ネプロス新型ラチェット雑感

2022年の8月から発売が始まったKTCネプロスの新型3/8ラチェット。
気になっている人も多いと思いますし、すでに入手してその性能を味わっている人もいると思います。

今回は久しぶりにフルモデルチェンジとなったこのラチェットの個人的雑感をツラツラーっと書いてみたいと思います。

ネプロス新型ラチェットの雑感

nepros 新型3/8ラチェット90ギア

まず評価したいのはこのパッと見た感じの印象を大きく変更しなかった点。
どの工具メーカーにもひと目見て「どこそこのメーカーの工具だね」といった見た目の特徴というのは必要だと思っておりまして。
近年の日本の産業では「フルモデルチェンジ = イメージの一新」といった風潮がありますよね。
でも工具くらいはこんな感じでイメージの継承ってのは必要だと思うんです。
だからこの雰囲気を保っていた事はまず嬉しかったです。

ネプロス新型ラチェットの雑感

そしてこの新型を語る上で外せないのがこの主軸のコンセプトである「軽量&コンパクト」
私も発売時にいくつか他のサイトやYou Tube等を見ましたが、みなさん口を揃えて「長年の課題だった軽量化を遂に果たしました」とか言ってますよね。

ネプロス新型ラチェットの雑感

確かに今回はグリップ内部のザグリを大きくして振りの重さを軽減する事に成功してますが……。

正直にぶっちゃけます。
「え?それってみんな望んでいた事なの?」
と思っちゃったんですよね。

いや確かに結局ハンドツールですからね、軽いのは悪くないと思うのですが。
そもそもこの重さを使っての「振りのバランス」こそが初代から受け継がれたネプロスの良さだったんじゃないの?とも思ったわけです。

私はたまたま初代ネプロスの開発中モデルから見ることが出来たので、初期の開発陣の熱い思いというかそういうのもなんとなく聞いて知ってます。
例えば今でも熱烈なファンがいるT型レンチなんて開発陣の熱の入れようったらものすごいものでした。
そして初代から受け継がれたあの重さはネプロスの矜持のひとつだったはずです。

ネプロス新型ラチェットの雑感

だから正確には「現代のニーズに合わせてコンセプト変更をした」が正解だと思うんですよね。
だってザグリを増やすなんてぶっちゃけいつだって出来たわけじゃないすか。
そんなのが今までの技術で難しかったとは思えないんすよ。
(2段階ザグリなんて治具があれば一発で出来るし)
それが証拠に限定で出た木柄グリップとかではグリップ部分の作り変えとか何度かしてますしね。

で、結局その新コンセプトの「軽量」はどうなのか?
実際手に持ってみるとわずかな差なのですが効いてますね。
ヘッドの小径化と合わせて確実に使いやすくなってます。

ネプロス新型ラチェットの雑感

そして今話しに出たヘッドの小径化。
こうやって内部を見てメインギア径で比較するとすごくわかりやすいですよね。
きっちりと新機構を使って作り上げられております。
これは素直に従来モデルよりもいいラチェットになったなって感想です。
まずギアに直接掛かる小ギア部分が丸形ラチェット等に使われているギア機構と似ていて爪が全掛かりするようになりました。
Z-EALのラチェットでも使われているフローティングギアに近い構造で、メインギアの小径化にともなって同じ90ギアでもギア歯一枚の突起が小さくなってますからね。
何かしらの高トルクへの対策が必要だったと思うのでよく作ってあるなって印象です。
もちろん悪い点もあってギアが全掛かりするようになってしまい、せっかくのラチェッティングトルクの軽さがスポイルされる結果となっております。
これは前モデルからの乗り換えな人は気になるかもしれません。
(まぁ慣れの問題なので大丈夫だとは思います)

あ、そうそうすっごくいいなって思ったのはギアのメンテナンスが簡単になった事ですね。
日本の工具メーカーって少し前まではギアのリペアキットすら用意されてないって事が多かったので、リペア可能になってからもメンテナンス性までは考慮されてないモデルが多かったのですが、これは専用治具なしでフルO/Hが可能になりましたね。

唯一残念だったのが「蓋のネジ」
これプラスネジである必要性ないっしょ?確かにコストが直でかかる部分だとは思うけどネプロスだけは変えて欲しかったなぁ。

あ、もうひとつあった。
メインギアと裏蓋の間に何かしらのシールも欲しかったですね。
今回のメインギアは軽量化のため肉抜きされているのですが、それをうまく活用すれば何か出来たんじゃないかと思えてしまって残念でした。
あーでも、そんなの追加したらギアが重たくなっちゃうのかな?
Ko-kenはその辺うまく作ってあるので素人考えでは出来そうだったので少し残念。

