トルクレンチの握り箇所を変えるとトルクが変化する件

先日SNSでちょっとした話題になった

トルクレンチの持ち手部分を短く持ったり長く持ったりすると設定トルクから狂ってしまうので注意しましょう

ってやつ。
元ネタはこのKTCの公式さんがつぶやいたこのツイートが発端になりました。

このツイートに関して分かっている人は「そうそう、これ」と言い、生理的に受けつけない人が「なんだよ、意味わからないないよ」とかの意見で喧々諤々に。

しかし工具の中でも特にトルクレンチ関連の話ってやたらと荒れるので私はリツイートだけして静観しておりました。
そしたら私の友人であるショウジ氏がなんかやはりおかしいと検証し始めたので無視出来なくなったんですね。

トルクレンチ検証

ちなみにこのKTC公式の図では支点と作用点が何箇所かに書かれていて工業系の人が見ると生理的に嫌な感じなので、この図から理解出来ないって人の意見も私はなんとなくわかるんです。

で、ショウジ氏の出した結論は握り部分の持ち手距離を変えても変化なんかしないよ!KTCは間違ってるかもよって事でした。

トルクレンチ検証2
プリセット型トルクレンチの先端にデジタル式の直読トルクレンチを装着しトルクの変化を目視。

そうなると無視出来ないのはトルクレンチを販売している私でして、これに待ったをかける事に。
でもショウジ氏が検証してくれた話は私にとってもすごく良いこともありまして、それは「わからないと言っている人が誤解している点が理解出来たという事」です。

まず上でリンクしたKTCの公式さんの図がわかりにくいので、とにかくわかりやすくを重視しての説明にするためにちょっと改竄させていただきました。

トルクレンチ図

こんな感じ。
多くの人が誤解しているのはプリセット型トルクレンチは「A」部分のトルクをA部分で測定していると思っている点です。
(ここで支点とか力点とか言い出すとわかりにくくなるので省きます)

でも実際の設定したトルクの感知は「B」部分で行われているのです。
A部分で測定及び感知しているならばグリップ部分の持ち手なんて関係ないですし、実際A部分で測定しているトルクレンチも存在するので余計にややこしくなっているのです。

しかし多くのプリセット型トルクレンチはB部分で感知して作動します。
これをすっごくわかりやすく説明しようとすると「テコの原理」な感じの図を書くと理解しやすいです。

テコの図

こんな感じ。
上のトルクレンチの図のA・B・Cと相関して見てもらえると嬉しいです。
先程も書いた通りプリセット型のトルクレンチの実際の作動箇所はB部分になります。
テコの原理でAの物体を持ち上げようとした時に正規のC部分に掛かる力が正常なトルク値だと考えてください。
それよりも短い部分で持ち上げようとするとより大きなトルクが必要に、そして長い部分で持ち上げようとすると少ないトルクで十分になる事はわかりますよね。

つまりこれと同じ事がプリセット型トルクレンチに起こっているわけです。
(ショウジ氏が検証してくれた実験でも短めに持つとオーバートルクが掛かる事が証明されております)

ここまで説明するととんでもなく簡単な話なのですが、トルクレンチの内部構造や作動原理がわからないとなかなか腑に落ちない話になってしまうのは仕方ないと思います。

小難しく作用点とか言い出すからわかりにくくなるわけで、実際はこんな簡単な話だと思って理解してしまっていいと思います。
その他にもトルクレンチを使う側、つまり作業者のヒューマンエラーの話とかもあるのですが、あまり面倒な事いっても仕方ないので今回はとりあえず

トルクレンチはメーカー指定のグリップ部分を持って作業しましょう。

って事だけ覚えておいてくださいませ。

※文中でちょっとおかしな箇所もありますが、とにかくわかりやすく説明したい為の表現ですのでご容赦ください。

追記:分かりやすくを念頭に書いたブログでしたが理系の方から総ツッコミをいただきました。
そうしたらこの件を元に詳しい内部構造と力学的な証明をしてくれたフォロワーさんがいましたのでそちらをリンクいたします。
詳しく知りたい人&納得したい人は下記リンクをご一読ください。

https://md-study.com/torque-wrench-structure/

電動工具関連の備品

工具の花形といえば間違いなくハンドツールだし、その他のエアーツールとかケミカル類とか語られる事は結構ありますが。
本当の意味での「備品」みたいなものにはなかなかフォーカスが当たらないですよね。

このブログでもそういった備品系の工具をなるべく紹介するようにしてますがなかなか全部を紹介ってわけにはいかず、また整備のカテゴリーによっては全く関係ないものになったりもするので取り上げるのが難しいのが現状です。

