2種類のトルクレンチの性格

年末も押し迫り高額な工具の問い合わせも多くなってきております。
なかでも注目度の高いのがトルクレンチ。

そこで今回はこのブログや工具実践等でもすでに書いてはいるのですが。
あらためて議題を絞って質問の多いトルクレンチの種類の話を書いてみたいと思います。

トルクレンチってのは大きく分けると2種類のものが存在します。
(もっと細かくいうとまだあるのですが、一般的なトルクレンチの話として分かりやすく書きたいので2種類限定でお話します)

ひとつはみなさんもお馴染みの規定トルクになると「カチンッ」といって手応えで教えてくれるプリセット型トルクレンチ

トルクレンチ

東日モータースポーツ用トルクレンチ(ワイドレンジ)

基本的にはアナログなこのトルクレンチ。
使用する前にトルク値を設定して使います。

KTCトルクレンチ

KTC ホイールナット専用トルクレンチ

形状や設定のやり方は各メーカーごとに特徴を持たせていていろいろありますが、とにかく設定トルクになると「機械的」にカチンってなるのがプリセット型だと思ってください。
ちなみにこちらは設定トルクが固定の自動車のホイール専用品です。

 

そしてもうひとつが直読式トルクレンチ

KTCトルクル

KTC スマホ連動型デジタルトルクレンチ TORQULE(トルクル)

直読式とは読んで字のごとく「直接トルク値を読みながらトルクを確認する」トルクレンチです。
このトルクルの本体にはトルク表示機能こそ付いてませんが、スマホに飛ばして表示を見るので原理は同じですね。

とりあえず新しいモデルで紹介してみましたが、ちょっと分かりにくい人にはこちらの方が分かるかな。

KTCデジラチェ

KTC デジラチェ

高機能なデジタルタイプなので事前のトルク設定等も出来てしまいますが、基本はリアルタイムでトルク値を表示して、あくまでも人間が実際のトルクを目視しながら扱うトルクレンチです。

ちなみに直読式のトルクレンチをさかのぼっていくと。
これになります。

弓式トルクレンチ

弓式とかビーム式とか呼ばれるトルクレンチです。
この針が指し示している表示部分がデジタルになったのがデジタル式ですね。
現在このタイプは0点調整が出来ない事を理由に市場から消えつつあります。

とまぁ、とにかく2種類のトルクレンチがあるって覚えて頂ければOK。
この2種類のトルクレンチを混同してごっちゃにして比較検討すると、自分がどういったトルクレンチが欲しいのか分からなくなったりしますので要注意です。

どちらが優れている…ではなく、どちらが自分に合ってるいるのかを知ろう

このふたつのトルクレンチ。
車のエンジンで例えるとガソリンエンジンとディーゼルエンジンのようなものです。
内燃機としての構造は違いますが、目的地までたどり着くのは同じ。
ようは得手不得手があり、使うユーザーの選択によって「合っているタイプ」を選べばいいわけです。

そしてここからは私の完全なる独断と偏見です。

自動車とかバイクの日常的なメンテナンスで使用するならば「プリセット型」を購入しておけばほぼ不満はないと思います。
(メーカーやモデル等はお好きなのを選んでください)
プリセット型トルクレンチは作業上困難な体勢でも、とにかく設定したトルク値になってくれたらカチンっと知らせてくれます。
また同じようなネジを「カチン…カチン…カチン…カチン…」と連続して回すのにも適しているんですね。

逆に直読式であるデジタルトルクレンチは上記のような作業が若干不得意です。
直読式であるトルクレンチはどう進化しても、最後は人間の耳や目が頼りになりますし、同じトルクの締め付けを連続するような作業では効率を損なってしまうんですね。

では直読式はどういう現場で良いのか。
それは静的な現場で多く好まれております。
例えば内燃機の組み付けとかでは、作業台やエンジン台にセットされたものに対して、リアルタイムでのトルク値を確認しながらボルトの伸び加減を知る事が出来ます。
また開発や実験のようなR&Dの現場からも好まれていて実行トルクを知りたいとか…そんな理由で多く愛用されております。
逆にプリセット型では設定したトルクでしか反応しませんので、このような使い方は不得意なわけです。

このように最終的な目的地である「トルクを正確に管理したい」は同じですが。
現場に出るとそのトルクレンチの性格ゆえに使い勝手の差が出るわけです。

基本的に私は工具なんてものは最終的にそのユーザーが気に入った物、例えば「かっこいいー!」とかの理由で選んでもいいと思ってます。
しかしこのトルクレンチの種類の事くらいは覚えておいてもらって「デジタル表示がかっこいいから」なんて理由だけで、後で後悔する買い物をしてほしくないんです。

