ナットグリップとユニバーサル

ボルトナット、そしてプラスビス等。
真下の少し奥にあるような箇所、さらにいえば工具は入るけど手は入らない、そんなところの整備でイライラしたことがある人は多いと思います。

特にボルトナットに対するソケットは面接触を採用するようになってから公差が大きめにとられるようになりましたので、余計にポロリしやすいんですよね。

そんな時に便利なのがボルトナットを保持してくれるナットグリップソケットです。
私が知る限りだとボールロックタイプのナットグリップソケットを国内で最初に出したはのは確かFPCだったかと思います。
当時は「へぇうまいこと考えたもんだね」とか思いましたが、ソケット自体に少し厚みが出てしまい狭所での作業を前提に考えると正直イマイチな感じでもありました。

そんなナットグリップソケットを後発ながらKo-kenも発売。
これがなかなか出来がよくて今ではある意味コーケンの代名詞的工具のひとつになりました。

で。
実は私の記憶が間違ってなければ(間違ってる可能性大ですが)Ko-kenのナットグリップはこのソケット──

Ko-kenナットグリップユニバーサルソケット

Ko-ken 1/4ナットグリップユニバーサルソケット

1/4差し込みのユニバーサルソケットと組み合わされて出たのが最初だったと思います。
これって当時は地味な新製品だったのですが徐々にメカニックの間で口コミで広がり高級工具メーカーで揃えている人でも、このソケットだけは別腹といった感じで購入していく人が多かった印象です。

Ko-kenナットグリップユニバーサルソケット

ナットグリップ部分にだけ注目されがちなのですが実際に使ってみると「ユニバーサルソケット」(ソケット直付け)なのもかなりいいんですよね。

Ko-kenナットグリップユニバーサルソケット

先程も書きましたが奥まった狭い箇所にあるボルトナットにアクセスする場合にこのソケットの「ボルトを落とさない」と「真っ直ぐ差し込めなくてもOK」なメリットが最大限に生きるわけです。

そしてそんなKo-kenからZ-EALシリーズとしては初となるナットグリップソケットが登場。

Ko-kenナットグリップユニバーサルソケット

Z-EAL 1/4ナットグリップ ユニバーサルソケット

Z-EALとしての新設計なのでなんとボールジョイント採用となっております。

Ko-kenナットグリップユニバーサルソケット

Z-EAL 3/8ナットグリップ ユニバーサルソケット

1/4差し込みと3/8差し込みがありますので作業にあったものをお選びください。

しかし奇しくもZ-EALとしての初ナットグリップソケットがユニバーサルモデルになるというのは昔のKo-ken初採用と似てて面白いですね。

ストレートめがねを使う

車両整備における工具の歴史はとても長いのですが、そういった整備工具の黎明期でもあった1960~1970年くらいには現在の工具のカタチはある程度確立されていた印象でして、例えば今みなさんが目にするコンビネーションレンチとかは50年以上大きな進化というのはありません。

そんなハンドツールの中にあっても、ごく稀に目から鱗の工具が登場するから面白いですよね。

今回紹介するストレートめがねレンチも実はある時期に一気に広まった後発工具のひとつです。
35年くらい前かな。(時期は詳しく覚えてない)
スナップオンから航空機向けレンチとしてスタンダードラインナップの中ではなく「etc」のページに記載されて徐々に広がっていった印象があります。
(個人的にそう覚えているだけなので違うかもしれませんが)

時代的にも自動車のエンジンルームはどんどん狭くなっている時代で、さらにいうと横置きエンジンのFF車も多数登場してました。
ストレートめがねというと超ロングストレートめがねを思い浮かぶ人も多いと思いますが、このレンチが最も重宝されたのがそういった「狭くて真っ直ぐ工具を突っ込みたい」整備が多くなったってのもあったのかと。

ちなみに余談ですがそれまでストレート形状のレンチがない時代には。

ネプロスSシェイプ

nepros Sシェイプめがねレンチ

こういったS字めがねやハーフムーン等は真っ直ぐ使えるレンチとして活躍してました。
今でも場所によってはこの形状で真っ直ぐ工具を突っ込めるのが便利な箇所もありますね。

そんなわけで超ロングストレートめがね。

TONE超ロングストレートめがね

TONE 超ロングストレートめがねレンチ

様々なメーカーから発売されておりますが現場での使用感とかサイズラインナップの広さ等も加味するとTONEの超ロンが一番人気ですね。
日産車をイジる人にも16×18の設定があったりするのがかなり良い感じです。

ネプロスストレートショート

nepros ストレートショートめがねレンチ

こちらは少し毛色が違いますがストレートの「ショートタイプ」
実は個人的にかなりお気に入りの工具のひとつでしてあまりトルクを必要としない&ラチェットとかでは作業しにくいとうな場所でかなり重宝します。
ブレーキのエア抜き用としてもかなり売れてますね。

