肩関節の手術─関節鏡視下授動術─

はいはいっと、なんとか無事に退院してきました。
今日は手術日から数えて8日目でして手術による腫れや痛みが徐々にひと段落しつつ、リハビリによる筋肉痛のような痛みが2次的に出てきている状況です。

今回受けた手術は一般的には五十肩の重症である「凍結肩」と同じ状態になっていたのを処置するために行いましたので、五十肩に悩んでいる人にもある程度参考になるかと思います。

まずことの発端は昨年の9月にバイクでの転倒による右肩の負傷から始まりました。
その日は自己判断で「肩の脱臼」かな?と思いつつ、結構な痛みがあるので自分で運転して行きつけの群馬県にある慶友整形病院に行きました。
すぐにレントゲンを撮影してもらい最初に出た診断が「肩鎖関節脱臼」

肩鎖関節とは文字の通り「肩甲骨」と「鎖骨」をつなぐ関節の脱臼ってことでして、鎖骨を止めている靭帯(数本ある)がブチっと切れてしまい鎖骨が浮いてしまっている脱臼です。
これは柔道やラグビーとかをやっている人に多い脱臼とのことで、靭帯こそ切れてしまってはいるけど運動能力にはあまり関係はなく安静にしていれば1~2ヶ月で治るよってな話でした。

しかし。
そこで「本当にたまたま通りかかった頚椎(首)の手術をしてくれた主治医」が

「あれ?エイビットさんどしたの?」

ってな具合に私に気が付き、ついでに首の具合も見たいって事でレントゲンを見てもらうと

「ん?ここ折れてない?」

って……。
そう、かなりの熟練の整形外科医でないと見つけられなかったという肩甲骨の体内側にある烏口突起が折れているのが判明。(烏口突起はググってください)
実際私が見てもさっぱり分からない感じだったので見つけてもらえたのはラッキーでした。

そして厄介なのがその折れた烏口突起という部分には力こぶである上腕二頭筋が連結しているとのこと。
つまり少しでも腕を動かすと骨折箇所が動いてしまい骨がなかなかつかないどころか、最終的には骨がつかないまま完治してしまう場合もあるとのこと(偽関節になってしまう)

ってなわけで緊急手術決定。
その翌週に折れた烏口突起をボルトで止めて固定する手術が行われて「腕の絶対安静」も宣告され2ヶ月経過。
骨なんて1ヶ月チョイでくっつくと思ってましたが、体内側にある&細い骨なのが問題らしく骨がつくのに半年はみたいと言われてしまいました。
(この時点でかなりあっちゃーって思ってました)

それでも2ヶ月もすると骨が付き始めたのをレントゲンで確認。
そこで三角巾からの開放が指示され、今度は肩関節の可動域確保のためのリハビリが始まりました。

●普通の五十肩の人はここからが本題スタートって感じです。

約2ヶ月間も絶対安静と言われていた肩関節はものの見事に固まっておりまして、今までは「絶対に動かすな」だったのが今度は「とにかく動かせ」にシフトしました。

一般的には五十肩というのは「痛くて肩が上がらない」とか「痛みはないけど肩の関節がロックしたように上がらない」とか症状の総称です。

正確には「肩関節包炎」というものでして上腕骨のぼーる部分と肩甲骨の受け皿部分の隙間にある膜(まく)のような部位が何かのきっかけで腫れ上がり炎症して最終的には肥大し癒着してしまう症状です。
肩の中にあるエアーバッグが開いてしまったというと想像し易いですかね。
※ちなみに私の場合は骨折時の外傷(外的要因)からくる関節包炎だと推測されます。

私の関節包炎の重症度は10段階で言えば9くらいの重症でして、これが5以下くらいならリハビリやれば、いやもっとぶっちゃけると放おっておいても1年くらいで治ってしまいます。
よく聞く「五十肩なんてそのうち治るよ」ってのはそういう段階の症状の人に当てはまると思ってください。
ちなみにネットやユーチューブとかに上がっている「これだけやれば五十肩は簡単に治る」系のやつは段階2~3くらい(かなりの軽症)の人向けだと思ってください。重症度があがるとあんなのでは絶対に治りません。

そして怖いのはさらにここから。
かなりの重症な五十肩は別名「凍結肩」と呼ばれリハビリをしようが何しようがまず動きません。
これも時間がある程度解決はしてくれるのですが、肩関節のバンザイの位置を180度だとすると150度くらいまでしか上がらない後遺症が残るリスクも跳ね上がります。
普通の人は150度も腕が上がれば日常生活には不便がないのでそれで「完治」って事になっている場合が多いのです。(ちなみに医学的にもその辺が目標とするラインにはなります)

