樹脂製工具箱の隠れた名品

整備とか工具に関しての初心者さんだけでなく実はそこそこ熟練した人でも悩んでいる事が多いのが工具の収納。
いろいろ悩みまくってやっとこれだ!と言うのを見つけても使っていくうちに増える工具に対応しきれなくなったりして解決ってのは難しいですね。

私個人としては持ち運こんで工具を出先で使う事が多いので、大きめ工具箱と言う選択肢があまりなく、多少効率が悪くてもいいので小分けしてあちこちに工具を分類収納するようにしております。

で、そんな時に便利なのが樹脂製の工具箱。
屋外使用時の雨風にも強く工具箱も含めた重量を抑える事が出来るので便利なんですよね。
ただ残念な事にあまり種類とかがないので選択肢が少ないんです。

そこでお店で密かに売れ続けている樹脂製工具箱派な人たちに人気な商品を紹介。

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リングスター 両開き樹脂製工具箱ガバット

よくある3トレー式の工具箱なんですが樹脂製で軽く、上に開く2トレーには細かな物を整理して収納する事が可能です。
そもそも樹脂製工具箱でこの形状のものってあまりなく、ましてや性能や強度面まで考えると超おすすめの工具箱かと思います。

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大きさもこの通り手頃で車載にしても邪魔にならない大きさです。

 

そして驚くのがその収納力。

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一番下の底面の部分はかなりの容積で、このように油圧式のパンタジャッキをそのまま収納する事が出来ます。

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・マサダ 油圧パンタジャッキ

このジャッキがそのまま収納出来るんですから凄いですよね。
例えばこの工具箱にジャッキとタイヤ関係の工具をひとまとめに出来るだけでかなり整理整頓が進むと思います。

このようにこの工具箱は○○用とかって感じでいろいろ収納を考えてみると、収納で悩んでいた人は突破口が見つかるかもしれませんよ。

業種ごとの工具の既成概念─クローフット─

エイビットがある埼玉県羽生市ってところは東北自動車道沿線と言うこともあり工場地帯が広がっている地域です。
自動車関連の工場も多いのですが、その他にも様々な分野の工場があります。
特にご近所だとR&D(開発系)のところも多く、整備性とか関係なく現在制作しているモノに使えそうな工具の相談とか、今後に効率化が図れそうな工具の相談とか、いろいろな工具に関するお付き合いさせて頂いてます。

で、そんな話をしていると気がつくのが業界別の工具の認知度の違い。

以前も似た話を書きましたが「工具」と一言で言っても自動車整備では当たり前になっている工具でも工場設備関連では全く知られていなかったり、建築用ではすっごく便利な工具があっても他の業界では名前すら浸透してなかったりと業種ごとにバラバラな印象です。
浸透してないって事はその業界特有の作業があるだけで、他の業種では有効な工具ではないのかな?と思い調べてみると、実際はその工具さえあればもっと効率的に作業出来るのに慣例にしたがってやりにくい作業をしているだけって場合も結構あります。

まぁ各業界の縦割りは今始まった事ではないですし、もっと言えば問屋レベルから違うので情報の共有が出来ないってのは仕方無いんですけどね。
でもそんな業界事情を考えてみてもやはり一歩先に行っていると思えるのが車両整備用の工具。

最初に書いた工場関連からの問い合わせでも話を聞いていくと「車両整備用工具」として普通に流通している(ウチのお店に普通に在庫がある)ような工具を紹介してあげるだけで問題が解決しちゃう場合が結構あります。

今日のお客さんでも「ええ!そんな便利な工具あるの?」と驚かれてました。意外とそんなもんなんですよねぇ。

 

ちなみに今日の話はソケットが入らない箇所でめがねレンチも場所的に厳しい所の作業の問い合わせ。

しばし悩んで……フレアナットでいけません?と私。

フレアナットレンチとはこんなの。

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スタビレー フレアナットレンチ

メガネレンチ形状が入らなくても意外とこれなら入る場合ってありまして(すこし逃げがあるので)どうしても配管継ぎ手向け工具だと思われている人も多いのですが、スパナじゃトルク的に怖いって場合でも活躍する工具です。