現在上記で紹介したトルクレンチはセールを実施中です。
自分に合ったもので気に入った物がありましたらぜひご検討くださいませ。

メーカーの新商品発表会に行ってきました

昨年もこの時期に同じエントリーを書いていると思いますが、年に一回開催される大規模なメーカー(問屋?)の新商品発表会に先日行ってきました。

新商品発表会

あくまでも新商品の発表会なのでその場で買い付けとかそういうのはほとんどなくて2020年に順次発売される予定の商品を実際に触って確かめましょうってなイベントです。

発売未定のままで終わる商品もあるのであまり詳しく紹介はNGなのですが、会場の雰囲気と発売が決定しているものの中で私が気になった商品の紹介でもしてみたいと思います。

新商品発表会

会場はまんまホームセンターレベルの広さと規模。
近年出展が減ってしまったオートサービスショウとかを見るより個人的にはよっぽど楽しいです。

新商品発表会

新商品発表会と言いつつも従来品もフル展示されてます。

新商品発表会

このままうちのお店に欲しいレベルの展示がされていて、これが野球場2面くらいの広さですので商談しながら回るのに約4時間近くかかります。

新商品発表会

昨年試験展示されていたCATの送風機は正式採用されていました。
これも後日紹介出来たらしますね。

新商品発表会

あと店舗のお客さんだけにはすでに販売を開始しているエドウィンの安全靴。
ちゃんと鉄芯が入っているのに普通の靴より軽いのが売りです。
写真はそんなセーフティシューズの更に最新作がずらり。
この中で売れそうなモデルが取り扱いとなります。(まだ未定)

こんな感じで工具だけでなく作業着やケミカルまで幅広く展示されてますので、新商品の発掘だけでなく自分の頭の中でもいろいろ工具や備品のインプットとして役立つ感じですね。

そして今年気になった中からすでに発売が決定している商品で気になるのをふたつ紹介。

新商品発表会

ひとつ目はDIY向けにラインナップされているキャンベル岩田の100Vコンプレッサーシリーズに、遂に業務用機と同等の200Vの動力仕様が登場。
うちがある埼玉とかだと農家のお客さんとかも多くて、自宅にすでに動力が引いてあるって人も多いんですね。
でも本格派な業務用って見積もりして…とか面倒だったのですが、これはDIYルートで普通に入荷するようになるので価格も安く、なおかつ中身は完全業務用っていうなかなか良さそうなコンプレッサーです。
これは流通が始まったら後日紹介しますね。

そして個人的目玉がこれ。

新商品発表会

当店取り扱いの高圧洗浄機、蔵王産業から遂にエンジン式の高圧洗浄機が登場します。
発売はもうちょっと先で春くらいの予定なのですが、これは開発段階から私も意見を多くさせてもらっていてかなりの良作です。
エンジン式の高圧洗浄機って使っている人なら分かるいくつかの弱点があるのですが、そういったものをほぼ潰していったモデルでして開発にも1年以上掛かっております。
販売価格も今のZ4くらいな感じでいけそうですので安価なエンジン式高圧洗浄機で少しでもまともなのが欲しいって人には超オススメモデルの登場って事になりますね。

ってなわけで本当はこれの20倍くらいあるのですが、まだ買えもしない商品を紹介しても仕方ないので2020年に徐々に紹介していきたいと思います。
お楽しみに。

TONEのヘッド差し替えトルクレンチ補足

毎年恒例の秋のセールとしてTONEのヘッド差し替え式トルクレンチが入荷しております。
一般的な整備だけやるならそれほど必要性を感じる場面はないかもしれませんが、いわゆる「ソケットが入らない箇所」ではヘッド差し替え式はやはり重宝しますよね。

TONEヘッド差し替え式トルクレンチ

TONE ヘッド差し替え式トルクレンチ 10-50Nm(本体のみ)

一部の方から熱狂的な人気を誇るダイレクトセット型のトルクレンチです。

そこまでしてTONEのトルクレンチが欲しいという理由がこれ。

TONEヘッド差し替え式トルクレンチ

ダイレクトセットとも呼ばれるアナログでトルク数値を設定出来る機構です。
これって老眼すすんでいる人にもいいし、なにより直感的に操作出来るので使い勝手が良いんですね。
で、このトルクレンチを使いたいけどヘッドのバリエーションがない……なんて悩んでいた人はこんな使い方もありますよって紹介です。

