店主の近況 ─2025年4月─

以前このブログでも紹介した当店のYouTubeチャンネル。

YouTubeチャンネル

>>工具専門店エイビット(YouTube)

今年に入って目標としていた1000人登録も達成したので、なんとなく満足というか「次は何しようかなー?」とか考えていたのですが。
3月くらいからいろんな案件というかコラボ依頼というか、舞い込んでくるようになりまして。

やっぱね。
ひとりで黙々と撮影しているのとはまたちょっと違って楽しんですわ。

GW明けには筑波サーキットでも大きめのコラボ案件あるし、前にも書いたけどここ最近はあらためて工具に向き合う事も多くて、いろいろとアップデートされていく感がありますね。

ただし。
動画の編集だけは溜まっていく一方でして、編集ソフトをいいヤツにしたら出来る事が増えてしまい結果として前よりも編集時間が掛かったりもしてます。
(簡易ソフトなら3時間くらいで出来た動画が業務用だと3倍くらい掛かったりします)
その分少し更新頻度を下げつつ今後はやっていく予定ですのでよろしくお願いします。

マキタコラボ

そうそう先週もお店の連休にあわせていろんなコラボ動画撮ってました。
まだ編集中ですので連休くらいにアップ出来たら嬉しいなー。
なんとか間に合わせますのでお楽しみに。

neprosコンパクトヘッドラチェットのO/H

個人的にお気に入りなネプロスの90ギアラチェット。
特に1/4ラチェットは俺的ランキング1位な大好きラチェットなので、お店にくるお客様にもオススメしております。

で、そんなお気に入りのラチェットですがぼちぼち販売開始から約10年以上経ちまして、修理やオーバーホールの依頼が入り始めました。
3/8のラチェットO/Hは以前このブログでも書きましたので今回はコンパクトヘッド(1/4筐体)分解時の注意点でも。

ネプロスラチェット修理

ちなみにこれが以前やった3/8ラチェットの分解。
長年酷使していると内部の油切れやゴミの混入によってメインギアに接続する「パウル」(小ギア)の動きが悪くなります。
(上の画像だとメインギアの左下に映ってるのがパウル)

パウルの動きがわるくなると正逆転の切り替えが渋くなり、またメインギアとの噛み合わせが半端になるので最終的に破損に繋がります。
画像でも分かると思いますがメインギアのギアひと山はコンマ数ミリしかありませんのでギアは半掛かりとかすると壊れてしまうんですね。
ですのでまだ破損するほどではない調子の悪さだった場合には基本的に「清掃」と「潤滑」をして貰えればOKです。
潤滑は防錆潤滑剤等は使わずにサラサラしたオイルをちょっとだけつけてあげれば大丈夫です。(現在のネプロスは丁度0番相当のグリスを推奨しております、あまり見かけないグリスですのでシリコングリス等で代用するのが良いと思います。普通の硬さのグリスは絶対にNGです)

修理やオーバーホールの予兆としては正逆転のレバーが渋くなったら気をつけるようにしてください。

ネプロス1/4ヘッドOH

そして今回のコンパクトヘッド(1/4筐体)のオーバーホール。
今回は内部の修理ってよりソケット取付部のボールロックの不具合でしたのでメインギアだけサクっと交換な案件だったのですが、まぁケース開けるので全部やってしまいましょうってか感じです。

しかし。
3/8ラチェットでも苦労した裏蓋のちっこいプラスビスが外れない…
プラスの番手は#0なのでとにかく舐めないように慎重にやるのですが結果ダメでした。
片側のネジ部分が何かに噛み込んでいるらしくどうやっても外せないので結局ドリルで揉み込んで摘出。(ネジはM2と極小なのでご自分でやるときはその辺の工具も揃えてからやった方がいいかも)

ネプロスやKTCはギア修理用のAssyセットがあってそれを購入すればだれでも修理出来ますが、大抵この裏蓋の取り外しで苦労すると思いますのである程度覚悟を持って臨んでくださいませ。
ちなみに当店で購入したラチェットは部品代だけで修理費用は頂いておりませんのでご相談ください。(他店で購入したものの持ち込みは代金を頂いております)

ラチェットの動作不良は整備の効率にも関わってきますので、なんかおかしいかな?と思ったら確認してみてください。

食いつきが凄いダイヤモンドビット

プラスネジの長年の悩み「カムアウト」
プラスって工具側が尖った形状をしているがゆえに上方向に逃げながらネジをなめてしまうカムアウトをどうするのか?ってのが長年の課題となっております。

ちなみにこの課題を解決しようとして作られたのがTORXネジといわれてますね。

で、このカムアウト。
工具メーカーが考える理論としてどうにかしてアンチカムアウト構造を作れるのかが問題となります。
例えばPBは出来るだけ公差をなくしドンピシャリな形状を差し込む事によって上にも横にも動かない構造をつくろうとしているし。
ACRビットはプラスの平面にギザをつけて上に逃げるのを抑制しようとしています。

