インチサイズへの対応

ここ数年、またインチ関係の問い合わせが来るようになってます。
ってか、もうちょっとちゃんと言うと「サイズがなんだか分からないボルトが出てきたので調べて」っていうのが正解かな。

最近は世界的に徐々にですがインチサイズの使用率って減少しているのですが、工場とかでは輸入の機器が台頭してきたせいかウチみたいな専門店への問い合わせ件数自体は増えているんだと思います。
まぁ普段ミリサイズしかさわらない人が急にインチとか出てくると確かに混乱しますよね

で、そんな時はとにかく慌てずにボルト・ナットのサイズを一度測ってみましょう。

極小サイズ(2ミリ以下とかね)を除いて通常の大きさのボルト・ナットで「○○.○mm」とか出てきたらほぼインチだと思って頂いてOKです。(12.7mmとかね)
よく誤解されるのですが、例えば15ミリとかはインチではなく「15ミリ」と言うミリサイズです。

で、とにかくインチかな?と思ったらボルト・ナットのサイズをノギス等で出来るだけ正確に測定してみてください。
その計測したサイズをそのまま当店に伝えてもらってもいいですし、お近くの工具店で探すときはインチに換算すれば購入しやすいと思います。

インチへの換算は簡単。
とにかく。

1インチ = 25.4mm

とおぼえておけばOK。
そしてインチサイズは3/8とか7/16とか、基本的に分母が8か16になりますのでそれを目安に換算します。(1/2とか1/4もあるけどね)
※まれに分母が32の場合もあるので注意。

例えば実測サイズが22.3ミリくらいだった場合。
25.4を8で割ってみると3.17ミリ。
で、22.3を3.17で割るとおよそ7ですから、7/8のインチだと言う事が分かります。
(実際は7/8は22.22ミリ)
測定誤差を考えればほぼ間違いなく7/8インチですね。

>>こちらのページでもミリ・インチの事を書いてます。

まぁ今どきインチネジに遭遇する確率は低いのですが、その分遭遇した時に分けわからなくなるのでこれくらいは頭の隅に覚えておいて損じゃないと思います。

Ko-ken_sok_all1

Ko-ken 3/8ソケットインチサイズ

実際に工業向けに使用されているネジには代表的なサイズがありますので、それも分かっておけばさらに分かりやすいですね。上のKo-kenのソケットではずらっとインチソケットも表記してますので雰囲気だけでも掴んでおいてください。

そしてインチだけじゃなく急に変なサイズのネジに対応出来る工具も持っていると捗ります。

KNIPEXプライヤーレンチ

KNIPEX プライヤーレンチ(新型ブラック仕様)

普通のモンキーでも対応出来たりしますが、やはりKNIPEXのプライヤーレンチは掴んで回せる分別格ですね。

基本的に国産の車両にはインチネジは出てこないと思ってOKです。
輸入車もまず無いのですがひょっこり出てきたりする事がありますので、なんとなく出てきそうな雰囲気あるなら事前に調べておくことをオススメします。

そして各部のサイズをちゃんと測定出来る工具も揃えておきましょう。

ネプロスのneXTシリーズラチェット

新発売された直後に初回限定とかを打ち出していきなり超品薄になってしまったネプロスのneXTシリーズの新型ラチェット「NBR390X」

ネプロスneXT3/8ラチェット

出るのは知っていたので3ヶ月以上前からバックオーダーに入れておいたおかげで初回入荷分も含め結構な数が当店に入荷しておりましたが、店舗での予約分で全て埋まってしまいなかなかフリー在庫になることがありませんでした。

しかしやっと落ち着いてきたようで現在フリー在庫もボチボチ確保出来るようになりましたのでこのラチェットの雑感でも書いてみようかと思います。

まずこのラチェット。
出自というかスタートがわりとユニークな感じでして、そもそもネプロスとしては10年に一度のビッグマイナーチェンジを行ったばかりだったラチェットのはずが、アナザーストーリー的にパラレル開発されていたものが登場したってのがかなりワケアリなわけです。

ネプロスneXT3/8ラチェット

nepros neXT 3/8ラチェットハンドル

分かりやすくいうと

─ 工具としてのラチェットという概念を一度リセットして工業製品としてのハンドルをイチから設計してみよう ─

ってな感じですかね。(違うかな)
なのでこのラチェットはneprosでありながら全く違うシリーズのneXTの新ラチェットといった方が正解な気がします。

まぁ最終的には民生用の「商品」ですので無限にコストを掛けるわけにもいかないし、みんなが思い描くラチェットから大きく逸脱してしまってもいけないわけです、はい。
なのでもともとあったギアの仕掛けとか工具としての長い歴史からくる全長とか、そんな縛りはあったのだと思います。(矛盾しますけどね)