そしてその重症の凍結肩は3ヶ月を過ぎると後遺症のリスクが高まっていくと言われています。
なので手術が必要になったってわけです、はい。
(前置きが長いね)

ちなみに私の場合の手術のトリガーとなったのは骨折によるボルト固定部のボルトの抜釘(ボルト抜き)のゴーサインが出たってことでした。
ボルトは胸の大胸筋の奥にあるので全身麻酔の手術となります。
なので「どうせ全身麻酔するならついでに肩の手術もしちゃいましょう」ってことになったわけです。

肩の手術関係

1年ちょいで3度目の全身麻酔の手術となりまたもや入院でございます。

2023年6月肩の手術

私が行っている館林市の慶友整形外科病院は入院&手術の施設が外来病院とは別にあってとてもキレイです。
またこの病院は4人部屋とかが一切なくて全室個室なのが売りでして、個人的にも気に入っております。

いつものように手術前日から入院してお腹の中を空っぽの状態にして翌日に手術に望みます。

2023年6月肩の手術

よくある「気がついたらベッドに寝てた」と言われる通り手術は全身麻酔で行われるのでつらいとか痛いとかは全くなく手術完了。
とりあえず

「知らない天井だ」

ってつぶやくのはお約束です。

2023年6月肩の手術

さてここからは今回の手術の内容について。
まず左上にある小ビスが骨を留めていたTORX#10くらいのネジ。
よく見るとワッシャーもあって「よく落とさずに外したな」ってのが素直な感想でした。
そして問題の関節包はというと固着(癒着)していた部分を麻酔環境下で肩に小さな穴を開けて内視鏡を入れつつ切って破いていきます。

2023年6月肩の手術

拾い画像で申し訳ないのですが、肩の内部ってこんな風になっておりまして。
先述したとおり上腕骨のボール部分と肩甲骨の受け皿部分の隙間に関節包という潤滑膜のようなものがあります。
この図だと上と下にあるように思えますが、そうではなくて上腕骨ボール部分の全周囲にこの膜があるわけです。
この関節包が炎症を起こし肥大し癒着するわけですが、毎回全部分が癒着するわけではなく部分癒着とかだとリハビリとかでも解決可能になってきます。

今回の私の場合はほぼ全周囲にわたり癒着していたので、この関節包を切って破って一度完全にリセットしてしまおうってのが「肩関節の授動術」になります。

え?切る?破る?それ痛くないの?
と思うかもしれませんが……痛いす(笑)
ただし全身麻酔以外にも肩だけにブロック麻酔を打つので手術翌朝くらいまでは感覚もなく痛みもゼロです。
徐々に麻酔が切れてきて痛みが出てくるのですが、実は私の場合にはラッキーなことにほぼ痛みはなくなっておりました。

2023年6月肩の手術
三角巾は麻酔が効きすぎてて腕がぶらーんとしちゃうのでしているだけです。

で、ここからがこの手術の本当に意味での本番がスタートします。
切って破った癒着していた関節包はとりあえず無くなったわけです。
そしてこの関節包って組織は再生が早いのでも有名です。
なので手術の痛みとか気にしている場合ではなく「とにかくグリグリと動かせるだけ動かす」のが必須となります。
もちろん動かし方とかがありますのでリハビリの先生についてもらい術後は大体3週間は集中的にリハビリし再癒着を防止することに専念する感じです。

ちなみに痛み止めとかはもちろん飲んでます。
とにかく腕を動かすことを阻害する要素を取り除いてあげてリハビリに全集中ってな具合です。

2023年6月肩の手術

慶友整形名物の「長い廊下」をテクテク歩きながら血流をよくしつつ腕を動かしてセルフでもリハビリを推進します。

2023年6月肩の手術

ガーゼとか安全帯とかが取れて患部とご対面。
とんでもない感じになってますが実はそんなに痛くなくて術後4日目くらいからは手術痕の痛みではなくリハビリの痛みの方が上回りはじめます。

ってなわけで痛みのコントロールが入院の主目的だったこともあり、痛みがほぼない私は早期退院となりました。

2023年6月肩の手術

実際元気過ぎてやることもなかったので早期退院はマジで助かりました。

2023年6月肩の手術

その後は外来のリハビリセンターにいってリハビリを受け続けております。
しかしやってみて分かりましたが病院のリハビリを当てにするのはやめたほうがいいすね。
あ、違いますよ!病院がダメって話ではないです、病院も重要ではあるけどって話です。
やはりメインは自分で、自宅でやるセルフリハビリが最も重要だと痛感しました。
自分で頑張れないと思ったようには良くなりませんね。