さらに奥まった複雑な場合なんかでは……これとか。

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nepros クローフットレンチ

通称「カニの爪」と呼ばれるレンチ。
これもブレーキや油圧配管向けだけじゃなく奥まったオフセット箇所の作業にも有効。

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使い方例はこんな感じ。
カクンカクンとクランク状にオフセット出来ますので、奥の方に見えるちょっとずれている箇所に付いてるネジにもアクセス可能です。
もちろんブレーキ配管にも便利に使えます。

KTCクローフット

KTC 3/8クローフットレンチ セット&単品

回す角度がつらいようなときにはこんな12P仕様のクローフットレンチも検討してもらえればいいかと。

ちなみにクローフットにはスパナ形状もありまして…。

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アサヒ クローフット・トルクアダプター

こんなのもあります。
最大トルクではフレアナット形状よりも落ちますが、コレしか使えないって所もありますのでキラーサイズだけ揃えて持っているとすっごく便利です。

さらにさらに。

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こんな風にトルクレンチに取り付けてスパナヘッドとしても使えます。
もちろんトルク値は若干ずれますがスパナヘッド専用のトルクレンチを購入するよりもコストパフォーマンスが良いので、たまにしか使わないならこれで十分だと思います。

>>その他クローフットレンチはこちら

ちなみに今日のお客さんはネプロスのクローフットで解決しました。
こんな風にアイデアひとつで解決出来る事ってのもありますので、細かな話でも構いませんのでお気軽にご相談くださいませ。

スタビレーのトルクレンチセット

今月そして来月とこの春に各工具メーカーが価格改定(値上げ)を実施いたします。
昨年も改定したメーカーがほとんどでしてここ数年では2度目、3度目とかなメーカーなのですが…
この春の値上げはどこも従来よりも大きめのベースアップになるみたいで店舗でもいろいろな見積もりや相談が多数寄せられている状況です。

そんな中でも「あれ?これはかなり大きいぞ」って値上げ品がありまして、それが今回紹介するスタビレーのトルクレンチセット。

スタビレートルクレンチ

スタビレー プリセット型トルクレンチセット

もともとお高いトルクレンチではあったのですが、その中でもこの「セット品」だけは別格にお買い得な状況でした。

スタビレートルクレンチ

実際ヘッド無しのトルクレンチ本体のみでも6~7万円するのに(ヘッドだけで2万円とかします)このセットはラチェットヘッドがついてさらに専用ハードケースまで付いてるのに本体価格で購入可能でした。
(正直いうとメーカーが価格設定間違っていると思ってました)

スタビレートルクレンチ
こちらはクイックモデル

ちなみにモデルとしては最上位のクイックセットモデルのひとつ下ですが、トルクセット方法が違うというだけで性能はほぼ同じです。

で。
そんなお買い得だったトルクレンチセットがついに今回の価格改定で価格設定自体が見直されてしまい平均で13万円くらいになってしまう予定です。

ってなわけで価格改定前までは現在のお買い得な価格で購入可能です。
かなりの駆け込み需要や相談も来ておりますので購入可能な今のうちにぜひご相談くださいませ。
(殺到した場合受注停止の可能性もあります)

抑えのミニプライヤー

基本的にねじを回すためにつくられている工具達はその作業環境に応じて様々な種類が設定されてたりします。
特に車両整備の現場ではスタンダードな工具以外に「長くて力強い工具」が必要な場面もありますし「とにかく小さくてどんな隙間にも入りそうな工具」が必要な場合もあります。

で、今回は後者の小さい工具の話。

工具の小さい事での有効性といえばとにかく「狭い隙間でも差し込んで使える事」だと思います。
レギュラーサイズの工具では狭い箇所に工具自体が入らなくて悪戦苦闘する場面ってのは結構あるわけです。
そんな狭い箇所でプロメカさんでも結構苦労するのがボルト・ナットのナット側の抑え用工具です。

普通の大きさの工具が入ってくれるならぶっちゃけ抑えの工具なんてなんでもよくて、共回りをさせないために何かしらの工具を引っ掛けておくだけの事なんですが……そういう箇所に限ってすっごく狭いとこやちょっとややこしいとこにナットがあったりするので面倒なんですよね。

