蔵王産業ヴィットリオZE ─ バルブまわりの不具合修理 ─

先日お伝えした蔵王産業のエンジン式高圧洗浄機「ヴィットリオZE」のマイナートラブル対処法についてエア抜きバルブの件で「もうちょっとくわしく」という要望がありましたので説明させて頂きます。

エンジン式高圧洗浄機の注意点

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

エアー抜きバブルはこの指の部分の白いダイアルですが、この部品の根本に逆流防止の逆止弁が付いていて、それが固着した場合に「水圧が落ちるor水が出なくなる」等の症状が発生する場合があります。

これの対処は各自で出来る簡単なものですが、今回は少しばらして構造を理解して頂ければ更に分かりやすいかな?と思いっての投稿となります。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

先程のバブル本体を取り外すとこんな感じ。
金色の部品が逆止弁となります。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

外す時は本体のこの部分に付いてますのでモンキー等で静かに外したら、さっきの金色の逆止弁&バネを無くさないようにしてください。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

部品構成はこんな感じ。
メインのバブルとエアー抜きの白いバブル、そして逆止弁となります。
この逆止弁が水のカルキ等で固着することによって動かなくなり、水圧の低下をまねく原因となります。
逆に使用頻度の高い人はあまり不具合でないですね。

なんか調子悪いな…とか感じたらこのようにばらして洗浄して再組付けすれば直る場合が多いので試してみてください。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

綺麗に洗浄したらこのように仮組みした状態でセットしてあげればOK
取り付けにくい場合には洗浄機本体を一瞬横倒しにしてセットしてあげるとやりやすいです。
逆止弁がスコスコ動くようになれば正常な水圧に戻ると思います。

このマイナートラブルが結構王道なトラブルなのですが、これをやっても解決しない場合には当店までご連絡ください。
(当店購入の方に限らせていただきます)

研磨作業前の下準備

当店は20年以上前の開店直後から金属の鏡面加工補助工具であるオフセットサイザルをあれこれ試しつつ販売してきた経緯もあって研磨系の工具の問い合わせや注文が多いんです。
もちろん過去に自分自身で行った経験のある範囲内では、研磨工具の選定から磨き方まで問い合わせにお答えするのですが。

中には「えっと……それって…」というやばめな質問も来たりして少しだけ困ってしまう場合があります。
例えば

「サイザルを買いさえすれば鏡面出来るんでしょ?」

みたいな質問。
いやー無理っしょ、サイザルは便利ですけど下地を作る気もなけりゃ、工具の入らない箇所では手磨きすらする気もないと言われたらこっちもお答えしようがないんです、はい。

オフセットサイザルはあくまでも「加工の補助工具」であって鏡面出来る万能工具ではないわけです。
なのでせめて手で磨くだけの物の準備ですよね、それはヤスリとかブレーキクリーナーとか液体系の研磨剤とかね。

その辺を揃えて最低でも手で全部磨けるくらいの準備をしたうえで、サイザルとかの補助工具は威力を発揮するわけです。
まぁこちらとか読んで頂けると少しは分かってもらえると思いますので是非ご一読くださいませ。

まぁ…とか言っても実際には研磨に正解はないので好きなようにやってもらっても良いんですけどね。
ぶっちゃけやり方や順番くらい間違えても結果綺麗に磨ければOKです。
でも「工具=便利」と「工具=万能」とでは全く違う話になってしまうので、そこだけは理解して欲しいと思います。

 

で、今回はそんなわけで少し基本というか「せめてこれくらいは持っておいて欲しいもの」を一つ紹介。
価格も安いし適当な紙やすりを揃えるくらいなら絶対にコレがオススメ。

ケンマロンスーパー 3枚セット

いわゆる研磨布でして、もっと分かりやすくいうと紙ヤスリの布版みたいな感じ。
この研磨布の最大のメリットは、写真で見たとおり網目状になっているので目詰まりしない事。(正確には目詰まりしにくい)

特にアルミ材のような削り粉が細かく粘るような物の場合、この研磨布ならば連続使用出来て便利です。
大きさもハサミでカットして使えるので狭い場所でも便利に使えます。

また鏡面研磨とかは関係ないよって人でも錆落としとかブレーキシューの粗取りとか、工具箱の中に小さく切って入れておくと結構重宝すると思います。
ここで紹介した3枚セットは当店がオリジナルに組んでいる番手違いの3枚組となっております。
持っていて損じゃないのでぜひご検討くださいませ。

エンジン式高圧洗浄機の注意点

2020年の3月から売り出した蔵王産業のエンジン式高圧洗浄機ですが、おかげさまで好評のまま1年ちょっとが経過しました。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機
蔵王産業 エンジン式高圧洗浄機『ヴィットリオZE』

当店も深く開発に関わったモデルですのでみなさんが気に入ってくれて売れているのはめっちゃ嬉しいです。

現在は昨年末にリリースした当店オリジナルの「ショートノズル」も販売好調です。特に新規で本体を購入されるお客様の8割以上がショートノズル付きのセットを購入してくれてて、作ってよかったなってのが本音です。

そんなわけでかなりの台数を販売させて頂きまして、また少しですがFAQ的なものも増えてきましたので今日は2つ書いておきますね。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

まずひとつめ。
これは使用頻度が低めの方にまれに出てしまう症状でして、おおよその理由が分かってきたエア抜きのためのリリーフバルブ付近のトラブル対応に関して。

この指を差している箇所の白いバルブがエア抜き用のリリーフバルブなのですが、この白いバルブが付いている根本のシルバーの部品の根本にスプリングバルブが内蔵されております。
機能としてはポンプから排出される高圧水流の戻り防止のための逆止弁なのですが、このバルブがたまに固着してしまう事があります。
固着してしまうと最悪水が全く出なくなったり、水圧が極端に落ちたりします。

