工具の日に思ふ

ひょんなきっかけでこの業界に飛び込んで、そこそこ長い年月が経ちました。

10歳離れた兄貴がいる私は中学生の頃に兄貴の乗ってたセリカとか友達が乗ってきたサニー(310)とかRX-7(SA22C)とかの影響で、自動車やクルマいじりが好きになりまして、ぼんやりと将来は車に関わった仕事に就きたいなぁとも思ってました。

その後免許証がとれる年齢になる頃。
時代はS13のシルビアが発売になったり初代のロードスターが発表されたり、R32のGT-Rが出たりとまさに国産スポーツカーの黄金期。
今みたいにインターネットもない時代でしたから、自動車やバイクの雑誌からいろんな情報を知りたくて発売日に本屋さんにいってたのも良い思い出です。

そんな子供時代からの個人的な経緯があるからなのか。
私は今でもこの業界全体とか自分で販売している工具とかに『夢』をみています。

私が高校生の頃。
学校では三ない運動ってのがあって16歳になってもバイクの免許はとれませんでした。
それでもバイクに乗りたくてキチンと手順踏んで免許をとっても管轄の警察から学校に連絡がいき、すぐに停学になって免許証も卒業まで没収だったんです。
(今でもあるのかは知りませんが当時はほんとに停学と引換みたいな感じでした)

工具の仕事に就いてからある時にメーカーの開発の方に聞いた話なんですけど、ヨーロッパではバイクに乗るのも紳士の嗜みみたいな文化があると知りました。
またアメリカでは親子代々でガレージと工具を引き継いで使ってるみたいな話も聞きました。
欧米や欧州では車とバイク、そして整備とか工具とか。
そういったものが生活に根付いている印象を受けたんですね。
そしてそういう土壌がいつか日本でも根付かないかなぁ…と期待してました。

私が工具の仕事をはじめたのはバブルが弾けたちょっと後の事です。
バブリーな自動車趣味が徐々に陰りを見せはじめ、本当に好きで続けていく人だけが残っていくような、なんとも言えない終末感がありました。
でも私はそんな雰囲気にワクワクしちゃったんですね。

『もしかしてこれを機会に日本でもモータリーゼーションの文化が育つのでは』

と本気でドキドキしたんです。

で、結果としては難しかったですね。
終末感は閉塞感に変わり、その後訪れたデフレと相まって文化までは昇華しなかったように思えます。
実際バイクの販売台数は年々下降線を辿り、車ではマニュアル車の設定を探すほうが難しいのが現状です。

なんでこんな日にこんなネガな事を書くかというと。
自分への戒めです。
自分たちのようにいろいろ楽しい思いをした世代はある程度の車・バイク文化を形成すべきだったのでは?といつも思っています。
でも出来なかったんですよね。(方法とかも思いつきませんけど)

だからいつもこういったブログとかのテキストでは「車は楽しい!「バイクは楽しい!」「整備は楽しい!」と伝え続けております。
工具を販売するお店ではありますが、いつか思いもよらなかった方法でこの日本でも車バイク文化が盛り上がってくれたら嬉しいと願ってます。

工具の日

本日は5月9日。
工具の日ということでしたので、普段思っている事を書いてみました。