工具の差し込み角の選択

これから整備をしてみたい!とか、その為にこれから工具を揃えていきたいって人と話をしていると結構つまづいてしまうのが工具の差込角の話。

3/8ラチェットイメージ

みんななんとなーく、差込のサイズが違うって認識はあるのですが、正確にどんなのがあるのかまでは分かっていない人もまだまだ多いですね。

インパクト用とかでかなりでっかいサイズはあるのですが、通常の整備向けなら憶えておきたいのは3サイズ。

6.3ミリ = 1/4 
9.5ミリ = 3/8 
12.7ミリ = 1/2 

このように差込角の四角の部分はインチで管理されてまして、サイズも良く憶えられないならば「大中小」で憶えてしまってもOK。

余談ですがこのサイズはあの超有名メーカーのSnap-Onが決めたと言われてまして、スナップオンの名前の由来にもなっているとおりソケットを取り替えて使えるようにしたのがこのメーカーですね。
(スナップしてオンするから)

スナップオンの工具の型番には各サイズの特徴の頭文字が使われているのも有名な話。

例えば1/2の工具だと「Standard」の頭文字である「S」 つまりこの1/2差込から全てがスタートしたんですね。(ソースも無くうる憶えて書いてます、何か違ったら優しく教えてください)

3/8の頭文字はF。これは1/2よりも小さく狭い箇所でも使えると登場し「Ferret」(小動物のフェレット)の頭文字が使われていると言われております。

で、1/4はあまり面白いひねりもなく「Tiny」(タイニー)の頭文字で「T」

/余談終了

で、初めて工具を揃える人はここで悩むんですよね。そりゃー私だってその立場なら「何が分からないのか分からない状態」でしょうから、気持ちは良く分かります。

なので専門店スタッフらしく決め打ちで「とりあえず3/8買いましょう」と言い切ります。

ここでいろんな可能性を示してあげて余計悩ましても仕方ないので、現在の整備事情も教えつつ各メーカーがメインサイズとして推し進めている3/8を買っておけば間違いないでしょう。

確かに1/4や1/2も後々欲しくなったりもしますが、まだ何も無い状態からだと各工具の必要性を感じないままになってしまいますからね。

特に整備初心者さんがいじりたくなるプラグとかの作業では、プラグソケット自体が3/8しかラインナップされてないメーカーも多いので、なおさらオススメだと思います。

そして無事に3/8の工具を購入出来たら、自分は「大中小」の差込では「中」の物、つまり3/8=9.5の工具を持っていると憶えておいてください。
追加のソケットを購入するためにエイビットに来てくれた場合「お使いの工具の差込角はなんですか?」と聞かれます。

その時に「あー真ん中のです、えーと・・3/8」と答えて頂ければ、話がとてもスムーズに進みます。

ってなわけで今日は何が書きたかったのかと言うと・・・

「最初の工具は悩むくらいなら3/8=9.5」

そして

「自分の持っている工具の差込角はなるべく正確に覚えておきましょう」

の2点。

ちなみに差込角のインチサイズは簡単に換算も出来ます。
1インチは25.4ミリなので3/8インチと言うと計算機を叩けば良いだけ。(この場合9.5ミリになると思います)

neji_kihon7

こういったインチの話とかにも興味が出たならコンテンツの「工具実践」にある「ボルトナット基本」も読んでみてくださいませ。
また今回の差込角のお話「ラチェット・ソケットの差し込み角考察」もあります。

4アングルヘッドスパナ

実は古典的な工具でありながら再注目を浴びて話題になる工具ってのが何年か周期であります。

挙げればキリがないほどいろいろあるのですが、最近で印象に残っている工具といえばアングルスパナ。

SIGNETアングルスパナ

SIGNET 薄口アングルスパナ

昔からある定番の変則スパナでして、表裏をあわせて4つの角度で使えるために4(フォー)アングルスパナとも呼ばれております。

ちなみに日本の文化ではこの形状のスパナってのはなくて、アメリカ工具系列の4アングルスパナ(これは薄くない)とヨーロッパ工具系列のイグニッションスパナ(薄い)がありますが、今回紹介してるSIGNETのはヨーロッパ工具系列の薄くて小さいサイズが主な事から、正確にはイグニッションスパナなんだと思います(まぁどっちでもいいんですけどね)

SIGNET薄口スパナ

発売当初からものすごい売れ行きでして、主な理由としては「薄口」のレンチを探していた人の目に止まったってのもあると思いますが……、あとはとにかく安いんですね。
気楽にサイズを揃える事が出来るってのはこういう異型レンチでは嬉しい事ですね。

