プロ向けワイヤーストリッパー

配線作業用の工具の中でも問い合わせの多い圧着ペンチと配線の皮剥き。

圧着に関しては世界規格みたいな物が存在せず、とにかく自分の環境にあった物を探すしかないのですが……
皮剥き(ワイヤーストリップ)に関してはプロ向けと呼ばれるちゃんとしたものがあって人気が高いですね。

ちなみに当店でのストリップツールの中でもプロメカさんに人気なのがこれ。

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HOZAN ワイヤーストリッパー

使い勝手を考えつつ精度を極限まで上げたオススメの1本です。
プロの現場からの評価も高く、価格もそんなに高くないのでサンメカさんにもオススメ出来るストリッパーですね。

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実はこれアジア系の激安品にもパクられたりしてますが、本家はやっぱりすごいですね。
使ってみると全然違いますよ。

HOZANストリッパー

当店での精密配線皮むきではプロの方からの支持率ナンバーワンです。

そしてこの人気のワイヤーストリッパーに密集配線にも便利なコンパクトモデルが登場。

HOZANストリッパーコンパクト

HOZAN ワイヤーストリッパー中太線用(コンパクト)

このコンパクトモデルの最大の特徴が先端部。
上記のストリッパーと違い「カッター」(切断部)が先端部分に付いていて密集した配線からより分け後にカット…ってのが楽になるように設計されております。
切断後のストリップは配線が自由になってますので握り側でやるにも不便は感じないと思いますしね。

HOZANストリッパーコンパクト

またコンパクトってくらいなので大きさもこんな感じ。
なんとか手を突っ込んでやるような狭所での作業もこれならOKですね。
少し前に発売されお店ではなかなか人気になりつつあります。
狭い箇所でのストリップが多いんだよねって人はぜひお試しくださいませ。

気楽なオイル交換

季節の変わり目といいますか、近頃は暖かくなったり寒くなったりと体調を整えておくのが難しい時期ですね。
で、そんな事思ってたらエアコン初起動するほど暑くなりました…

そういえば…そろそろオイル交換の時期だったよなぁ、と思い確認したところ前回のオイル交換から4000kmほど走ってましたのでいい機会だからとサクっとオイル交換しました。(これからもっと暑くなりますしね)

オイル交換

オイルを出してきて準備しているとカミさんが「私のワゴンRもやっておいて」と言ってきました。
むー、実は時間はすでに夕方の5時。
自分のだけだったらなんとか終わりそうですが、カミさんの車もやると暗くなる恐れがあります。
唯一の救いは同じオイルを入れればいいって事くらいなのですが…と、ちょっとだけ悩みましたが、準備や片づけまで考えると一緒にやった方が楽なのは確かですからね。

それではって事で一気にやってしまいました。

LINK-OIL

ちなみに今回使ったオイルはLINK-OILのECO5W30
軽自動車は約3リッター、私のキャラバンが約4リッターです。

そしてオイル交換に使ったのがいつものこれ。

SIGNETオイルチェンジャー

SIGNET 負圧式上抜きオイルチェンジャー

負圧式なんですがエアーコンプレッサーとつないでも良し、手動のハンドルでシュコシュコと抜いても良しな便利工具です。
今回はエアーホースつなぐのが面倒だったので手動で開始。

結果としてオイル交換2台。
準備と片付けまで含めて ── 5時に開始して5時30分にはすべて完了。

  1. オイルを出してきて、ジョッキ等も準備
  2. オイルチェンジャーを用意して、ワゴンRのオイル吸出開始。
  3. ワゴンRのオイルが抜き終わったら、そのままキャラバンのオイル吸出開始。
  4. オイル吸出は負圧式なので放おっておいてワゴンRに新油を入れて終了。
  5. キャラバンのオイルも抜けていたのでそのままオイル入れてキャラバンも終了。
  6. 廃油を廃油受けに流してジョッキ等、使用工具を洗浄。
  7. 各工具置き場に戻して全行程終了。

と、ここまでわずか30分。(片付けとかなければ20分)
日没で暗くなるのが怖かったのですがそんなの全然大丈夫でしたね。

オイルの交換って簡単なわりに面倒なので基本的には嫌いなのですが。
こんな感じで上抜きのチェンジャー使うと楽ですよーってなレポでした。

ホイールナットのトルクレンチ

大型連休も終わり、1年でもっとも気持ちの良い季節の到来ですね。
雪の降る地域な人もそろそろ夏タイヤへの履き替え時期でしょうか、4月頃からホイール用のトルクレンチの問い合わせが増えております。

まぁスタッドレス絡みの話だけではなく、暖かくなってみなさんが能動的に動き始める季節ってのもおおいに関係あるのかもしれませんけどね。

そんなわけで今回はトルクレンチのお話。

このブログやお店のWebサイトでも何度か書いてますが、ホイールナットの締め付けトルクはだいたい100Nmちょっとでして、いわゆる一般的な整備向けに使用するトルクレンチの「5-25Nm」や「20-100Nm」ではちょっとだけ足りません。

