パーツトレイの有効活用

整備初心者さんが来店してくれて、ある程度工具が揃ってきた時に
「次はなに揃えると便利ですかね?」
と聞かれたりするのですが、そんな時にオススメしてるのがパーツトレイ。

パッと見ではなんて事ないステンレスのお皿なので、そう紹介してもイマイチ反応が悪かったりするのですが、メインのハンドツールがある程度揃ってきたら持っていて欲しい備品系工具のひとつです。

実際こんな感じで……

パーツトレイ

プロの現場を思い返してもらうとわかると思いますが、こんな風に綺麗に整理しながら整備をするというのはすごく重要な事でして、出来れば1枚とは言わずにサイズを変えて数枚持っていてほしいですね。

浅型トレイ

SK11 浅型ステンレスパーツトレイ

こちらが浅いタイプのステンレストレー。
ちなみに樹脂とか素材もいろいろありますが、溶剤とかケミカルに浸かる事も多いトレーですのでステンレス製がオススメです。
サイズは写真に写っている工具の乗っているサイズが基本サイズだと思ってください。(N24サイズ)

そして少し深いタイプのトレー。

パーツトレイ

SK11 深型ステンレスパーツトレイ

こちらは部品洗浄とか部品のストック時とかに便利です。
ケミカルで浸け置きするときともこの深さがあると安心です。

オイル受け

私はこの深型トレーでオイル交換もしちゃいます。
バイクで2リッターくらいまでなら問題なく受ける事が出来るし、抜いたオイルの確認もしやすくて便利ですよ。

ってなわけで軽視されがちなこういう備品系の工具。
ちゃんとしたものを揃えておくと整備も格段にしやすくなります。
まだ持ってないとか、まだ1枚くらいしかない、なんて人はこの機会にぜひご検討くださいませ。

樹脂部品の分解に

整備用の工具ってとにかくたくさんの種類が出ておりまして。

「こんな工具があったら便利なのになー」

なんて思うような工具ってよくよく探してみると実はすでに存在していたりします。
もちろん個人個人が思い浮かぶようなものがそのまま具現化されたものは厳しいかもしれませんけど、結果として用途としては同じになるなんてものまで含めればほぼ全ての作業にたいしての工具があるのかもしれません。

さて今回はそんな作業用工具の中でも少しニッチながら、確実に需要はある「樹脂パーツ用工具」のお話です。
金属製の機械部品等でしたら汎用工具でたいていはなんとかなりますが、樹脂パーツをさわるのって意外と大変なんですよね。

特にパチンとはめ込んであるようなパーツの脱着には神経を使います。

KTC精密ドライバーセット

KTC 精密ラチェットドライバー&ツールセット

そんな人にオススメなのがこのKTCの精密ラチェットドライバー&ツールセット。
精密ドライバーはね、まぁそのままの工具なのですが。
これに付随する先端系ツールがとても評判いいのです。

KTC精密ドライバーセット

こんな感じでピックツール3本とヘラのようなスパッジャーが入ってます。
中でもスパッジャーと呼ばれるコジリ工具がかなり優秀でして、画像のように薄いヘラ状になっていて樹脂部品の分離箇所やクリップ箇所に差し込んで使用出来ます。

かなり薄い作りですので接合部に隙間がない場合でもクイクイっと差し込んで使えますのでかなり重宝すると思います。

SIGNETマルチオープンツール

SIGNET マルチオープンツール(ステンレス刃付)

また上記のKTCスパッジャーと似た用途ではありますが、こちらはもっと割柄として特化した工具となります。
本体は金属製ではなく強化ポリアミドファイバー樹脂となっており、パーツに差し込んで分離等の作業専用に作られております。
また柄の根元部分にはステンレスブレードも装着してありますので、トルクの掛かる箇所ではそこを使えばOK

工具としてはたいした事のないシンプルなツールですが、この手の作業が多いメカさんからは絶賛されております。
手持ちの適当なマイナスドライバーで代用してたよ、なんて人はぜひご検討くださいませ。

整備の時に座る椅子

整備も集中して長時間行うと身体のアチコチが痛くなったりしますよね。
変な姿勢でギコギコやる事が多いので仕方ないのですし、まだ筋肉痛とかならいいのですがこれが腰とかやらかすとキツイです。

自動車の足回り整備とかバイク整備とかの場合、そんな腰をやらかすような姿勢になる事も多くてみなさんいろいろ工夫したり、プロの現場ではリフトとか使って中腰の姿勢にならないようにするのですが…

逆転の発想というか、車体を上下出来ない環境ならいっそイスに座ってしまえばかなり作業が楽になったります。

今回はそんな作業用に作られたワークシートの紹介。

SK11ワークローラーシート

SK11 ワークローラーシート

普通のイスとは異なり着座位置を低く設定しているので、膝を折ってしゃがむくらいの目線での作業がとても楽になります。(高さ445mm)

