アサヒのレボウェイブシリーズ

KTCにおけるneprosとかKo-kenにおけるZ-EALとかまさにそんな感じで自社のスタンダードなメインラインナップ以外に車両整備向けに特化させたシリーズってのがあります。

これにおける存在意義とかはいろいろあるとは思いますが、どの工具メーカーさんも本当はそんな面倒な事はせずにスタンダードシリーズをバージョンアップする事ができればいいわけでして…
しかし、それが出来ずに別ラインナップを立てる必要性があるわけです。

これが出来ない理由の大きなひとつがスタンダードラインナップが非常に酷使される現場で使われている事です。
それこそハンマーでガンガンしばかれたり、長めの鉄パイプを引っ掛けてグイグイ回されたりね。
もちろんそんなのどんな工具でもNGではあるのですが、いまだに業種によってはそういう事が当たり前に行われたりしてますからね。

で、工具メーカーさんってのはそういう現場でも使われる事があるって事を織り込んで工具を作っているってのが現状でして、そこに現代の車両整備のニーズに合うようなスタイリッシュな工具ってのはなかなか難しいんですね。

それでも現代の車両整備の現場からは「もっとスマートな工具が欲しい」ってな声も多く掛かるわけでして、この矛盾する現場からのニーズに応えるため苦肉の策といった形でグレードやシリーズ違いのラインナップの投入ってな事になっているわけです。

─前置き終了─

で、工業向けの工具が得意なアサヒからも現在同じような理由で出てきた新ラインナップであるレボウェイブが登場しております。

レボウェイブ

アサヒで有名な工具と言えば超軽量レンチシリーズであるライツールがありますが、このレボウェイブシリーズは使い勝手とかその辺を考えて作られたKo-kenのZ-EALみたいなグレードの工具だと思っていただければ理解しやすいかも。

アサヒ レボウェイブ コンビネーションレンチセット6本組

このレボウェイブの最大の特徴が人間の「持ち手」を考慮した設計です。

レボウェイブ

こんな感じで手の「握り」部分を削ったような特殊形状をしていて作業者目線で作られた工具になっております。

レボウェイブ

アサヒ レボウェイブ スパナレンチセット6本組

スパナのセットもサイズ豊富になっていてお買い得でもありますね。

レボウェイブめがねレンチセット

アサヒ レボウェイブ めがねレンチセット6本組

こちらはめがねレンチのセット。

実際に触ってみて実感して欲しいとは思いますが、工具自体はこの価格帯のものしてはかなり良く作り込まれております。
気になった人はぜひどうぞ。

工具のニーズと実情

今月の5月9日は語呂合わせで「工具(5/9)の日」とか言われてて、そんな日に合わせてなんとなーく私感を書いてみたりしたことが過去には何度かあるのですが。
正直この手のポストって書くのに時間や熱量が必要なこともあって、今年はもう書かなくていいかな…とか思ってました。
しかしお店に来るお客さんから「今年は何か書かないの?楽しみにしてたんだけど」とか言われてしまったので、遅ればせながら普段思っていることを書いてみようかと思います。

あまりにも広義なことは書きにくいのでちょうどタイムリーに身近で起こっていることでも書いてみますね。

近年私のもとには工具のメーカーさんから「こんな感じの工具を開発中なんですがアドバイス的なものはありますか?」等のお話が結構きます。
これは自慢話とかではなくメーカーの開発の人とかはエンドユーザーさんとなかなか接触する機会がないので、店舗で工具を売っていて直にお客さんと接している人からの情報を欲しがるわけです。
だからエイビットだけに聞くとかではなく、店舗をやってて意思の疎通が出来る人に聞いているってのが正しいかな。

ちなみに余談ですがこのときに工具のプロトタイプとか見せてもらうことがあったりしますが、何を勘違いしたのか「試作品を誰よりも早くSNSにアップだぜ」とかやる販売店さんがいます。
アホかと。
まだベータ品なのにSNSとかにアップして自己顕示欲マシマシなのとかを見るとホントにゲンナリしますね。
ちゃうねん、その試作品は結構な人数見てるねん、あなたが特別ではないのよ。(なんなら後日のネタとして使うかもだからみんな画像くらいは撮ってる)
でもみんな暗黙の了解で普通は表に出したりはしません。
もちろんメーカーから「どんどん出して宣伝してください」とか言われたら別っすよ。
ホントに勘弁して欲しいす。