最初に書きましたが現在術後8日目でして、術前は90度しか上がらなかった腕は現在158度まで上がるようになりました(病院で計測した)
目標の180度まで残り22度ですので今後も頑張ってみたいと思います。

そして現在五十肩で悩んでいる人はネットに書かれたテキトーな記事とかユーチューブとかを信用しないで、ちゃんと関係を築ける医師や理学療法士と治療を行ってみてください。
「毎日◯◯だけやれば治る」とか「実は五十肩は手首が原因だった」とかオカルトっぽいのは無視でOKです。
(そんなので治ったのならもともと軽症で何もやらなくても治ってたってオチかと)
あと五十肩の原因である関節包ってのは表層ではなく肩の内部なので「ここを揉めば」とかもほぼ意味はありません(その時は気持ちいいけど)

最後に。
実はもう一箇所悪いところが発見されてしまいました。(前から知ってたけど)
それでもめげずに完全復活まで頑張ります。
いろいろご心配お掛けしてすみませんでした。

トルク数値の見やすいTONEのトルクレンチ

まだまだ私も若かった頃に年配のお客さんに言われたのが「目はなぁ、ある日突然くるぞぉー」ってなお話。
いわゆる老眼ってヤツですね。

もちろん若い頃なんてそんな事気にした事もなかったし「あーはいはい」くらいにしか聞いてなかったのだけど。
本当に、ある日突然。

あれ?

って日がやってきまして。
もうね、これはなってみないと分からないと思うけど。
笑っちゃうくらいにピントが合わないんすよ。
で、私の仕事。工具の販売の現場だとこれが結構クリティカルなダメージでして。

TONEトルクレンチ

例えばこんな感じで工具に型番が刻印してあるのを確認したりとか、サイズを確認したりとか仕事的に頻繁に行うのですが……
それがこんな風に↓

TONEトルクレンチ

ちょっと大げさに加工したけど、マジでこんな感じでもう何が何やらです。

そんなわけで歳取ると手元の小さい文字が見にくいってのは分かってもらえたかもですが、今度は作業者目線で見ると困るのがトルクレンチのプリセット値の確認。
トルクレンチもかなり小さな文字なので作業時にイライラするんですよね。

そんな年配の方にお店でめっちゃ売れているのがTONEのダイレクトセットタイプのトルクレンチです。

TONEトルクレンチ

TONE プリセット型トルクレンチ各種(ダイレクトセット)

このトルクレンチ。
基本性能や使い勝手が良いのはもちろんなのですが、店舗で年配の方に人気な秘訣がこれ。

TONEトルクレンチ

トルクのプリセット値がめっちゃ見やすい。
いわゆるデジアナ式とでも言いますでしょうか、後端部のダイヤルを回すと。

TONEトルクレンチ

こんな風に分かりやすくトルクのプレ値を表示してくれます。
文字も大きく重度の老眼な人でもOKな仕様ですので嬉しいですね。
個人的にもかなりおすすめのトルクレンチです。

臨時休業と営業時間変更のお知らせ

はいはい。
ってなわけで昨年秋に怪我をした箇所の抜釘と肩関節系の手術がありまして。

肩の手術関係

これは怪我をした当日に病院に駆け込んで処置をしてもらった時の画像なのですが。
まさかこの時はこんなに長引くとは思ってもみませんでして…(9ヶ月経過)

まぁ兎にも角にもさっさと治してしまいたいので今回の手術となりました。

肩の手術関係

病院は毎度おなじみになった館林の慶友整形外科。
プロ野球選手とかもくる整形ではかなり有名な病院です。

手術自体はぶっちゃけそんなに大変ではないのですが、術後のリハビリがとても重要らしく(そして痛いらしい)予後の1週間チョイ──約10日間ほど入院することになりました。

肩の手術関係

首の手術が昨年の5月でしたので約1年ぶりの入院となりますが、今回はコロナシフトがかなり緩和されて家族の面会はOKとのこと。
これだけでも少し気が楽になりますね。

 