そんな時にあると便利なのがとにかく小さい工具。

SIGNETミジェット

SIGNET ミジェットコンビネーションレンチセット7本組

例えばこんな超ショートのミジェットレンチとかは、このコンビ単体で回すってよりは「裏抑え用」としての利用価値の方が上だったりする工具です。
これだけ短ければ手を突っ込めさえすれば大抵の箇所には入ってくれるので便利なんですよね。

そして最近売れているのがKNIPEXから登場した超ミニのコブラとプライヤーレンチ。

KNIPEX超ミニコブラ

KNIPEX 超ミニ コブラ(ウォーターポンププライヤー)

こちらはウォーターポンププライヤーといういわゆるペンチみたいな工具なのです。
ボルトナットも掴む事が出来るので抑え用レンチの代用として活躍します。

KNIPEX超ミニプライヤーレンチ

KNIPEX 超ミニ プライヤーレンチXS

そしてこちらが後発のプライヤーレンチXS。
上記のウォーターポンププライヤーとは違いボルトナットを掴む事専用に作られた異型のモンキーのような工具だと思って貰えればOK。

KNIPEX超ミニプライヤー比較

両者ともとにかく小さいのに実力は折り紙付きの有能工具でして。
抑え用のレンチとして使う場合のイライラポイントのひとつが「抑えのレンチが不意に外れてしまう事」です。
ボルト側には正規の工具を掛けてグイっと回そうとするわけですが、抑え側も引っ掛けておく必要があるので不安定な姿勢だとカシャンっと工具がずれ落ちちゃうんですね。

そんな時にこれらのプライヤー型は「握って保持」してくれるのでめっちゃ便利なんですね。

KNIPEX超ミニプライヤー比較

そして厚み。
KNIPEXは小さな工具は「薄く」作る傾向があり、画像でもわかると思いますが一般的な14mmのスパナ部分と比べてもこの薄さ。
これがただのレンチだと不安な薄さなんですが「握って保持」なので怖くなく回す事が出来るわけです。
またこの薄さを利用してダブルナット用の工具としても活躍します。

KNIPEX超ミニプライヤー比較

そんなわけで店舗でもそういう理由で売れているこちら。
コブラとプライヤーレンチのどちらが良いのかはユーザー次第ですが、助言するとしたら軸足を「プライヤー」にしたいのか「ネジ回し」にしたいのかの差ですかね。
個人的には最終的にマルチに使えるプライヤーレンチが好きなんですが、あとは好みの問題かと思います。
もちろん本来のプライヤーとしての利用も出来る便利工具ですので未購入の方はぜひご検討くださいませ。

スタッドボルトの脱着に

整備のスキルもそこそこ上がってくると基本のハンドツールだけじゃやっぱり足りなくて、いろんな分野のいろんなツールが必要となってきます。
で、内燃機に近しい箇所の整備の場合に避けて通れないのがスタッドボルト系の作業。

エンジンの腰上と腰下を連結するボルトにはもちろん、エキマニとか触媒連結とか補記類の取り付けとかとか……いろんな箇所で出てくるんですよね。

で、そういった箇所ってのは普通の工具じゃ回らないので「回せる工夫」を作業者がやっていたのですがそれだって大変です。

そんな時に便利なのがスタッドボルト専用工具の数々。

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Ko-ken スタッドボルトプーラーソケット

ただの全ネジであるスタッドボルトを回せる専用工具です。

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内側に特殊なクラッチ機構を持っていて、丸棒のような物を回せる仕掛けになってます。
クラッチ式なので基本的には正転・逆転ともに回すことが出来ます。
ってなわけでこれさえあれば脱着は問題なし。
しかしねじ山に直接触れる事になるのでスタッドの交換とかの場合にはインサートの専用工具もあります。

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Ko-ken スタッドボルトセッター

これソケットの内側にねじ山切ってあるだけの単純な工具なのですが、持っていると非常に便利。
みなさん最初はバカにしつつ購入していかれるのですが、後日手放せなくなるとの事です。

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ちなみにこの状態で締め付けていくので最後に「ギュ」と締めると工具が外れなくなると思うでしょうが、中側にロック防止のボールが仕込んであってサクっと作業出来ます。

この手の工具はなかなか手が出しにくいと思いますが、気になる方は買って損じゃないと思いますよ。