの長さが絶妙に良く、すっごく便利に使えます。

現在自動車のサクションパイプってのはちょっとした補記類作業でも外した方が早い場合が多いので、これが便利に使えればかなり出番の多いプライヤーとなります。

こんな感じでラジペンだけは定型的な使用方法だけを見るのでは無く(そもそも定型な使い方が無かったりもします)場面場面を思い浮かべる事も重要になってきたりもしますね。

今後もこんな感じでみなさんのヒントになるような案内が出来るようにしていきたいと思います。

 

美しく。

結構昔、もう20年近く前の話になるのですが・・・まだ工具業界に入ったばかりの頃の話なのですが、とある有名整備工場に工具の営業で飛び込んだ時にそこの従業員さんに「別に工具で仕事するわけじゃねーからなー」とか「工具にこだわるなんて仕事の出来ないヤツのする事だよー」とか結構手厳しい事を言われ、事門前払いを受けそうになりヘコんでいたんですね。

まぁ時代ってのもあって、その頃はまだ輸入工具とかもほとんど知られて無くてスナップオンでさえ「え?なにそれ?」とか、そんな事言われたりした時代でしたから、工具自体の選択肢もあまり無く、気に入った工具を選ぶと言う風習もまだ浸透していなかったんですね。

で、そんな事を言われ縮こまっていた私はスゴスゴと帰ろうとしたんですが、奥の事務所から工場長さんが出てきて一喝。

「おめーら!何が工具にこだわらねーだ!ふざけんな!」

「工具があるからウチらは仕事出来るんじゃねーか!」

「買う買わないは後で決めれば良いんだ!ちゃんと工具の説明を聞いてやれ!」

と、言ってくれました。私はポカン・・と。
で、更に。

「工具で仕事してるわけじゃねーだとー?んじゃおめーは明日から手でボルト回せ!いいな!ジャッキも使うな!全部自分の手でやってみろ!」と。

今思えば飛躍した極論でむちゃくちゃな事言っているんですが、とにかく私はその後一生懸命工具の説明をし何度か通ってお得意さんになってもらう事が出来ました。

その後その工場長さんと茶を飲みながら話す機会があって、いろいろ聞いたのですが、ようはお金を貰ってお客さんの車をいじるわけだから綺麗な仕事がしたいと、で綺麗な仕事をやるには手間暇掛けるのが一番なんだけど時間を掛けていたら採算が合わない、なのでそういう費用対効果が見込めるモノにお金が出せないならば、これからの整備業界では生き残れないと。

今だと結構当たり前の話なのですが、その当時にそういう事を言う人は少なかったので驚いた記憶があります。

私がエイビットのHPの説明でも「美しい作業」とかたまに書くのですが、そのときの話が頭に残っていてそういう表現が多くなるんだと思います。

で「綺麗な」「美しい」の評価が見た目ですぐ分かる作業のひとつに配線作業があります。
これコワイですよね、手を抜くとすぐに分かっちゃいますから。実際自分でも見えない所の配線とかで手を抜くタイプの人には今でも作業を任す気になりません。

配線工具の中でも昔から定番人気で評価が高いのが横スライド方式のワイヤーストリッパー。

 

縦型とかもあるし手動のヤツで良いのもあるけど、いろいろな配線作業をやるにはやはり必須の工具のひとつです。

 

これが出来るとエレクトロタップを使わずに綺麗な配線が可能になります。もちろんナイフやニッパで器用にやってしまう人もいるのですが、工具に頼ってしまうのも決して悪い事ではありません。確実に迅速な作業が出来ますからね。

ちなみにその時の工場長は引退しちゃいましたが、いまだにお付き合いがあり自分の車を楽しきいじっております。隠居してあんな感じの生活出来たら楽しいだろうなぁ。

質問

春になると増えるのがいろんな問い合わせ。

お店でも電話でもメールでも、とにかくいろんな質問が寄せらます。私が分かる範囲でしたら、可能な限りお答えしますのでお気軽にご相談ください。

今日も天気サイコーで走りに行っている人もいれば、元気に青空整備している人も多かったんだと思います。プラグ交換やオイル交換から始まり、トルクレンチやエンジン下ろし・・・とにかくいろんな質問が多数寄せられました。私がひとりで対応しているので、どうしても限界がありますが出来る限りの対応をさせてもらっております。お店や電話だとかなりのぶっちゃけ話もしているので、そういう対応でOKな人はメールでは無く、来店か電話の方が良いと思います。やっぱメールって文章なんでニュアンス的な話が難しいんですよね。

そして本日アップした工具も問い合わせが多い工具。

インナーベアリングプーラーです。

 

国産のスーパーツールと言うメーカーの物なのですが、結構いろんな専門工具を比較的安くリリースしているメーカーです。あまり高いのは買えないけど、激安品は嫌って人には言いメーカーだと思いますよ。

この手のプーラーってHPでも書いてますが、他の工具じゃ代用が効かないので、選択が難しいんですよね。そして悩む最大の原因が「多分そんなに使わない」事。確かに今やりたい作業では必要なんだけど、それさえ終われば次は1年後か2年後か・・・なんてのも悩む原因ですよね。

この辺だけど個人の考え方ひとつだと思います。もっと言えばショップに頼んだっていいわけですし。いろいろ悩んでみてくださいませ。

#そうそう、本日お昼頃に直下型の震度5弱の地震がありました。私はお客さんと電話中だったのですが、そりゃもうビックリしました。久々に店内の物が崩れたりしました。被災地の方は何度も何度もこの程度の地震に見舞われていると思うと考えさせられました。あれじゃ心休まらないですよね。

大きい工具。

本日紹介したKo-kenの1/2シリーズ。

まぁメーカーはなんでも良いと思いますが今の主流になっている3/8工具だけでは、どうしてもトルク的に厳しい作業ってあるんですよね。

それでも3/8のラインナップがそこそこあるので、なんとかなったりもしちゃうので1/2の工具ってなかなか手が出ないって人も多いと思います。

しかーし!やっぱ無理は良く無いですね。そんなに高い物でも無いので自分に必要なサイズとラチェットかスピンナー1本で良いので揃える事を強くオススメします。

 

こういうちょっと長くてがっつりトルクが掛けられる工具があると、本当に重宝すると思いますよ。

そしてサイズ的な話なのですが、どうしても「大トルク向け」と言う印象が強い1/2ですが私なんかだと14ミリくらいからは場所やトルクによっては1/2を使ってます。どうしても22ミリ以上とかの印象が強い1/2工具なのですが、実際のトルクで言うと14ミリくらいから40Nmくらいのトルクって出てくるんですよね。

で、40Nmって言うと結構なトルクなわけです。締め込みはなんとかなったとしても緩める時がツライ。

そういう時は迷わず1/2の工具に持ち替えて作業してますね。これだけで作業の効率は格段に上がると思いますよ。

 

お店でお客さんと話をしていても、ちょうど中級くらいを脱出しようとしているユーザーは1/2に目が行き始める傾向がありますね。

3/8を揃える時ほど工具の個数も必要ありませんし、ソケットだって車ならば14から24くらいまでの5個くらい購入するだけでかなり作業の幅が広がると思いますよ。