あっと思った時には嫌な手応えと同時にポロリとネジ頭がもげて転がる…
整備をしていれば誰でも一度は通る、ボルトのなめや破損。
整備を開始する時におおよそ想定していた作業時間は大幅に狂い、下手すれば同日中に終わらなかったり、自分の整備レベルでは対処出来ないような事態にまで発展することがあります。
で、そんな不測の事態への対処に関してはいわゆる「正解」というものは存在してなくて、究極を言ってしまえばどんなざまでもヘッドの折れたネジを外すことさえ出来ればそれが正解なわけです。
整備でも初心者から脱初心者、そして中級者くらいになったとしてもこのネジのレスキューだけは経験がかなりものをいう作業でしてわりとパニックになりがちです。
そんなわけで前置きが長かったのですが今回はネジの救出にまつわる工具と考え方のお話。
少し整備を知っている人だとまず思いつくのはこの「逆タップ」ですかね。
別途でドリルで下穴開ける必要がありますがいわゆる昔からある古典的な正攻法のひとつです。
こちらも上記の逆タップに似てますがソケットタイプとして人気です。
HEXやプラスビスに特化したこのセットも趣旨がちょっと違いますが人気の救出工具のひとつですね。
で、こんな感じでいわゆる「救出系工具」ってのはいくつもあるのですが、まず大前提を見誤ってはいけません。
そもそもボルトを破損する原因が何だったのかです。
まず確認したいのが「締め込んで折った」のか「緩めようとして折った」のか。
締め込んで折った場合だとネジ部のカジリ等はあまりない場合が多く、上記のような工具を使わなくてもポンチ等で軽く回す方向に叩いてあげたり、折れたボルトの面に軽く溝を切ってドライバーで回してあげたりすれば緩む場合が多いです。
そして緩めようとして折った場合には
・そもそもボルトの経年劣化等でネジ部のカジリはあまりひどくなく折れた。
・熱が多く掛かる箇所で熱カジリにより折れた。
・錆が多い箇所で錆の固着で折れた。
・異種間の金属締結箇所で電着によってカジリが発生して折れた。
等々。
これらによって初動の対処がちょっと変わってきます。
今回はこの部分までは事細かに説明はしませんが、このような事態になった場合には一度深呼吸してから現状の把握をしてから臨むようにしてください。
そうすればおのずと必要な工具も見えてくるもんですよ。