フックスパナのサイズ

以前にネジサイズの件でお店に問い合わせが結構多い話を書いたと思います。
でもサイズ分からない系の話なら車高調レンチとして人気のフックスパナの問い合わせが多いですね。

この工具、サイズ別に在庫している店があまりないのかな…?、とにかく問い合わせが多いです。

アサヒフックスパナ

アサヒ フックスパナ/アサヒ ピンスパナ

本来の用途しては車高調レンチではなく工業向けの工具なのですが、まぁ今一番売れているのはやはり車高調レンチとしてですかね。
※余談ですがフックスパナはまだ入手しやすいのですがピンスパナはあまりないので、探している人は是非ご一報くださいませ(ある程度在庫あります)

で、この工具。
サイズの選定がちょっと分かりにくいんですね。

フックスパナにもサイズがあるのですが──
例えば「φ50-55」とかね。
で、この時のφ50mmってのはどこのサイズなのかと言うと。

>>TEINさんから画像をお借りしました。

車高調の調整部分と言えば上の画像の「C」の部分。ここがようはダブルナットになっていてロアマウントとして機能しております。
なので調整としてはここを緩めて回せればいいのですから、このロアシート部分の外径を測っていただければ良いわけです。

ちなみにフックスパナは上でも書いた通り「φ50-55」とかいった具合に、そこそこアバウトなサイズで問題のない工具なのでノギスとか入らない場合には定規でおおよそのサイズを目視で測ってもらってもOK。

で、ここでまたみなさん悩むのが、このデコボコしたリングのドコを測るのか?って事です。

簡略化して図に書いてみました。

よくある間違いが赤線の部分の幅を測ってしまう事。
あくまでもフックレンチやピンスパナは「回す相手の最大外径」ですので黒い矢印の数値が正しいです。

それと例えば上記のように測ってみたら少しオーバーサイズのφ56ミリだった場合「φ50-55」は適合しないと思いがちですが、フックレンチはちょっと小さいくらいが使いやすいです。
大きめを買ってしまうとフック部分が掛からない事がありますので「迷ったら小さめ」と覚えておいてください。

折れたネジの救出時に

あっと思った時には嫌な手応えと同時にポロリとネジ頭がもげて転がる…
整備をしていれば誰でも一度は通る、ボルトのなめや破損。

整備を開始する時におおよそ想定していた作業時間は大幅に狂い、下手すれば同日中に終わらなかったり、自分の整備レベルでは対処出来ないような事態にまで発展することがあります。

で、そんな不測の事態への対処に関してはいわゆる「正解」というものは存在してなくて、究極を言ってしまえばどんなざまでもヘッドの折れたネジを外すことさえ出来ればそれが正解なわけです。

整備でも初心者から脱初心者、そして中級者くらいになったとしてもこのネジのレスキューだけは経験がかなりものをいう作業でしてわりとパニックになりがちです。

そんなわけで前置きが長かったのですが今回はネジの救出にまつわる工具と考え方のお話。

シュローダーエキストラクター

シュローダー エキストラクターセット(逆タップ)

少し整備を知っている人だとまず思いつくのはこの「逆タップ」ですかね。
別途でドリルで下穴開ける必要がありますがいわゆる昔からある古典的な正攻法のひとつです。

Ko-kenボルトツイスター

Ko-ken 3/8ボルトツイスター セット・単品

こちらも上記の逆タップに似てますがソケットタイプとして人気です。

ANEXネジ取りインパクト

ANEX ネジとりインパクトドライバー7本組

HEXやプラスビスに特化したこのセットも趣旨がちょっと違いますが人気の救出工具のひとつですね。

で、こんな感じでいわゆる「救出系工具」ってのはいくつもあるのですが、まず大前提を見誤ってはいけません。

そもそもボルトを破損する原因が何だったのかです。
まず確認したいのが「締め込んで折った」のか「緩めようとして折った」のか。
締め込んで折った場合だとネジ部のカジリ等はあまりない場合が多く、上記のような工具を使わなくてもポンチ等で軽く回す方向に叩いてあげたり、折れたボルトの面に軽く溝を切ってドライバーで回してあげたりすれば緩む場合が多いです。

そして緩めようとして折った場合には
・そもそもボルトの経年劣化等でネジ部のカジリはあまりひどくなく折れた。
・熱が多く掛かる箇所で熱カジリにより折れた。
・錆が多い箇所で錆の固着で折れた。
・異種間の金属締結箇所で電着によってカジリが発生して折れた。

等々。
これらによって初動の対処がちょっと変わってきます。
今回はこの部分までは事細かに説明はしませんが、このような事態になった場合には一度深呼吸してから現状の把握をしてから臨むようにしてください。
そうすればおのずと必要な工具も見えてくるもんですよ。

ワイズのピアスボールHEXレンチ

ハンドツールの中でも替えが効く工具とそうでない工具ってのが存在しまして。
いわゆる普通のボルトナットではソケットが入らなければレンチで回し、そのレンチだってサイズ揃ってなければ最悪モンキーで回して……なんて感じで工具のお店が推奨出来ないようなやり方でもなんとかなってしまうのですが。

