ストレートめがねを使う

車両整備における工具の歴史はとても長いのですが、そういった整備工具の黎明期でもあった1960~1970年くらいには現在の工具のカタチはある程度確立されていた印象でして、例えば今みなさんが目にするコンビネーションレンチとかは50年以上大きな進化というのはありません。

そんなハンドツールの中にあっても、ごく稀に目から鱗の工具が登場するから面白いですよね。

今回紹介するストレートめがねレンチも実はある時期に一気に広まった後発工具のひとつです。
35年くらい前かな。(時期は詳しく覚えてない)
スナップオンから航空機向けレンチとしてスタンダードラインナップの中ではなく「etc」のページに記載されて徐々に広がっていった印象があります。
(個人的にそう覚えているだけなので違うかもしれませんが)

時代的にも自動車のエンジンルームはどんどん狭くなっている時代で、さらにいうと横置きエンジンのFF車も多数登場してました。
ストレートめがねというと超ロングストレートめがねを思い浮かぶ人も多いと思いますが、このレンチが最も重宝されたのがそういった「狭くて真っ直ぐ工具を突っ込みたい」整備が多くなったってのもあったのかと。

ちなみに余談ですがそれまでストレート形状のレンチがない時代には。

ネプロスSシェイプ

nepros Sシェイプめがねレンチ

こういったS字めがねやハーフムーン等は真っ直ぐ使えるレンチとして活躍してました。
今でも場所によってはこの形状で真っ直ぐ工具を突っ込めるのが便利な箇所もありますね。

そんなわけで超ロングストレートめがね。

TONE超ロングストレートめがね

TONE 超ロングストレートめがねレンチ

様々なメーカーから発売されておりますが現場での使用感とかサイズラインナップの広さ等も加味するとTONEの超ロンが一番人気ですね。
日産車をイジる人にも16×18の設定があったりするのがかなり良い感じです。

ネプロスストレートショート

nepros ストレートショートめがねレンチ

こちらは少し毛色が違いますがストレートの「ショートタイプ」
実は個人的にかなりお気に入りの工具のひとつでしてあまりトルクを必要としない&ラチェットとかでは作業しにくいとうな場所でかなり重宝します。
ブレーキのエア抜き用としてもかなり売れてますね。

そして超ロングでの人気レンチをもうひとつ。

SK11超ロングギアレンチ

SK11 超ロングフレックスギアレンチ

先述した通り超ロングストレートの場合「奥まったボルトに真っ直ぐ突っ込んでアクセス出来る」ことがメリットのひとつですので、奥まった箇所にアクセスしたあとはチョコチョコ回す場面もあるわけでして。
このギアレンチモデルはその辺をカバーしてくれるのでかなり使い勝手がいいんですね。
ギアレンチの反対側は普通の超ロングストレートと同じオフセットめがねになってますので初緩めや締め込みも問題ありません。

ってなわけでトルクを掛けるのもバッチリ、奥まった箇所にアクセルもOKな超ロングストレートめがね。
ご自身の整備環境に応じてサイズ選定して揃えればかなり便利な工具として使えると思いますよ。

大きいサイズのソケット

車やバイクをいじりはじめると、まずは基本的な工具をひと揃いそろえる事になりますよね。

これが例えば「ちょっとした作業しかやらない」とか「まだ整備自体が良く分からない」状態だったとしても、ラチェットやソケットは必要だしドライバーだってなきゃいけないし、ニッパーやラジペンだって持ってないと作業出来ない可能性あるし…ってことで結局基本工具と言われているものはある程度必要になって揃えることになります。

そんなわけでなんとか基本的な工具が揃ってくると出来る作業の幅も広がってきて、それに応じた工具をちょこちょこと増やしていって徐々にですがその人なりの工具セットになっていくわけですが──

 

結構忘れられがちなのが大きめのソケット。

以前のこのブログのエントリーで差し込み角の対応サイズと言うのを書かせてもらいましたが、ここで書かれている通りある程度工具が揃ってきてからは計画的にソケットを買いそろえる必要があるんですね。

そして大きめサイズとなる1/2差し込みのソケットが欲しいとして、ここでセット買いとしようと思うと結構悩む事になります。

それはメーカー純正の1/2ソケットセットの場合、下は8から上が22ミリくらいまでのセットが多く、先程のエントリーのように自分の揃え方にあったソケットをセット買いでうまく済ませる事が出来ないんですね。

KTC1/2ソケットセット

KTC 1/2ソケットセット10個組

例えばこのKTCの1/2ソケットセット。
8ミリから24ミリまでのセットになっていまして1/2ソケットで使いたい27ミリとか32ミリとかは入ってません。(もちろん基本に沿って揃えるならこれスタートでもアリだと思います)

