ボルトナットのカジリ防止

どんな整備のベテランさんでも嫌な作業ってのはあるわけでして、そのベスト3に必ず入るのが固着したネジの脱着。

マフラーなんかエキゾースト関係だと「経年劣化」はもちろん「熱」や「雨」でほぼ一体化するまで錆てしまっているボルトまでありますよね。
そこまでいっちゃうと半分くらいは壊す覚悟で緩めたりするんですが、そりゃー壊れないで緩んでくれたら小さくガッツポーズなわけですよ。

で、エキゾースト関係だけかと思いきや実際はブレーキとかフレーム結合部とかブッシュ部とかね、風雨にさらされ熱に侵されって箇所はかなり多いです。

そんなボルトナットに出会ってしまったらもう仕方無いのですが、予防の措置はとれるわけです。

それがかじり防止のケミカル。

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ワコーズ スレッドコンパウンド

ほんとたいしたケミカルじゃ無いのですが、これを分解時にススっと塗っておくだけで何年後かの自分が高確率で褒めたくなるって言うケミカルです(笑)

別にこの製品じゃなくてもカパーコンパウンドとかいろんな呼び方でかじり防止剤は出てますので、手に入りやすい物でOK。
一回買えばしばーらくは持ちますので、持っておいて損じゃないケミカルだと思います。

使い方はいたって簡単。

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これはプラグに塗っているところですが・・・こんな感じでネジ山部分に薄く塗ってあげればOK。量ははみ出したら汚いのでスススっと軽めにね。

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これはホイールのスタッドボルト。これも多めに塗ってもあまり意味ないので軽く塗っておけばOK。

これを塗っておくだけで熱のカジリが大幅に軽減され、後日の作業がかなり楽になります。

なので気にする人(私も)は新車購入や中古車購入時に、車両をバラシつつ塗ってトルクレンチで組み付けってな具合に自分の愛車をシャキっとさせるんですね。

ただし塗り方を間違えるとオーバートルクの原因にもなりますので、詳しくは製品紹介ページに書いてある注意事項をお読み下さい。

お店に来店してくれて初心者さんが最初のワンセットを購入しにきたりしたら、かなりの確立で私はこいつもオススメしてます。それくらい隠れた基本ケミカルですよ。

 

ベアリングプーラー~内抜き~

整備に関係する各種専用工具いわゆるSST。

作業内容とか必要度合いとか、いろいろありすぎて一言でSSTと言っても絶対に無いとダメって工具はそんなになかったりします。

しかし、やっぱね専用工具と言うくらいなので他の工具の代用が全く効かない物があるのも事実。

そんな代用の効かない工具の代表格と言えばやはりプーラーじゃ無いでしょうか。

またプーラーと言ってもいろんなプーラーがありまして、普通の2つ爪や3つ爪の汎用がそこそこ効くプーラーからアーマチュアプーラーのような応用の利かないプーラーもあります。

今回はそんな応用も代用も効かない代表工具の内抜きベアリングプーラーのお話。

内抜き

というのはベアリングが穴にハマっている状態での引き抜き時の事でして、この場合ベアリングの中央の穴になにかしらの工具を引っ掛けて抜く事になります。

あまり工具に詳しく無い人だと2つ爪のプーラーを逆にすれば抜けそう・・・とか思うのですが、それじゃあ抜けないんですね。

工具のメーカーからも2つ爪タイプの内抜き用のプーラーが出てたりしますが、はっきり言ってお勧めしてません。

で、お勧めと言うとこのタイプ。

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スーパーツール インナーベアリングプーラーセット

このコッター形状の物を差し込んで使うタイプがお勧め。ってか結構強力にハマっているベアリングが多いので、この形状の物じゃないと抜けないってのがホントのところですね。

あとベアリングの奥側に隙間があまり無い場合が多くて、このコッタータイプでギリギリですから2つ爪の厚みがある爪ではベアリングに掛からない事も多いです。

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需要がものすごく多い工具ってわけではありませんが、やはりそこそこの頻度で問い合わせが来る工具でもあります。

