プロチのトルクレンチ

今年に入ってから新発売となったプロチのプリセット型トルクレンチ。
一般の人にはプロチというメーカーは馴染みがないのでかなりの問い合わせが入っております。
そこでちょっとだけ突っ込んだ紹介を。

プロチは国内の商社さんが切削関連の業種向けに作ったブランドなのですが、刃物セット時のトルク管理用に以前から専用トルクレンチは作っていたんですね。

超硬チップ

こんな感じのチップとかエンドミルとかをチャックに装着する時のトルク管理用です。

で、せっかくトルクのユニット持ってるならば── って事で今回の汎用型のプリセット型トルクレンチの発売となったわけです。

プロチ プリセット型トルクレンチ

プロチ 薄型プリセット型トルクレンチ

ってなわけで実際に使ってみましたが、なかなかいいですね。
トルクレンチユニット自体は昔ながらの機構を採用しているのですが(その分信頼性も高い)各所がいろいろ工夫されていてかなりの好感触です。

プロチ プリセット型トルクレンチ

細かな話もあるのですが個人的にお気に入りなのがこのスリムな造り。
トルクレンチってどうしても内部機構とかのせいで普通のハンドツールよりも大きくなってしまうのですが、写真のように薄い&スリムな形状になってます。
これのおかげで使う場所を選ばない事、そして出先用のトルクレンチとして工具箱等への納まりもよくなりますね。

あ、あとラチェットのギア数も50ギアと一般的なトルクレンチヘッドのラチェットよりも細かくなってます。

プロチ プリセット型トルクレンチ

そして少しトルクの調整ダイアルも簡潔で分かりやすいのもいいですね。
写真のようにシルバーのリング部分を引いてロック解除、そしてクルクル回しての調整なんですけど、古くからトルクレンチを使っている人にはとても分かりやすい調整方法です。
また本体外側にトルク値が印字されているので見やすいのも良いですね。

ラインナップも下は1-5Nm、上は60-300Nmまでの設定があって、近年の整備向け作業範囲はフルカバー出来るようになっています。

めっちゃ安いってほどではないのですが、それでも少し安価で使いやすいトルクレンチを探している人にはかなりのオススメだと思いますよ。

目詰りしないコーティングヤスリ

車両の整備と言ってもそれはもういろんな作業があるわけでして、ボルトナットの脱着はもちろんセンサー系整備でテスターと格闘したり、鈑金作業で鉄板と格闘したり。

一台をまるまる整備しようとしたらいろんなスキルが要求されるんですね。
まぁ全部ひとりで出来ちゃいますよって人はほとんどいませんから、エンジン組むのがプロ級にすごい人だって、塗装は誰かに頼んだりする事になります。

で、そういった整備種類の棲み分けがあるので、いろいろある工具でも「これは必要、これは不必要」と工具の総合カタログでも全くみないページがあったりしますよね。

しかし、そんな棲み分けの中でもボーダーライン上にある工具っていくつかあります。
例えばポンチとかタガネとか。
これ普通に整備してて鈑金とかあまりやらないなら不必要に思える工具なんですが、緩まないネジを緩めたり、錆びて外せない箇所を引っぱたいたり、工具箱の中に入れておくと結構使うんですね。

 

そんな微妙な立ち位置の工具のひとつにヤスリがあります。

普通に考えたら通常整備しかしなければあまり必要性を感じないと思いますが、実際工具箱に入れておくと意外に出番が多いんですね。
まだ持ってない人は「え?使わないでしょ」って思うかも知れませんが、それはまだ持ってないってだけで使う場面が想定出来ないだけだと思います。

部品の取り付けで気になるバリをサっと落としたり、部品加工で切断した面をササっと整えたり、持っていると一手間掛けたくなるんですよ。
そんな鉄工ヤスリで人気なのが国産ヤスリメーカーのヒット作であるブライト900シリーズ。

ツボサン 組ヤスリ ブライト900

表面にダイアモンドコートを施して作業時の鉄粉をはりつかせないようになっている画期的なヤスリです。

例えばこんな少し粘る性質の押し出し材のアルミでも・・・・。

上がブライト900、下が一般的な鉄工ヤスリ。

本体が銀色なので分かりにくいかもしれませんが、下の普通のヤスリだと目が詰まりはじめているのが分かると思います。
ブライト900は全く問題無し。これ実際使ってみると驚くと思いますよ。

