SIGNET2021メカニックツールセットについて

SIGNETから3年ぶりくらいにお買い得な工具セットが登場。

なんで3年ぶりになってしまったのかって事を考察するとわりと簡単で「3年前に出した工具セットがあまり売れずにメーカーに残ってしまったから」だと思います。
これにはいろんな諸事情がありまして、KTCとかがやる工具セットセールの場合あくまでも「期間限定セール」というのがメインなので、その期間中なら多少長いバックオーダーに入ってもユーザーは特価で工具セットを購入出来ます。

しかしこの方法って当たり前ですがメーカーにとっては効率的ではないんですよね。
事前に何セット売れるのかわからないから生産計画が立てられないし、やっと売り切ったと思ったら1セットだけ追加来ちゃってロット生産するはめになったり…ね。

で、過去にSIGNETはこの「追加生産」でやらかしたわけです。
その年の工具セットを発表したらわりと初速が良くて追加でドドーンっと作ったらそれが全く売れないという状況。
さらに悪かったのが10月に発売して11月には欠品して、追加が出来上がったのが年明けになってしまった事ですね。
つまりボーナス商戦中に在庫がなくて工具セットを欲しがった人たちはみんな他のメーカーの工具セットを買ってしまった後にやっと追加分が出来上がったって感じです。
もともとSIGNETは期間限定ではなく数量限定でセールを組んでいるので、おとなしく完売にしておけばよかったんですけどね。

でまぁそんなわけで3年前の工具セットは内容や価格どうこうってよりは状況を見誤ってしまい爆死しました。
そして工具セットって工具メーカーにとっては一年を通してもかなり重要な売上基盤のひとつですので、これが崩れた事によって翌年から工具セットを準備する事が出来なくなったわけです。(実際翌年になっても前年の工具セットがガッツリ残ってたし)

あともうひとつ理由があるとすると工具セットのインフレみたいな状況がありまして、さっきも書いたけど工具セットってかなり重要な売上基盤な商材なので他社に負けないように…みたいな感じで工具セットの内容が迷走していたのも理由だと思います。
それは工具点数だったり新商品を多めに投入したり、あとは工具箱カラーをとにかく奇抜なものにしたりといった手法なのですが、こういう工具セットはやっぱり「基本工具セット」であって販売している現場からするとそういう変化球的な工具セットって扱いにくいんですよ。

そんなユーザーはもとより販売店ですら食傷気味になっていた状況も相まってな惨事だったと思います。

で、ここからは今回登場したSIGNETの工具セットのお話。

そんな先述したような事とかがありまして、メーカーも初心に戻ってみたのでしょう。
内容もシンプルに、工具箱カラーも2色オンリー、内容をシンプルにしたおかげで価格も下げる事に成功。

SIGNET2021工具セット

SIGNET 3/8メカニックツールセット61点組

今回登場したこの工具セットを一言で言い表すと「普通すぎるくらい普通な工具セット」です。
でもあれです、つまり。

『そうそう、こういうのでいいんだよ』

な工具セットです。
詳しい内容等は上記のリンクから見てもらうって事にしてざっくり言えば基本を押さえた価格の安い良セットだと言えます。
工具を揃えるのが初めてって人も、出張や出先向けに2セット目って人にもわりと気楽にオススメ出来るセットになっていると思います。
少しだけこだわりたい人ならこの工具セットを叩き台にして追加購入するってのもアリアリかと。

で、そんなSIGNETの工具セット。
さすがに普通で良いよってだけだと判断が厳しいと思うので商品ページでは紹介出来なかった事をいくつか書いてみます。

SIGNET2021工具セット

まずは工具箱カバー。
これは商品ページでも触れてますがとにかくこのカバーって秀逸だと思うんですよね。
特に持ち運んで使う人にはかなり便利だと思います。
このカバーが付くってだけでもSIGNETの工具セットを買う理由にしても良いかもですね。