ダブルナット時とかはもちろん、変な箇所(角度)でのスパナしか入らないような時に現場ではかなり活躍するスパナです。
実際購入した方からはかなり好評ですね。

また後発でかなり小さなサイズまでずらっと入ったフルセットも登場。

SIGNETアングルスパナセット

SIGNET 薄口アングルスパナセット13本組

ちょっと使わないかなぁ…ってサイズまで入ってますが価格も安いのでこういう機会にいざって時用のサイズまで揃えてしまうのも手だと思います。

オススメ電動グラインダー

このブログでは何度か書いてきたサンメカさんの電動工具の重要性。

プロの現場ではエアー環境が整っているおかげであまり電動工具の話にもならないし、業務用に売れるのがエアーツールなゆえに「整備用工具」と言うカテゴリーでは電動工具はあまり重要視されていません。
そのせいかあまり深いところまで語られる事が無く、花形の電動インパクトくらいは話題になっても実は本当に必要な「その他の電動工具」が軽視されがちです。

んじゃエアー環境が完璧では無いサンメカさんはどうすりゃいいのか。

そこで私が普段から推奨しているエアーツールの代わりになりつつ、サンメカがゆえに必要となる電動工具をいくつか紹介してきております。

その中でも当店で最も売れているのがこれ。

bosch_sandaX2

ボッシュ 回転数調整式ディスクサンダー

ディスクグラインダーと言えばホームセンターとかでも3000~5000円だせばテキトーなのが買えます。
しかしいろいろ使ってみたりサンメカっぽい作業をしていくとこのサンダーに付いている「回転数調整機能」の重宝さに気がつくはずです。

bosch_sandaX3

この無段階で回転数を調整出来るサンダーってのは使ってみるとホントに便利でして、アクリルとかの樹脂カットでは回転落として溶けないようにしたり・・・。

off_saizaru_nw1

オフセットサイザル

大人気の鏡面加工お助け工具関連ではバフ焼け等を防ぎつつ研磨出来るようになります。
実際プロの磨き屋さんでもこの回転数調整モデルを使っているわけですから、素人の私達が非調整のモデルを使ってやるのはちょっと難しいんですね。
(なんとかはなりますけどね)

電動工具が必要とか書きましたが、そんなに多くの種類を必要とするわけではありません。
ですので、ひとつひとつを吟味して最良の物を選択するのもひとつの手だと思いますよ。

L型のHEXレンチ最新モデル

今ではいろんなメーカーから出るようになったレインボーカラーのL型HEXレンチ。
元祖というか最初に出したのがPBだったのは有名な話ですが、これが実は日本の現場からのニーズにこたえた製品だったのは知っている人はあまり多くないかもしれません。

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PB L型HEXレンチ[ロング・ボール]セット

視認性に優れ現場のとっさの判断でも選択しやすいこのアイデアはコロンブスの卵的発想だったと思いますが、いまでは世界中でこのレインボーカラーのHEXレンチは愛用される結果となりました。
しかし、初期ロットでは剥がれやすかった塗装もいまでは蒸着に変わり、かなり剥げにくくなったとは思いますが…
それでもあまりカラーにこだわらないって人にはカラーバージョンを選択するメリットってあまりなかったんですよね。

そこでPBがさらにその先のL型HEXレンチを出してきたのがコレ。

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PB 丸軸L型HEXレンチセット(ロング・ボール)

丸軸採用でしかもローレット加工付き!
PBという会社は「削りだし」が大好きなメーカーですので、すごくよく出来ていて現在のL型HEXレンチでも店頭で人気ナンバーワンになっております。
写真でも格好いい雰囲気は伝わると思いますが、実物はそれ以上に格好いいです。

丸軸になったおかげで最大トルクも上がっておりますので、人と違うHEXが欲しいって人には超オススメのレンチだと思います。

精密な作業と工具

エイビットで販売している様々な工具の中でも、定番工具ってわけでもないのに長年地味に売れ続けている工具がいくつかあります。
普通の整備しかやらないと「これ何に使うの?」みたいな工具。

例えば自動車とかバイクではあまり縁のない極細のピンポンチなんかもそのひとつ。

PB 極細平行ピンポンチ

スタンダードな六角胴の平行ピンポンチと違い、こちらは丸胴ローレット付きの平行ピンポンチです。

この丸胴のシリーズはかなり細い1ミリとかの設定もあり、主に工場やカメラ、そしてモデルガンのユーザーから厚い支持を得ております。

これだけ細いピンポンチですと、性能差が結構出ますね。
もともと粘り強いしなやかな鉄を作るのがうまいPBの面目躍如ってところでしょうか。

サイズも0.5mm刻みで設定があるので精密作業にはオススメのポンチです。

 

そしてヤスリでも精密なのがこれ。

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・ツボサン 精密組ヤスリ

お店ではかなりの人気商品のひとつでして、ちょっとした部品の小加工に大げさではないこのヤスリが具合良いみたいですね。

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画像の上側は従来のスタンダードなブライト900の中目
そして下が精密ヤスリです、細かな作業用になっているのが分かりますでしょうか。

またヤスリ目も 粗目>中目>細目>油目>超細目 の超細目にあたり精密部品の仕上げにも使用可能です。

この手の工具はなかなか表で紹介される事も少なく情報もないんですよね。

困っていた人は是非どうぞ。