これの対処法としては。

・このバルブ自体に振動や軽い打撃を与えてみる。
・水のインプットを水道にして圧を掛けてみる。

のどちらからで高確率で直ったりします。
まぁスプリングで押さえられた止水バルブが噛み込んで固着しているだけなので「コンコン」って軽く叩いてあげたり、水道水の圧力で無理やりリリースしてあげれば普通に使えるように戻るわけです。
不具合が出た場合でもご自身で簡単に試す事の出来る処置ですので覚えておくといいと思います。

 

そしてふたつめ。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

このノズルも実は「水圧が急に弱くなった」という問い合わせの件に絡んでおります。
このノズル、持っている方なら分かると思いますが画像のように左右に回す事で水流の幅調整が可能になっており洗車にはかなり便利なので、このノズルをメインで使っている方も多いと思います。
で、このノズル。
実はもうひとつ機能がありまして……

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

こんな風に「前後」にも6~8mmほど動かす事が出来ます。
この前後に動くのがわりと微妙な動きなのでちょっと分かりにくいのですが、この前後の動きは「水圧調整」をしております。
ノズルを前後の動かしてみると全開で「ドバー!」と出たり、最弱で「ジョロジョロ」って出ると思いますが、最初から機能として付加されているのです。

これが分かっていない人が結構いまして購入後に「急に水圧が…」って問い合わせに繋がったりします。
ですのでそんな事がありましたらとりあえずノズルを一度前後に動かして確かめてみてくださいませ。

ちなみになんでそんな「ジョロジョロ」なモードがあるかと言いますと、このジョロジョロにしてあげるとちょっとだけ噛んでしまったエアーを抜く事が出来るんです。
上で紹介したエア抜きバルブを開け締めするほどではないエア噛みの時は試してみてくださいませ。

ってなわけで大好評絶賛発売中のエンジン式高圧洗浄機。
ご検討中の方はぜひどうぞー。

業界の繁忙期

昨年の3月、いわゆる年度末は新型コロナの影響をもろかぶりしましてなんだか分からないうちに静かに終了してしまった印象なのですが。
今年はコロナ禍継続中なわりに昨年の反動なのか年度末っぽい忙しさになっております。

この時期は工具メーカー各社がセール品を多数うってきたりとか、分かりやすい在庫処分もあったりしてユーザー目線でも見逃せない時期にはなっているのですが……

3月の店内

お買い得なセール品も多数出る今時期は売れてしまうのも一瞬だったりして「そのうち買えばいいか」とか思っているとあっけなく販売終了になってしまう商材も多いのです。

実際年度末な今は会社さんの決算期とも重なる事が多く、所持在庫数を減らすためにセールをやってたりしますから「売り切れ=完売終了」となる商品が多いので注意が必要です。

3月の店内

それとこういう時期のセール品だと「ネット掲載はNG」ってものも結構あるので、店舗に遊びに来てくれれば思わぬお買い得品があったりします。

ってなわけで今月は休日もまともにとれない感じでドタバタしております。
気になった商品があった方はお気軽に在庫確認やご注文をお待ちしております。

TORX(トルクス)ネジについてのあれこれ

このブログでも何度か取り上げている花型ビットのTORX。

KO_TORXSET_nw2

整備業界ではかなりメジャーなネジになりつつありますが、やはり今まで関わってこなかった人からはいろんな問い合わせが来ます。

このトルクスネジを分かりにくくしている原因のひとつが「サイズ表記」ではない点。
いわゆるプラスネジのような「何番」とかの番手表記なので、見た目のサイズから推測出来る工具ではないんですね。

※Webや電話問い合わせの場合には下記表を参考にしてみてください(実寸からの番手表)クリックで拡大します。

torx_size

で、はじめてTORXが必要になった人に多いのですが、上記のようになんとかサイズが分かるとその単サイズだけ購入する人が多いです。

ですが。

出来ればなんですけど、TORXに関してはセットでの購入をオススメしてます。

上記の表をもう一度見直すと分かるのですが整備等で良く使われているT20~T30あたりはサイズが密集してまして、慣れているプロメカさんでも間違える事が多いのです。
まして単品買いして他のサイズを持っていない場合には自分の持っているサイズが完全に一致している物なのかどうかの判断がつきにくくなります。

KO_TORXSET_nw1

TORXのカテゴリーページ

いじり止めTORXのカテゴリーページ

ですので出来れば……で、良いのでセット買いがオススメですね。

また、TORXにはいじり防止と呼ばれる穴あきのTORXと →TH

穴の開いてないスタンダードなTORX →T

があります。
これは相手のネジに凸があるかどうかの差です。

穴開きを使う車種やメーカーは穴開きばかり使いますし、穴なしでOKなメーカーは急に1箇所だけ穴あきが出てくるとかはありませんので、ご自分の整備環境にあった物を購入すればいいと思います。

ちなみに穴あきのTORXを購入しておけばどちらにも兼用出来ますが、最大トルクはかなり落ちますのでその辺は理解して購入するようにしましょう。
もちろん両方持っているのがベストだと思いますけどね。

で、最後にお願いなのですがTORXはキャップボルト形状で人間の見た目の判断でのサイズ判定は不確定な事が多いです。
こういったネジが凹んでいる形状のキャップボルトって特に人間が錯視しやすいので注意が必要です。
トルクスネジのサイズ判定に関しては販売するこちら側もかなり「疑って」かかりますのでどうぞご了承くださいませ。
(実際購入後に「違ってましたー」ってのが多いんです)