ロングなストレートめがね

工具の歴史ってかなり古くて自動車産業と共に・・・ってイメージがありますが、実際は普通の工場とかでも使われてたわけで、特にヨーロッパの工具メーカーはすっごい歴史があるんですね。

ただし、工具そのもの。
もうちょい言えば「ねじ回し」そのものはネジの進化こそあれど60~70年前には大体の骨子が出来ていて、あとはその派生亜種であったりもします。
逆に言えばそれだけ革新的な工具を作り出すってのは難しいんですね。

でまぁ、超基本的な工具はそんな感じだとして派生亜種を創りだすのすら難しい現代。
そんな中でも数点の工具は本当にここ10~20年で急激に認知され広まった工具というのも存在するんですね。

有名なひとつはギアレンチ
あのカリカリとうごくラチェット内蔵のレンチですね。
あれの登場前までは板ラチェと呼ばれわずか10ギアちょっとの粗いギア数の工具だったのですが、72ギアがギアレンチ社から提供されるようになって急激に広まりました。
いまでは定番工具のひとつですよね。

そしてもうひとつ。
個人的にはこの業界に入ったタイミングとほぼ重なるので思い入れも多い工具なのですが、それが超ロングストレートめがね。

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SIGNET 超ロングストレートめがね

もともとはSnap-onのカタログの片隅に「航空機向け」みたいな感じで掲載されていた工具でした。
なにせレンチのページにすら載ってなかったんですから、当時はまだまだ専用工具扱いで注目されてなかったのが分かると思います。(20年前くらいかな)

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TONE 超ロングストレートめがね

そんな存在だった超ロングストレートめがねですが時代の流れ(その頃の日本車が徐々に今風に狭いエンジンルームになってきた)とも相まって、急激に・・・そりゃもうホントに急激に人気を高めていきました。
同じ形状のめがねがMAC-TOOLから出たと思ったら国産メーカーも追従し今では大抵の総合メーカーでしたら同じカタチの工具を購入する事が出来るようになりました。

当店でも上に挙げたSIGNETとTONEは人気で良く売れてますね。

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nepros 超ロングストレートめがね

あとネプロスも根強い人気です。
ちとお高いかもしれませんがその分メガネ部の薄さと強度はかなりのものだと思います。
実際このめがねを使う場面だとめがね部の薄さがキモになったりするので、価格の差くらいの違いはありますね。

そうそう、このブログでも何度か書いてますが・・・
この超ロングストレートめがねは見た目とにかく長いので「すごくトルクが掛かるレンチ」とだけ認識されている人も多いのですが、実際の現場ではトルクはもちろんの事この長さのストレート形状を活用し「奥まった所まで真っ直ぐ届くレンチ」として威力を発揮したりします。(そっちの方が多いかも)

そういう目線で見てみるとこの工具の本当の良さが分かるかもしれませんね。

あ、そうだ。
あとストレート形状なのに先端だけちょこっとオフセットがあるこんなの。

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スタビレー HQPロングストレートめがねレンチ

こんな感じでロングでストレートなのに先だけちょこっと曲がってる。
これは自動車の足回り整備等で非常に便利です。
トルクが欲しく、ちょっと奥まってるんだけど、真っ直ぐだと他の部品に当ってしまう・・・なんて箇所で威力を発揮しますね。
これなんか普通のストレートめがねを便利に使っている人ほど利便性を理解して購入していってくれるパターンが多いです。

ってなわけでこれも今では定番工具のひとつになってますが、私が工具業界に入ったばかりの時はまだまだ「なにこれ?」くらいな工具だったひとつです。

今後もこんなメインストリームになり得る工具の登場を楽しみにしたいと思います。