またキャスターが付いているので前後左右に座ったまま移動でき、画像のように部品や工具をイス下においておけば必要なモノと一緒に移動しながらの作業が可能です。

SK11ワークローラーシート

SK11 昇降式ワークローラーシート

そしてこちらは先ほどのシートの上位モデル。
画像のように油圧式の昇降機能がついてますので前後左右だけでなく目線の位置も変えることが出来ます。

SK11ワークローラーシート

特に側面で腰の高さ以下の作業が多いバイクの場合、左右に動きながら上下にも可動出来るってのはかなりメリットです。
作業終了後に腰が痛くなったり、膝が痛くなるような人は検討の価値ありなアイテムだと思いますよ。

アサヒツールのダックスキーHEX

車両整備の業界ではあまり有名ではない旭金属という工具メーカー。
アサヒツールというと少し分かる人もいるかもしれませんが、実は工業向け工具ではかなり名の知れた国産の工具メーカーさんです。

アサヒだと分からない人でも「ライツール」の軽量レンチシリーズを作っているメーカーと言えば分かる人も多いかと思います。

ライツール

ライツールのページはこちら

そんなアサヒにはもうひとつ得意な工具の分野がありまして、それが六角レンチ(HEXレンチ)
ボール部分にキャッチャーボールの付いたキャッチャーボールHEXも他メーカーがあまり真似出来ない3mm仕様があったりして何気に良い工具を多数出しております。

そして今回紹介というか説明させていただくのがダックスキーHEXという両端がL型になった特殊なショートヘッドHEXです。

アサヒショートヘッドHEX

アサヒ ダックスキーHEXレンチセット

ロングとショートの2タイプがありまして、どちらも通常片側だけ「L字」になっているL型HEXレンチとは違い、両端がショートヘッドなL字になっております。

これって何の説明もなく見ると「なんだこれ?」ってなるのですが、なかなか良くできていて愛用者も多いショートヘッドHEXなんです。

両端のL字部分をよく見てみるとこのように角で曲げてある反対側が辺部分で曲げ加工がされております。
六角レンチって6面なのでぐいっとネジを回すと、次にレンチを掛ける際に最低でも60度分の振り幅が必要なのですが、このレンチの場合だと反対側を差し込めば30度の振り幅でチョコチョコ回していく事が出来ます。

ダックスキーHEX

この図を見ると分かりやすいですね。

この30度で回していけるってのは先端部分が超ショートになっているショートヘッドHEXの仕様と相まって狭い箇所での作業で威力を発揮します。

いろんなメーカーからショートヘッドタイプが出ておりますが、この機能はこのダックスキーくらいだと思いますので、この手の作業で困っている人がいましたらぜひお試しくださいませ。

一応分かりやすい動画も貼っておきます。

充電式ハンドドライバーについて

工具の世界ってなかなかに歴史がありまして、古くは産業革命時代から「工具」と名のつくものがありました。
そんな長い歴史のある工具ですが、その時の工具の勢力図が変わるほどの革新的な工具の登場って少なくてですね。

私の記憶では超ロングストレートめがねレンチの登場とか。
記憶に新しいのはギアレンチの登場とかですかね。

で。
近年でいうとやはり電動ドライバーの登場ってのは大きかったのではないかと思います。
実際先発で販売したベッセルではしばらくの間品薄が続き、プレ値で取り引きされたりもしました。

そんな電動ドライバーですが業種によって結構賛否が分かれるんですよね。

SK11充電デュアルドライバー

原因は分かりやすくて。
もともと電動工具をガンガン使っていたような現場では「イマイチ」な反応。
そうではなくてハンドツールの手回しドライバーをメインで使うような業種では人気爆発ってな感じでして……

つまりこの電動のドライバーを電動インパクトのように捉えている人には性能不足だったわけです。
でも今まで頑張って手で回していた人には「全自動ドライバー」のようなこの存在は受けたんだと思います。
※店舗ではよく「ラチェットドライバーがボタンで回るようになると考えてください」なんていって売ってます。

SK11充電デュアルドライバー
カラーは3色 ザクとシャアザクとドムです。

SK11 充電式デュアルドライバーNEO

そんな革新的であった電動ドライバーも登場から数年経ちまして、どのメーカーも第二世代に移り変わっております。
このSK11のも正確には3代目ですからね。

SK11充電デュアルドライバー

繊細な作業にも対応するためにトルク調整機能も装備。
締め付け方向のトルクを「1・2・3」のスイッチで変えることが出来ます。

トルク1:2.5Nm(MAX)
トルク2:1.5Nm
トルク3:1.0Nm

↑こんな感じ。
樹脂部品への組付けとかトルクがありすぎるとワークの破損に繋がりますのでかなり好評な機能ですね。

先述しましたが手工具のドライバーの進化系ってなイメージで使うとめっちゃ便利な工具だと思います。
ぜひ一度お試しくださいませ。