SIGNET2021工具セット

そしてやっぱり嬉しいウレタンの工具トレー。
表面がカーボン柄になってて見た目もかなりかっこいいです。
他のメーカーもウレタントレーを採用しているところが増えましたが、SIGNETは元祖に近いですからね。
よく出来てます。

SIGNET2021工具セット

そしてギアレンチ。
SIGNETといえば本家ギアレンチ社のギアレンチを採用している数少ないメーカーのひとつでして、工具セットにも必ずその年の最新モデルが投入されてました。
しかし今回は基本に戻ってスタンダードなギアレンチが入ってます。
で、実際これで十分だと思いますし嬉しいですよね。

SIGNET2021工具セット

これは地味に新製品のスプリング内蔵のユニバーサルジョイント。
安物ってすぐにクタクタになってしまいますが、これはそういう弱点克服のユニバーサルだと思います。

SIGNET2021工具セット

あと超短のシャローソケットがサイズ限定で入ってます。
同セット内の同じ14mmを比べると右のシャローソケットがかなり短いのが分かるかと。

SIGNET2021工具セット

そして個人的に「お、いいやん」って思ったのがこのスライディングTバーハンドル。
上面がフラットになっていてセンターのコマがクルクル回らないようになってます。
これは使い勝手良さそうですね。

ってなわけで割と好印象のSIGNETの工具セット。
実は今回最初に書いたような過去の件があったのでメーカーさんは自社で在庫する気なんてなくて国内に入荷したほとんどを販売店に押し付けてきました。

SIGNET2021工具セット

そんなわけでウチの倉庫にも天井まで積み上がった工具セットが在庫されてますのでみなさん買ってくださいませ。(数十台ありまする…)
なお、メーカーの在庫はほぼ無いのでウチの分はこれを売り切ったら終了となります。

まぁ在庫が大変とかの話は関係なく、今回のSIGNETの工具セットは本当によく出来ているのでマジで買いだと思います。
(そうじゃなきゃ仕入れないし)
各色ごとに数量限定ですので欲しいって人はそこそこお急ぎくださいませ。

PBのクラシックグリップについて

PBっていうメーカーはたまーにやるのですが今回も出ました「日本限定販売」
まぁ完全無欠のオリジナル品ってわけではなく絶縁シリーズであったスイスグリップの細身のモデルの型を流用しての制作ではありますが、それでもこういう細身なグリップのニーズって日本では結構あるのでなかなか良いドライバーだと思います。

PBスイスグリップクラシック

PB スイスグリップクラシックドライバー

欧米各国のメカニックに比べて比較的手の小さな日本人には昔から「握りのコンパクト」な工具が好まれる傾向がありました。
ですので今回の細身なクラシックスタイルは店舗でもかなりの高評価を頂いております。

PBスイスグリップクラシック

ちなみに「なんでこれがクラシックなの?」と思う人もいるかと思いますが、上の画像の真ん中が現存する最古のグリップである100系と呼ばれるものです。
PBってメーカーは新しいグリップが出ても古いモデルを無くしたりしないので今でも普通に買えるのですが、この透明な100系グリップは少し細身なんですね。

握りが細い100系グリップは今でも一部の人に人気があって普通に流通しております。
で、この細い100系グリップの形状で最新の臭くないスイスグリップの素材で作ったら……ってのが今回のスイスグリップクラシックドライバーってわけです。
(100系は元祖臭いドライバーです)

PBスイスグリップクラシック

さすがに日本限定品なのでフルラインナップとまではいきませんが、日常的に使うサイズは揃っております。
また価格もなんだか通常のスイスグリップよりも安いので「持ち出し用のもうワンセット」として購入していく人も多いですね。

PBスイスグリップクラシック

個人的には地味にラインナップされているプラスの#2のちょいロングである150mmモデルがツボでした。(画像下)
特にバイク整備をメインでやる人にはこの長さって使いやすいですからね。
日本限定品ですのでいつまで販売するのか分かりませんから欲しい人は今のうちにどうぞ。

