三宅島エンデューロ奮闘記~その5~

急に思い立ってモトクロッサーを買って1年半。ほぼ毎週のように練習しつつ楽しく乗ってきましたが、そこに「速さを求める」ような事はあまりなかったんですね。

巧くなりたい。

その思いの方が強かったので、なんつーか「速さ」は若い者に任せとけばイイヤ!的な考えが多少ありました。しかし乗り込むにつれその考えも、少しずつ変化してきたんですよね。

で、今回の三宅島エンデューロにエントリーをした後は「速く・強く」を始めて意識した練習を重ねました。

先月の日記でも少し書きましたが、その練習の成果もあってなんというか一皮剥けた、今まで見えなかった景色も感じる事が徐々に出来つつもありました。

その練習の中で個人的に一番効いたのが、狭いテクニカルな林間セクション(ワダチがあってほぼ1本道)をスタンディング(立ち乗り)のまま走破する練習でした。

コースは起伏に富んでいて、20センチ以上の深いワダチもあり、リアブレーキターン気味に曲がらないといけないタイトなターンも満載でした。

最初はゆっくりで良いと言われ何度も転びながら周回を重ねるウチに徐々にスピードアップ。

これやると何が分かるのかと言うと「バイクの適切なホールド」が身にしみて分かります。

また前後の荷重移動もしっかりやらないといけないので、1周回るウチにまぁ前後左右に忙しいんですね。

そして乗り慣れてくるとアクセルを開け気味で速く走った方が楽な事も分かってきます。ゆっくり走る方がトライアル的な難しさが出ちゃうんです。

この練習だけを徹底的にやったおかげで、タイヤ1本の隙間を通すような難関セクションでも結構なスピードで走る事が出来るようになりました。

で、レース前にこれが出来るようになったのはかなり自信にも繋がったんです。

ってかぶっちゃけこの時の練習の感じだけが、心の頼りになっていたと思います。

話は三宅島レースに戻ります。

三宅島エンデューロ奮闘記~その4~

※注意:ここからはほぼ私の言い訳になります。お見苦しいと思いますがご了承ください。

で、いよいよスタート時間。

不思議なもので今まで何回かレースに出ていますが、いざグリッドに着いてしまうとウソのように緊張が無くなります。

今回もドキドキしていたのですがヘルメットかぶって、バイクにまたがったらすごく冷静になってました。

スタートは3列スタート。

横に約30台ずつ並び、私はその3列目。

スタート方式はキックスタートでして、スタートと同時にエンジン始動と、キックしか無いバイクには少し難易度高めのスタート。

まぁ無理はせずにマイペースで行こうと決めていましたが・・・。

スタート!の合図と共に振り下ろした足にエンジンの鼓動が伝わります。

あ!一発で掛かっちゃった!

と、思いそのまま2速に叩き込んでアクセル全開!

と、思ったら私の目の前の前列の3人がエンジン不始動(笑)行き先を失い慌ててブレーキ握っていったん停止。横がいなくなったので前3台をよけて横に回避し後はフル加速。

100台一斉スタートなので、何もおこらないわけも無く今度は前走者が登り途中でコケる!まだ距離があったのでなんとか横に逃げたら逃げた先でも、またコケてる!!

結局そのまま私は斜めに走っていきコースギリギリまで大外まで行って、なんとか坂を駆け上り第1コーナーに突入。

ここでもコーナーでコケちゃった人をよける渋滞が出来ていたけど、少し遅れて入った私は空いている大外をそのまま廻りホームストレートへ。

仲間が手を回して応援してくれているのが見え、気合いを入れ直して坂の下のモトクロスセクションの突っ込む。

ここは深いサンドのコースになっているのでまた渋滞発生中。

が、なんか気合い入っちゃった私は縫うように進みあっさり渋滞を抜け体感で中段グループに追いつく。(実際は後ろのほうでした笑)

こうなっちゃうと更に気合いが入ってきてアクセル開け開け!

細かなセクションではみんなスピードが落ちるので、前に集団が見えていて気持ちも前向き「あれに付いていけば良い感じでしょ」とか思いつつ、アドレナリンも垂れ流し状態。

で、サンドのロングストレートに突入!

4速に叩き込んで更に開けると普段練習で走っている感覚も蘇ってきて、グっと腰を落とし後ろ荷重を意識しフロントタイヤを接地させない感じで前方を睨みます。

が、次の瞬間。

一瞬宙に浮いた感じがした後・・・ドシャァー!!!と前転気味に大ゴケ。
(この時は普通に乗れていたので多分岩か何かに乗り上げたんだと思います)

この時何が起きたか一瞬分からなかったのですが、砂に顔面から落ちている事が徐々に分かってきてよろよろと起き上がり、キョロキョロとバイクを探します。

私の後方3メートルほどの所にバッタ号発見。場所もサンドなので壊れてそうも無いので、バイクを起こして再始動。

よろよろと走りだすと丸太セクション登場。

まぁここは怖くないので軽くクリアと思ったのですが、ここでもポテっとこけます。

あ れ ?