その時に2つ爪タイプの相談も良く受けるのですが、上記のような理由と私の経験でこちらのタイプをお勧めさせて頂いてます。

ちょっと価格的には高い工具ですが、ひとセット持ってしまえば大抵のインナーベアリングに対応出来ますので安心して作業出来ますよ。

私の夏休み

世間的にはお盆休みだったと思いますが、こういう大型の連休は帰省ついでにお店に寄ってくれる人も多くなかなか休めません。

ただし連休って全部忙しいわけでもなく、大抵連休前半が忙しく後半になるとボケーっとするほど暇だったりするので、近年は後半に1日だけお休みを頂くようになりました。
実際みんなの楽しい報告をいろいろ聞いてモヤモヤしてるんですから、メンタルデトックス的な意味でもこういうお休みは大切ですね。

 

ってなわけで今年は8月15日(土)にお休みを頂きまして。
ひっさびさ。

ほんとにひっさびさにバイク積んで遊んできました。

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朝早くにガバっと目が覚めて直行した先はモトクロスコースのモトフィールド榛名。
あのイニシャルDでも有名になった榛名峠の近くです。

ここは設備が充実したモトクロスコースとしても有名でして、立派なクラブハウスとか敷地内にバーカウンターあったりとか走行後も楽しめます。
そして8月15日には榛名地区の花火大会もあるとの事でして、走行後には山の高台から花火大会を見下ろしつつビール飲んで楽しんじゃおって事に。

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芝生の広大なパドック(実はラジコン飛行場の滑走路です)

いや・・・しっかし。
バイク久しぶりだなー。今年はホントにいろんな事ありすぎてバイクに乗っている暇というか乗るタイミングがなかったのですが、このブログを読み返すと前回乗ったのが5/5ですよ。

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久しぶり過ぎて恐る恐る走りはじめてみるとジャンプもガッツリあるモトクロスコースでうまく走れない・・・(笑)
それでもたまにしか乗れなかったんだし・・・と思いつつ人より走ろうと決意して頑張って乗りました。(ほんとは走行後のビールがうまくなーれと思いつつw)

で走行後はお楽しみのワハハタイム。

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敷地内のバーではジャズの生演奏。

・・・・しかし。花火大会が始まる時刻くらいにパラパラと冷たい雨が。

そして雨は降り続きまして。

なんか土砂降りなんですけど・・・。
土砂災害注意報出てますけど・・・・。

明けて翌日。

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見事にアチコチ土砂崩れが起こったモトクロスコース。

雨は残念だったけど逆にまた集まった時の笑い話がひとつ増えた感じですかね。
お付き合いいただいたお仲間に感謝。

使えるドライバー番外編

自分でも車いじったりバイクいじったりしてまして、出先とかでは工具を頼りにされたりもするのですが。

現場で「ちょっとだけ工具貸してー」とか言われて貸すと後日かなりの確立で購入してくれる、ちょっと便利な工具ってのがあります。そりゃね、工具店やってますから人よりはいろいろ工具も見て知ってますし、ましていろんなプロメカさんとの交流も多いですから変則で便利な使い方とかも聞いて知ってますしね。

 

で、今日はそんなちょっと便利な工具のドライバー編。

ドライバーと言ってもアンチカムアウトなプラスドライバーじゃ無くマイナスドライバー、そしてさらに言えばネジ回しじゃなくて工具店としてあまり推奨出来ないこじるドライバーのお話。

車やバイクとかを整備していると出てくるゴムキャップとかダストシール。あの手のものをクイっとうまい事めくるのって結構面倒でして、さらに言えばその下地を傷つけたくないもんですよね。

そんな時に便利なのがこれ。

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KTC シールピックツール

いきなりドライバーじゃないじゃん!って言われそうですが、ドライバー形状って事でご勘弁。このツール、ほんとに便利でしてちょっとした物をクイっと剥がすとっかかりに凄く使えます。
(※ちなみに本来は縦方向にシールを押し込むのに使うツールです)

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先端は丸くゆるく作られていて相手を痛めにくいのも良いですね。

名前がシールピックなので硬いシールとか向けだけだと思われがちですが、こじり方向でもクイっと使えるんですね。

 

しかし。

これだけじゃちょっと足りない。クイっと隙間をあけてから確実に外してくれる相棒となるドライバーが必須なのです。

それがコレ。

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PB キャブドライバー各種

番手は好きなの買えば良いのですが個人的にオススメは#4 幅があり、さっきのシールピックで開いた隙間にこれを差し込んでねじれば完璧です。

何故、このキャブドラなのか?