というわけで。
誠にご迷惑をお掛けして申し訳ございません。
下記日程にて臨時休業と営業時間の変更をお願いします。

営業日23年6月

とりあえず分かっているだけの日付は埋めましたが、経過の状態次第ではもう少し変更があるかもしれません。
手術日は6/16(金)
この週末はお手伝いをお願いしてありますのでお店は開けてあります。
私が退院出来るのは予定では6/23頃、少し早まったり遅れたりするかも(?)と言われてますのでとりあえず暫定とさせてください。

なお、売り上げがなくなってしまうのは怖いので入院中だとしてもご注文はドシドシお待ちしております。
よろしくお願いします。 エイビット ヤマタク

金属磨きにおける下地の重要性

車やバイクいじりをする者にとって部品がピカピカしているのは正義だったりしますよね。
綺麗に洗車してピカピカとか、綺麗に塗装してピカピカとか。

そして誰でも挑戦出来る鏡面加工のピカピカなんかは最高にしびれちゃうわけです。

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#これは昔の私の愛車。

で、そんな鏡面加工ですが基本は誰でも根気さえあれば出来る作業としてエイビットとしてはお勧めしてますが……
いくつかの注意点があるんです。

今回はそんな注意点の中でも結構見落とされがちな下地処理の話。

これから磨きをかける面がある程度ツルっとした凹凸のないモノなら気にする事なくいきなり鏡面加工しちゃってもいいのですが。
鋳肌でザラザラなのとか凹凸があってそれを消したいとか、もっといえばツルッとしてるんだけどよく見ると波打ってるような面とかの場合、磨き前の下地作りが最終的な鏡面加工の出来に大きく関わってきます。

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例えばこんな感じのコンロッド。(ロードスターBP純正)

鋳肌が結構キツくデコボコもすごい状態です。
ここで適当に下地を磨きつつ作ってしまうと最後の鏡面時にその波打ち等がハッキリでてしまうのです。
最終鏡面ではピカピカに磨く事は出来ても下地の波打ちまで消せませんので頑張りどころは下地作りなのです。

でも相手は硬い金属なわけでデコボコを完全に消すような研磨作業って手では大変なんですよね。
そこで当店で売れているのはこれ

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ニューレジストン FCディスク 粗目・細目

目詰まりしにくくほどよい研磨能力で誰でも簡単に面出しの研磨が可能です。
柔らかい素材なので曲面にも使いやすいのが特徴ですね。

ちなみに上のコンロッドは私の車に使うのに磨いた物なんですが、FCディスクを使ってこんな感じに仕上げてあります。
※強度アップのため側面鏡面をかけようとした時の写真です。

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#左がFCディスク研磨後のコンロッドです。

まだ仕上げの鏡面をしてませんがここまで磨ければあとは簡単。
メタコンで手磨きでも問題無いレベルに仕上がっております。
とにかく鏡面加工では下地の作り込みが重要ですよって話でした。

パーツトレイの有効活用

整備初心者さんが来店してくれて、ある程度工具が揃ってきた時に
「次はなに揃えると便利ですかね?」
と聞かれたりするのですが、そんな時にオススメしてるのがパーツトレイ。

パッと見ではなんて事ないステンレスのお皿なので、そう紹介してもイマイチ反応が悪かったりするのですが、メインのハンドツールがある程度揃ってきたら持っていて欲しい備品系工具のひとつです。

実際こんな感じで……

パーツトレイ

プロの現場を思い返してもらうとわかると思いますが、こんな風に綺麗に整理しながら整備をするというのはすごく重要な事でして、出来れば1枚とは言わずにサイズを変えて数枚持っていてほしいですね。

浅型トレイ

SK11 浅型ステンレスパーツトレイ

こちらが浅いタイプのステンレストレー。
ちなみに樹脂とか素材もいろいろありますが、溶剤とかケミカルに浸かる事も多いトレーですのでステンレス製がオススメです。
サイズは写真に写っている工具の乗っているサイズが基本サイズだと思ってください。(N24サイズ)

そして少し深いタイプのトレー。

パーツトレイ

SK11 深型ステンレスパーツトレイ

こちらは部品洗浄とか部品のストック時とかに便利です。
ケミカルで浸け置きするときともこの深さがあると安心です。

オイル受け

私はこの深型トレーでオイル交換もしちゃいます。
バイクで2リッターくらいまでなら問題なく受ける事が出来るし、抜いたオイルの確認もしやすくて便利ですよ。

ってなわけで軽視されがちなこういう備品系の工具。
ちゃんとしたものを揃えておくと整備も格段にしやすくなります。
まだ持ってないとか、まだ1枚くらいしかない、なんて人はこの機会にぜひご検討くださいませ。