テストリードピン

何度か書いてますが車両整備に関わる工具って実はそんなに革新的な進化ってなくて、ちょっとだけ何か変わったり少し高性能な物が出たりで基本的な所ってあまり変わって無いんですよね。

そんな中でも工具が進化し続ける理由はなんといっても車両側の進化。

昔じゃ考えられなかった箇所の整備とか、普通のドリルじゃ穴が開けられない鉄板とか、いろんな所が進化している現代の車両。工具だって基本的なところは変わらないなりに進化はしているわけです。

で、昭和の後半から起きた自動車の大きな進化って言えばやはり「キャブ→FI」かと思います。

電子制御が当たり前になりそれを補助する形で各種センサーも大きく進化&増設されました。

これは昔ではなかった整備項目を生み出しまして、近代車の必須工具にこういったものが登場。

・カイセ デジタルテスター
・テストリードピン

今やメーカーのサービスマニュアルには「デジタルテスター使用」と書かれていて、アナログテスターの役割はほとんど終了してしまいました。

そしてそれを補助するプローブであるテストピンもセンサーの小型化に合わせ極細化。

左が今までのテスターの先端ですが、この太さだとセンサー系の測定が出来ないんですね。

そこで右側のテストリードピンを使う事になります。今や現代の必須工具にもなっているくらい重要な工具でして、コレ無しでの電装整備はなかなか厳しいですね。

意外とまだこれの存在を知らずに自作工具でなんとかしている人もいるらしいのですが、専用の延長リードで簡単に使えますからオススメの工具です。

スクレッパー

工具の販売を長くやっているといろんな職業メカニックさんとも話をする機会が増えます。

基本車検くらいしかやらない人からレースエンジンだけを専門にやる内燃機屋さんまで様々。

で、そんな整備環境の違う人達が口を揃えて面倒だと言うのがガスケットの除去。

個人のスキルとか関係無しにとにかく無心で削り取るしか無い作業なので、広い面とかの場合とにかく時間が掛かります。

ガスケットの除去方法にはいろいろありますし、今は有効なケミカルとかもあるのですが、最後は手でガシガシ削るしかないんですね。

そこでスクレッパーの出番となるわけです。

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・KTC スクレッパー各種

スクレッパーの種類として主な違いは刃幅と刃の材質。

刃幅は個人の好みとかありますし、やっているエンジンとか補記類で使いやすさが違うと思います。

ですので「ちょっと便利なスクレッパー」となると材質の違いですかね。

その中でもウチで昔から定番人気なのがKTCのセラミックスクレッパー。

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こんな感じで刃先にセラミックの塊が取り付けてあります。

刃の形状はそんなに鋭く無いのですが、これが・・・かなり使えるんですね。

メーカーの注意書きにも「刃を立てすぎると対象物自体をキズ付ける恐れがあります」と書かれているくらいの優れ物。

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また刃の鋭さが関係無いセラミックはこのように横方向にも使えますので狭い場所やピンを逃げつつ・・・なんて場面でも便利なんですね。

この工具は口頭やWEBの文章では伝えにくいので、とにかく一度体験して貰った方が良いと思います。

現在セラミックスクレッパーのスタンダードサイズをセール中です。この機会に是非どうぞ。

SIGNET少し小さい工具セット

年末年始から年度末までの期間に各工具メーカーの工具セットがお買い得大特価になるのは前に書いた通り。

各メーカーいろいろ趣向を凝らしてきて毎年楽しませてくれますが・・・毎年何人かの人に言われるのが「もうちょっと簡単なセットはないの?」って質問。

シンプルな工具セットはそれだけ点数絞るので価格が安くなるのはもちろん、自分用に工具を揃えたい人にはベースセットとして購入して、その基本セットにいろいろ追加購入したいって人も多いみたいです。

また近年は工具箱も立派になっていて3段引き出しは当たり前みたいな感じですもんね。

 

で、そんなちょっと控えめなセットを待っていた人に朗報。

SIGNETから両開き3段トレーのシンプルな工具セットが再登場しました。

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・SIGNET メカニックツールセット ミニ

そう!まさにこんなセットを待っていましたって感じ。

コンパクトで基本ツールを厳選したセットになっておりまして、さらにレールとか中敷きとかそういうのは省いてその分価格を安く抑えております。

詳しい中身はHPを見てもらうとして、ラインナップはなかなかですね。これだけあれば初心者の方が買っても困ることはあまりないんじゃないかな。

そして工具箱も良いですね。

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シンプルな両開きの3段トレーなんですが、このタイプは見かけによらず容積が大きいのでかなりの工具を収納する事ができます。

持ち運ぶのもワンハンドでOKだし、2セット目以降の人からも高い人気になりそうです。

 

このセットは一度完売終了になったのですが、リクエストが多く再販となりました。しばらくは在庫も問題無いと思いますのでセット購入を考えていた人は候補のひとつとして考えてみてください。

