汎用工具で対処出来ない場合

工具の専門店をやっていると日々様々な質問や問い合わせを受けます。
工具と整備は直結している場合が多いので、工具の質問なのか整備自体の質問なのかわからないような事も多く聞かれるのですが、私だって整備のプロではありませんからね……
分かる範囲内での回答となってしまいます。

それでも自動車整備の場合だと「一般的には…」という回答がし易いのですが、これがバイクに関わる整備の話の場合だと、車種別の特徴があってなかなか難しい事も多いです。
(内燃機だけでも水冷・空冷・単気筒・マルチ・V型・4スト・2ストと多種多様)

そしてバイクではもうひとつやっかいなのが専用工具の存在。
一番分かりやすい部分だとクラッチとかですかね。
クラッチ用のプーラーは汎用工具でももちろん存在しますがネジ径や「引き」「押し」だけでも車種ごとに結構違いまして、汎用工具では対処出来ない車種も多いんです。

工具メーカーだってこれだけ種類のあるバイクに全部対処出来ないですからね、代表的な車両向けにしか作ってないのが現状です。
そんな時はとりあえずバイクメーカー純正の指定工具をオススメしております。
工具メーカーが出している汎用工具が使える場合には、その方が他にも使えて高性能で低価格って場合が多いのですが…汎用工具で対応出来ない場合には仕方ないですね。

先日もレーシングカートやっている方から面白い工具を見せて頂きました。

カート用工具

ヤマハの純正工具なのですが、2スト(Bプラグ)用のピストン上死点出し用のアダプターです。

カート用工具

ダイアルゲージは別売りですが、こんな感じでセットしてプラグホールに直接ねじ込んで使う事が出来ます。
レーシングカートだと現場でイニシャルの点火時期のセッティングを行う事があるみたいで、マグネットベースを使ったモノよりも楽で確実だと言ってました。

こんな感じで車両メーカー純正の工具でも面白いものはたくさんあります。
当店ではこういった専用工具の販売は出来ませんが、今はWebの部品検索で専用工具も調べる事が出来ますので困った時は少し探してみてもいいかもしれませんね。

SK11の新型ラチェット2モデル

昨年末のSK11新商品発表会で展示されていた新作工具達が徐々に正規販売され始めております。
本来なら1月ってそこまで工具の新商品が出たりはしないのですが、今年はなんだか忙しいですね。

SK11ラチェット2025新作

ってなわけです、昨年展示場で見たこのラチェットも登場しました。
この時にこのラチェットの開発をした張本人とお話出来まして、工具の新規開発の大変さをいろいろ聞いていたので感慨深いものがありますな。

SK11ラチェット2025新作

SK11軽量中空ラチェットハンドル

まずはこちら「中空ラチェット」
以前からTONEとかSEKでは出ていたこの中空形式ですが、ラチェットのギア部分をブラッシュアップして登場です。
今後のSK11のメインラチェットとなるみたいなので開発に1年掛かったというのも嘘ではなさそうな仕上がりですね。

SK11ラチェット2025新作

SK11伸縮式ラチェットハンドル

そしてうちの店だと待っていた人が多かったのがこの「伸縮式ラチェット」
当店は土地柄なのか農機具屋さんや農家さんのお客さんが多く、こういった出張スペシャルな工具の需要がかなり高いです。

SK11ラチェット2025新作

まして結構な重作業も多いですからね。
こんな感じでビヨーンっと伸ばしてトルクかけることが出来る工具は重宝されますね。
懸念されていた伸縮部分や首振り部分の強度も改善し、ラチェットのギア部分も150%くらい強化されているようです。

価格もSK11なのでそこそこで抑えられているし現場に持ち込んでガシガシ使う人にはかなり良いラチェットだと思います。

気になる人はぜひお試しくださいませ。

RECOIL(リコイル)キットのススメ

手から伝わるいやーな感触。

ネジ山がおかしくなってムニューだったりズルーだったり、ネジ山を壊してしまうのは誰でにもある事なので仕方無いのですが、やっぱリカバリーとかまで考えると憂鬱ですよね。

そんな時に便利なのがネジ山を新規で作り直せるヘリサートとかリコイルの存在。(名前はメーカーごとに違うだけでほぼ同じ物です)

RECOIL キット各種

当店で正規に取り扱いがあるのはリコイルキットなので今回はよく質問がくる事を重点的に説明してみたいと思います。

今現在、最新のリコイルキットはこのような入り組みになっておりまして…

・パケット(ネジ山になる部分)
・挿入下地用タップ
・パケット挿入工具
・パケット端部折り取り工具
・下穴用ドリル

で、これ見るといわゆる肝心な「パケット」だけあれば後はなんとか自分で揃える事が出来るのでは?と思う人が多いみたいでして。
「パケットだけ売ってください」
と言われる事が結構あります。
もちろん補充用としては問題ないのですが…。