自分でもおかしいと思っていましたが何がおかしいのか分からず。

そしてそこから恐怖のガレ場エリアに突入。

まだまわりにはバイクも一杯いて、良さそうなラインを盗む為、前走者の後ろに付きトコトコとガレの上り坂を登ります。

で、今思うとここが私のこのレースでの最大の分岐点でした。

つづく。

三宅島エンデューロ奮闘記~その3~

試走が終わり、試走走行順にグリッドに整列。

スタートはこのままの状態で行われるとの事で、私はさきほどの岩にクラッシュがあって最後方になってしまいましたが、スタートの混乱を避けるにはちょうど良いかなとも思いました。

で、そこから約1時間開会式やったりセレモニーがあったりと時間があったのですが、今思うとここでもうちょっと準備していればなぁ・・と少し悔やみます。

試走が終わったのが大体11時ちょい過ぎで、レーススタートは12時過ぎの開会式終了後との事だったのですが、試走で結構体力を奪われた為に水分補給を中心に30分くらいは休んでいました。

折れ曲がっていたレバーは応急措置でなんとか直っているようにも見え(実は直ってなかった)車両チェックよりも人間の復活に時間を割いてしまいました。

またこれが後で効いてくるのですが、そんな時間耐だったので各自にお弁当が配られたのですが私は食べる事が出来ずに食事をパス。

やっとお腹が空いてきた頃にスタート時間になってしまいました。

今思い出すと本気な方々はこの時間をかなり有効に使っていたと思います。

ちょっと舞い上がってしまってましたねぇ・・・。

ただし人間の準備はいろいろやってまして、まず準備運動も無しにコースインしたのでストレッチをして、その後は夏の12時間の時に足がつった経験からレース前にクエン酸とアミノ酸を補給。

走行中に背中に背負うキャメルバッグの中にはアミノ酸飲料を入れ、そういう準備は万端。

事前に痛めてしまっていた手の怪我も、厳しい痛みは引いていたのでなんとかなりそうなメドだけはたっていました。

三宅島エンデューロ奮闘記~その2~

とまぁ、準備は万全。

ここからは試走からレースまでのお話。

島に到着し軽めの仮眠をとったあとフル装備に着替えて第1パドックへGO!

もうこの時点でテンションMAXなわけでして、まわりを見ても参加者だらけなので余計気合いが入ってきます。バイクを受け取り総勢約100名の参加者は島の中腹を目指します。

ちなみに道中は舗装路でして三宅島の絶景を眺めながらかなり楽しいツーリングでした。

そしてレース会場へは最後の関門となるヒルクライム。

ここをガー!っと登って向こう側にダー!っと下るとレース会場なのです。で、勇気を出して行ってみたら・・・うっほーたのしー!!

もうアクセル全開で暴れるリアタイヤをがっつりホールドしつつグリグリ登って降りました。

こりゃー今日のレースも大変そうだけど楽しそうだなぁ・・、とその時点では思ってました、いやマジで。

で、オフィシャルの方の先導に続きレース会場に到着。

いったん停止したものの、なんの覚悟も無くいきなりコースイン。

最初はモトクロスセクション。サンドが思ったよりもきつめで本当に普段練習している近所のフカフカサンドっぽい感じ。あまり得意ではありませんがなんとかなるかなぁ・・・とか思いつつ走っていると、今度はサンドの超絶ストレート!

