業界の繁忙期

昨年の3月、いわゆる年度末は新型コロナの影響をもろかぶりしましてなんだか分からないうちに静かに終了してしまった印象なのですが。
今年はコロナ禍継続中なわりに昨年の反動なのか年度末っぽい忙しさになっております。

この時期は工具メーカー各社がセール品を多数うってきたりとか、分かりやすい在庫処分もあったりしてユーザー目線でも見逃せない時期にはなっているのですが……

3月の店内

お買い得なセール品も多数出る今時期は売れてしまうのも一瞬だったりして「そのうち買えばいいか」とか思っているとあっけなく販売終了になってしまう商材も多いのです。

実際年度末な今は会社さんの決算期とも重なる事が多く、所持在庫数を減らすためにセールをやってたりしますから「売り切れ=完売終了」となる商品が多いので注意が必要です。

3月の店内

それとこういう時期のセール品だと「ネット掲載はNG」ってものも結構あるので、店舗に遊びに来てくれれば思わぬお買い得品があったりします。

ってなわけで今月は休日もまともにとれない感じでドタバタしております。
気になった商品があった方はお気軽に在庫確認やご注文をお待ちしております。

TORX(トルクス)ネジについてのあれこれ

このブログでも何度か取り上げている花型ビットのTORX。

KO_TORXSET_nw2

整備業界ではかなりメジャーなネジになりつつありますが、やはり今まで関わってこなかった人からはいろんな問い合わせが来ます。

このトルクスネジを分かりにくくしている原因のひとつが「サイズ表記」ではない点。
いわゆるプラスネジのような「何番」とかの番手表記なので、見た目のサイズから推測出来る工具ではないんですね。

※Webや電話問い合わせの場合には下記表を参考にしてみてください(実寸からの番手表)クリックで拡大します。

torx_size

で、はじめてTORXが必要になった人に多いのですが、上記のようになんとかサイズが分かるとその単サイズだけ購入する人が多いです。

ですが。

出来ればなんですけど、TORXに関してはセットでの購入をオススメしてます。

上記の表をもう一度見直すと分かるのですが整備等で良く使われているT20~T30あたりはサイズが密集してまして、慣れているプロメカさんでも間違える事が多いのです。
まして単品買いして他のサイズを持っていない場合には自分の持っているサイズが完全に一致している物なのかどうかの判断がつきにくくなります。

KO_TORXSET_nw1

TORXのカテゴリーページ

いじり止めTORXのカテゴリーページ

ですので出来れば……で、良いのでセット買いがオススメですね。

また、TORXにはいじり防止と呼ばれる穴あきのTORXと →TH

穴の開いてないスタンダードなTORX →T

があります。
これは相手のネジに凸があるかどうかの差です。

穴開きを使う車種やメーカーは穴開きばかり使いますし、穴なしでOKなメーカーは急に1箇所だけ穴あきが出てくるとかはありませんので、ご自分の整備環境にあった物を購入すればいいと思います。

ちなみに穴あきのTORXを購入しておけばどちらにも兼用出来ますが、最大トルクはかなり落ちますのでその辺は理解して購入するようにしましょう。
もちろん両方持っているのがベストだと思いますけどね。

で、最後にお願いなのですがTORXはキャップボルト形状で人間の見た目の判断でのサイズ判定は不確定な事が多いです。
こういったネジが凹んでいる形状のキャップボルトって特に人間が錯視しやすいので注意が必要です。
トルクスネジのサイズ判定に関しては販売するこちら側もかなり「疑って」かかりますのでどうぞご了承くださいませ。
(実際購入後に「違ってましたー」ってのが多いんです)

コードレスで使えるハンダコテ

いわゆる弱電関係のお仕事をやっている人ならそこそこ専門的なものが必要になったりするのでしょうが。
車両整備におけるハンダコテの出番なんて、そんなにしっかりした性能とかは必要ない場合が多いです。
でもハンダっていちいち100Vのコードを探して……とかも面倒なんですよね。
特に車内で使うことが多かったりするのでコードに引っかかったりして、怖い思いをした人もいるはずです。