あ、そうそう。
現在限定特価品として↓

PBスイスグリップクラシック

PB スイスグリップクラシックドライバー 限定4本セット

専用ケースに入った4本組が販売されております。
他の単品を含めフルラインナップで欲しいって人もこのセットを購入して追加ってのが良いと思います。
こちらのセットは完全限定品ですのでなくなり次第終了となります。

蔵王産業ヴィットリオZE ─ バルブまわりの不具合修理 ─

先日お伝えした蔵王産業のエンジン式高圧洗浄機「ヴィットリオZE」のマイナートラブル対処法についてエア抜きバルブの件で「もうちょっとくわしく」という要望がありましたので説明させて頂きます。

エンジン式高圧洗浄機の注意点

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

エアー抜きバブルはこの指の部分の白いダイアルですが、この部品の根本に逆流防止の逆止弁が付いていて、それが固着した場合に「水圧が落ちるor水が出なくなる」等の症状が発生する場合があります。

これの対処は各自で出来る簡単なものですが、今回は少しばらして構造を理解して頂ければ更に分かりやすいかな?と思いっての投稿となります。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

先程のバブル本体を取り外すとこんな感じ。
金色の部品が逆止弁となります。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

外す時は本体のこの部分に付いてますのでモンキー等で静かに外したら、さっきの金色の逆止弁&バネを無くさないようにしてください。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

部品構成はこんな感じ。
メインのバブルとエアー抜きの白いバブル、そして逆止弁となります。
この逆止弁が水のカルキ等で固着することによって動かなくなり、水圧の低下をまねく原因となります。
逆に使用頻度の高い人はあまり不具合でないですね。

なんか調子悪いな…とか感じたらこのようにばらして洗浄して再組付けすれば直る場合が多いので試してみてください。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

綺麗に洗浄したらこのように仮組みした状態でセットしてあげればOK
取り付けにくい場合には洗浄機本体を一瞬横倒しにしてセットしてあげるとやりやすいです。
逆止弁がスコスコ動くようになれば正常な水圧に戻ると思います。

このマイナートラブルが結構王道なトラブルなのですが、これをやっても解決しない場合には当店までご連絡ください。
(当店購入の方に限らせていただきます)

研磨作業前の下準備

当店は20年以上前の開店直後から金属の鏡面加工補助工具であるオフセットサイザルをあれこれ試しつつ販売してきた経緯もあって研磨系の工具の問い合わせや注文が多いんです。
もちろん過去に自分自身で行った経験のある範囲内では、研磨工具の選定から磨き方まで問い合わせにお答えするのですが。

中には「えっと……それって…」というやばめな質問も来たりして少しだけ困ってしまう場合があります。
例えば

「サイザルを買いさえすれば鏡面出来るんでしょ?」

みたいな質問。
いやー無理っしょ、サイザルは便利ですけど下地を作る気もなけりゃ、工具の入らない箇所では手磨きすらする気もないと言われたらこっちもお答えしようがないんです、はい。

オフセットサイザルはあくまでも「加工の補助工具」であって鏡面出来る万能工具ではないわけです。
なのでせめて手で磨くだけの物の準備ですよね、それはヤスリとかブレーキクリーナーとか液体系の研磨剤とかね。

その辺を揃えて最低でも手で全部磨けるくらいの準備をしたうえで、サイザルとかの補助工具は威力を発揮するわけです。
まぁこちらとか読んで頂けると少しは分かってもらえると思いますので是非ご一読くださいませ。

まぁ…とか言っても実際には研磨に正解はないので好きなようにやってもらっても良いんですけどね。
ぶっちゃけやり方や順番くらい間違えても結果綺麗に磨ければOKです。
でも「工具=便利」と「工具=万能」とでは全く違う話になってしまうので、そこだけは理解して欲しいと思います。

 

で、今回はそんなわけで少し基本というか「せめてこれくらいは持っておいて欲しいもの」を一つ紹介。
価格も安いし適当な紙やすりを揃えるくらいなら絶対にコレがオススメ。

