ネプロスのneXTシリーズラチェット

新発売された直後に初回限定とかを打ち出していきなり超品薄になってしまったネプロスのneXTシリーズの新型ラチェット「NBR390X」

ネプロスneXT3/8ラチェット

出るのは知っていたので3ヶ月以上前からバックオーダーに入れておいたおかげで初回入荷分も含め結構な数が当店に入荷しておりましたが、店舗での予約分で全て埋まってしまいなかなかフリー在庫になることがありませんでした。

しかしやっと落ち着いてきたようで現在フリー在庫もボチボチ確保出来るようになりましたのでこのラチェットの雑感でも書いてみようかと思います。

まずこのラチェット。
出自というかスタートがわりとユニークな感じでして、そもそもネプロスとしては10年に一度のビッグマイナーチェンジを行ったばかりだったラチェットのはずが、アナザーストーリー的にパラレル開発されていたものが登場したってのがかなりワケアリなわけです。

ネプロスneXT3/8ラチェット

nepros neXT 3/8ラチェットハンドル

分かりやすくいうと

─ 工具としてのラチェットという概念を一度リセットして工業製品としてのハンドルをイチから設計してみよう ─

ってな感じですかね。(違うかな)
なのでこのラチェットはneprosでありながら全く違うシリーズのneXTの新ラチェットといった方が正解な気がします。

まぁ最終的には民生用の「商品」ですので無限にコストを掛けるわけにもいかないし、みんなが思い描くラチェットから大きく逸脱してしまってもいけないわけです、はい。
なのでもともとあったギアの仕掛けとか工具としての長い歴史からくる全長とか、そんな縛りはあったのだと思います。(矛盾しますけどね)

実際アプローチとしてもカタログやWebサイトにも表記されてますが
(KTCWebから引用)

●トポロジー最適化

設計者の経験に頼らずに、力学的・数学的根拠に基づいて、
構造物の最適な形態・形状を自動的に求め、
剛性を落とさずに軽量化が可能な構造最適化手法のひとつ。
今後、製品の開発においてトポロジー最適化の考え方は、ますます広がっていくと考えられます。
京都大学大学院工学研究科 西脇 眞二教授

とこんな京大のセンセイが難しいテーマを掲げてのチームで作り上げた新ラチェットなわけです。

とまぁ、ここまでが前置き。
ぶっちゃけ「実際に使ってみてどうなのよ?」ってのが私の唯一の興味であって、絵に描いた餅な商品はノーサンキューなわけです、はい。

最初に書きましたがこのラチェットが発売されてから結構な本数を売りましてすでに半年くらいが経過しております。
そしてこのラチェットを購入してくれたユーザーさんはかなりの確立で「現場でガシガシ使って」くれております。

ネプロスneXT3/8ラチェット

まずギアを含めたヘッド周りも評価。
ネプロスの1世代前のギアに近い軽快さがあり、また「面取り」のおかげかかなりヘッド自体がかなりコンパクトに感じます。
実寸だけだと現行ネプロスとあまり差異はないのですが、すごく小さくそして薄く感じるんですよね。
あえて苦言をいうとケースを閉じているネジ、ここをプラスじゃないのにしてくれたら最高でした。どうしても分解時に破損する恐れがありますからね。
とにかく使い勝手はかなりよくて100点中なら95点くらいのハイスコアです。

ネプロスneXT3/8ラチェット

そしてトポロジーな項目のひとつである軽量化。
これもかなりうまく作られているなと思いますし、実際現場で使っているユーザーさんからも見た目以上の使い勝手と軽さを感じると評価を頂いております。
あとパッと見では「なんだか手が痛そう」とか思うのですが、この辺も絶妙に作られているのかなんだかタッチも含め良いんですよね。
細かな仕様とか数値とかは他でも触れられると思いますのでかなり主観的になりますが現場での使い勝手は「総じて良い」と言い切れます。

もうちょっと雑感めいたことをコメントすると。
工具を仕事で使うプロメカさんなら分かると思いますが、いわゆるスタンダードなラチェットって実はあまり出番がなかったりしませんか?
ショートだったりロングだったり、また首振りだったりスイベルヘッドだったり──現場に合わせて工具を揃えていくと、スタンダード過ぎるラチェットって出番が減っていく傾向があります。
そんな作業に応じた工具を使うことに慣れてしまっているメカさんもこのラチェットは手元において使う機会が多かったと言ってくれております。
使うほどに手に馴染むといったメカさんもいましたね。

ってなわけで奇抜なデザインとかそういう面が取り上げられがちな本ラチェットですが、実は道具としてかなり優秀な出来になっています。
店舗でもやっと触ってもらえる実機が用意出来ましたのでぜひ一度お試しくださいませ。