そんな時に便利なのがコードレスのハンダコテ。
確かに精密な基盤とかで使うには物足りないかもしれませんが、配線処理等でササっと使える便利なコテを紹介。

ドレメルハンダコテ

ドレメル コードレスはんだコテキット(ガス式)

うちのお店ではもはやド定番となったガス式のハンダコテキットです。
いわゆるライターガスを充填して使うコテなのでカロリーも高く、コテ先も多様に入っているので熱収縮チューブとかにも使えるかなり便利です。
プロの整備士さんにも多く支持されている誰にでもオススメなハンダコテですね。

gootハンダコテ

goot 電池式コンパクトはんだコテ

そしてこちらは電池式。
個人的にも愛用しているモデルとなりまして、サンメカさんの場合へたすりゃ出番が1年に2~3回だったりするとこの電池式の方が気楽に使えて便利だったりします。
どうしても電池式だとパワー不足を心配する人もいるのですが、鉛フリーはんだのような融点のちょっと高いはんだでも問題なく使える仕様ですので、実際に使ってみると全く問題ないですね。

gootハンダコテ

また出先に工具を持っていって使うような人にもオススメで、ガスのようにちょっとずつ漏れてしまっていざ使う時に使えないってのもないですから、工具箱の中に1本放り込んでおくとかなり重宝すると思います。

goot鉛フリーはんだ

goot 鉛フリーはんだ(100g)

そして肝心のはんだはサンメカさん向けの100gを販売してます。
鉛フリーはんだですので融点は220度くらいですので使うハンダコテには注意してください。(上記2本は問題なく使えます)

ってなわけで今でもコード式のハンダコテで面倒な思いをしている人はこんなコードレスモデルもぜひご検討くださいませ。

研磨・鏡面・サビ落としの工具

基本は金属の塊である自動車やバイク。
ちょっとした加工でも鉄工用の工具が必要となるし、サビが出れば落とさないといけない。
複雑な部品が組み合わさる車両ではあまり大げさな工具が使えないので、大抵は手作業でゴシゴシする必要があるんだけど…やっぱり大変っすよね。

で、そんな人のために簡単便利で気軽に使える研磨系工具をご紹介。

イチグチネジタルホイール

イチグチ BSネジタルホイール 用途別各種

一般的には「フラップホイール」とか呼ばれる画像のような研磨工具です。
この工具の利点はとにかく簡単に使える事。
切削能力があまりにも高い工具を使うと表面だけサラっと削るつもりで他にも被害が…なんて事があるのですが、このホイールタイプは研磨力もそこそこだし、なんといっても対象物ややりたい研磨に応じて様々な種類が出ているので使用者のスキルに関係なく使えるのが最大の特徴です。

またこの工具は取り付け軸に六角軸を採用してますので。

パナソニック電動インパクトドライバー

パナソニック 14.4V充電インパクトドライバーセット

こういった電動インパクトドライバー(六角軸のプラスシャンクとか使うヤツ)に直接取り付けて使用可能です。
これが丸軸とかだと電動ドリルを用意する必要があるのでちょっとだけ面倒なんですよね。

しかし、こういう研磨工具っていざ買おうと思うと種類が多すぎて、自分がやりたい作業にどれが合っているのか分かりにくい…
そこで各種の作業向けのセットの登場なわけです。

イチグチネジタルホイール イチグチネジタルホイール

こんな感じで各作業用に適合したホイールが入ったセットをご用意しました。
もちろんそれだけしか出来ないわけではないので、例えばサビ落としセットを買っても金属削りが出来ますのであくまでもメーカー参考研磨布だと思ってください。

ちなみにこちらの研磨ホイール各種は国産のイチグチ製。
研磨布の専門メーカーですので安心してお使い頂けます。

ちなみにこのイチグチからはさらに面白い研磨工具も出てまして。

イチグチスカットディスク

イチグチ BSスカットディスクキット(φ50mm研磨ディスク)

それがこちらの「スカットディスクキット」
イメージとしてはポリッシャーディスクの超小型版ってな感じで、これも電動ドリルに取り付けて使用出来ます。
(六角軸アダプターも別売りで販売しております)

ディスク部分の受けとして専用パッド等が最初に必要ですので、とりあえずまずはこの基本セットを購入してみてください。
種類の異なる研磨ディスクが3種類付いてますので、使い勝手の良いディスクが分かったら替えディスクとしてまた購入すればいいと思います。