そして超ロングでの人気レンチをもうひとつ。

SK11超ロングギアレンチ

SK11 超ロングフレックスギアレンチ

先述した通り超ロングストレートの場合「奥まったボルトに真っ直ぐ突っ込んでアクセス出来る」ことがメリットのひとつですので、奥まった箇所にアクセスしたあとはチョコチョコ回す場面もあるわけでして。
このギアレンチモデルはその辺をカバーしてくれるのでかなり使い勝手がいいんですね。
ギアレンチの反対側は普通の超ロングストレートと同じオフセットめがねになってますので初緩めや締め込みも問題ありません。

ってなわけでトルクを掛けるのもバッチリ、奥まった箇所にアクセルもOKな超ロングストレートめがね。
ご自身の整備環境に応じてサイズ選定して揃えればかなり便利な工具として使えると思いますよ。

新たな相棒KLX230R

2年前の首の病気、そしてその後の肩の骨折等ありまして趣味であるオフロードバイク遊びが出来ない2年間を過ごしました。
工具のお店をやっていると心のどこかで「何かを整備して楽しみたい」という欲求があったりもするのですが、オフロードバイクの、ましてレースモデルでしたら配線等も少なくて「バラして組み立て」がかなり簡単なので私にはちょうどいいんですね。

でもそれも乗らないならイジる必要がないわけでわりと気に入っていたハスクバーナをサクっと売ってしまいました。
で、昨年末。
医者から「もう治ったからなにしてもいいよ」と許可がおりましたので、新たなバイク選びをしていたところ知り合いのバイク屋さんに在庫のKLX230Rがあると聞き購入に至りました。

このバイク。
Rがつくモデルは公道走行NGのレース用モデルではあるのですが、Rが付かない公道用もありまして各部品が共用されていたりして手元にきてからのモデファイがある程度必要でした。

KLX230Rモデファイ

ちなみにこのバイクは空冷の230ccでしていわゆる「ガチレーサー」とは違いどちらかというとナンバーの付かないファンバイクって位置づけだと思います。
実際乗ってみるとインジェクションならではのピックアップの良さこそありますが、上まで回らないトルク型の特性でレーサーのつもりで買うと後悔するかもしれませんが、ゆったり遊べるバイクが欲しいって人には絶妙なバイクでもあると思います。

で。
先述した通り各部が公道用のトレールバイクと部品を共用していますので、その辺を昨年末から少しずつモデファイしてきました。
(個人的な備忘録も兼ねてます)

KLX230Rモデファイ

まずは摺動部のグリスアップ。
ステムはもちろんホイールやリンク周りまでグリスアップ出来る箇所は全て行いました。

KLX230Rモデファイ

そして純正の鉄ハンドルをアルミバーに変更。
ついでにクローズドのガードを取り付けて手元の操作周りの配線も綺麗に引き直し。

KLX230Rモデファイ

速攻壊しそうなリアブレーキペダルも鍛造品に変更。
この後画像はありませんがワイドのフットペグに変更。

KLX230Rモデファイ

純正はファイナルが13-46とオフ車にしてはかなりロングなのでリアスプロケットをアルミ製にしつつ50丁に変更。(チェーンも変更)

KLX230Rモデファイ

あとはこのバイクのモデファイではキモとなる軽量化。
トレールとの共用で無駄なステー等が付いている箇所を除去したり作り直したりします。
(ちなみに純正のマフラーも重いので軽量のチタンフルエキに変更済み)

KLX230Rモデファイ

車体側面に重量級のステーと一緒に留まっていたレギュレーターは車体中央部にアルミステーを新設して移植。
ついでにイグニッションコイルも移設しつつプラグコードをNGK製に変更。

KLX230Rモデファイ

よけいなステーを除去していくと空冷ならではのシンプルな感じになりました。
あとは配線等を少しスッキリさせつつ。

KLX230Rモデファイ

気になっていたメインスイッチを除去。(鉄製で重くスイッチもデカい)

KLX230Rモデファイ

スイッチは中華の押しボタン式を採用(壊れそうなので予備買っておこうw)
アルミ板でステーを新設しつつガレージに転がっていたカーボンシール貼ってそれっぽい仕上げに。
(ちなみに配線がかなり難解なので真似する人はテスト必須です)

こんな感じで当初にやりたいと思ったメニューは大体終了。

あとは外装とシートを変えればあとは楽しく乗るだけになりそうです。
さすがにいい歳になりましたので「今回こそ終のバイクかな」とか思っておりますが、さてさてどうなることやら。

かなり優しい相棒ですので今年こそ怪我に気をつけて楽しみたいと思います。
いやーやっぱ乗ってイジれる環境は楽しいっすね。

大きいサイズのソケット

車やバイクをいじりはじめると、まずは基本的な工具をひと揃いそろえる事になりますよね。

これが例えば「ちょっとした作業しかやらない」とか「まだ整備自体が良く分からない」状態だったとしても、ラチェットやソケットは必要だしドライバーだってなきゃいけないし、ニッパーやラジペンだって持ってないと作業出来ない可能性あるし…ってことで結局基本工具と言われているものはある程度必要になって揃えることになります。

