ブレーキキャリパーの錆取り

近年は個人的に好きな車種が「仕方なく」10年落ち以上になってしまう事も多く、別にそんな趣味はなかったんだけどレストアに近い整備をやっている人もいると思います。

そんな時に結構重要になってくるのがブレーキ周りの整備ですね。
見なかった事にして放置しておくと、復帰出来ないほどの固着とかしちゃいますので、できればマメに見てあげておきたい箇所であると思います。

で、中でも面倒というと「どうすりゃいいのこれ?」ってなるのが錆。

外側の錆なら。

ビプロス錆取りジェル

ビプロス スパールジェル(錆取りジェル)

このスパールジェルとかでかなり対応出来るのですが。
面倒なのがキャリパーピストンシリンダーの中とかですね。

そこでオススメなのがこれ。

サンツールキャリパー錆取り

SUN-TOOL ブレーキキャリパー錆取りツール[ピストンシリンダー用]

サンツールキャリパー錆取り

SUN-TOOL ブレーキキャリパー錆取りツール[スライドピン穴用3本]

いわゆる電動工具用の回転ブラシでして回転させて錆を除去します。
ピストンシリンダー用はシリンダーにあるシール溝の中も綺麗にしてくれます。
また意外と盲点なのがスライドピンのホールですね。
ここ用も出てますのでうまく組み合わせて使えばブレーキのフルO/Hが簡単に出来ます。

普段から問い合わせも多い工具のひとつですので、探していた人はぜひどうぞ。

整備にもピンセット

工具というのは多種多様なニーズに応えるべく様々な種類やカテゴリーが存在します。
前にこのブログでも書きましたがラジペンやニッパーなどの握りモノ系だけでもものすごい数がありますからね。

そこで今回はそんな握りモノ系でも車両整備用途では需要の低いピンセットのお話。

工具のお店をやっていると産業向けではそこそこ売れるピンセットですが、これが車両整備向けだと年間通してもそんなに売れません。
まぁ作業内容が精密方向じゃない事が多いので仕方ないのですが、それでも内燃機整備とかでは一定需要があるんですね。

で、いざ必要となった時に普段から気にしてないカテゴリーの工具なので、どれ買ったらいいのか分からないって問い合わせが入る事があります。
今回はそんなわけでオススメのピンセットを紹介してみます。

HOZANピンセット

HOZAN 非磁化精密型ピンセット

無難な選択の中では一押しのHOZAN非磁化ピンセット。
価格も一般的ですし使い勝手もOK、品質ももちろんよいので誰にでもオススメ出来るピンセットです。
どれ買えばいいのか迷ったらこれ買っておけば大丈夫だと思います。

KNIPEXピンセット

KNIPEX ステンレスピンセット(非磁化)

こちらはKNIPEXのステンレスピンセット。
出来としてはもちろん良いのですがHOZANとの差異を見出しにくく、あまりKNIPEXにこだわらないならHOZAN買ったほうがいいかな…ってなポジションのピンセットです。
もちろんKNIPEX好きならこれ一択。

DUMONT 耐腐食・非磁性ピンセット(チタニウム)

こちらは「老舗ピンセットメーカー」のDUMONT。
仕上げはハンドメイドされていて各部の作りも機能美満載のピンセットです。
これはチタン製のフラッグシップモデルで少しお高いのですが、買って後悔する事はないと思います。
個人的一押しです。

HOZAN カッティングピンセット

こちらはHOZANの変わり種ピンセット。
もともとが試作基盤でのジャンパー線切断とかそういう用途向けなのですが、この先っちょが刃になっているおかげで整備用途でもいろいろ活躍します。
カッティングステッカーのあまり取りとかにも便利ですよ。

>>その他ピンセット一覧はこちら

ってなわけでいざ選ぶといろいろ種類あって悩んでしまいますが、絞って考えれば自分にあったものを選べると思います。
こういう工具も1本気に入ったの持っていると整備が楽しくなりますよね。

ショートヘッドダックスHEX

国産のアサヒと言うメーカー。

整備分野ではあまり知られてないかも知れませんが、工場とかそういったルートでは老舗のメーカーのひとつです。
メーカーとしても小回りがきくところでして「あんなサイズあったらいいな」とかいうとひょっこり追加されちゃったりしてビックリさせてくれたりもします。

で、んじゃやはり整備向けにはほとんど無名なのかと言うと・・・。
実は超軽量レンチで知られているライツールシリーズはこのアサヒが作ってたりしますので、ちゃんと垢抜けた工具も多数つくってたりもするんですね。

そんなわけで実はいい工具もイッパイ作っているこのアサヒで、隠れた逸品となっているのがこれ。

asahi_DAXhexset_nw1

アサヒ ショートヘッドHEX ダックスレンチ

L型のショートヘッドタイプのHEXレンチなのですが、両端がL型に曲がっていまして。

なんで両端がL型になってるんだ?と最初は思うのですが・・・。

asahi_DAXhexset_nw4

片側はこう。

asahi_DAXhexset_nw5

もう片側はこう。

よーく、間違い探しの要領で見てみると。
角がずれているんですね。(30度)
これにより狭い箇所での作業時にレンチをひっくり返しながらチョコチョコと回していく事が可能になってます。

もともとショートヘッドを使うような場面ではスペース自体が無い事も多く、この発想はなるほどって感じです。

お店でもこれを試し購入された方からかなりの高評価を多数頂いております。
普通のL型HEXは持っててショートヘッドを追加で購入なんて人はこのレンチ、オススメですよー。

