エンジン式の高圧洗浄機について

国内の洗浄関連機器メーカーである蔵王産業の家庭用向け機器を取り扱いはじめて数年。
もともと家庭用機器とは無縁だった硬派なメーカーなもんで、そりゃまぁ取り組み方はとにかく真面目の一言。

ヴィットリオ

現在でも店舗で人気モデルとなっている100Vの高圧洗浄機ヴィットリオシリーズは細部までこだわりまくった洗浄機となっていて安いモデルを買って数年ごとに買い替えていたような層にすごく支持されました。

そんなメーカーさんから「今度はエンジン式高圧洗浄機を開発したい」と相談を受けたのは1年前くらい。
電動と違ってユーザー層がニッチな機器ですので、なかなか難しいとは思ったのですが、ウチのお店はこれを欲する層がたくさんいたのです。

2019ABIT

そうオフロードバイク。
私が趣味でやっているオフロードなバイクの世界はとにかく「洗車」が超大事。
ってか走れば泥だらけになるのでとにかく優先順位でも洗車がトップにくるわけです。
それもかなりの泥の量なので出来れば現地で洗って帰りたいって人も多い、自宅で洗うと泥が堆積してしまって面倒なんですね。
そのため電源の必要な電動よりもエンジン式が人気な特殊な分野でして「これはもしかしたらもしかするかも」と開発のアドバイスをする事になりました。

 

まずエンジン式の高圧洗浄機で有名なところといえば間違いなく丸山です。
ぶっちゃけ予算とれるならここのを買っておけば間違いないのですが、国産のホンダやカワサキエンジンを積んだこれらのモデルは少々お高いんですね。
まぁそれでも信頼の国産ですから人気モデルなわけです。

しかしこの国産のメーカーさんで何も不満がないかと言われると結構クリティカルな問題がありまして…
それは「ポンプが壊れる」事でした。

ここからは私が今回蔵王産業のエンジン式高圧洗浄機の開発にアドバイスするにあたりお願いした事になっていきます。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

蔵王産業 エンジン式高圧洗浄機

さきほどの国産メーカーモデルでいったポンプの破損。
これは他のメーカーも同じだし、もっといえば中華のお安いモデルでも同じでした。
つまりエンジン式で自吸機能がある高圧洗浄機はポンプが弱点なわけです。
想像でしかないのですがポンプ内部の錆や吸い込み時の細かな砂等で、格安モデルだろうが高級モデルだろうが数ヶ月から数年で壊れてしまいます。
(綺麗な水で使うように心がければかなり寿命は伸びます)

そして今度はその壊れたポンプの修理が問題になります。
そもそも高圧洗浄機自体も大きいし重い。
これを梱包してメーカーに送って…だけで高額な往復送料が掛かります。
またポンプの修理って結構大変でしてコストも馬鹿になりません。
実際私のまわりで国産メーカーの高圧洗浄機を修理に出した人に聞くと、修理期間は大体1~2ヶ月、修理料金は4~6万円ってのが相場でした。(送料込みだと思います)

ですので私はここをなんとかならないかな?と考えたわけです。

で、いろいろ考えた結果。
修理が大変ならいっその事、アッセンブリーで交換出来るようにしてしまえばいいのでは?と思い立ちました。
販売価格を出来るだけ下げたい意向もあって、エンジンとポンプのユニットは中国製を使う予定でしたので、それならばポンプユニットも結構安価に供給出来るのではないかと思ったわけです。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

その後紆余曲折がありましたがなんとかポンプユニットを交換式にする事に成功。
写真に写っているキャップボルトを4本外せばポンプをまるごと交換出来るようになりました。
ポンプユニットが交換式に出来るメリットはいくつかあります。

・修理でメーカーに送らないでユーザーが自分で交換出来る。
・メーカーに送らないので送料負担もなくなる。
・修理期間もなくなる。
・ポンプユニットは予定価格で2万円くらいなので他社に比べて安価で直せる。

これらが実現出来たのはかなり意味があったと思います。

もちろんその他にもいろいろ機能を付けたり使いやすいチューニングしたりしましてめでたく発売に至りました。

ってなわけで私も開発に関わった蔵王産業のエンジン式高圧洗浄機。
個人的にはオススメですのでよろしくお願いします。