整備のスキルが上がるにつれこういう「ちょっと削る」とか「ちょっと磨く」な研磨工具って手元でササっと使える状態にしておくと本当に便利です。
価格もかなり抑えめになっておりますのでぜひお試しくださいませ。

Z-EALラチェットの修理&新型の検証

以前にもKo-kenのZ-EALシリーズのラチェットO/Hはここで記事にしましたが、せっかく新型の72ギアも登場したので、その辺も含めてちょうど修理依頼が入ったので分解しながらいろいろ見てみたいと思います。

Z-EALラチェットの修理

今回は旧36ギアラチェットの修理だったのですが、せっかく手元に36ギアと72ギアのリペアがあるので少しだけ比較してみたいと思います。

>>ラチェットのリペアパーツはこちらからどうぞ。

Z-EALラチェットの修理

こちらがメインギア。
倍のギア数なだけあってギアひと山の大きさがこれだけ違います。
まぁ外径を変えずに多ギア化したら当たり前なのですが、この感じで強度を確保するのはやっぱり大変だったでしょうね。
ちなみにZ-EALラチェットのメインギアにはよく見ると表と裏にOリングが仕込んであります。
さすがコーケン、芸が細かいっすね。

Z-EALラチェットの修理

こちらはメインギアとパウル。
少し前に話題になった「旧ラチェットに新型72ギアは組み込めるのか?」ですが、パウルの寸法を見ていくとちょっとだけ違うのが目視でも確認出来ますね。

まだ新型の修理ってのはないと思いますが、新型のO/Hも旧型と同じでかなりやりやすそうですので個人でも充分に出来るとおもいました。

ってなわけで早速修理開始。

Z-EALラチェットの修理

まずはTORX-Plusのビットを使って裏蓋を開けます。

ちなみにここは普通のトルクスではなく「TORX-Plus(IP)」ですので注意してください。
※1/4は6IP、3/8は8IP、1/2は10IPです。

>>TORX-Plusのビット購入はこちらからどうぞ。

KTCやネプロスのように奥に引っ込んだネジじゃないので冷静にやればここは難しくないと思います。

Z-EALラチェットの修理

バラしたら洗浄。
こんな時くらいしか丸洗い出来ないのでとにかくピッカピカになるまで洗いましょう。(パーツクリーナーでOKです)

あとはバラした逆に組んでいけばOK。
よくわからなくなっても部品図が付属するので問題ないと思います。
あ、私は小型プライヤーでやってますが1本ピンセットか小さなラジペンあると便利だと思いますよ。

Z-EALラチェットの修理

パウルはこのフラットな方が手前に組むのが正解。
(逆には組めませんけど)
この状態まで組めたらあとは注油。

ちなみに注油前だとラチェットを動かしてもガキガキしてると思いますが、注油をすればスムーズに動くと思いますのでご安心ください。

Z-EALラチェットの修理

注油と言いましたがまさに「油」を注入していきます。
これもこのブログで何度か書いてますが、できるだけ緩いオイルを行き渡らせてあげればOK。
そんなの無いよって人はエンジンオイルとかでも大丈夫です。

NGなのは防錆潤滑剤とグリス。
ラスペネ等の潤滑剤は長期の潤滑に向いてないのでやめた方が良いし、グリスは作動面のクリアランスを狂わす可能性があるのでやめておいた方がいいです。
(自転車等で使われている丁度の緩い高性能グリスとかならいいかも)

注油が終わったらあとは裏蓋閉めて最初のネジを締め込んだら終了。
少し馴染むまでカリカリと空転させてあげてください。

Z-EALラチェットの修理

今回バラした部品。
メインギアにはギア欠けも見られますね、なかなか良いO/H時期だったと思います。
なんか再利用出来そうなモノもありますが心を鬼にして全てアセンブリーで交換してあげてください。(どうせ使わないし)

Z-EALシリーズのラチェットはいろいろある中では最も難易度の低い誰でもチャレンジ出来る内部機構になっております。
注油してあげてもなんだからイマイチだなぁとか思い始めたら思い切ってオーバーホールするのもいいと思いますよ。