ちなみに「そんなセットまでは大げさで必要ないかな」と感じる人には1本販売の設定のあるこちら。

tubo_EXyasuriX1

ツボサン コンビヤスリ ブライト900エクストリーム

これがおすすめ。
1本販売の平ヤスリなのですが上で紹介している特殊コーティングヤスリと同じ処理がしてあって、なおかつ裏表でヤスリの番手が違います。
平ヤスリでOKって人はこれがとっつきやすいと思います。
サイズは2通りあって上記の組ヤスリと同じ大きさがSサイズ、一回り大きいのがMサイズとなります。

そして。

tubo_se1

ツボサン 精密 組ヤスリ ブライト

こちらは「精密」タイプのセット。
番手もかなり細かく細かな作業に適したヤスリセットとなっております。

どれも普通の鉄工ヤスリと比べると少し価格が高いのですが、その価格差分以上の価値があるヤスリだと思います。
是非お試しくださいませ。

ホイールナット交換向けツール

1年に2回。

その時期になると問い合わせがグググっと増えるのが、スタッドレスタイヤの交換にともなう『タイヤ交換関係』のお話。
ジャッキとかインパクトとか、トルクレンチとかね、その辺の関連工具についての質問が多くなるんです。
春分の日も過ぎると春の交換時期なわけで、ちょうど今頃にそれ関係の問い合わせが増え始めます。
で、ジャッキとかトルクレンチとかのメインどころの工具はみなさん結構いろいろ悩んでくれるのですが…、基本中の基本な工具はあるもので済ませてしまうって人もいます。
でもせっかく効率的に作業しましょうって話ですからね、その辺もちょっとだけ注目してもらえると嬉しいですね。

タイヤの脱着と言えば思い浮かべるほど代名詞的な工具だとまずクロスレンチですかね。


KTC 1/2早回しクロスレンチ

KTCの早回しモデルは昔からの超定番ツールでして、先にソケットを取り付ける必要がありますが、まぁトルクレンチとセットで考えるとソケットも必要ですからね。
とりあえず持っていて損じゃない工具だと思います。


Ko-ken 1/2フリーターンクロスレンチ

そしてこちらはKo-kenの早回しモデル。
こちらは後発で出た分、さらに使い勝手が向上してまして横バーがスライドするだけではなく「抜く」事が出来ます。
これによって車載用にする時もコンパクトに出来るのでエイビットの人気ナンバーワンのクロスレンチとなっております。

で、ここまでは十字レンチでしたが個人的にオススメしてる工具といえばシンプルなスピンナーハンドルですね。


Ko-ken 1/2スピンナーハンドル450mm

エイビットのオススメといえばこのKo-kenの450mmモデル。
3種類あるのはグリップの違いだけですのでご自分の気に入ったグリップを選んでください。
クロスレンチって早回しが出来るのでシャラララーって早く作業出来るイメージですが、その分最初のカキンって緩める時とかに結構苦労するんですね。
その点このスピンナーハンドルなら人間が楽出来るのでオススメです。
また「早回し」も4本行ってそんなに違うわけでもないですからね、それならスピードよりもいかに人間が楽して作業するかを考えた方がいいってのが私の持論です。
さらにいうと最後に使うトルクレンチとの親和性というか使い方が似てますからね、ホイールナット用工具としてオススメしております。
ちなみにKo-kenだけがオススメってわけでもないのでスピンナーハンドルでいろいろ見てみてください。(長さは450mmくらいがオススメですけど)

 

で、最後にせっかくなのでソケットも。


ホイールナット専用ソケット各種

各メーカーが大体全長110mm程度の1/2ロングソケットをラインナップしております。
トルクレンチを使う場合、スピンナーハンドルやクロスレンチを使う場合にも便利な専用ソケットです。
自分用に買うなら1サイズ購入すれば良いわけですからせっかくなので揃えておきましょう。

超強力ニッパ

ハンドツールの中の3点セットといえば握りモノ系の『ラジペン・ニッパ・プライヤ』の3点が有名です。
大抵の工具セットでもこの3品は入っているので、持っているって人は多いと思います。

だけど実際の使用頻度ってはまたちょっと違いまして、その人の主な作業内容や職種によってかなり変わってくるんですね。
たとえば車両整備とかだと実はプライヤーってあまり使われなくなってきていて、そのかわりにウォーターポンププライヤーを購入していく人が増えましたし。
ラジペンも普通のスタンダード形状のは一切使わずに、ベントノーズとか特殊形状のラジペンだけを使うって人も多いです。