実際アプローチとしてもカタログやWebサイトにも表記されてますが
(KTCWebから引用)

●トポロジー最適化

設計者の経験に頼らずに、力学的・数学的根拠に基づいて、
構造物の最適な形態・形状を自動的に求め、
剛性を落とさずに軽量化が可能な構造最適化手法のひとつ。
今後、製品の開発においてトポロジー最適化の考え方は、ますます広がっていくと考えられます。
京都大学大学院工学研究科 西脇 眞二教授

とこんな京大のセンセイが難しいテーマを掲げてのチームで作り上げた新ラチェットなわけです。

とまぁ、ここまでが前置き。
ぶっちゃけ「実際に使ってみてどうなのよ?」ってのが私の唯一の興味であって、絵に描いた餅な商品はノーサンキューなわけです、はい。

最初に書きましたがこのラチェットが発売されてから結構な本数を売りましてすでに半年くらいが経過しております。
そしてこのラチェットを購入してくれたユーザーさんはかなりの確立で「現場でガシガシ使って」くれております。

ネプロスneXT3/8ラチェット

まずギアを含めたヘッド周りも評価。
ネプロスの1世代前のギアに近い軽快さがあり、また「面取り」のおかげかかなりヘッド自体がかなりコンパクトに感じます。
実寸だけだと現行ネプロスとあまり差異はないのですが、すごく小さくそして薄く感じるんですよね。
あえて苦言をいうとケースを閉じているネジ、ここをプラスじゃないのにしてくれたら最高でした。どうしても分解時に破損する恐れがありますからね。
とにかく使い勝手はかなりよくて100点中なら95点くらいのハイスコアです。

ネプロスneXT3/8ラチェット

そしてトポロジーな項目のひとつである軽量化。
これもかなりうまく作られているなと思いますし、実際現場で使っているユーザーさんからも見た目以上の使い勝手と軽さを感じると評価を頂いております。
あとパッと見では「なんだか手が痛そう」とか思うのですが、この辺も絶妙に作られているのかなんだかタッチも含め良いんですよね。
細かな仕様とか数値とかは他でも触れられると思いますのでかなり主観的になりますが現場での使い勝手は「総じて良い」と言い切れます。

もうちょっと雑感めいたことをコメントすると。
工具を仕事で使うプロメカさんなら分かると思いますが、いわゆるスタンダードなラチェットって実はあまり出番がなかったりしませんか?
ショートだったりロングだったり、また首振りだったりスイベルヘッドだったり──現場に合わせて工具を揃えていくと、スタンダード過ぎるラチェットって出番が減っていく傾向があります。
そんな作業に応じた工具を使うことに慣れてしまっているメカさんもこのラチェットは手元において使う機会が多かったと言ってくれております。
使うほどに手に馴染むといったメカさんもいましたね。

ってなわけで奇抜なデザインとかそういう面が取り上げられがちな本ラチェットですが、実は道具としてかなり優秀な出来になっています。
店舗でもやっと触ってもらえる実機が用意出来ましたのでぜひ一度お試しくださいませ。

続KLX230R

新しい相棒バイクとなったKLX230R
公道も乗れるトレールモデルとの共用部分も多くネットではいろいろとモデファイしている人を多く見かけます。
そんなのをざっと参考にさせてもらいながらお正月の初走行後に気になった箇所の修正をちょっとずつ進めております。

前回はある程度定番の軽量化メニューを行いまして。

KLX230Rモデファイ

あとは細かな箇所を……ってなことで初回走行時にも気になっていた「転倒センサー」の除去。
バイクを倒した状態で数秒すると自動でエンジンが止まるのですが、復帰する時にメインスイッチを切って数秒待つというリセット動作が必要となります。
頻繁にコケるオフロードバイクだとこれが結構面倒なんすよね、またこのセンサーを固定しているステーが結構ゴツいので、どうせならまるごと取り払ってしまおうってことになるのですが……。

分解してみると中に基盤らしきものがあって単純に外して短絡だとECUが何か判別している可能性があるのでは?と危惧。
とりあえずプラ製のガワだけ残して中身を取り払うことにしました。
一応中身の「振り子」がなくなれば上下左右、天地は関係なくなるので取り付けステーも必要なくなりますのでこれでOKかな。

そしてちょっとでも軽量化ってことでここも──

KLX230Rモデファイ

ブイィィーンっとカット。
切った箇所はリアフェンダーとかの保持とも関係ないのでまぁ問題ないっしょ。

そんなわけでとりあえずやりたかったメニューの95%くらい終わったのでテスト走行に。

KLX230Rモデファイ

またもや友人のH氏に付き合ってもらって川越のオフロードビレッジに行ってきました。
ガチ系のモトクロス場なのですが外周部分に平らなEDコースも併設されていて、私はそちらでリハビリ兼テスト。
とりあえず不具合っぽい不具合もなく、同時に試していたクラッチスイッチキャンセルも問題無し(特定条件下で誤作動するという意見もあるのでまだ不可逆な取り外しはしてないけど)