そんなわけで「大きいサイズのソケット」ってその人がやる作業に大きく関係してくることが多いので、その人が使いたいサイズを中心に揃えるのをおすすめしております。

KTC1/2ソケット

KTC 1/2ショートソケット単品

今回は「ある程度工具が揃ってから買い増しする大きいソケット」ですので1/2ソケットで10ミリとかは必要ないですよね。

Ko-ken1/2ソケット

Ko-ken 1/2ショートソケット単品

またある程度工具が揃ってきたということはご自身でやりたい作業も明確になってきていると思いますので必要な大きいサイズのソケットも分かるようになっていると思います。

Z-EAL1/2ソケット

Z-EAL 1/2ショートソケット単品

ですのでこちらで紹介しているようなソケット単品から必要サイズを揃えるのが良いと思います。

ちなみに1/2ソケットで使用する大サイズでは一般的に。

19・21・22・24・27・30・32・36mm

といった感じで基本サイズとなっておりますのでサイズ確認時は参考にしてみてください。(一部車種で23や29mmとかも出てきますので要確認)

Z-EAL1/2ソケット

ってなわけで今回は大きいサイズのソケットの揃え方でした。
それでもいざ揃える時になって分からないって人はご相談くださいませ。

車載工具に便利なビットラチェット

車載工具を検討するうえでいくつかの要点ってのがありまして。
そもそも限られたスペースに置くことを前提とすると、持っていく工具は出来るだけコンパクトなほうが望ましかったりします。
特に積載量が限られているバイクとか自転車ではその傾向が顕著ですよね。

そしていろいろある工具の中でも握りのグリップ部分があるドライバーという存在はなかなか場所をとる工具のひとつでして、このドライバーをなんとかすることが出来ると車載工具は一気に小さくまとめる可能性が出てきたりします。

ってなわけで今回はそんなドライバーの代替工具としてよく検討されるビットラチェットをいくつか紹介します。

SIGNETミニビットラチェット

SIGNET ミニビットラチェットセット

コンパクトで使いやすいビットラチェットとしてSIGNETで登場した元祖のモデルとなり、現在でもスタンダードモデルとして人気のセットです。

SIGNETミニビットラチェット

SIGNET フレックスミニビットラチェットセット

そして後発で出たいわゆる「首振りロング」モデルがこちら。
上のスタンダードもこの首振りも車載工具として使うのに適したポイントがありまして。

SIGNETミニビットラチェット

それがこの後端部のビット差し込み部分。
ラチェット機能は付いてませんが90度に曲がって操作するラチェット部分では入らない「ちょっと奥まった真っ直ぐに差し込んで回すネジ」にとても有効です。

またこの首振りモデルならばトルクを掛けたい時にラチェットの首振り部分を曲げて操作すればストレート形状の時よりもトルクをかけることが出来ますので出先でもかなり重宝するんですよね。

SIGNETミニビットラチェット

SIGNET ウルトラショート ミニビットラチェットセット

そしてそんなSIGNETのミニビットラチェットシリーズの中でもソケットまで付いた人気商品がこちら。
ウルトラショートで根本部分に1/4差し込みが付いたモデルです。

画像のようにこのモデルには1/4ソケットも付属してますので、さらに「車載工具」っぽさが出てますよね。

SIGNETミニビットラチェット

全長がかなり短いので10mm以上のボルトナットを回すのには少し厳しいのですが。
それは1/4差し込み部分にこんな感じでスライドT型レンチを差し込んであげれば解決。
上記のモデルと違って後端部のビット差し込み口がありませんので、どちらのほうが自分に合っているモデルなのかはご検討くださいませ。

価格もそこそこ安価ですので車載工具の宿命である「出先で紛失」した時もダメージはそこまで…だと思います。
持っていく工具を検討中の方はぜひこのビットラチェットも候補に加えてみてください。

オイル交換時に出てくる四角いボルト

国産車だと主にマニュアルミッション車に多いのですが、たまに出てくるもんだから問い合わせの多い四角いボルト用の工具。

欧州車とかではエンジンオイルのドレンとかにも使われてて、通常工具の差込角をそのまま使って痛い目にあった事がある人もいるハズです。
今回はそんな四角いボルト対応の工具をズラッと紹介。

KTCドレンボルトソケット

KTC 1/2四角ボルト用ドレンコックソケット セット・単品

主に国産車のミッションオイル交換時に出てくる四角ボルトに対応したKTCのラインナップです。
オイル交換専用に作られてるので使い勝手もよく、このサイズで対応出来る車種に乗っている人にはオススメのソケットです。

※スズキ車用の10mm凸も追加されました。
>>KTC 1/2四角ボルト用ドレンコックソケット(10.0mm)