TONEヘッド差し替え式トルクレンチ

TONE ヘッド差し替え式トルクレンチ用 ギアレンチヘッド[12D]

TONE純正のギアレンチヘッドの14mmを購入して頂き…

KTCギアレンチアダプター

KTC ギアレンチ用3/8アダプター

その14mmのギアレンチにこのギアレンチ用3/8アダプターを取り付けて使えば普通のソケットも使えるようになります。
TONEのトルクレンチセールは2019年11月末までとなっております。
この機会にぜひどうぞ。

※一部記事内容を変更しました。

高圧洗浄機ヴィットリオのオプションノズル

先日の台風被害以降、高圧洗浄機の問い合わせがものすごく増えております。
どうせ買うなら良いものを……って事で当店取り扱いの蔵王産業のヴィットリオシリーズの高圧洗浄機のご指名が多くありまして、今回はそんなヴィットリオシリーズのオプションノズルの紹介をしてみたいと思います。

ちなみに。

蔵王産業ヴィットリオ 蔵王産業ヴィットリオ

蔵王産業の『ヴィットリオシリーズ』全モデル共通のオプションノズルですので、どのモデルをお使いの方でも問題なく使用可能です。

オプションノズルのひとつめ。

蔵王産業アンダーボディランス

蔵王産業 アンダーボディランス(高圧洗浄機用替ノズル)

名前の通り自動車の腹下の洗浄に適したU字型ノズルとなっております。
またこの形状を利用して……

蔵王産業アンダーボディランス

こんな感じで屋根の雨ドイ掃除にも便利。
今回の台風でもかなり問い合せの多かったノズルのひとつです。

そして台風被害後に問い合わせが増えたのがこちら。

蔵王産業パイプクリーニングキット

蔵王産業 パイプクリーニングキット(高圧洗浄機用替ノズル)

これは高圧ホースの延長ではなく、高圧洗浄ガンの先に取り付ける7.5mのパイプ内クリーニング用の先端延長となります。

蔵王産業パイプクリーニングキット

これを使えばパイプの詰まり等の除去に便利に使えるだけでなく、側溝等のゴミ掃除にも便利に使用出来ます。

ちなみに個人的な推奨の本体モデルはZ3とZ4。
吐出量が違うので7.5mの延長となるパイプクリーニングキットに関しては能力値で結構な違いとなります。
その辺はご理解の上ご購入くださいませ。

すでにヴィットリオシリーズをお持ちの方も、これから購入を検討する方もこちらのオプションノズルもぜひご検討ください。

バネ用の工具

そんなに難しい整備メニューをしているつもりじゃ無いのに、整備のスキルがあがるにつれて徐々に増えていくいろんな工具。
まだホントの初心者の頃ってラチェットがあってソケットがあってコンビ数本とドライバーあればなんでも出来るって思ってしまいがちですが、実際はその他のちょっとした工具の出番ってのも侮れないんですよね。

今日はそんなちょっとした出番のある工具の紹介。
紹介するのはドラムブレーキの分解整備時とかバイクのマフラーとかスタンドとか、あの辺に出て来るちっこいバネ用の工具。

あれってプライヤーとかでなんとかしちゃった経験ある人なら分かると思うんだけど……すっごい大変なんですよね。

そんな時に専用の工具があると超便利。

ktc_ab7setX2

KTC テンションスプリングツール

こんなヤツ。ちなみにこれはバネをグイっと引っ張る事が出来る工具でして……。

ktc_ab7setX7

こんな感じで付いているバネを外すのに便利。
ビヨヨヨーンってどっかにバネが飛んでしまう事もないので、バネを扱う作業自体を大変だと思って避けている人にはすっごく重宝すると思います。
またこういうフック状の工具ってシールを引っ掛けて外すとかにも使えるので、他にも応用が効きますから1本は持っておくと便利だと思います。

そして、このスプリングの取り外し工具ってのはそこそこメジャーな工具なので知っている人も多いのですが…

ktc_ab7setX5

意外と浸透していないのがこっちの取り付け用。
上で紹介したT字のやつは結構持っている人がいたりするんですが、こっちのはマイナスドライバーとかで流用でなんとかなるっしょって感じで用意しない人が多いですね。

しかし、これ便利なんですよ。

ktc_ab7setX8

こんな感じでテコみたいに使ってあげれば、あら不思議。あっけなくバネの取り付けが出来ます。
整備士の人でドラムブレーキの整備を良くやる人なら分かると思いますが、これがあるとないとでは雲泥の差。
特にこの手の作業に慣れてない人ほど持っていた方が良いと思います。

1セット持っているといろいろ流用も効いて便利ですよー。