で、今回はそんな備品系のひとつである電気の工具を使うためのガレージ備品、延長コードを紹介してみます。

こういったわりかしどこでも手に入る&家庭でも使ってたりするものはこだわる人も少ないのですが、100Vのコンプレッサー等の消費電力の大きめな機器を使う予定の人はちょっと良いヤツをひとつ持っているとすごく便利に使えると思います。

ハタヤコードリール

ハタヤ コンパクトタイプコードリール10m

当店で一押しなのがこの専門メーカーハタヤのコンパクトモデル。
よくあるプロ向けの30m巻とかだと大げさすぎて使いにくいのですが、これは10m巻で本体も超コンパクト。

ハタヤコードリール

実際の大きさもこんな感じでガレージにしまっておくのも余裕なサイズです。

そしてこの小さな筐体ながら使用している芯線は太めの安心設計。

ハタヤコードリール

いわゆる業務用のプロ向け設計ですので電動工具の使用でも安心してお使い頂けます。
たまに適当な延長コードで作業しているのを見掛けますが、こういった備品も余裕がある時に揃えてみるのもいいかと思いますよ。

2019JNCC第4戦ビューファインダー戸狩 信州大会

結局いろいろあってなかなか参加出来なかった今年のJNCCですが、第4戦の戸狩ラウンドに出店参加してきました。
JNCC本戦では久しぶりの初コース開催でもありましたので、どうしても行きたかったんですよね。

しかし季節は6月で梅雨時期。
実際先日梅雨入り宣言まで出てしまい予報もがっつり雨予報だったのですが…まぁなんとかなるっしょって思いつつ金曜夜には積み込みして出発。

2019JNCC戸狩

そして積み込みの荷物の中にはなぜかバイクが。
そう実は4年ぶりにレースに出てみようっかなーとか思ってしまいまして。
少しはリハビリ練習してから…とかも考えていたのですが、そんなこと言ってるといつまでたっても復帰出来ないと思ったので思い切ってみました。

2019JNCC戸狩

このバイク入手してから4回かな5回かな、とにかくまだあまり乗り込んでいないのでレース出てもダメなのは分かっていたのですがショック療法だと思って参加しました。
そんなわけでいつものJNCCとは違い思考は出店よりも出走に重きをおいての出発。

2019JNCC戸狩

土曜日は自走で出来る下見走行もあったのですがあいにくの雨で全て中止になりました。
まぁ私は日曜日にレースに出ちゃうので土曜日だけ仕事だと割り切ってましたから雨でも良かったのですが。
実際土曜日は多くのお客様に挨拶や買い物来て頂きありがとうございました。
そして私がレース出ることを聞いてなぜか全員が「け、怪我しないでね」と(笑)

2019JNCC戸狩

ちなみにこの戸狩温泉スキー場はかなり良いところでした。
パドック内に温泉やごはん処、そして簡易コンビニまであって場内で全て賄う事が出来ます。まじで手ぶらでいってもなんとかなるんじゃないかな。

そして緊張の日曜日レースデイ。
私は午前のFUNクラスだったのですが、もうね、目覚ましよりも早く目が覚めてしまい早朝の5時すぎからやることなくてソワソワしてました。
ガチガチの緊張ってわけでもなかったのですが、やはり久しぶりのこの感覚はお金払って参加する意義があると感じましたね。
で、結果は惨敗。

2019JNCC戸狩

スタートからしてやらかしまして、そこから2~3分走ったところで盛大にスタックして体力ゲージがゼロに。
後は命からがらなんとか1周したら時間が半分以上過ぎてたので自己申告リタイヤに…。
はぁ情けないけど、まぁ今の私ならこんなもんでしょ。
でもね、走っているときはもう最高に楽しかったです、もっと練習して基礎体力も復活させてまた挑みたいと思います。

2019JNCC戸狩

そして午後の全日本格のCOMPクラス。
ウチとLINK-OIL、そしてナグモでサポートしているもりー君の出番です。
しかし今回は前日の雨も虚しくハイスピードなレース展開になり、また得意のチャレンジポイントでの失敗も響いて、さらにトドメはパンクまでしちゃってあえなく撃沈。
パンクの経験を活かし次戦の得意な爺ヶ岳ではムースでテッペンを狙ってくれるそうです。期待大っすね。