そんなわけでなんとか基本的な工具が揃ってくると出来る作業の幅も広がってきて、それに応じた工具をちょこちょこと増やしていって徐々にですがその人なりの工具セットになっていくわけですが──

 

結構忘れられがちなのが大きめのソケット。

以前のこのブログのエントリーで差し込み角の対応サイズと言うのを書かせてもらいましたが、ここで書かれている通りある程度工具が揃ってきてからは計画的にソケットを買いそろえる必要があるんですね。

そして大きめサイズとなる1/2差し込みのソケットが欲しいとして、ここでセット買いとしようと思うと結構悩む事になります。

それはメーカー純正の1/2ソケットセットの場合、下は8から上が22ミリくらいまでのセットが多く、先程のエントリーのように自分の揃え方にあったソケットをセット買いでうまく済ませる事が出来ないんですね。

KTC1/2ソケットセット

KTC 1/2ソケットセット10個組

例えばこのKTCの1/2ソケットセット。
8ミリから24ミリまでのセットになっていまして1/2ソケットで使いたい27ミリとか32ミリとかは入ってません。(もちろん基本に沿って揃えるならこれスタートでもアリだと思います)

そんなわけで「大きいサイズのソケット」ってその人がやる作業に大きく関係してくることが多いので、その人が使いたいサイズを中心に揃えるのをおすすめしております。

KTC1/2ソケット

KTC 1/2ショートソケット単品

今回は「ある程度工具が揃ってから買い増しする大きいソケット」ですので1/2ソケットで10ミリとかは必要ないですよね。

Ko-ken1/2ソケット

Ko-ken 1/2ショートソケット単品

またある程度工具が揃ってきたということはご自身でやりたい作業も明確になってきていると思いますので必要な大きいサイズのソケットも分かるようになっていると思います。

Z-EAL1/2ソケット

Z-EAL 1/2ショートソケット単品

ですのでこちらで紹介しているようなソケット単品から必要サイズを揃えるのが良いと思います。

ちなみに1/2ソケットで使用する大サイズでは一般的に。

19・21・22・24・27・30・32・36mm

といった感じで基本サイズとなっておりますのでサイズ確認時は参考にしてみてください。(一部車種で23や29mmとかも出てきますので要確認)

Z-EAL1/2ソケット

ってなわけで今回は大きいサイズのソケットの揃え方でした。
それでもいざ揃える時になって分からないって人はご相談くださいませ。

車載工具に便利なビットラチェット

車載工具を検討するうえでいくつかの要点ってのがありまして。
そもそも限られたスペースに置くことを前提とすると、持っていく工具は出来るだけコンパクトなほうが望ましかったりします。
特に積載量が限られているバイクとか自転車ではその傾向が顕著ですよね。

そしていろいろある工具の中でも握りのグリップ部分があるドライバーという存在はなかなか場所をとる工具のひとつでして、このドライバーをなんとかすることが出来ると車載工具は一気に小さくまとめる可能性が出てきたりします。

ってなわけで今回はそんなドライバーの代替工具としてよく検討されるビットラチェットをいくつか紹介します。

SIGNETミニビットラチェット

SIGNET ミニビットラチェットセット

コンパクトで使いやすいビットラチェットとしてSIGNETで登場した元祖のモデルとなり、現在でもスタンダードモデルとして人気のセットです。

SIGNETミニビットラチェット

SIGNET フレックスミニビットラチェットセット

そして後発で出たいわゆる「首振りロング」モデルがこちら。
上のスタンダードもこの首振りも車載工具として使うのに適したポイントがありまして。

SIGNETミニビットラチェット

それがこの後端部のビット差し込み部分。
ラチェット機能は付いてませんが90度に曲がって操作するラチェット部分では入らない「ちょっと奥まった真っ直ぐに差し込んで回すネジ」にとても有効です。

またこの首振りモデルならばトルクを掛けたい時にラチェットの首振り部分を曲げて操作すればストレート形状の時よりもトルクをかけることが出来ますので出先でもかなり重宝するんですよね。

SIGNETミニビットラチェット

SIGNET ウルトラショート ミニビットラチェットセット

そしてそんなSIGNETのミニビットラチェットシリーズの中でもソケットまで付いた人気商品がこちら。
ウルトラショートで根本部分に1/4差し込みが付いたモデルです。

画像のようにこのモデルには1/4ソケットも付属してますので、さらに「車載工具」っぽさが出てますよね。

SIGNETミニビットラチェット

全長がかなり短いので10mm以上のボルトナットを回すのには少し厳しいのですが。
それは1/4差し込み部分にこんな感じでスライドT型レンチを差し込んであげれば解決。
上記のモデルと違って後端部のビット差し込み口がありませんので、どちらのほうが自分に合っているモデルなのかはご検討くださいませ。

価格もそこそこ安価ですので車載工具の宿命である「出先で紛失」した時もダメージはそこまで…だと思います。
持っていく工具を検討中の方はぜひこのビットラチェットも候補に加えてみてください。