KLX230Rモデファイ

とりあえず出来上がりなので外装とシートも張り替えて97%出来上がり。
(まだ制作中の部品があるのでもうちょい)

KLX230Rモデファイ

ここまでやれば「自分のバイク」感がかなりでるので愛着も湧くし、内燃機を除いたほぼ全てに手を入れたので何かあっても対処が楽になりました。

最初からレーサー買っていればこんな手間はなかったのですが、今回はボチボチやっていく予定なのでこんなのもアリでしょう。

あ、そうそうカブも引き取ってきたのであとでそちらも紹介しますね。

ホイール脱着時のクロスレンチ

昔と違って今はそこまで固定概念はないように思いますが、それでも自動車のホイールナット作業でまず思い浮かぶのは「クロスレンチ」かと思います。

十字のレンチをくるくるくるーって回して作業する風景ってのは馴染みがありますもんね。

そんなクロスレンチの唯一の弱点というと「車内でかさばる事」
形状が形状なだけにトランクに突っ込んでおくにも場所を取るので厄介な存在です。

で、そんな人に人気なのがKo-kenから出ているフリーターンクロスレンチ。

Ko-ken1/2フリーターンクロスレンチ

Ko-ken 1/2フリーターンクロスレンチ

10年以上前に登場したこの工具、早回し機構とかいろいろあったのですが最も琴線に触れたのが「分割収納」出来るという点でした。
横バーを引く抜くと棒状のものが2本になるという特性は収納において最適解のひとつだったと思います。

そしてそんな今でも人気のこの工具のアップグレード版として登場したのが

Z-EAL1/2フリーターンクロスレンチ

Z-EAL 1/2フリーターンクロスレンチ

基本仕様は上記のスタンダードなKo-kenバージョンと変わりはありませんが、回転軸のスムースさとか細かな箇所のブラッシュアップが施されております。
実際の現場での使い勝手だけを考えればさほど差はありませんが、Z-EAL(ジール)シリーズで出たのは喜ぶ人も多いかと思いますね。

またこのクロスレンチには一緒に使う専用ソケットも用意されております。

Z-EALホイールナットソケット

Z-EAL 1/2ホイールナット用ソケット

専用って何が専用なのかというと「全長」ですね。
よくあるホイールナット専用ソケットって全長が100~110mmあるのですが、このソケとはクロスレンチとの相性を考えて65mmに設定されてます。
これが結構絶妙な長さでクロスレンチとの相性はもちろん、単品で使った時にも使い勝手がいいのです。

ですのですでにスタンダードなKo-kenのクロスレンチをお持ちの方もソケットだけこれを検討してみるのもアリかと思います。

ギアレンチ用のアダプター

カリカリと軽快に作動する人気工具のギアレンチ。
72ギアを採用しているものが多く、現在の整備事情ではレギュラー工具のひとつです。

そんなギアレンチは活用方法も多く通常通りの使用方法以外にも持ち出し用工具のラチェット替わりにもなったりして、ユーザーの工夫次第ではもっともっと有益に使用できたりもします。

今回はそんなギアレンチの活用の幅を広げてくれるギアレンチ用アダプターの紹介。

KTCギアレンチアダプター

KTC ギアレンチ用3/8アダプター

お店での人気ナンバーはこれ。
KTCのギアレンチ用として使える3/8差し込み変換のアダプターです。
14mmのギアレンチやめがねレンチに組み合わせる事が出来ますので、これさえあれば出先でラチェットの替わりとして使う事が出来るスグレモノのアダプターです。

そしてアダプターではありますせんが発売以来人気なのがこのソケット。

SK11ギアレンチ用ソケット

・SK11 デュアルドライブソケットセット(1/4・3/8混合)

ソケットの根本部分がそのままギアレンチに取り付け可能ですので、薄いソケットとして活用出来ます。
また差し込み角アダプターを必要としませんから、必要サイズだけを持ち出し用として活用も出来ますね。

SK11ギアレンチ用ソケット

さらに差し込むとこんな感じになるのですが、ギアレンチゆえの「フラットなめがね部」が逆に使いにくい場所ではオフセットレンチとしても活躍します。

KTCギアレンチセット

KTC ラチェットめがね用ソケットセット(3/8ソケットアダプター付)

上記で説明したアダプターやソケットを全部入りで欲しいよって人にはKTCのこのセットとかもオススメです。

こんな感じでギアレンチもアダプターを付ける事によってさらに使い勝手がアップしたりします。
便利なんだけどもうちょっと…なんて考えている人はぜひご一考くださいませ。