で近年あらたにWeraが提唱したダイヤモンド粒子をまぶした滑り止め機構が注目されるようになり、ANEXやベッセルも追従しております。
(たしかベッセルは昔一度ダイヤモンドをやった記憶があるんだけど、どんなのだったか忘れた)

そんなわけで前置きが長くなりましたがANEXが出してきたダイヤモンドビット2種類を紹介。

ANEXダイヤモンドビット

ANEX ダイヤモンド龍靭ビットタフ プラス#2

まずはこちら。
両頭の電動用トーションビットの龍靭ビット。
ダイアモンドビットゆえの「食いつき過ぎ」で先端がねじれて壊れる減少を防止するために金属硬度HRC62.5という工具鋼としてはかなり硬く作られたビットです。
焼入れが硬すぎると折れたり割れたり─が気になるところですが、トーションビットを採用したおかげで耐久性も向上。
当店でもかなりの本数を販売しておりますがユーザーから高評価をいただいております。

ANEXダイヤモンドビット

ANEX ダイヤモンド サイコウビット(超細軸)プラス#2

そして後発で登場したのが片頭ビットで細軸のサイコウビット。
もちろんダイヤモンドシリーズとして出てきたこのビットは軸径でφ3.8mmと超細軸なのに─

ANEXダイヤモンドビット

ちゃんとダイヤモンドビットなのでこの通りに食いつき。
(写真はステンレスビットを食いつかせています)

この「細軸」&「ダイヤモンド」の組み合わせはかなり最強だと思いますのでまだ試していない人はぜひ挑戦してみてください。
※ちなみにサイコウビットのサイコウは「最高」ではなく「細硬」をもじっております。

このANEXのダイヤモンドビットシリーズの動画も観ていただければ結構すごいのがわかっていただけるかと。

長いホイールナット専用ソケット

車両整備向けの工具って時代に合わせていろいろ変わったりします。
ここ10年でも基本こそ変わらないけど変更された工具ってあるんですよね。

そんな時代の流れ的工具ですが最近問い合わせが多いのが「長いホイールナット用ソケット」

KTCホイールナット専用ソケット

Ko-ken 1/2ホイールナット専用ソケット

昔から出ているこのホイールナット専用ソケットでも全長は110mmあるので十分に長いソケットなのですが。
近年はRV車の台頭とかそもそもリムの深い純正ホイールとかの登場で

「もっと長いソケットないの?」

と問い合わせをいただくようになってきました。
そこでKTCからひっそりと新登場したのがこちら。

KTC1/2ホイールナット専用ソケット

KTC 1/2ホイールナット専用 超ロングソケット

いわゆる超ロングなソケットでして全長は180mm
これプロメカさんからとにかく問い合わせ多くて、やっぱりみなさんこれで困ってたんですね。

KTC1/2ホイールナット専用ソケット

本当にちょっとの差なのですが仕事として使うならこんな感じで余裕を持って行いたいですもんね。
とりあえずこの超ロングでも困るくらいな車種はなさそうので、現在悩んでいる人はぜひご一考くださいませ。

工具箱の整理に

年度も変わり春本番って事で工具の問い合わせもなんというかそんな「気持ちを新たに」みたいな感じのものが増えております。
そんな中でガレージや作業環境の改善みたいな問い合わせもありまして、工具や部品の整理をしたい等々の質問も多くなってます。

で、工具の整理の基本中の基本と言えばご自身の工具箱の中の整理。

今回はそんな工具箱用の整理に便利なカスタム出来るツールマットのお話を。

工具の整理用マット

工具箱の中の整理というと近年の流行りはやはりこれ。
ウレタンフォームで出来た工具がすっぽりと収まる工具マットです。
もともとは航空機整備等の現場で採用され、整備終了後に全ての工具が元通りに収まっているのを確認するために作られましたが、これだけ綺麗に収納出来るのならばマネしたいですよね。

しかし、こういうウレタンフォームは汎用性がなくひとつでも工具が増えたり減ったりしたらかっこ悪くなります。
そこでこれの登場。

工具の整理用マット

SIGNET カスタムツールクッション

このスポンジ状のマットはご自分の工具環境に合わせて工具の置き場所を決める事が出来る優れものです。

工具の整理用マット

実際にそのマットを使ってみるとこんな感じ。
まさに理想の仕上がりになります。

ちなみにこのマットですが制作もそんなに難しくなくて…

工具の整理用マット

よく見ると表面はこんな感じにマス目状に切り込みが入っていて

工具の整理用マット

それを工具に合わせて抜いていくだけ。
マス目は15mm角になってますのでかなり柔軟な対応が出来るようになってます。
また硬質のウレタンではなくスポンジ素材ですので多少の無理もききますから、かなり大雑把に作ってもなんとかなるんですね。

毎年年末やこの時期になると注文が増えるカスタムツールクッション。
みなさんもご自分の工具の整理に役立ててみてはいかがでしょうか。