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実際、お店でも「20-100Nm」のトルクレンチではダメですかね?
と、よく聞かれますがハッキリ言ってダメです。
トルクレンチは出来るだけ上限値・下限値付近で使わないようにするのが推奨されてますからね、100Nmギリギリになるトルクレンチはホイールナット用には合わないと断言出来ます。
(それプラス全長とかも厳しいってのもあります)

ちなみにホイールナットの締め付けトルクは103Nmとか108Nmとかいろいろ言われてますが、使われているスタッド径は一緒ですので個人的には『105Nm』とかで締め付けておけば大丈夫だと思ってます。
また一部の軽自動車ではスタッド径の細いモノがあるので、その時は85Nmを目安に締めてあげてください。
(他の締め付けトルク管理よりも「オーバートルク防止」の意味合いが強い箇所ですので、ここでの数Nmの違いはあまり気にしなくていいと思います)

ではホイールナット作業用にはどのトルクレンチがいいのか。
それは各メーカーが出している「40-200Nm」のトルクレンチがオススメです。

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SIGNET プリセット型トルクレンチ

さっき『一般的な整備で使うトルクレンチ…云々』と書いた事でわかるかもしれませんが、ホイールナットの締め付けトルクである105Nmというトルクは実は普段の整備ではほとんど出てこない締め付けトルクです。(大きいって事です)

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東日プリセット型トルクレンチ 標準モデル

ですのでホイールナット専用のトルクレンチとなってしまう場合には、そんなに気合をいれたトルクレンチを購入しなくても大丈夫かなぁ…とも個人的には思ってます。
もちろんこれで100Nm前後のトルク管理も出来るようになりますので、足回りとかで出てくる「50~80Nm」あたりでも使えるようになりますからね。
その辺の作業も視野に入れての購入ならば少し良いトルクレンチを買っておいた方がいいと思います。
特に80Nmあたりは3/8差し込みになる20-100Nmのトルクレンチよりも40-200Nmのトルクレンチの方が作業性が良いですからね。

そして逆にホイールナットだけにしか使わないって人にはこれがド定番のオススメ。

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KTC ホイールナット専用トルクレンチ

これ、パッと見では「少しお高いかな…」とか思うのですが、ケースが付いて、専用ソケットが付いて…と考えるとかなり安いんですね。
またトルクセットの手間もないわけですから「タイヤ交換くらいしかやらないよ」って人にはまさにズバビタのトルクレンチだと思います。

それとさっきも書きましたが整備用として考えると、他の用途が難しいレンジのトルクレンチですから、あえてタイヤ専用としてこれを買うのも賢い買い方だと思います。

トルクレンチって他の作業とかいろいろ漠然と考えてしまうと、すごく購入までが大変な工具のひとつだと思います。
ですのでこんな工具こそウチみたいな専門店にサクっと相談して、その人に合った買い方を模索してみてください。
テキトーに最初の1本を買ってしまうと後で後悔する率が高いですよ。

折れたネジの摘出

先日お店にオフ仲間のA君が駆け込んできて「大変っすー、プラグが折れちゃいました」と。

プラグってのはもちろんエンジンプラグ。

で、普通に考えるとプラグが折れちゃうなんて大事件なんだろうけど、工具の販売店をやっていると年に数回は聞く話でして、冷静にどこがどうなったのかを聞きます。

どうやらプラグ交換の際に新品プラグを締め込んでいき、最後にクイっと締めた時に「ポキ」っと折れたそうです。
ちなみにこのA君、整備的には初心者とかでは無くバリバリの職業整備士さん。
自分でもいろいろいじっていて、仕事を見る限りずさんな事はしないタイプです。

先程もプラグ破損は年に数回聞くと書きましたが、実際多いんですよね。
それも経年劣化で壊れるとかでは無く、新品の不良が原因なのがほとんどです。
今回はネジ部分だけが折れてしまいましたが、碍子部分が折れたり取れたり、またネジ山の不良で締め込み自体が出来なかったり。

整備をする中でも少ない、ハズした物を付け替える作業であるプラグ交換。

ですので初めての交換の方には注意深く「とにかく取り付け時は最初は手で締めてくれ」と言います。
これはHPにもわざわざ記載するくらいでして、みんな新品のプラグが不良率高いなんて思って無いんですよね。
いざやらかすとかなり面倒な部分ですので、気をつけすぎても損は無いと思います。

さて。

で、A君の折れてしまったプラグ。

ネジ部分だけエンジンヘッドに残っている状況でして、これ外さないと次のプラグも付けられない。
ネジ部分だけって事は真ん中に穴があいた状態のネジが残っているので、エキストラクター等がそのまま刺さります。

