配線被覆剥き ワイヤーストリップ

車両整備の中でも苦手意識がある人も多い配線関係の作業。

私も整理整頓とか得意じゃないので綺麗にまとめられた配線とか憧れちゃうんですが、ホントのプロが見た目以上にこだわるのが確実な結線。
車両に関わる配線や結線って振動や熱による経年劣化でどんな壊れ方をするのか予測が立てにくいんですね。

まして配線は見せないように……とか結線部分は隠すように……って作業するわけですから何年か経って電装系トラブルが出たときなんてそりゃもう大変。
なのでとにかく施工時に出来るだけ確実な作業ってのが求められるんですね。

で、そんな配線作業で意外と軽視されがちなのが被覆の皮剥き。

配線作業はここから始まるってくらい実は重要な作業なんですが、ニッパーあたりで適当にぐりぐりやってしまっている人もいるハズ。

 

で、そんな時におすすめなのはやはり専用工具。

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こういった専用の工具を使い配線にあった作業さえすればダレにでも綺麗に被覆を剥く事が出来ます。
プロ向けにおすすめなのがこれ。

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HOZAN ワイヤーストリッパー 

当店では中太線用と細線用の2本を在庫してます。
プロ向けと書きましたがそれだけ綺麗に作業出来るわけですから、一般の方にももちろんおすすめです。

ひとつ問題とすれば配線のサイズが分からないとちょっと失敗する事があると言う事ですね。
まぁそれだって一回失敗したら少しずらしてやり直せばいいのですから問題はないのですが。

で、いやいやもうちょう簡単なのが欲しい!って人にはこれ。

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HOZAN オートマチックワイヤーストリッパー

こちらは配線の太さとかあまり気にせず配線をはさんで握るだけ。ホントにそれだけで皮剥き完了です。
またこのモデルは配線の途中をちょっとだけ剥くとかも出来るので三つ叉配線したい時とかに重宝します。

IRWINストリッパー

IRWIN セルフアジャストマルチストリッパー

こちらも調整無しのオートで皮むき出来るIRWIN(アーウィン)のストリッパー。
これも配線途中の皮むきも得意なモデルで、オーディオ屋さんとかではかなり人気の工具です。

どのモデルでも良いのでちゃんと使えるストリッパーはひとつは持っていて欲しい工具のひとつですね。

カタログ刷新と価格改定

確か前回のカタログリニューアル直後に価格改定が行われたKo-ken
やっと今回のカタログで整合性がとれるようになりました。

Ko-kenカタログ

Ko-ken 総合カタログ(2025.1)

ってなわけで近年大人気のソケット専門メーカーKo-kenが久しぶりにカタログを新しくしてくれました。
見ていくと結構「New」マークも付いているのですが基本はサイズ拡充かな。
特に目立つのがインチサイズが増えたんですよね。
多分だけどどこか航空業界との繋がりが出来たんでしょうね。

その他の新商品に関してざっくりお話した動画もアップしてあります。
参考までにどうぞ。

それと2月末で工具メーカーの価格改定の情報が多くきております。
中でもビックネームなのがKTCですね。
現在も店舗では駆け込み需要が増えていて品薄になりつつあります。
何か気になっているものがありましたら今のうちにどうぞ。

汎用工具で対処出来ない場合

工具の専門店をやっていると日々様々な質問や問い合わせを受けます。
工具と整備は直結している場合が多いので、工具の質問なのか整備自体の質問なのかわからないような事も多く聞かれるのですが、私だって整備のプロではありませんからね……
分かる範囲内での回答となってしまいます。

それでも自動車整備の場合だと「一般的には…」という回答がし易いのですが、これがバイクに関わる整備の話の場合だと、車種別の特徴があってなかなか難しい事も多いです。
(内燃機だけでも水冷・空冷・単気筒・マルチ・V型・4スト・2ストと多種多様)

そしてバイクではもうひとつやっかいなのが専用工具の存在。
一番分かりやすい部分だとクラッチとかですかね。
クラッチ用のプーラーは汎用工具でももちろん存在しますがネジ径や「引き」「押し」だけでも車種ごとに結構違いまして、汎用工具では対処出来ない車種も多いんです。

工具メーカーだってこれだけ種類のあるバイクに全部対処出来ないですからね、代表的な車両向けにしか作ってないのが現状です。
そんな時はとりあえずバイクメーカー純正の指定工具をオススメしております。
工具メーカーが出している汎用工具が使える場合には、その方が他にも使えて高性能で低価格って場合が多いのですが…汎用工具で対応出来ない場合には仕方ないですね。

先日もレーシングカートやっている方から面白い工具を見せて頂きました。

カート用工具

ヤマハの純正工具なのですが、2スト(Bプラグ)用のピストン上死点出し用のアダプターです。

カート用工具

ダイアルゲージは別売りですが、こんな感じでセットしてプラグホールに直接ねじ込んで使う事が出来ます。
レーシングカートだと現場でイニシャルの点火時期のセッティングを行う事があるみたいで、マグネットベースを使ったモノよりも楽で確実だと言ってました。