ネプロス新型ラチェットの雑感

ってなわけで新しくなったネプロスの3/8ラチェット。
総じて個人的には高評価です。
でも従来の90ギアもすごく好きだったのですでに持っている人は買い替えるほどでもないかな?って感じ。

追記:ちなみにKTCというメーカーは3/8をやったら絶対に1/4や1/2のフルチェンも出してくると思います。
まぁ今年は120%無理だと思うので全ラインナップが新型になるのはまだまだ先の話だと思いますけどね。

スタッピハンドルのラチェドラ

日本を代表するドライバーメーカーのひとつANEX。
品質のわりに低価格の商品で人気メーカーですね。

で、そんなアネックスからひっそりと新商品が登場しまして、その出来がかなり良いのでお店でもわりと話題になっております。

ANEXスタッピラチェドラ

ANEX ミニスタ72 ラチェットドライバーセット

ラチェットドライバー自体は昔からラインナップされていたのですが、知らないうちに72ギア版にマイチェンしておりまして、その使い勝手がかなり良いんですよね。
で、今回はその72ギア版のスタッピタイプのセットになります。

詳しくは商品ページを見てもらえば付属ビットの内容もわかると思いますが、ほぼフルセットとも言える内容になっておりまして、さらにそのビット類が全て超短ビットになっております。

ANEXスタッピラチェドラ

中でも付属の超短のソケットビットの出来がよくて実物を見た人からもこの組み合わせは絶賛されてますね。

ANEXスタッピラチェドラ

もちろん72ギア採用のラチェドラの造りもかなりよいので本体の評判もいいです。

パッと見は冴えない感じのセットなのですが実際に触ってみるとかなりの良セットだと思います。
セットの専用ケースもコンパクトなのでオフィス用の工具としても活躍すると思いますよ。

タイロッドエンドプーラーのおすすめ

一時は全滅するのかな?とか思われたスポーツカーですが、なんだかトヨタさんとか頑張ってくれててもうしばらくの間は楽しいクルマがありそうですね。

昔と違ってアレコレといじくり回す人は減りましたが、やはり足回りの交換は今でも定番なのかと思います。

今は社外の足回りの選択肢は広がり、またパチモンもかなり淘汰された感もありますから車高調の足に換装するって人はとても多いと思います。
そんな足の全交換ですが、まぁ車高調はいいんですよね、純正に比べたらかなりショートになっているモノが多いので外せちゃえば後は取り付けで困ることはあまりないと思います。

しかし、純正を外すのがひと苦労って車種は結構あるんですね。

特にストラットっていうかマルチリンクな車の場合、もう知恵の輪やっても無理っぽいってのがありまして、そういうのはさっさと見切りを付けてタイロッドエンドを切ってしまった方が早かったりします。

で、そんな時に活躍するのがタイロッドエンドプーラー。
昔ながらのいわゆる洗濯ハサミタイプは今でも人気ですが…。

sig_tairodPXX2

SIGNET タイロッドエンドプーラー

昔からある定番のタイロッドエンドプーラーです。

しかし…現行の車両ってなんでだか分からないのですが鬼のように固着してる車が多く、またスポーツ車自体がすでに10年以上経過してしまっている場合もあってとにかく固いんです。。

で、そんなトンデモ固い場合ってこのモデルだと外すことが出来ない事もありまして……。

KTCのプロ仕様であるこちらをお勧めしております。

ktc_tailodXX1

KTC タイロッドエンドプーラー高荷重対応モデル

これは洗濯ハサミタイプが歯が立たないような箇所でも使える高荷重モデル。
爪部分も薄く作ってあるのに従来の物よりも体感で倍以上の威力を発揮してくれます。

ktc_tailodXX4

センターロッドであるネジの負荷が掛かるトコロにはこのようにベアリングも仕込まれていてとにかく本格派。

で、プロ仕様とは書きましたがこれサンメカさんにもオススメなモデルなんです。
実際上の洗濯ハサミタイプだととにかく外す事自体が無理な場合もあって、予算さえ問題無ければ最初からこちらを購入しておいた方が間違いないです。(それくらい硬い車が多いです)