ビットを差し込んで回す系のネジ。
HEXやTORX等はとにかく替えが効きません。

さらにいうと真っ直ぐ差し込めるならL型レンチやソケットタイプ等、何を使っても回せますが上方向に隙間のない場合なんかは真横からアクセスする方法がないので結構困ったりします。

そんな時にショートヘッドモデルのレンチとか持ってると便利なのですが、各社スペックがちょっとずつ違うのでどれ買ったらいいのか分からなかったりしますよね。

そこでお店で現場の方に売れている「頭の短いHEX」を今回は紹介。

ワイズピアスボールレンチ

ワイズ ピアスボールHEXレンチ

パッと見ではHEXレンチに見えない本製品。
黒い本体の両端にHEXが裏表になるように配置されております。

ワイズピアスボールレンチ

片側はボールHEXになっていて角度の厳しい所でも回せるようになっているのですが、この両面にあるHEXには違う使い方もありまして。

ワイズピアスボールレンチ

HEXの取り付けが少しだけ角度を付けてついてまして、ひっくり返すと30°位相しているんですね。
これのおかげで振り幅のない箇所でも「ちょっと回してはひっくり返して」を繰り返せばHEXネジを確実に回していく事が可能です。

ワイズピアスボールレンチ

また本体部分は鍛造のそこそこ厚みのある頑丈な造りになっており、メーカーが言うには本体部分はハンマーで叩いても良いよって事です(ほんまかいな)

でも工場の設備メンテとかをしている人にはこの仕様ってかなりグッと来る人が多くて店舗ではかなりの人気HEXとなっております。
L型HEXとかは基本中の基本ですので持っていて当然の工具ですが、それだけじゃ仕事が厳しいよって人はぜひご検討くださいませ。

ポケットにも入る作業用LEDライト

昨今のLEDライトの進化は凄まじくてひと昔前のと比べるとスペックが全然違いますよね。
整備とライトって切っても切れない関係性と言いますか、外が暗いから使うライトとは違って奥まった箇所では昼間でも見えないところがあったりもするので必須品とも言えます。

ってなわけで今回はそんなLEDライトの中でも胸ポケットや肩ポケットに入れておいてササっと取り出して使える店舗での人気ライト2品を紹介。

TAKENOWハンドライト

TAKENOW 充電式フリップ型 ポケットLEDライト

まずはこちら。
店舗ではいまだに一番人気のLEDハンドライトですね。
超コンパクトか?と聞かれれば確かに少しだけかさばりはしますが、それでも機能の充実さで全てをカバーしております。
まずこの畳んだ状態でもそのまま使えまして──

TAKENOWハンドライト

パカっと広げれば広域を照らす作業灯に早変わり。

TAKENOWハンドライト

先端部にもLED単灯があるので奥まった箇所にも便利です。
本体は細長い感じなのでポケットでも意外と邪魔にならないですね。
実際お店で現物見た人は「これならいいな」って感じで買ってくれます。

 

そしてこちらはSMTの超人気ハンドライト。

SMTハンドライト

SMT 充電式ウルトラスターLEDペンライト

先程のTAKENOWのものよりももうひと回りコンパクトで胸ポケットライトとしてはこちらの方が正道だとは思います。
作りや操作もシンプルなので常用としてかなりの人気となっております。
価格が安いってのもいいですよね。

SMTハンドライト

こちらも先端に単灯があるのでいわゆるペンライトとしても使えます。
点灯箇所は電源ボタンを数度押しで切り替わるのですが、ハックとしては長押しするといきなり先端灯が付きますので操作が慣れればかなり良いかも。

ちなみにどちらのモデルもUSBタイプC充電ですので車載での充電も気楽に出来るのもいいですよね。

そんなわけで常に持ち歩いて使えるコンパクトなペン型LEDライト。
見えにくい箇所で苦労している人はぜひお試しくださいませ。

PBのスライドT型HEX

スイスの工具メーカーPB。
当店でもドライバーやHEX、そしてたがね等で人気のメーカーですが、毎年結構頑張って新製品を出してくれて楽しませてくれるメーカーでもあります。

そんなPBが数年前に出した製品の中に個人的に結構気に入っているレンチがありまして、今回はそんなお気に入り工具の再紹介でもしてみようかと。

PB T型HEX

PB スライドT型HEXレンチ

それがこの『スライドT型HEXレンチ』
ヨーロッパ系の工具メーカーならかなりの確率でカタログに載せているこのT型HEXですが、PBはグリップ付きのこそあれどシンプルなT型HEXって出してなかったんですね。
そんな中で登場したスライド式のT型HEXだったので個人的にはかなりお気に入りなのですが……
なんせ価格が高いんですよ。

PB T型HEX
横バーはスライド出来ます

この価格の高さもあって待望の登場だったわりにあまり売れている印象はないのですが、それでもさすがPBな感じで造りがめっちゃいいんです。
またサイズ設定もかなり凝っていて小さなサイズから10mmを超える大きなサイズまで網羅しているのもお気に入りポイントのひとつ。
(7mm設定があるのも良心的です)

PB T型HEX
1本ずつにシリアル番号が印字されております

さすがにね、そこそこ高価なので「全部揃えて」ってなるとハードル高いのですが、必要サイズだけ局所買いならかなり役立つレンチだと思います。
あまり話題になる事はありませんがぜひ試して欲しい工具の紹介でした。