で、その中でも使用目的が大きく異なり、ちょっとした現場の状況で数本必要とされるのがニッパだと思います。
ちょっと昔はニッパー自体に選択肢があまりなかったので、使いにくかったり、すぐに刃こぼれしちゃったりしながらもなんとか我慢して使ってましたが、近年の工具事情では選択肢が大幅に広がった事により、細かく使い分けている人も多くなりましたよね。

ちなみにエイビットではなんだかんだ言いながらもある程度万能に使える強力型ニッパであるKNIPEXの硬線ニッパが人気ですが…
これ使っても切るのに苦労するようなワークも存在します。

ってなわけで今回はその手の作業で問い合わせの多い強力型のもうひとつ上…
──『超強力なニッパ』を数点紹介。

KNIPEXツインフォース
KNIPEXツインフォースニッパ

超強力なニッパというのをどうやって定義するのかにもよりますが、とりあえず『硬いモノを切るのに人間が少しでも楽出来るニッパ」と考えるならば、この倍力機構の付いたKNIPEXのツインフォースが代表的なニッパーだと思います。
テコの応用を使っているのでどうしても開き幅は小さく制限されてしまいますが、その弱点を考慮してもこのニッパーは硬いモノを日常的に切る人には超オススメのニッパだと思います。

IRWINハイパフォーマンスニッパー
IRWINハイパフォーマンスニッパ

そして上記と同じ理由で人気を二分しているのがこのアーウィンの倍力モデル。
ドイツのNWS社のOEMと思えるこのニッパはKNIPEXと同等の精度と切れ味に徐々にユーザーを増やしているモデルです。
握り部分から刃先の比率がKNIPEXとちょっと違うので、その辺を加味して購入を検討している人も多いですね。

KNIPEX X-CUTニッパー
KNIPEX X-CUTニッパー

そしてあまり話題にこそなりませんし、製品自体は地味系なので注目されませんが、このKNIPEXのX-CUTモデルは実は強力型のニッパのひとつです。
上の倍力モデルのような特徴的な機構とかはありませんが、KNIPEX社が持っている強力型ニッパの究極進化系とも言える正統モデルでして。
同サイズの硬線ニッパよりもワンランク上の切断能力を誇るニッパーです。

このニッパ、形状はスタンダードなので普段の細かな作業でも使えて個人的にもかなりお気に入り。
少々価格が高めなのですが1本でいろんな作業をできるだけ済ませたいって人はアリな選択だと思います。

KNIPEXボトルクリッパー
KNIPEX 小型ボルトクリッパー

これはもはや「ニッパー」ではないかもしれませんが、とにかく硬いモノをサクサク切りたいなら超オススメです。
こういういわゆる番線カッター的なニッパーでは、同国産品だと全長50cm以上のモデルよりも切れ味がいいという、とんでもスペックなニッパーであります。

ってなわけで今の作業を手を痛くしながらやっているって人は、こういう工具の選択肢を考えてみるのはいかがでしょうか。
特に切断という作業は人間の握力ありきですから、道具で少しでも楽する事を考えないといつまでも向上しませんからね。

Ko-ken新カタログ

私が工具の業界に飛び込んだばかりの頃は、それこそカタログがボロボロになるまでずっと見てましたねー。

最初はもちろん勉強の為とかあったのですが、とにかく「見たことない」「触ったことない」工具の魅力に取り憑かれました。
特に自分のメンテナンス事情にはあまり関係無さそうなモノほどワクワクするので、お客さんの現場行って珍しい工具を見掛けた時にはテンションあがりましたねー。

──っとまーそんな工具のカタログ。
今でも暇な時にのんびり見ることありまして、特にカタログが刷新された時は楽しみで仕方ありません。

すでに当店のTOPページでは告知済みですが約2年ぶりにKo-kenのカタログが新しくなりまして、お店にもどっさり届いております。

Ko-kenカタログ

Ko-kenカタログ最新版(2017.2.23現在)

前回のカタログ発刊からその後出揃ったZ-EAL(ジール)シリーズとかも、網羅してあって見応え充分ですね。
そもそもKTCとかの総合工具メーカー(レンチとか専用工具とか)ではなく「ソケット専門メーカー」としてこれだけの内容になるのが凄いですよね。

当店のWebサイトでもめぼしい工具は掲載されてますが、それでも全部サイトにあげているわけではありませんので、紙のカタログみて気になったモノがあったら遠慮なくお問い合わせください。