そうではなく節約のためにそうしようとしている人もいるようでして、そういう場合には注意点をお伝えしております。

まず。

この挿入治具がないと最後の折り取りもふくめ作業的にはかなり困難になる点。

また。

リコイルドリル

下穴用のドリルと専用タップ。
これも普通のモノではありません。
まぁドリルはまだ大丈夫なのですが…タップは普通の切削タップではなく「転造タップ」(ロールタップ)というのが付属します。
(※特にパチ物の製品はこのドリルとタップの性能が低いので注意です)

これは簡単に説明しますと
──普通の切削タップは下穴に対してネジになる凹み部分を削り取ってネジ山にしますが、付属の転造タップは「寄せて上げる」みたいな感じで凹ませながら凸部分を作っていくタップになります──

これつまり「切り粉」が出ないんです(そりゃ多少は出ますが)
ドリルも切り粉の排除が手前に抜けるようになっているので、壊れたネジ山を作り直す際に「向こう側」に極力切り粉を落とさない配慮がされたセットとなっているわけです。
またそもそも切り粉だけの問題でもなく、パケットの下穴となるように設計されてますので「リコイル用専用タップ」として認識して頂いてOKです。

整備に興味がある人がこのページを見ていると思いますので、あとは分かると思いますが。
セットで買ってしまえばこの価格で済むリコイルですが、後日「やはり治具がないと無理だった」と単品で揃えていくとかなり高額になってしまいます。
別に無理にセットを押し売りしたいわけでなく、結果として安く済む、また作業が確実に行えるものをオススメしたいのだということをご理解くださいませ。

まぁもっと簡単にいえば最初はセットで買ってねーって事です。

充電式のリーフライトが大人気

昨年の春くらいにひっそりと新製品で登場した充電式のリーフライト。
最初はよくある少し大型の照明ってくらいの認知だったのですが…

SK11充電式リーフライト

SK11 充電式LEDリーフライト(作業灯)

お客さんの間で徐々に人気が広がっていきまして、夏くらいは問い合わせの多い人気商品となっておりました。

SK11充電式リーフライト

本体がそこそこ大きいので個人的には「使い勝手あまりよくなさそうかな」とか思っていた時期もありまして。
あまり頑張って販促してなかったので結構びっくりした記憶があります。

本体がそこそこ大きいということは──
つまり電池容量も大きくて電池をあまり気にしないで使い続ける事が出来るってわけでして、これがこういった充電式のライトではかなり重要だったりもするんですよね。

SK11充電式リーフライト

それでも当初は当店のユーザー層に合わせて持ち運びしやすい「クリップ型セット」のみの取り扱いだったのですが。

SK11充電式リーフライト

ちょうど昨年末くらいかな。
日が落ちるのが早くなり、またタイミング的に冬タイヤへの交換が増えてくるのと同時にこちらの三脚セットの問い合わせも急増。
試しに自分でも使ってみたら──あらまーめっちゃ便利やん!って事で急遽店舗でも在庫するようにしたら昨年末のライトの売上でナンバーワンになってしまいました。

クリップ付きセットと三脚セットでは価格は結構違うのですが、付属する三脚の出来がかなり良いので現物見た人だと8割以上の人が三脚セットを購入してくれました。

SK11充電式リーフライト

実は私もかなり気に入ってしまって店内での撮影とか屋外での作業とかでかなりヘビーに使い倒しております。
電池も先述した通り「忘れた頃にやっと切れる」くらい長持ちするので、満充電にしておけば点けっぱなし(LOWモードでも十分明るい)で丸一日くらい持つ感じがします。

実は年末年始でメーカー欠品になっていたのですが再入荷しておりますので、ぜひ一度お試しくださいませ。

ANEXのピンセット

昨年末に開催された宇都宮でのツールショウで先行お披露目があり、その時点でかなりの数の予約注文を受けていたANEXのはじピンがやっと入荷してきました。

ANEXはじピン

ANEX はじピン(はじかないで掴めるピンセット)

展示会では実際に細いものとかビーズみたいな丸くてツルツルしているワークとかをつまんでみる事が出来たので、この予約量の多さがこのピンセットの良さを物語っていると思います。

ANEXはじピン

このピンセットの最大のウリはこの先端の特殊レーザー加工。
これこの画像だとよく分かるのですが、実物みてもいまいちよく分からないんですよね。
とにかくこの特殊加工のおかげでこんな感じに─

ANEXはじピン

なんでもヒョイヒョイつまむことが出来るのはすごいと思います。
(画像の丸部品のこの辺りを持っても本当につまめる)

ANEXはじピン

もちろんピンセットなので全ての人におすすめという工具ではありませんが、ちょっとでも細かな作業があるって人にはぜひ一度試して欲しいピンセットです。