─閑話休題─

でまぁメーカーの試作品とかアイデアにはいろんな情報が集まってきて徐々に形になってきたり、改良等が施されてきて製品になっていくわけです。
でも最近はSNSがあるじゃないですか。
メーカーの開発さんとかと別に広報の人間がこの手の情報とかをネット上で行うのを目にするようになってきました。

これがねぇ…
あまり良い結果になってないよなぁと思うわけです。
まず最も問題だと思うのがネットって結局「声のでかい人がイニシアチブを取りがち」ってことです。
特に工具という分野は「誰でもある程度語れてしまう」分野でして、例えばフォーミラーカーの制作している人と庭先で原付きをいじってる人が対等に論議出来てしまいます。
もちろんどちらが上とかはないのですが整備状況には大きな違いがあります。
工具に対する要望も違って当然なのですが、両者ともにネットに登場するとは限りません。
そもそもイチ個人が「僕の考えた最強の工具」って結局その人が良いと思ったことが詰め込まれているだけなので、いざ発売となったらあまり売れない場合が多く、もっと言えばその立案者さえも「あとここがこうなら…」とか「価格が高すぎるよ」とか言い訳ばかりで購入には至らないことが多い印象です。
(これは工具に限った話ではないかもですけどね)

あと店舗でもネットでも「この工具がこうなったら買うのに」とか言われることも多いのですが。
これも上記と同じ理由で限定条件下での工具の利便性ってあまり意味がないんですよね。
ただ誤解して欲しくないのですがユーザーの要望としては「こんな工具があったらいいのに」というのはどんどん言った方がいいとも思ってます。
例えば車両整備の現場でも日進月歩でいろんなことが進化していて、整備の事情も変わっていってますからね。それに伴う要望とかは貴重な意見でもあるわけです。
そしてそういった声をみなさんの想像の遥か上で実現するのが開発の仕事なんじゃないかなと思うわけです。

昭和から平成に掛けて一時は一斉を風靡したリサーチ式の商品開発ですが、分野を超えたお客様の多様化やネットによる距離感の違いによって現在は完全に崩壊したと思ってます。
ネットが普及して声を上げやすくはなりましたが、メーカーさんにはそれを上回る商品開発をお願いしたいですね。

お店の写真

蔵王産業の高圧洗浄機ラインナップ

もともとは業務用の機器を販売していた蔵王産業が民生機として一般向けの高圧洗浄を発売してから7年ほど経過しました。
当時としてはかなりのハイスペックであり、また初参入ということもあって変化球勝負ではなく基本スペックだけを底上げした高圧洗浄機を出しましたが…

まぁやはり7年も経てばそろそろモデルチェンジの時期なわけです、はい。

ってなわけで蔵王産業の高圧洗浄機が昨年一気にモデルチェンジしまして、ラインナップ的にちょっと分かりにくいって人もいるようなので再紹介です。

蔵王産業高圧洗浄機
旧型となった2台

モデルチェンジ前のハイスペック機となるZ3とZ4。
どちらも多くの人に愛されてきましたが、何か不満点がなかったか?と言われればいくつかあったわけです。
中でも本体上部に付けられた一体式のホースリールはいざ使ってみるとイマイチってな意見も多く、実際私も日常で使ってますが確かに巻取りにくいとか思いましたしね。

そこで。
最新のモデルは基本スペックは少しだけ上げて、あとはそういった不満点を解消したモデルとして登場しました。

新型高圧洗浄機

蔵王産業 高圧洗浄機『ヴィットリオZ4』ハイエンドモデル

もうひと目見て分かりますよね。
そう「ホースリール別体式」になりました。
機動性としては両手が塞がるので少し落ちたともいえますが、実際に使ってみるとホース側はかなり軽量なのであまり気になりませんね。

新型高圧洗浄機

また従来のZ4の最大の利点であった「ホースをちょっとだけ引き出して使う」のは継承されているのでササっと取り出してちょっとだけ使う──とかの需要にもバッチリです。
またリール部分に10m、延長用にホースだけ10mが標準で付属しますので、最大で20mまで長くして使えます。
これだけあれば家の周りとかの掃除でも活躍しますのでいいですね。
また水場が遠いなんてユーザーにも合っているかと。