で、買っていってくれたのがこれ。

Ko-kenボルトツイスター

Ko-ken 3/8ボルトツイスターセット

普通の逆タップよりも焼きが若干柔らかめで2次被害の出にくい工具です。
またキャップボルトのHEXやTORXにも使えるので便利ですね。

その後、帰宅して作業したA君からメール。

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「無事に取れましたー」との事。よかったよかった。
こんな感じで「ネジが折れちゃって、それを外さないといけない」って事はいろんな場所で起こります。

作業としてはイレギュラーな作業なわけで「これで正解」っていう方法はありません。
※このブログを見て「何ミリのヤツを買えばいいですか?」って質問が来ますが、それも状況に応じて違うので出来ればセットで購入して欲しいと言っております。

みなさんも慌てたりして逆に遠回りな作業をしなくて済むように、頭を柔軟にして解決に向かうようにしましょうね。

#A君画像ありがとねー。

nepros90ギアラチェットO/H

SNSで分解作業を流したらそこそこバズったのでこのブログにも残しておきます。

エイビットでは店舗にて各メーカーのラチェット修理をお受けしております。
メーカーやモデルによっては修理不能(部品が出ない)なものもありますが、メーカーのカタログを見てリペアキットの設定があるものでしたら大抵のラチェットの修理は可能です。

で、まず修理の内容以前に少しお伝えしたい事がありまして…
それがラチェットの蓋をとめているネジの件。

ネプロスラチェット修理

当店に持ち込まれるラチェットの修理依頼。
そのラチェットの半数以上が蓋を留めているネジを舐めてしまっております。
予想するに──ラチェットの調子が悪くなったので自分で中を確認しようとして、ネジを外し分解を試みるもネジを舐めてしまいどうにもならなくなって当店に持ち込み…ってな感じなんだと思います。
それは仕方のないことだとは思いますがネジを舐めてしまっている場合、当店での追加作業扱いになりますので別料金を頂いております。
どうぞご理解くださいませ。

ネプロスラチェット修理

ちなみにこのネプロスのラチェットの場合ですとプラスの#1が使われております。
舐めてしまった人の話を聞くと「精密のプラス」だと勘違いして番手の合わないプラスドライバーで回しているいるのが舐める原因になっているようです。
普段整備をしている人でも小さなプラスの番手見極めは結構難しいので、ここを注意するようにするだけで舐める確率を大きく減らす事が出来ると思いますよ。

ネプロスラチェット修理

そして注目のネプロス90ギアラチェットの分解。
90ギアラチェットも登場してから10年近く経ちまして、そろそろ不具合も出始めていますね。
今回修理したラチェットも動作不良というか完全に壊れているわけではなく、なんとなく動きがおかしいってな感じでした。
こういう場合って大抵メインのギアではなく、小ギア(パウル)部分の動作不良な事が多いので見てみますと…
やはりパウルの動きが渋くなっていて、それを原因にメインギアとの噛み合わせが悪くなり徐々にギアをすり減らしておりました。
写真では分かりにくいかもしてませんがメインギアの左にある半月状の部品に、細かなギア欠損のカケラがあります。
こうなってしまうとフルO/Hしちゃったほうが間違いないですね。

少し前のブログでKo-kenのZ-EALラチェットの修理分解を記事にしました。

Z-EALラチェットの補修

Z-EALのラチェットはパウル部分が非常にシンプルになっていて専用の治具等が必要ないので誰でもO/H可能ですと書きました。
しかし今回のネプロスの90ギアはちょっと事情が違いますね。
パウル部分がちょっと面倒な感じになっていて慣れない方が分解した場合、元に戻せない可能性があります。
当店ではラチェットの補修部品代だけで修理をお受けしますので、自信のない人はお店まで持ってきてくださいませ。

ネプロスラチェット修理

ってなわけで全てを新品部品にして組み直したのがこちら。
ネプロスは90ギアになってから組み直し直後の動作も軽快なので良いですね。以前の36ギアな時はある程度使い込まないと「アタリ」がでませんでしたから。

ちなみにラチェットの日々のメンテナンスに関しては上記で説明した小ギア部分の動作不良を起こさせない事が主となります。
ですので定期的に注油してあげるのが望ましいですね。(1ヶ月に1回とかで充分です)

あ、あとこれも何度も何度も書いているのですが注油にかんしては「グリス」や「防錆潤滑剤」(CRCやラスペネ)は入れてはダメです。
ホコリの巻き込みの原因になったりしますので、出来るだけサラサラしたオイル(コンプレッサーオイルとかミシン油とか)を入れてあげてください。
普段の使用時には廃油みたいなものにラチェットヘッドをドブ漬けしちゃってもOKです。
非分解で行えますので無駄なトラブル減らせますからね。