こりゃー開け開けダー!と全開をくれていると普段のサンドでは見慣れない黒っぽい物が・・・。

そう、火山岩。

サンドのアチコチにソフトボールくらいからお地蔵さんクラスの岩がごろごろしてます・・・。

まわりを見るとすでに岩に乗り上げ吹っ飛んでいる人多数・・・。

それでもドンドン進み遂に丸太に到着。

怖いけど行ってみたら、たいした事無くほっとしたのもつかの間、当日全員を恐怖に陥れたガレ場エリアに。

ちなみに私はガレ場の経験がありませんが、経験者に聞いても前代未聞のガレ場だったとの事。

ガレ場と言うのは岩の事なのですが、普通は河とかにある丸石がゴロゴロ・・ってイメージなのですが、ここは火山岩。

しかも普段は人が入らない場所で噴火からほぼ風化もしてなく、殺人的な尖り方してます。

ちなみに写真の岩は「まだ」かわいい方でして、これよりひどい箇所多数。こりゃーひとコケでバイクも人間もヤバイと思いつつ、気合いで乗り切りました。

で、コースの最後。

もっとも難関セクションである谷底部分。何故かここは生中継でもあまり映ることも無く、写真もありませんがここがヤバイ。

まず道幅がバイク2台分、そして岩がさっきよりも更にでかくルート的にはタイヤが1本ギリギリ通るような箇所多数でちょっとミスるとコケるかハマります。

で、私はこの谷底セクションで岩にガキっと挟まりバキャーンと派手にコケてしまいました。

この時にバイクから結構ヤバゲな音がしたので「しまった!」と思ったのですが、オイルも漏れてないしなんとかなるかな?と思いつつバイクにまたがりエンジンを掛けて発進!と思ったら・・・。

スカ!っと。

あ れ ?

シフトのチェンジペダルが無い(笑)
※その時はもちろん笑い事じゃ無かったんですけどね。

いったん降りて確認すると先日の写真で紹介したように折れ曲がってカバーに突き刺さり、動かなくなってました。

でも、まだレースすら始まっていない試走の段階なわけでして・・・・。

ここで終了は無いでしょって事でガンガン踏み込んでとにかく1速に入れて、無事発進。

恐怖の谷底セクションを抜けたらそこはゴール地点でひと安心。

すぐに修理したいけど、オフィシャルの人にそのままスタート地点にバイク置いて開会式に出てくれと言われ・・・、その辺にあった棒でグリグリこじってなんとか噛み込んでしまったペダルを少し浮かせる事に成功。(でもその後、走りだしたらシフトアップがかなり難しかった)

とまぁ・・・ここまでがレース前の状況です。お気づきの方もいるかも知れませんが、一周の間に気持ち良いセクションとか一切ありません。全周に渡ってツライ・コワイの連続です。

で、この時ガキ!っと岩に突っ込んだ恐怖がレースに大きく影響してしまう事になります。

また後日つづきを書きます。

三宅島エンデューロ奮闘記~その1~

詳細を忘れちゃいそうなので少しずつ三宅島奮闘記でも書いていこうかと思います。

今回の三宅島エンデューロレースで参加者を一番悩ませたのがまず準備だと思います。

・船で行くしか無い島でのレース。

・車が搬入出来ないのでバイクのみを運ぶ。

以上の条件から普段レースに参加している人やトランポでの移動が慣れている人は持ち物で悩む結果となりました。

トランポには工具一式や着替え一式、ケミカルや替え部品など現地で何かあってもなんとかなる装備がほぼひと揃い積んであります。

しかし、今回はバイクと別に全て運ばなければならず持って行く物を厳選しなければなりませんし、更にそれにもうひとつ難しい条件が付きました。

その条件とは今回のレースまでの流れを見ると分かると思います。三宅島にはパドックは二つ用意されており まして、一つ目がバイク受け取り所。人間と一緒に運ばれたバイクはコンテナに入っているので山の中腹で行われるレース会場まで持って行く手段が無く、港に 近い第1パドックに搬入されそこでバイクを受け取る事になります。

その第1パドックから自走でレース会場を目指す訳なんですけど、レース会場に着いたらノンストップでそのまま1周のコース試走となるのでライダーは第1パドックの時点でヘルメットや装具をフル装備する必要があります。

つまり島に到着したら旅館にチェックインするのですが、その後バイクを受け取りに行く時点でヘルメットとかブーツとかフル装備に全部着替える必要があり、つまりつまりそういった装具一式を全部手荷物で運ぶ必要がありました。

オフロード用のフル装備ともなると大きめのバッグでも2つないと入らない大荷物です。

これに工具やらケミカルを持って行くのはほぼ不可能な状態。

・・・なのでそういった工具・部品系はバイクと一緒のコンテナに入れて良い事になりました。

これがまた悩む原因に。

主催者が用意してくれたのが1000×500×500の段ボール箱。この段ボール箱は積みこみこそバイクと一緒ですが、島ではバイクと別にされ、レース会場の各自のピットまで直接搬入されます。

これに各ライダーが自分用の工具やらケミカルやら当日飲むドリンクやら現場での着替え等々・・全部考えて入れるわけです。

いろいろ考えればキリが無いし、でもちょっとした物が無くリタイヤとかも嫌なので出来る限りの物は持って行きたい・・・と悩みに悩みました。

これが準備編では一番悩んだ事だったのですが・・・いざ搬入に行ってみると用意されていた段ボールは予定よりも大きい物で、ぶっちゃけなんでも入る感じ(笑)

まぁ今、思い出せばこれもまた楽しい思い出ですね。