ってなわけで最上位モデルのヴィットリオZ4は正統後継機として生まれ変わりました。

蔵王産業ホースリール単体

蔵王産業 高圧延長ホース用 ホースリール ※電動高圧洗浄機用

ちなみにこのZ4に純正付属するホース用のリールは単体でも発売されております。
電動モデルでしたら旧型のZ3・Z4にも使用出来ますのでさらにホースの延長等がしたいって人にはおすすめです。

そして小型軽量モデルはというと──

新型高圧洗浄機

蔵王産業 高圧洗浄機カークリーナー『ヴィットリオZC』

こちらの総合マルチ洗浄機のヴィットリオZCとして新発売になりました。
掃除機や吹き飛ばしのブロワー機能までついたマルチ機ですので『洗車』向けに特化したモデルとなります。

泡洗車

また標準で泡ノズルが付いてますのでこんな感じに細かな泡で洗車の手助けもしてくれます。
これだけいろいろな機能が付いての価格ですので販売後もかなりの高評価を頂いておりますね。

エンジン式高圧洗浄機

エンジン式高圧洗浄機

蔵王産業 エンジン式高圧洗浄機『ヴィットリオZE』

そしてこちらのエンジン式洗浄機「ヴィットリオZE」もおかげさまでいまだに好調です。
電源や水道を確保出来ない現場でも使えますからね。
ダートバイク需要はもちろん農家の方からも絶賛を頂いております。

ってなわけで新型が出揃った蔵王産業の高圧洗浄機シリーズ。
何かご質問等がありましたらお気軽に聞いてくださいませ。

フッ素系ドライ潤滑剤の用法と効能

いろんなメーカーから様々な種類の出ている防錆潤滑剤。
整備の業界ではワコーズのラスペネあたりが神格化され重宝されております。
実際のその効き目に間違いはないですし、助けられた経験がある人も多いかと思います。

そんな潤滑剤の中でちょっと変わった存在というか、またちょっと用途が違う感じで使われているのがシリコンスプレー。
金属間だけでなくゴムや樹脂との相性もいいのでラスペネみたいな防錆潤滑剤とは別腹で便利なケミカルです。

で、そんなシリコンスプレーですが市場にはピンからキリまでの商品があり、またその性能差がかなりあったりするので製品の評価も使用している商品によって大きく変わってしまったりします。
性能差が大きくでる原因がシリコンの含有量。
これはそのまま製品のコストに跳ね返りますので、安価なものを使っている人はそこまでの恩恵は受けてないかなぁ…と思います。
でも実際そこそこの製品を使えばかなり便利なケミカルでもあるんですよね。
車両整備と言っても樹脂パーツも多く使われてますから、こういう異素材間で便利に使えるケミカルってのは本来重宝するもんなんです。

で、今日の本題であるフッ素系ケミカル。
フッ素オイルとかフッ素スプレーとかいろんな呼び名がありますが、簡単に説明するとフライパンとかに使われているテフロン加工のその素材がフッ素です。
ある程度までの熱に強く様々な素材の摺動部に効果があります。
まぁ弱点もあってかなりの高熱ではダメでテフロンの大元でもある3Mでも500度だっけかな?(うるおぼえで分かりません)それ以上の高温になると効能はなくなるそうですが、そこまで熱くなる箇所なんて限られてますからね。

で先述したシリコンの上位互換にあたるのがこのフッ素なわけで、使い方次第ではかなり便利なケミカルです。

フッ素系ドライ潤滑剤万能

東洋化学 フッ素系ドライ潤滑剤”万能”

そして当店で取り扱いしているのがそんなフッ素系ケミカルの最先端である東洋化学の『フッ素系ドライ潤滑剤”万能”』です。
名前がちょちダサいのはご愛嬌ですが中身はかなりガチな本格派ケミカルになております。

基本的な用法としては上記でも言っておりますがシリコン系のスプレーの上位互換なのでその手の使い方はそのまま出来ます。

また本製品の最大の特徴である「ドライ」タイプというのが使用の幅をさらに広げてくれており…

フッ素系ドライ潤滑剤万能

こういう家屋のドアヒンジとかにも抜群に良いです。
まぁこういう箇所の潤滑ならば最初にいったラスペネとかでもいいのですが、実際はあの手の潤滑剤って後になってから油分がホコリがゴミを誘い、その巻き込んだゴミが動きを妨げる結果になったりします。
なのでこのドライタイプってのは長期潤滑にはとても意味のある特徴なんですね。