ケンマロンスーパー 3枚セット

いわゆる研磨布でして、もっと分かりやすくいうと紙ヤスリの布版みたいな感じ。
この研磨布の最大のメリットは、写真で見たとおり網目状になっているので目詰まりしない事。(正確には目詰まりしにくい)

特にアルミ材のような削り粉が細かく粘るような物の場合、この研磨布ならば連続使用出来て便利です。
大きさもハサミでカットして使えるので狭い場所でも便利に使えます。

また鏡面研磨とかは関係ないよって人でも錆落としとかブレーキシューの粗取りとか、工具箱の中に小さく切って入れておくと結構重宝すると思います。
ここで紹介した3枚セットは当店がオリジナルに組んでいる番手違いの3枚組となっております。
持っていて損じゃないのでぜひご検討くださいませ。

エンジン式高圧洗浄機の注意点

2020年の3月から売り出した蔵王産業のエンジン式高圧洗浄機ですが、おかげさまで好評のまま1年ちょっとが経過しました。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機
蔵王産業 エンジン式高圧洗浄機『ヴィットリオZE』

当店も深く開発に関わったモデルですのでみなさんが気に入ってくれて売れているのはめっちゃ嬉しいです。

現在は昨年末にリリースした当店オリジナルの「ショートノズル」も販売好調です。特に新規で本体を購入されるお客様の8割以上がショートノズル付きのセットを購入してくれてて、作ってよかったなってのが本音です。

そんなわけでかなりの台数を販売させて頂きまして、また少しですがFAQ的なものも増えてきましたので今日は2つ書いておきますね。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

まずひとつめ。
これは使用頻度が低めの方にまれに出てしまう症状でして、おおよその理由が分かってきたエア抜きのためのリリーフバルブ付近のトラブル対応に関して。

この指を差している箇所の白いバルブがエア抜き用のリリーフバルブなのですが、この白いバルブが付いている根本のシルバーの部品の根本にスプリングバルブが内蔵されております。
機能としてはポンプから排出される高圧水流の戻り防止のための逆止弁なのですが、このバルブがたまに固着してしまう事があります。
固着してしまうと最悪水が全く出なくなったり、水圧が極端に落ちたりします。

これの対処法としては。

・このバルブ自体に振動や軽い打撃を与えてみる。
・水のインプットを水道にして圧を掛けてみる。

のどちらからで高確率で直ったりします。
まぁスプリングで押さえられた止水バルブが噛み込んで固着しているだけなので「コンコン」って軽く叩いてあげたり、水道水の圧力で無理やりリリースしてあげれば普通に使えるように戻るわけです。
不具合が出た場合でもご自身で簡単に試す事の出来る処置ですので覚えておくといいと思います。

 

そしてふたつめ。

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

このノズルも実は「水圧が急に弱くなった」という問い合わせの件に絡んでおります。
このノズル、持っている方なら分かると思いますが画像のように左右に回す事で水流の幅調整が可能になっており洗車にはかなり便利なので、このノズルをメインで使っている方も多いと思います。
で、このノズル。
実はもうひとつ機能がありまして……

蔵王産業エンジン式高圧洗浄機

こんな風に「前後」にも6~8mmほど動かす事が出来ます。
この前後に動くのがわりと微妙な動きなのでちょっと分かりにくいのですが、この前後の動きは「水圧調整」をしております。
ノズルを前後の動かしてみると全開で「ドバー!」と出たり、最弱で「ジョロジョロ」って出ると思いますが、最初から機能として付加されているのです。

これが分かっていない人が結構いまして購入後に「急に水圧が…」って問い合わせに繋がったりします。
ですのでそんな事がありましたらとりあえずノズルを一度前後に動かして確かめてみてくださいませ。

ちなみになんでそんな「ジョロジョロ」なモードがあるかと言いますと、このジョロジョロにしてあげるとちょっとだけ噛んでしまったエアーを抜く事が出来るんです。
上で紹介したエア抜きバルブを開け締めするほどではないエア噛みの時は試してみてくださいませ。

ってなわけで大好評絶賛発売中のエンジン式高圧洗浄機。
ご検討中の方はぜひどうぞー。