強力型倍力ニッパー

似たような工具でありながら種類が多い工具というと握りモノ系ですね。
KNIPEXのような専門メーカーのカタログを見ると、何に使うのか分からないようなプライヤーが数多く載ってます。
まだラジペンとかそういうのなら先端形状が違うとか分かったりするのですが、ことニッパーになると似たようなカタチなのに何が違うの?って思うようなモノがホントに多いんですね。

そんな感じでとにかく種類が多いニッパー。
そんなニッパーの中でも国産メーカーだとあまり出しているところがないのがぶった切り系の強力型ニッパー。
これが輸入メーカーだといろいろ種類あるんですよ。

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KNIPEX 硬線ニッパーシリーズ

実際KNIPEXやバーコが日本上陸した頃にプロメカさんの間で売れる要因になったのも、この強力型ニッパーの存在が大きかったと思います。
硬い針金のような線をバチバチ切っていけるニッパーって1本持っていると重宝するのですが、このKNIPEXの硬線ニッパーは普段の作業でも使える取り回しの良さが受けたんだと思います。

しかし。
もっとぶった斬りに特化したニッパーもあるんですね。

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KNIPEX ツインフォースニッパー

それがこのカム機構を取り入れた倍力のニッパーです。
倍力機構自体はプライヤーの歴史では古くからあったのですが、なにせそれだけトルクが掛かるわけですから生半可な刃の強さではニッパー自体が破損する恐れもあり作るのが難しいニッパーのひとつだと思います。

そしてそんな倍力機構付きでオススメがもう1本。

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IRWIN ハイパフォーマンスニッパー

IRWINと言う会社は工具の製造メーカーではなく総合商社的な会社でして、バイスグリップ社とか昔からの超有名な老舗メーカーを傘下におく企業です。
まぁ吸収合併みたいなもんなんでしょうかね。
でも悪い話ではなくこのIRWINの取り扱いになると安定供給され、コストも下がるのか、流通価格自体も下がるのでユーザーさんにとっては良いことだと思ってます。

この倍力ニッパーもドイツのKNIPEXに並ぶ超有名メーカーのモノだと思います。(裏をとってないので分かりませんけど)
あまり日本に入ってなかったのですが現地ではかなり有名な握りモノメーカーですので、造りは本当に良くて価格も安くオススメだと思います。

とにかく選択肢がいろいろあるのは嬉しいですね。

工具の差し込み角の選択

これから整備をしてみたい!とか、その為にこれから工具を揃えていきたいって人と話をしていると結構つまづいてしまうのが工具の差込角の話。

3/8ラチェットイメージ

みんななんとなーく、差込のサイズが違うって認識はあるのですが、正確にどんなのがあるのかまでは分かっていない人もまだまだ多いですね。

インパクト用とかでかなりでっかいサイズはあるのですが、通常の整備向けなら憶えておきたいのは3サイズ。

6.3ミリ = 1/4 
9.5ミリ = 3/8 
12.7ミリ = 1/2 

このように差込角の四角の部分はインチで管理されてまして、サイズも良く憶えられないならば「大中小」で憶えてしまってもOK。

余談ですがこのサイズはあの超有名メーカーのSnap-Onが決めたと言われてまして、スナップオンの名前の由来にもなっているとおりソケットを取り替えて使えるようにしたのがこのメーカーですね。
(スナップしてオンするから)

スナップオンの工具の型番には各サイズの特徴の頭文字が使われているのも有名な話。

例えば1/2の工具だと「Standard」の頭文字である「S」 つまりこの1/2差込から全てがスタートしたんですね。(ソースも無くうる憶えて書いてます、何か違ったら優しく教えてください)

3/8の頭文字はF。これは1/2よりも小さく狭い箇所でも使えると登場し「Ferret」(小動物のフェレット)の頭文字が使われていると言われております。

で、1/4はあまり面白いひねりもなく「Tiny」(タイニー)の頭文字で「T」

/余談終了

で、初めて工具を揃える人はここで悩むんですよね。そりゃー私だってその立場なら「何が分からないのか分からない状態」でしょうから、気持ちは良く分かります。

なので専門店スタッフらしく決め打ちで「とりあえず3/8買いましょう」と言い切ります。

ここでいろんな可能性を示してあげて余計悩ましても仕方ないので、現在の整備事情も教えつつ各メーカーがメインサイズとして推し進めている3/8を買っておけば間違いないでしょう。

確かに1/4や1/2も後々欲しくなったりもしますが、まだ何も無い状態からだと各工具の必要性を感じないままになってしまいますからね。

特に整備初心者さんがいじりたくなるプラグとかの作業では、プラグソケット自体が3/8しかラインナップされてないメーカーも多いので、なおさらオススメだと思います。

そして無事に3/8の工具を購入出来たら、自分は「大中小」の差込では「中」の物、つまり3/8=9.5の工具を持っていると憶えておいてください。
追加のソケットを購入するためにエイビットに来てくれた場合「お使いの工具の差込角はなんですか?」と聞かれます。

その時に「あー真ん中のです、えーと・・3/8」と答えて頂ければ、話がとてもスムーズに進みます。

ってなわけで今日は何が書きたかったのかと言うと・・・

「最初の工具は悩むくらいなら3/8=9.5」

そして

「自分の持っている工具の差込角はなるべく正確に覚えておきましょう」

の2点。

ちなみに差込角のインチサイズは簡単に換算も出来ます。
1インチは25.4ミリなので3/8インチと言うと計算機を叩けば良いだけ。(この場合9.5ミリになると思います)

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こういったインチの話とかにも興味が出たならコンテンツの「工具実践」にある「ボルトナット基本」も読んでみてくださいませ。
また今回の差込角のお話「ラチェット・ソケットの差し込み角考察」もあります。