Ko-ken1/2二重四角ソケット

Ko-ken 1/2 2重4角ソケット

サイズ設定こそ少ないのですが「四角いボルト」を回すための工具です。
こちらも国産車のミッションオイル交換時に必要なサイズ設定はあるので、これでOKな車種にはオススメ。

Ko-ken3/8二重四角ソケット

Ko-ken 3/8 2重4角ソケット

こちらは上記のソケットの3/8差し込みバージョン。
サイズが幅広く追加され農業用機械等でも使われている四角ボルトにも対応したサイズ設定があります。
7ミリとか13ミリとかお探しの方はこれがオススメ。

Ko-ken四角ソケット
Ko-ken 四角オイルドレン用ソケット

欧州車で多く使われている凹んでいるドレンに対応した四角ソケットです。
特に10mmとかでは3/8差し込みをそのまま使ってなめてしまうユーザーが多いのですが、キチンと10mmを使うようにしましょう。

Ko-kenドレンソケットセット

Ko-ken オイルドレンプラグキーソケットセット

で、いろんなサイズのオイルドレン用が入っているのがこのKo-kenのセット。
四角はもちろん六角の対応品も入っているので欧州車等の入庫が多いガレージにはオススメのセットです。

こんな感じでオイル交換でもいろんな工具の可能性があります。
またキャップボルト形状の場合、代用の工具は無いと思ってもらった方がいいので、出来るだけ工具を準備してから作業するようにしましょう。

2024年発売予定の新製品内覧会

年末のかなり忙しい時期に開催される恒例のメーカー新製品内覧会に行ってきました。
展示即売会とは違い来年の2024年に発売予定な新商品のあたりをつけるってな感じの内覧会でして、実際画像で紹介する製品が確実に発売になるのかどうかはまた別のお話という前提でお読みくださいませ。

2024年新製品内覧会

日本各地で開催されるというわけではなく東日本と西日本で開催ってな感じですので、今回参加した東日本内覧会にはかなりの遠方からも販売店さんが集まっておりました。
(当店は車で30分くらいの距離なので気楽ですが)

2024年新製品内覧会

展示してある商品は全てが新製品というわけではなく来年発売予定の商品にはこのように「2024年に出る商品だよー」というポップが付けられております。
従来品も多く展示されていてそういう商品群を一度に見ることが出来ますので、自分の頭の中で分類しにくくなったり忘れてしまったりしていた工具の情報を整理するいい機会だったりもします。

2024年新製品内覧会

こちらはチタン焼け風味の工具達。(チタン製ではないですよ、風味です風味)
需要としてはまぁまぁありそうですね。

2024年新製品内覧会

こちらは当店でも人気のタイダウンベルトの新商品。
自動巻きってありますがこれが手動巻にして価格を下げた製品となります。

2024年新製品内覧会

LEDライト関連の新製品も目白押し。
この中からどれくらい流通に乗るのかが興味ありますね。

2024年新製品内覧会

そして近年問い合わせの増えているというか需要が再燃している空圧系。
特にガレージの備品として活躍するこの手の製品は取り扱うかどうかはさておき頭の隅にいれておかないといけない商材です。

2024年新製品内覧会

そしてエアーカプラも。
この手ってカタログの型番やサイズ設定一覧を見てもぶっちゃけよくわからないので、こんな感じでズラリと見ることが出来ると頭がスッキリします。

2024年新製品内覧会

そうそう忘れちゃいけないのがこの手の金物屋さん系統の工具。
工具の取り扱いをしているということはこの手の商品も実は取り寄せ可能でして、お客さんに聞かれた時にお答え出来るように情報をインプットしておきます。

2024年新製品内覧会

金物屋さん系がOKってことは実はこんなのも取り寄せ可能です。
(こちらはどれも1点もの)

2024年新製品内覧会

個人的に面白いなーと思ってみてたのがこれ。
グルーガン、ホットメルトとかいろいろ呼び名がありますが充電式のペン型簡易グルーガンです。
車両整備でもこれくらい気楽なものなら使えそうですね。

2024年新製品内覧会

こちらは模型用のヤスリシリーズ。
プラスチック研磨に適した布ヤスリですね。

2024年新製品内覧会

そしてなぜか毎年新型が出続けている工具バッグシリーズ。
今年のはカメラバッグとしても使えそうな保護材入りが出るみたい。

2024年新製品内覧会

そして高圧洗浄機の蔵王産業も新製品が目白押し。
数点気になったものもありましたが参考出品だったりもするので後で打ち合わせが必要です。

ってなわけで毎年恒例の年末の行われる内覧会の様子でした。
これが終わると一気に年末ってな雰囲気になりますので個人的にも良い頭の切り替えになっております。
今年も残り3週間、全力で頑張りますので応援よろしくお願いします。