そして逆にプロメカさんにオススメというとこんなのも人気です。

SIGNETボールジョイントセパレーター

SIGNET ボールジョイントセパレーター

使うのに少しコツがいるので誰にでもオススメってわけではありませんが、これも昔からある定番工具のひとです。

サンメカさんが購入するSST(特殊工具)としてはかなり高価な工具だとは思いますが、急がば回れを実感出来る工具のうちのひとつだと思いますよ。

長期欠品が少しだけ解消

数年間に渡るコロナ禍の中で工具業界でも様々な影響が出ております。
もちろんコロナのせいだけじゃなく、ウクライナだったりそれに付随した原油高とかもうごちゃ混ぜな状態で世界は大変な事になっておりますが、工具の販売店をやっていてもっとも影響があるのが。

価格の高騰と品不足

です。
価格に関してはある程度までは許容出来ると思っていたのですが、さすがに今年に入って2度目の価格改定を行うメーカーが増えてくると「そりゃ、さすがに…」と思わざると得ない状況になってきました。
それでもまだ在庫があるなら良いのですが。

とにかく品薄のバタフライ効果とでも言えばいいのか「え?なんでそんな商品が欠品なの?」と思うようなものまで納期未定とかになってしまい、会社間でのお取引だと見積もり後に納品といった形が多いので納品時に欠品なんて最悪のケースも増えつつあります。

そんな欠品が多い工具の中でもわりと深刻な欠品具合なのが

バイスグリップ

>>バイスグリップ等の総合ページ

バイスグリップ関連です。
下手すれば1年以上欠品のままになっているモデルもあり、メーカーの担当者に聞くと洒落にならない本数のバックオーダーを抱えてしまっているようで、ちょっとくらい入荷してきてもフリー在庫分なんてまだまだ先の話みたいでした。

しかしやっと。
今月の末くらいにかなりの種類の欠品が解消されるようでして、半年以上がら空きだったバイスグリップの棚も埋めることができそうな感じです。
(それでもバックオーダーを優先しますので、まだ未定ですが)

また同じ輸入元で取り扱いのこちら。

DeWALT TSTAK

>>DeWALTのT-STAKシリーズ工具箱

店舗でかなりの人気を博しているシステムツールボックスの「T-STAK」シリーズも7月末にドカンと再入荷の予定となっております。

DeWALT TSTAK

特に引き出しシリーズはすごい人気ですので在庫がある時に出来るだけ購入しちゃって欲しいと思います。

他の長期欠品商品もお盆頃を目安に再入荷の機運がありますので、現在欠品となっている商品でも一応問い合わせを頂けると納期をお伝え出来るかもしれません。

ホントはね、欲しいモノがあればサクッと購入出来るのが当たり前だとは思いますが、もうしばらくの間はそんな状況が続くと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

E型TORX(トルクス)について

整備をしてる時になんだか見たことないネジとか出てくると慌てますよね。
ここ近年ではあまり新しいネジの登場は無いのですが、それでもTORXに派生の亜種が出たりしてプロのメカニックさんでもウチに駆け込む事があります。

で、そんな異形ネジの中でも実は歴史が古いわりに未だに問い合わせが多いのがメストルクス、つまりE型TORX。
オスのTORXはT型と言いその反対で工具が凹んでいるのがE型TORXとおぼえてください。

古くはハコスカでも使われていた昔からあるネジなのですが、あまり見かける事は無くベテランのメカニックさんでも突然出てきて焦る事もあるくらいです。

Ko-ken 3/8E型TORXソケット

で、このE型TORX。
ちょっと面倒なのがサイズ表記です。
T型のTORXと同じで実寸のサイズでは無く番手の表記なのですが、T型TORXの番手とリンクしていなくて「T型の何番が入ったんだけど……」と言われても分からない事が多いです。
(まぁオスメスで合わせれば分かりますが)

なので工具を販売する者の正直な意見としては出来ればセットで買っておいてもらいたい工具のひとつです。
出てきたサイズを追いかけて購入していくと結局何が足りないのか分からなくなりますからね。

Ko-ken 3/8E型TORXディープソケットセット

で、このメストルクスは国産車や輸入車でまんべんなく出来てます。
有名なのはトヨタ車のスタッドボルトの頭。
普段は気にしてないだけで目に入らないかも知れませんが、注意してみると結構使われてたりするんですよね。

 

そして近年プロメカさんから最も相談の多いE型のTORXがこれ。

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Ko-ken 1/2低頭E型TORXソケットセット

商品紹介のページに詳しく書いてありますが薄いE型TORXのボルトに対応するための専用工具な扱いのメストルクスです。

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こんな感じで国産車にも多く使われていてここを見ているみなさんにも全く関係ないってわけじゃないんですね。
ま、かなりの高張力ボルトに使われている雰囲気なので、そんな作業をやる予定なら相手のボルトを一度確認しておいた方がいいと思いますよ。