その秘密がこの先端形状。

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普通のマイナスドライバーよりもテーパーの角度がきつくあいた隙間を押し広げるのに都合が良いんですね。そしてよく見ると綺麗に面取りしてあり相手を痛めにくい形状をしています。いろいろ試しましたが不安なくダストシールを外したりするには、この2点がかなりベストな組み合わせです。

もちろん同軸径のドライバーですのでホールの奥にある調整ネジにもアクセスしやすいですし、買っておいて損じゃ無いドライバーだと思います。

 

単純なボルトナットだけの整備ならばなかなか揃える気にならない工具ではありますが、そういったちょっと面倒系な作業にはすごく便利に使える工具の一例です。

是非お試しくださいませ。

キワ切り出来るニッパ

ウチは工具の専門店なので工具はもちろん、工具のカタログもかなりいろいろあります。
近年はあまり部数を刷るところが無いので、業務用として当店に1冊しかないなんてのも含めればそりゃもうかなりの数になります。

で、そんなカタログ。

特に何かの専門メーカーとかを見ると似たような工具ながら種類がいっぱいある物ってあるんですよね。
欧州や欧米でとくに専門的に分類されるのがにぎり物系の工具。

ラジペンとかニッパとかね。

いったい何を基準に使い分ければいいんだろう?と思えるほど種類があったりします。

この辺の事に関しては諸説あるんですが、個人的にはこういう説とか楽しくて好きです。
(ソース無し、うわさ話程度に思ってください)

細かな作業用として使う事が多いニギリ物系工具は手が不器用な人のためにかなり細分化されて海外では専用品が多く存在するようになった、日本では作業者が器用な人が多く専用品をあまり必要としなかったため工具の細分化がされずに握り物を使い分ける風習があまり無い。

ってやつ。
これ初めて聞いた時妙に納得しちゃったんですよね。まぁ余談ですけどね。
ま、あまり細か過ぎるほど細分化されても困りますが、やはり作業に合った物を使うのは気分がいいもんです。

 

で、今日の本題であるキワ切り出来るニッパの話。
主に車両整備目的だとタイラップ切断時に欲しい工具だと思います。で、それ用に一番売れているのがこれ。

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KNIPEX エレクトロニッパ フラッシュカット

ギリギリの所でカット出来る刃形状もさることながら、本体もかなり小さくコンソール裏とかの奥まった箇所でも楽に使用出来る優れものです。
このブログでも何回か説明した事あるのですでにお使いの方も多いと思います。

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こんな感じでタイラップをパチンと。

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切断面が飛び出さないように綺麗にカット出来ます。業種によっては事故防止の為にギリギリでカットしないとダメって規則があるところまでありますので、こうやって綺麗に切断出来るのは嬉しいですよね。

で、さらに。このフラッシュカットには便利機能の付いたもう1本が存在します。

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これ。
ワイヤークランプと言う機構なんですけど、切り取った部分をパチンっと飛ばさずにホールドしてくれるんです。
これが実際使ってみるとかなり便利。

そしてこれもキワ切りニッパ。

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KNIPEX プラスチックニッパ

こちらは全長160mmと普通のラジペン・ニッパな大きさですけど、刃がフラッシュカットになってましてギリギリで切断可能。
大きさが少し大きいので通常のニッパと混同されやすく間違って使ってしまうと刃こぼれの可能性がありますのでご注意を。
このニッパーは先端が大きく斜めになっていて個人的には20年以上愛用しているニッパーとなります。

どれも専用品としては価格が少し高くなるのでこれがなんなのか分からないとなかなか購入にまで至らないと思いますが、説明出来る店舗では結構な人気工具です。

こんな隠れた逸品もありますので是非一度お試しくださいませ。