2019JNCC戸狩

そしてお仲間でひとり気合のプッシュを続けたのがまー君。
プレ大会になったWEXで入賞もしてて本人も不安と期待半々のレースだったと思います。
スタートで少し出遅れてしまいましたが、そのままプッシュプッシュで毎周ポジションをひとつづつ上げていく展開に。
今回まー君はLINK-OILのNUR15W-70(車両KX250F)を入れてくれてて、彼曰くこのオイルが大当たりだったとの事です。
クラッチケーブルには張り調整がついているのですが、前回のプレ大会では走行中に張り調整をし直さないといけなかった(まぁ普通そんなもんです)のに対してニュルを入れた今回は一度も調整ダイアルを回さずに3時間走りきったといってました。
絶賛してくれたのでこっちも嬉しかったですね。
しかししかし、最後はちょっとだけ届かず入賞までもう一歩でフィニッシュ。
悔しがってる姿にはちょっと声かけられなかったです。
またがんばろうね!

2019JNCC戸狩

ってなわけで久しぶりに私も出走したJNCC戸狩はなにもかも楽しく終了。
やっぱこういう現場って良いですね。

ちなみに次戦は7月の爺ヶ岳なのですが残念な事に私は私用でいけません。
JNCC参加はそのさらに次になりますがまた現地でお会いしたらよろしくお願いします。

洗車に便利な高圧洗浄機

昨年から当店で扱いを初めた国内の洗浄機メーカー蔵王産業のコンシューマモデルであるヴィットリオシリーズ
個人的に気に入ったので「推し」で販売してきましたが、やっぱ実際に使ってみるとかなり良いんですよね。
購入した方からも絶賛の声を頂いております。

蔵王産業高圧洗浄機
画像はZ3とZ4

以前のブログで書いておりますが国産メーカーがすでに流通している高圧洗浄機を研究して発売したモデルなわけですから、弱点をうまく潰してかなり使い勝手のよいモデルとなっております。

高圧洗浄機の新製品

ちなみに現在はハイスペックモデルだけでなく、エントリーモデルである「Z1」も取り扱い開始。

蔵王産業高圧洗浄機

蔵王産業 高圧洗浄機 ヴィットリオ Z1 ABIT限定モデル

某K社のK2あたりを安さだけで購入して「失敗したー」と思っている人には特におすすめのモデルでして、同格のスペックではあるのですが全てにおいて2~3割増な性能を誇ります。

季節的にも夏直前でしてまた問い合わせが多くなってきました。
各モデルのぶっちゃけ話が聞きたい人は遠慮なくお問い合わせくださいませ。

スリップジョイントプライヤー

自動車とかバイクとか工業製品の主要なところでは世界を席巻した日本ですが、それに付随する業界は若干見劣りする事があります。

残念ですけど工具もそのひとつ。

まぁこれは仕方無い一面もあって日本で工具って一家にひとつの物でもないし、世間の認知度なんてたかが知れてます。実際KTCとかKo-kenとか言われても知らない人のほうが多いでしょうしね。

しかしこれがアメリカとか行っちゃうとテレビCMで普通にSnap-onとか流れてるし、メカニックの地位もそこそこ高いんですよね(メキシカンは違うけど)

そういう意味でマーケットの大きさが違うわけですから日本の工具業界は産業だけに支えられてて、どうしても一般の方を巻き込んだ青天井な市場にはならなかったんですね。
一応Ko-kenとかは世界的に人気もあるのですがそれはメイドインジャパンで「安価で高品質」ってイメージですからね。海外メーカーの高級路線とはちょっと違います。

でも実は手先の器用な日本では日本独自の工具の進化とかもあって、知らないだけで侮れない工具も多数存在したりします。

それの代表が今日紹介するスリップジョイントプライヤー。

ktc_pra_all_nw2

KTC コンビネーションプライヤー

この写真の右側がそうですね。

ひと昔前は自動車買うと車載工具が入ってまして、そのメーカー純正の車載工具には必ず入っていた工具でした。
このプライヤー、正確な起源こそはわかりませんが実は日本だけで改良されていった珍しい工具です。

工具に興味あってよく調べている人なら分かると思いますが、このカタチのプライヤーって海外メーカーではほとんど見かけないんですよね。
(特にヨーロッパ系のメーカーでは皆無です)

ktc_pra_all_nw5

唯一はアメリカでは結構作られていてさっき話の出たSnap-onとかにもありますし、有名どころのプライヤーメーカーだとチャンネルロックとかにも設定があります。

しかし、このプライヤーを好んで使うのは日本人なんですね。

そんな正常進化の中でも個人的にはこのKTCのはよくできていると思います。価格も安価ですしこの手のプライヤーで慣れてしまっている人は一度試してみてくださいませ。