そんなわけでいわゆる「油分を付けたくない」箇所への使用がすごく便利なケミカルですので。

フッ素系ドライ潤滑剤万能

こんな感じで鍵穴とかにも超便利。
特に屋外にあるような鍵穴で経年劣化で渋くなっているようなのなら効果絶大です。
あとはバイクだとフロントフォークのインナーチューブに塗ってシールを保護してあげたり、スロットルチューブの中に塗ってホコリを巻き込まない潤滑としても活躍しますね。

そしてこのブログを読んでいるって事は工具の興味がある人だと思いますが…。

フッ素系ドライ潤滑剤万能

本製品は「防錆潤滑剤」でもあるわけでして。
本来なら錆対策で少々オイリーな表面を維持しておきたい、けどオイリーなままだと使う時に面倒だ…なんて悩みも解決。

なんといってもドライタイプケミカルですからね。
吹き付けた後もサラっとした表面を維持しつつ、防錆効果も発揮してくれるわけです。
もちろん工具だけではなく錆が気になる箇所ならどこでもOK。
シュっと吹いて軽く拭き均してあげればいいだけですから扱いも簡単でいいですね。

ってなわけで現在お店でも売れまくっているフッ素系ドライ潤滑剤。
ぜひお試しくださいませー。

ちなみにどれくらいドライなのか分かりやすく同系統のシリコンルブとの比較の動画を撮ってみました。
参考にしてみてください。

曲がる工具

昔と比べると整備しにくくなった印象のある自動車の各部。
出来るだけ省スペースの中にいろいろ詰め込んだり、欧州車からの流れなのかやたらと保護カバーや化粧カバーがついたりして面倒は多くなっていると感じます。

そんな自動車整備の現場ではとにかく「工具が入らない」とか「そもそも手が入らない」とか大変でして、そういう箇所向けに補助工具が出ております。

今回の曲がる工具もまさにそれでして、近年問い合わせも多く人気のボールジョイントタイプのアダプターを紹介します。

Z-EALボールジョイント

Z-EAL ユニバーサルジョイント(ボールタイプ)1/4・3/8・1/2

本来の「ユニバーサルジョイント」という意味ではちょっと違うボールジョイントのアダプターです。(まぁ公称って事で工具の業界ではユニバーサルジョイントで話をしてます)

いわゆる普通のユニバーサルジョイントと違ってボールジョイントは使い方を気にせずグリグリと動いてくれるので人気ではあったのですが……
いかんせん、ロックピン1本で保持する構造上どうしても耐久性がなかったんですね。

Z-EALボールジョイント

そんな弱いイメージがあったボールジョイントですが、Ko-kenが新しく作ったボールジョイントは違いました。
従来の弱点であった弱さを写真のように6面のスプライン構造にしまして、最大トルクを大幅にアップ。
これによって「よく動いて使いやすいけど、弱い」ボールジョイントが「よく動いて使いやすくて強い」工具に生まれ変わったんですね。

Z-EALLダブルジョイント

Z-EAL ダブルジョイントユニバーサル 1/4・3/8

そしてそんなボールジョイントにさらにこんなのもあります。
その名も「ダブルジョイント」です。

Z-EALLダブルジョイント

まぁ見た通りダブルにジョイントが付いていて片側の最大曲げ角50°を誇る新発想の工具です。
この構造の優れているのがあまり語られる事がありませんが実は全長です。
ダブルにジョイントしてるのでシングルに比べたら長くなるのは当たり前なんですけど、25°ずつカクンカクンと2度曲がってるこの形状は整備の現場ではかなり重宝する存在です。

そして逆に全長が出てしまうのが駄目な箇所ならこんなのも選択肢として存在します。

Z-EAL3/8ユニバーサルソケット

Z-EAL 3/8ナットグリップ ユニバーサルソケット

曲がってからの「アダプターにソケットを差し込む」というのを廃したソケット直付けモデル。
極狭所で威力を発揮するソケットでしてさらにナットグリップ機構まで付いています。
これなら従来ソケットでは外せなかったような箇所での作業がかなり楽になると思います。

まだまだ曲げて使える工具ってのはいろいろあります。
頭を柔軟にして工具で対応出来る箇所は工具でなんとかしてしまいましょう。