気になるラチェット

以前は車(ロードスター)をいじり倒して遊んでましたし、今は毎週のようにダートバイクを乗り回しております。

で、私が工具販売店の人間だと分かるとやはり私の使っている工具が気になるみたいで、工具箱を覗かれたり相談受けたりもするのですが・・・。

残念な事に私の持ち歩く工具は全部オススメ出来る物でも無いんですね。

どういう事かと言うと新製品出れば自分で試しますし、メーカーから発売前の工具を預かればそれを使ってみたりとか・・・自分で理想とする工具を持ち歩いているわけではないんです。ましてレンチやソケットなんかだと1サイズずつ全部違うメーカー持ってたりとかね(笑) パッと見た目はもう目茶苦茶なセットになってたりします。

もちろん全部試すわけでも無いのですが、少しの期間使った方が分かる物も多いので仕方無いんですけどね。

でも、そんなごった煮のような工具の中でもこだわっていつも入れている工具と言うのもあります。

数種類あるのですが、とくに現場で見せたあとに評判良いのがこれ。

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・Ko-ken 1/4首振りロングラチェット

実はいつも持ち歩いているのはこのKo-kenとは限らないのですが(ネプロスとかいろんなメーカーで同等品を持ってます)

・1/4差し込み
・ロング
・首振り
・早回しクイックスピンナ
・少し長めのエクステンション

この組み合わせにこだわって何かしらのセットを持っております。(ちなみに個人的にはこのKo-kenの組み合わせがコスパも良く気に入ってます)

これを持っているとちょっとした作業はほぼ全てこれでいけちゃうんですね。車の時も使ってまして普通の整備では14ミリ以上ってそんなに出てこないのでこれで十分なんですよ。

1/4ラチェットってセットとかで買うとどうしてもスタンダードな長さでちょっと短いと感じると思います。

その点この首振りロングならば

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この長さありますからね。6ミリのHEXとかでもカキカキ作業出来ます。

トルクの掛かってない時にはクイックスピンナで回しても良いし、本体を90度に折ってクルクルしても良いですしね。

 

この工具が便利なんだよねーって現物見せながら紹介すると、みなさんかなり気に入ってくれる事が多いです。

まだ1/4を何も持ってないって人にもオススメでして

・ラチェット本体
・クイックスピンナ
・エクステンション2~3本(とりあえず1本でもOK)
・ソケット 8・10・12mmのどれか

これくらい買えば十分活用出来るセットになります。最小限で買えばKo-kenなら1万円で買えちゃうんですね。

これは一度試して欲しい工具のひとつですね。是非。

差し込み角の対応サイズ

ラチェットとかソケット、それにまつわる問い合わせってのは多いのですが製品の事とかメーカーの事とかじゃ無く、もっと根本的な事が分かってなくて購入時に悩む方って結構多いです。

で、販売している側としてコレを理解してくれると話がスムーズなんだけど・・・って思うのが各ソケットサイズの受け持ち差し込み角。

例えば3/8のシリーズでいろいろ揃えている人がいるとして、ちょこちょこ買い増ししてくれている時に「次は27ミリのソケットが欲しい」と言われると困るんですね。いやこんな情報知っている人自体が少ないので知らなくて当然なんですけどね。(27ミリは3/8差し込みでは設定がありません)

でもやっぱりこの辺をぼんやりとでも知っていると、工具購入の計画とかも立てやすくなると思いますので、今日はそんなお話。

 

小さい順に話をしていくとまず1/4差し込み。

sok14_all

・各メーカー 1/4ソケットセット各種

最小サイズまで話すといろいろ面倒なので、その差し込み角の最大サイズで話を進めます。

まず1/4差し込みの場合には「14ミリ」が最大だと思って下さい。実はメーカーごとに若干違うのですが、とにかく14ミリが最大だと思って頂いてOK。

一応14ミリまでラインナップがありますが、個人的には普通に使えるのは12ミリまでですね。14ミリは少し固く締まっているネジの場合は人間側のトルクがきついです。

 

そしてメインサイズである3/8差し込み。

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・各メーカー 3/8ソケットセット各種

3/8差し込みはかなり広範囲にカバーしているイメージがあると思いますが、それでも最大サイズは24ミリ。(これもメーカーごとに若干違います) なので上の話のように27ミリソケットが欲しい場合にはひとつ上の1/2差し込みを選択する事になります。

 

そして1/2差し込みの場合には最大で36ミリ

なのでロータリーエンジンのエキセンシャフトのナットとか40ミリオーバーのソケットが必要な場合にはもうひとつ上の3/4差し込みのソケットを選ぶ事になります。

 

これ知っていると自分が工具を揃えていくときの目安と言うか参考になるんですね。

そして最大サイズはあくまでも「最大サイズ」なので実用サイズとしてはもっと考える必要があります。さっきも書きましたが1/4では自分なりに決めて12ミリまで・・・とか3/8なら19ミリまで・・・とかね。この辺は各自の整備事情で考えればOK。

 

この手の話って工具のカタログ見ればすぐに分かるのですが、意外と知られてなくて「3/8の差し込みで30ミリが欲しいんですけど」とかの問い合わせが結構多いです。こんな時は「すみません、30ミリだと1/2でしか設定がありません」と伝える事になるんですが、そうなるとその人が1/2工具も全く持ってなかった場合に1/2差し込みの駆動工具を新規購入する必要が出てきますよね。まさにそのユーザーには想定外なわけです。

なのでこういったちょっとした事を覚えているだけで、計画的に工具を揃えていけると思います。頭のスミにでも覚えておいてください。