こんな感じで車両メーカー純正の工具でも面白いものはたくさんあります。
当店ではこういった専用工具の販売は出来ませんが、今はWebの部品検索で専用工具も調べる事が出来ますので困った時は少し探してみてもいいかもしれませんね。

SK11の新型ラチェット2モデル

昨年末のSK11新商品発表会で展示されていた新作工具達が徐々に正規販売され始めております。
本来なら1月ってそこまで工具の新商品が出たりはしないのですが、今年はなんだか忙しいですね。

SK11ラチェット2025新作

ってなわけです、昨年展示場で見たこのラチェットも登場しました。
この時にこのラチェットの開発をした張本人とお話出来まして、工具の新規開発の大変さをいろいろ聞いていたので感慨深いものがありますな。

SK11ラチェット2025新作

SK11軽量中空ラチェットハンドル

まずはこちら「中空ラチェット」
以前からTONEとかSEKでは出ていたこの中空形式ですが、ラチェットのギア部分をブラッシュアップして登場です。
今後のSK11のメインラチェットとなるみたいなので開発に1年掛かったというのも嘘ではなさそうな仕上がりですね。

SK11ラチェット2025新作

SK11伸縮式ラチェットハンドル

そしてうちの店だと待っていた人が多かったのがこの「伸縮式ラチェット」
当店は土地柄なのか農機具屋さんや農家さんのお客さんが多く、こういった出張スペシャルな工具の需要がかなり高いです。

SK11ラチェット2025新作

まして結構な重作業も多いですからね。
こんな感じでビヨーンっと伸ばしてトルクかけることが出来る工具は重宝されますね。
懸念されていた伸縮部分や首振り部分の強度も改善し、ラチェットのギア部分も150%くらい強化されているようです。

価格もSK11なのでそこそこで抑えられているし現場に持ち込んでガシガシ使う人にはかなり良いラチェットだと思います。

気になる人はぜひお試しくださいませ。

RECOIL(リコイル)キットのススメ

手から伝わるいやーな感触。

ネジ山がおかしくなってムニューだったりズルーだったり、ネジ山を壊してしまうのは誰でにもある事なので仕方無いのですが、やっぱリカバリーとかまで考えると憂鬱ですよね。

そんな時に便利なのがネジ山を新規で作り直せるヘリサートとかリコイルの存在。(名前はメーカーごとに違うだけでほぼ同じ物です)

RECOIL キット各種

当店で正規に取り扱いがあるのはリコイルキットなので今回はよく質問がくる事を重点的に説明してみたいと思います。

今現在、最新のリコイルキットはこのような入り組みになっておりまして…

・パケット(ネジ山になる部分)
・挿入下地用タップ
・パケット挿入工具
・パケット端部折り取り工具
・下穴用ドリル

で、これ見るといわゆる肝心な「パケット」だけあれば後はなんとか自分で揃える事が出来るのでは?と思う人が多いみたいでして。
「パケットだけ売ってください」
と言われる事が結構あります。
もちろん補充用としては問題ないのですが…。

そうではなく節約のためにそうしようとしている人もいるようでして、そういう場合には注意点をお伝えしております。

まず。

この挿入治具がないと最後の折り取りもふくめ作業的にはかなり困難になる点。

また。

リコイルドリル

下穴用のドリルと専用タップ。
これも普通のモノではありません。
まぁドリルはまだ大丈夫なのですが…タップは普通の切削タップではなく「転造タップ」(ロールタップ)というのが付属します。
(※特にパチ物の製品はこのドリルとタップの性能が低いので注意です)

これは簡単に説明しますと
──普通の切削タップは下穴に対してネジになる凹み部分を削り取ってネジ山にしますが、付属の転造タップは「寄せて上げる」みたいな感じで凹ませながら凸部分を作っていくタップになります──

これつまり「切り粉」が出ないんです(そりゃ多少は出ますが)
ドリルも切り粉の排除が手前に抜けるようになっているので、壊れたネジ山を作り直す際に「向こう側」に極力切り粉を落とさない配慮がされたセットとなっているわけです。
またそもそも切り粉だけの問題でもなく、パケットの下穴となるように設計されてますので「リコイル用専用タップ」として認識して頂いてOKです。

整備に興味がある人がこのページを見ていると思いますので、あとは分かると思いますが。
セットで買ってしまえばこの価格で済むリコイルですが、後日「やはり治具がないと無理だった」と単品で揃えていくとかなり高額になってしまいます。
別に無理にセットを押し売りしたいわけでなく、結果として安く済む、また作業が確実に行えるものをオススメしたいのだということをご理解くださいませ。

まぁもっと簡単にいえば最初はセットで買ってねーって事です。